さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

良い試合をする責任

2011-06-12 20:40:39 | 関西ボクシング
ということで、IMPホールにて観戦してまいりました。

OPBFライトフライ級タイトルマッチ、宮崎亮vsドニー・マバオ戦、
結果は宮崎の3-0判定勝利でした。
今年中にも世界挑戦か、と言われる宮崎ですが、良い景気づけというにはほど遠い内容でした。

相手はOPBFライトフライ級14位。これに加えて試合前のアナウンスによると
フィリピンの国内ランキングではミニマム級7位、とのこと。
そんな情報、教えていらんわいと苦笑しつつ見ていた試合はというと、やはりどうしても、
宮崎本人、及び周囲にあったであろう楽勝ムード、このくらいの相手だから鮮やかに勝とう、
という雰囲気が悪く作用したという感じでした。

序盤から、低いガードで相手をよく見て上体を柔軟に動かす防御を見せつつ、
互いに当たる距離に位置し、左のダブルや肩をひねった右をどんどん打っていく宮崎でしたが、
小柄なアバオの懸命な反撃は終始止まず。
「打つか打たれるか」の距離での攻防が続き、宮崎はヒット、攻勢とも上回りますが、
マバオは最後まで耐え抜き、時に左フックを好打するなどして健闘し、判定まで闘い抜きました。


この試合を見て思ったのが、良い試合をせねばならない責任が自分にある場合、
宮崎亮のボクシングは、それには不向きな作りなのではないか、ということです。

今日の試合では、常に自分から仕掛け、踏み込み、五分五分の距離で「打つか打たれるか」の
よく言えばスリリングな、悪く言えば馬鹿正直な展開に終始した宮崎は、
期待された、見目鮮やかなKO勝ちを出来ず、試合後もすっかり落ち込んだ様子でした。

しかし、もしも彼が、世界王者を相手にして、挑戦者として闘うならば、
今日のような試合ぶりは当然通用しないことはわかっているはずです。
マバオ相手なら「打つか打たれるか」で済む距離、位置取りは、例えばローマン・ゴンサレス相手なら
「打つか倒されるか」の距離に変わってしまいます。

それを踏まえて、より慎重に距離を取り、相手の攻撃を丁寧に外す上体の動きを忘れず、
頻度は低いが的確な攻撃を決められれば、相手が世界王者であっても善戦健闘しうるだろうし、
うまくすれば僅差の勝利を手にする可能性もあるだろう、とも思うのです。

つまり、試合を構成する柱の部分を相手に任せても良い、良い試合をする責任を負う必要がない、
自分が挑む側の立場で闘えるときに、その利点が生きる、それが宮崎亮のボクシングなのではないか、と。


今日の試合内容は、井岡一翔に続く軽量級のホープとしては、評価を下げるものだったでしょう。
私も、上記した仮定を成立させるには、何より今日の試合に対する本人及び陣営の厳しい反省が必要だと思います。
しかし今日も相手が格下とはいえ、互いに打てば当たる距離に踏み込みっぱなしのまま、かなりの確率で
相手のパンチをヘッドスリップで外し、速く鋭い左のダブルを決めては攻勢を取りました。
また、離れた位置から時折見せた左も速く、的確でした。

若く、体力があり、スピードに恵まれ、離れて巧く、接近戦でも勘が良い。
宮崎亮は、自分のボクシングの特性を理解し、それを生かして闘えるなら、という条件つきですが、
将来、世界王者を攻略しうる素質があるボクサーだと見ました。

彼の世界挑戦がいつ頃になるのかはわかりませんが、もし早期の挑戦があるとして、
そこで戴冠できるかどうかの確信はありませんが、その試合を良い経験として生かす、ということも
ひとつの考え方としてはあるのかもしれません。個人的には納得はしませんが。


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予断ですが今日の試合、マバオは開始早々からリングシューズの底が滑るらしく、松ヤニをつけなおし、
3Rからは滑り止めにしようとしてか、テープを巻いて闘いましたが、それでも踏ん張りがきかない状態でした。
バラエティー番組でローション撒いてその上で相撲を取るやつがありますが、あんな感じでした。
こういうのは珍しいなと気になって仕方なかったのですが、いったいあれは何だったのでしょうか...。



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ヘナロ・エルナンデス死去

2011-06-09 19:54:15 | 海外ボクシング
ヘナロ・エルナンデスが亡くなったとのことです。


彼が初めて後楽園ホールに登場した頃、帝拳ジムと協栄ジムは、
今思えば競うように海外の強豪ボクサーを招聘していました。
勇利アルバチャコフを頂点に、ナザロフ、ヤノフスキー、
そして東京三太ことミゲル・アンヘル・ゴンサレスなどの協栄勢に対し、
帝拳ジムも大勢の外国人ボクサーを日本のリングに上げています。
最近ならニカラグアの怪物ローマン・ゴンサレスが記憶に新しいですが、
この頃の選手としては、まさに代表格だったのがヘナロ・エルナンデスでした。

「世界ランカー」と一口に言ってもそれこそピンからキリまであるわけですが、
その試合ぶりは、文字通りの次期世界王者候補そのもので、これは間違いなく世界モノ、
世界を獲ったら、もう日本や東洋の選手と関わることなど無いレベルだ、と思った記憶があります。

その後は、日本における二度の防衛戦を含め、数々の高レベルな試合を見せてくれました。
長いリーチと懐の深さに頼り切ることのない、多彩な左とパンチの長短の切り替えの巧みさ、
そして世界王者という言葉に相応しい品位を感じさせる、貴重なチャンピオンでした。


数年前からガンとの闘病を続けていたのは知っていましたが、
WOWOWのビッグマッチやなんかにもレポーターとして顔を見せていたので
てっきり山を越えて、もう大丈夫なんだと思っていましたが...。

45歳の若すぎる死です。残念です。
ご冥福をお祈りします。


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大場浩平移籍

2011-06-08 11:12:56 | 大場浩平
元日本バンタム級チャンピオンの大場浩平が真正ジムに移籍とのことです。

以前から、名古屋の所属ジムや、中部地域のTV局との窓口となっているジムとの関係に
いろいろ難しい問題があると聞いていて、そこへ病気療養で活動休止ということも重なり、
近年稀なる逸材である大場の先行きを心配していましたが、思わぬ形での再出発ですね。

長谷川穂積の去就が不明な今、真正ジムにとっても貴重なメインイベンターの獲得となりましたが、
マルコム・ツニャカオに喫した一敗一分のために、さらに大きな試合へと進めなかった大場に、
新たな次元のチャンスが与えられてほしいものです。

知り合いもたくさんいる中部のファンの方のことを思うと、残念なニュースだと思う反面、
個人的な勝手を言えば、彼の試合が関西で見られるのはとてもありがたいことです(^^)
また、山中慎介や岩佐亮佑、或いは安田幹男や、ひょっとすると名城信男との対戦、なんていうのも
是非期待したいところです。

そういえば中部からは松田ジムの川瀬昭二が、再度日本ライト級王座に挑むそうですね。
来月2日とか。
おそらくG+で放送はされるでしょうが、生中継は望み薄、でしょうか...むむむ。


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大場のジムメイトとなったマルコム・ツニャカオは、昨日OPBF王座を返上したそうです。
世界戦のメドでも付いたのなら良い話ではありますが...。

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望外の好カード&長谷川被災地へ

2011-06-05 19:36:09 | 関東ボクシング
前の記事で、スーパーフライ級の国内好カード実現希望を書いたら、
まさかまさかの好カードが決まったようです。
現役のOPBF王者、赤穂亮と、中広、河野を連破した日本王者佐藤洋太が激突。
8月4日、後楽園ホールはおそらく、満員のファンで埋まることでしょう。

これは昨今、良い話が少ないボクシング界において、望外の喜びをもたらしたニュースですね。
最近の試合ぶりを見るに、やや佐藤有利の予想が多いでしょうか。
しかし以前、赤穂が中広大悟と引き分けた試合の映像を見たことがあるのですが、
あの試合を見る限り、赤穂もまた、かなりの逸材だと思います。

確かに強豪ひしめくクラスですから、好カードと言える組み合わせも多いですが、
今一番上り調子の両者が今ぶつかるとは思っていませんでした。

これで7月30日の名城の対戦相手が、もし世界ランカーと呼ぶにふさわしい強豪に
決まったりしたら、一気にこのクラスが盛り上がって来る感じです。
あるいは国内のライバルと目される選手との対戦などがあるのかも知れません。
もし良いカードだったら、これは見に行きたいですねー。


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昨日放送あった「せやねん」で、長谷川穂積の被災地訪問の様子が紹介されていました。
動画はこちらです。

過酷な状況の中でも頑張っている人々の姿に、いろいろ感じることのあるVTRでしたが、
長谷川の進退という問題にも、多少の影響があるのかも知れませんね。
何も慌てて決めることでもない、とは他人の思うことで、いろいろ事情もあるのでしょうが...。


コメント (3)
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