年末とか年始になると、一年で区切って、色んな部門で誰を表彰するかどうか、という話題が出てきます。
正直、目の前の試合、次にある試合を追いかける繰り返しの中、シーズン制でもないボクシングを、一定の期間で区切って見るのが苦手というか、慣れない部分もあるんですが...その年の「目印」としての意味は、やはりあるんでしょうね。
で、
MVPは4人の候補に絞られたとありますが...昨年一年という区切りの中における業績で比較するなら、中谷潤人をMVPに推したい、と思います。
確かに試合数で言えば、井上尚弥と井岡一翔は世界戦2勝。中谷は1勝のみです。
しかし対戦相手の質はというと、井上と井岡は世界のタイトルホルダーとは闘っていません。
アラン・ディパエンや福永亮次はコンテンダーの中で上位とは言えず、上位ではあったといってもマイケル・ダスマリナスやフランシスコ・ロドリゲスの米大陸のマーケットにおける評価、その内実は、となると、はっきり「落ちる」選手でもありました。
そこ行くと、中谷と闘ったアンヘル・ティト・アコスタは元タイトルホルダーで、その強打で一定の評価と人気を得ていたトップコンテンダーでもあります。
その実力、さらに言えば「恐さ」も、田中恒成戦で実証済み。
それを、トップランク興行のカードに出て、米国アリゾナのリングで「一蹴」した。
試合数がひとつだけというのは、マイナス面ではありますが、それでも純粋に、快挙だったと言えるでしょう。
とはいえ、実際の投票がどうなるかというと、どのみち、井上と井岡で割れるんでしょうね。
本当に、誰が誰に投票してるのか公表してくれ、と思ったりもしますが...いや、そんなことをしたところで、形は変われど、本質は同じかもしれません。
ここのところ、井上尚弥のことばかり書いていますが、田中恒成と寺地拳四朗が雌伏の今、中谷潤人には、井上尚弥に次ぐナンバー2としての地位、評価をさらに高めて欲しい、とも切に願っています。
ゴロフキン、村田戦のアンダーで、9位くらいの選手と闘う予定が出ていましたが、まだ若いとはいえ、こんなご時世、時間はあっという間に過ぎ去ってしまうものですし、寄り道カードはいいから、可能な限り、もっと大きな試合を矢継ぎ早に組んでいってほしい...いや、そうすべきだ、と強く思います。
欧米のマーケットで活動するフリオ・セサール・マルチネスやサニー・エドワーズを追うばかりでなく、そこから外れたところにいるが、その実力は脅威と見るべきアルテム・ダラキアンとの試合を、件の大興行のセミに持ってくるとか...そういう、ダイナミックな発想で試合を組んでいってほしい。
もちろん、大きな試合ほど厳しいもので、当然試練でもありますが、中谷潤人ならばこそ、そういう闘いの中でさらに光り輝くはず、と信じます。