さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

勝者も敗者も驚異的

2011-02-21 22:30:28 | 海外ボクシング
黄金のバンタム118ポンドクラス、その伝統の1ページに刻まれる、
軽量級屈指のスーパーファイトは、しばし言葉も出てこないほどの強烈な結末でした。

フェルナンド・モンティエルが、下打つフェイントを小さく入れて上に打つ右を当てたと
思った直後に、肘の角度をカチッと決めたノニト・ドネアの左フック一発。
どう見ても終わった、と思ったら、カッと目を見開いたモンティエルが身体をよじらせつつ立ち、
信じられないことに続行が許可され、しかしドネアの追撃二発で試合終了。
この間、僅か十数秒の出来事でしたが、見ていてしばらく頭がぐらぐらするほどの興奮でした。

初回、そして二回早々まで、ドネアのスピードが先手を取る展開でしたが、
徐々にモンティエルがドネアのリズムについていけてるのかな、と見えた矢先の、強烈な終幕。
しかし、先のウラディミール・シドレンコ戦でも見せた、相手の右を食ったかと思ったら、
実は芯を外しつつ、ナックルがガードの位置に帰るまでの打ち終わりを左フックで叩く、
あの後出しジャンケンみたいなパンチは、本当に驚きを通り越して呆れてしまうほどです。
こんなんアリですか、と思いますね。先頃実写映画化されたボクシング漫画の上を行ってます。

それにしても、勝ったドネアの天才はもちろん驚異でしたけど、
負けたモンティエルの、敗れてもなお戦慄的だった戦士の本能もまた。
普通、あのパンチ食って、立てますかね。信じられませんでした。
真の世界の頂点を争う闘いというのは、全てにおいてかくも驚異的なものかと、改めて思い知らされました。
ありきたりですが、本当に良いもの、凄いものを見せてもらいました。
偉大なる軍鶏(バンタム)ふたりに感謝と拍手です。


最後に、見落とした方がおられるかもしれませんので、動画紹介しておきます。




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一週間後の「せやねん」生出演

2011-02-19 15:36:34 | 井岡一翔
ということで、新王者井岡一翔が「親戚のおっちゃん」と共に、せやねん生出演した様子の
動画を紹介しておきます(その1その2)。

関西ローカルに限った話なのかもしれませんが、この一週間、何度か井岡一翔をTVで見ました。
この毎日放送「せやねん」(TBS系)、関西TV「ニュースアンカー」(フジ系)、朝日放送「おはよう朝日です」(テレ朝系)等々。
他にもあったのかも知れませんが、自分で見たのはこれだけです。

やはり「イオカ」の名が関西においては知られていること、最短記録などの話題性に加えて、
その実力と共に、人となりというか、好ましいキャラクターが評価されていってほしいと思いますが、
そのための過程が、これらのメディア露出なのでしょう。

以前、世代的に近いということか何か知りませんが、石川僚と比べてボクシング界は「アレ」が若手代表扱いされていました。
当ブログのコメント欄にも「交換してくれんかな」という、可笑しくも悲しいご意見をいただき、何とも言えん気持ちになったものですが...。

ボクサー井岡一翔の今後について楽観はしませんが、少なくとも、世間に対して、どこに出しても恥ずかしくない
若きヒーローとして、その地位を確立してくれたら、こんなに良いことはありませんね。

そう考えると悩ましいのが、一部で「関西お笑い界のカルトヒーロー」と呼ばれている、偉大なる叔父さんの存在です。
この番組でも、冒頭、ちょっと接触悪かったようです(^^;)
でも、ホントに、黙って座ってるだけでなんか面白いんですよねえ...私は大好きなんですが、
一翔とセットで出すのが良いのか、悪いのか...私にはどうも答えが出せません。なんともかとも。

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年老いた小学校の教師のようですが

2011-02-17 11:22:51 | 関西ボクシング
先日の井岡一翔世界戦のセミファイナルで行われた宮崎亮の試合、
動画を発見しましたので紹介します。

試合そのものは順当に勝った、というところなんですが終わった後のインタビューが...。
健気というか、真っ直ぐというか...

ボクサーの人間性を語るとき、「エエ子や、もうホンマにエエ子や」とすぐに言う知人がいまして、
それを指していつも「年老いた小学校の教師モード突入ですな」と冷やかしてばかりいるのですが、
なんかその気持ちが私にもわかるような気がしました。

宮崎亮、応援したくなるボクサーですね。
いや、ホンマにエエ子ですわ、ええ(^^;)

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翌日も「せやねん」

2011-02-12 16:12:49 | 井岡一翔
試合翌日「せやねん」動画紹介しておきます。

トミーズ雅さんの観戦、そして解説も興味深いですね。
来週の会長を伴っての出演はあるのでしょうか(^^)

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必然の勝利のあとに

2011-02-11 22:45:14 | 井岡一翔
ワールド記念ホールから帰って参りました。

まさかまさかの内容と結果でした。
おとつい、暗いプレビューを書いてしまいましたが、今後についてはさておくとしても、
この試合に関してはもう、完全にごめんなさいです。
勝ったという結果だけではこうは書きません。
勝ちに至るまでの過程、内容がほぼ完璧だったことに、ただひたすら驚愕しております。
おとつい書いた「奇跡か無謀か」ではありませんでした。必然の勝利を見ました。


ご覧の通り、立ち上がりから井岡がガードで相手を威圧し続け、
王者オーレイドンがそれに圧された上での対応を繰り返す、という展開でした。
仮にも世界王者が、7戦目のボクサーにあれほどじっくり「見られ」てしまう試合を、
私は今まで見たことがありません。

時折伸びたオーレイドンの左も、井岡の前進に合わせた右フックも、全てはやむなく打たされたもので、
この試合が5Rに終わるまでのほぼ全ての時間を、オーレイドンは井岡に対する「対応」に費やしました。
それは角度で言えばほぼ正面に位置する井岡が、手を出せば当たる距離のほんの僅か外から
じりじりとかけてくる圧力であり、打ち終わりに迷い無く狙う右ボディであり、左フックであり、
そしてそれらを常に的確に、厳しいタイミングで仕掛けてくる井岡の「目利き」が、
世界戦の数だけで井岡のキャリアを上回る王者オーレイドンを、最初から最後まで後手に回らせていたのです。

帰宅して見たTV放送では、解説のひとりが愚かしくも「勢いで行って欲しいですね」と
寝言を言うて抜かしてけつかっておられましたが、あの試合展開をどう見たら
そんな寝惚けたことが言えるのか、一度尋ねてみたいです。
若さとか勢いとか、そんな根拠薄弱な言葉を蹴散らすほどの圧倒的な力でもって、
井岡一翔は最初から最後まで、ほとんど完璧に試合を支配していました。

5Rのフィニッシュは、オーレイドンがそれまでの展開を変えようと、自ら前に出て、
少し攻勢を取れたかと思った直後に訪れましたが、あの死角から悪いタイミングで食ってしまった
左のボディブローは、言ってみればいずれ来る必然の破局であった、と思います。



かくしてニューヒーロー誕生となりました。
今を去ること24年前ですか、叔父の井岡弘樹が初代王者として手にして、翌年失った
WBC105ポンドクラスのベルトを、叔父を上回る7戦目で獲得。
この劇的な側面も相まって、おそらく井岡一翔はしばしの間、マスコミの寵児となるやもしれません。

しかし何よりも、今日の試合で見た揺るぎなさ、デビュー7戦で迎えたあの大舞台において
予想以上に盛況だった場内を埋めた大観衆の前で、あのように闘えることの脅威こそ、まず語られるべきことでしょう。
かつて井岡弘樹が新設されたストロー級王者となったとき、その階級新設の是非や、
決定戦の相手の力量について、さまざまな批判がされましたが、私は当時、それらを全て含めても、
今とは社会的注目の度合いが違った時代に、仮にも世界戦と称する試合で闘い、勝ったこと自体が
まずは普通とは違うことだと見るべきではないのか、と感じていたものです。
実際、井岡弘樹は劇的な初防衛戦勝利と、柳明佑を攻略しての二階級制覇により、
後にその実力を認められるチャンピオンとなりました。
時を経て、それと同じような舞台を与えられた甥は、叔父を上回るような、結果に相応しい内容を
我々の前に見せた上で、見事な勝利を収めました。素直に脱帽し、心から拍手を送りたいと思います。


そしてなお、しつこく繰り言を書くことをお許しください。

井岡一翔は期待の逸材から、世界王者となりました。
ですが、過去にもこのように、キャリア初期に華々しい勝利を挙げてのち、苦闘を繰り返した王者を
私たちは幾人か知っているはずです。
その苦闘が現在進行形で続いているボクサーの試合を、つい先日見たばかりでもあります。

私は今日の試合に臨む井岡一翔を「八重樫東以上、名城信男以下」と見ていました。
名城信男の8戦目挑戦に至る過程を、ほぼ全て直に見てきた私は、最短記録挑戦への否定的見解を持ちつつ、
その圧倒的な内容と結果の前に「これならしゃあないな」という納得感も同時に抱いていたものです。
反して、八重樫東の挑戦前には、どうもそのような納得感が乏しく、心中において否定的見解が勝っていました。
そして井岡一翔は、八重樫より試合内容は上だが、名城の納得感にはほど遠い、という見方だったのです。

今日の試合内容は、繰り返しますが、私のそのような見方を木っ端微塵に打ち砕く、見事なものでした。
それを認めた上で、やはりこのようなキャリア構築が、彼の今後に与える歪な影響について、
周囲の人々には、大いに注意を払い、今後の試合を闘ってもらいたい、と切に願います。


試合後のインタビューにおいて、過剰なほど周囲への感謝を繰り返していた井岡一翔は
くどいほど繰り返される、ほぼ同じ意味合いの質問を経て、最後に心中にあった思いを吐き出すかのように
いささか唐突なことを言いました。

「次は、四階級制覇、とる(する)んで、応援お願いします!」

この言葉の意味するところが何なのか。我々ボクシングファンの心中には、揺るぎなき答えがあるはずです。
少なくとも私は、あえて今、この数字を持ち出した彼、井岡一翔に、強く共感しました。
そのような思いで闘い続ける井岡一翔を、今後がどうあろうと、応援したいです。

だからこそ、だからこそ...。
願わずにはいられません。願うことしか出来ない、ファンのひとりとして。


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奇跡を見たいわけではなく

2011-02-09 13:16:11 | 井岡一翔
井岡一翔の世界戦プレビュー、毎度おなじみ「せやねん」です。
動画を紹介しておきます。


さて、あと二日ですね。
この試合については、正直、複雑な思いでいます。
今から勝利の可能性、或いは結果を先取りしたうえで、それすらを否定するようなことを書いても仕方がないわけですが...
今のところ、以前、イーグル京和対八重樫東戦のときに思ったことを、また思っています。

そりゃ、挑戦する世界チャンピオンの状態次第で、勝つことだってあるでしょうけども。
辰吉や名城でさえ後が続かないものを...と言いたくもなりますね。


気を取り直して、試合自体についてですが。
まず、王者オーレイドンが、言葉は悪いですが「逃げ」をいとわない選手であることがどう出るか、ですね。
井岡のパンチはショートでは切れますが、伸びという点ではこれまでのところ、もうひとつかなという印象です。
先手取られたらなかなか苦しいでしょう。

しかし、先手取って、追撃もして、終盤詰めて(或いは逃げ切って)めでたく勝つ、なんて
そう何もかもうまくいくとはちょっと思えません。
ベストではない体重で、数少ないプロでの試合経験を経ての挑戦です。
おそらく、試合が終わったあと、勝利か敗北か、ではなく、奇跡か無謀か、を見せられる試合になるでしょう。
そして、私は、ボクシングファンのひとりとして、応援するボクサーに対し「勝利」を願い、求めはしますが、
「奇跡」を求めるのは間違いだと思っています。


なんか、暗い記事になってしまいました。
もし、私の悲観を全て覆すような、奇跡という言葉には似つかわしくない「然るべき勝利」を
井岡一翔が見せてくれるようなことがあれば、私は素直にごめんなさいします。

そして、そうなってくれたらええのになぁ、と内心思っているのも事実です(^^;)が、
はてさてどうなりますやら...。




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二階席から見た印象

2011-02-05 23:25:02 | 名城信男
判定を聞いたとき、これ、そんな競ってる試合なのかな、と少々驚きました。
府立の二階席から見た感想なので、TVやリングサイドの印象とは違うかもしれませんが、
私には名城の大差判定負けに見えた試合でした。

王者トマス・ロハスがリーチとスピード、そしてサウスポー・スタンスで作り出す
ロングレンジの展開を、名城信男がいかにして切り崩すか。
この試合はつまり、距離の克服なるかどうかが勝敗を分けるであろうと、
それは誰の目にも明らかでした。

そして、名城信男は単発のヒットがあったものの、ロハスは身体を逃がしながら、
或いはそれこそ投げだしながらの反撃で名城の追撃をかわし、というよりやりすごし、
それ以外のほとんどの時間を、長いパンチで突き放していたように見えました。

名城のボクシングは、どうも最近、以前の良さが失せている、とは
何度も思い、書いてきたのですが、今日の試合ぶりを見ると、その思いが決定的になりました。
相手が長身で、左で、かなり特殊な選手であることは割引くとしても、
やはりあれだけ左リードが出ない、決まらないボクシングでは、
なかなか世界戦に勝てるものではないでしょう。

無冠時代の名城は、相手を探り、止め、削るような、硬くて重い左ジャブが、
それに続く執拗な攻撃の呼び水になっている選手でした。
その片鱗がもう少しでも出ていれば、私の印象とは違っていましたが、
競ったラウンドをあといくつか拾えていたのかもしれない、
そう思うとやはり残念無念です。

あと、河野公平戦のダウンを反省して、ロハスが特段慎重だった、とも感じませんでした。
実際、3Rなどは自ら出て距離を縮めたまま闘うという愚を犯し、名城の好打を許してもいます。
その後、セコンドが叱ったか諭したか、慎重な闘いに変わりましたが、
一試合に一度は何故かチョンボをやりかけるところは、やはり相変わらずやなという印象でした。


この試合における、名城に対する評価がどういうものなのか、正直、公式採点を聞いてから
どうも確信が持てずにいますけど、私の印象で言えば、厳しいようですが、
名城は一旦、世界戦線からは離脱するべきだと思います。
日本、東洋の国内有力選手、ないしは海外の強豪といえるボクサーとの対戦において、
もう一度、世界に挑みうるボクサーとしての評価を確立しなおすべきだと感じました。
或いは良いコンディションが作れないなら、バンタム級転向も視野に入れるべきでしょう。

ご存じの通り、ベタベタの名城ファンである私でさえ、今日の負けは、
結果以前に内容が伴っていない、極めて厳しいものだった、と感じています。
録画した映像を見直してはみますが、そんなに印象が違うとも思えませんし...(--;)



セミファイナルのツニャカオvs中広戦は、やはりバンタム級におけるパワーの差が出ました。
代理出場の中広大悟は、準備も充分とはとても言えない上に、元々苦手なサウスポーの強豪相手。
それでもツニャカオの右回りに合わせる左フックなどは目を引くものがあって、
さすが中広、やっぱり逸材やなあとは思ったのですが、試合は総じてツニャカオの左ストレートが支配、
時折混ぜるダイナミックなアッパーなども要所で決まり、ポイント上はワンサイドの展開でした。
6回、バッティングで中広が切り、二度のドクターチェックのあと、ツニャカオが攻め、
中広が左フックを返したときにレフェリーストップ。間の悪い終わり方でした。
中広の出血を考慮して、ということなのか、或いは代打出場ということで、何か問題でもあったのか。
いずれにせよ、遠目には奇異なほど早いストップに映りました。
中広も失点を重ねていたとはいえ、それほどダメージがあったとも見えませんでしたが。




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何とか見られました

2011-02-01 00:01:39 | 関東ボクシング
今日はTV観戦を諦めていたのですが、TV大阪を視聴できるネットカフェに潜り込んで、
放送を見ることが出来ました。TV大阪が映らないお店もあったのですが、さいわいにも二軒目で、
視聴出来るお店に当たりました。うまく見られて良かったです。


今日のダブル世界戦、内山の試合はもちろんですが、そこまでしても見たいと思った理由のひとつは、
なんといっても下田昭文の世界初挑戦があったから、ということも大きかったです。

左のカウンターに抜群の切れ味を持ち、勘も良く、身のこなしも良く、センス抜群でありながら、
どうもあちこちにボクシングの基本というか、それ以前の常識が身についていないようなところがあり、
加えて精神面での脆弱さ、不安定さをさらけ出しつつ闘うこのサウスポーは、
良くも悪くもファンの耳目を引きつける存在であり、私もご多分に漏れなかったということです。

どうも話を聞くと、もうひとつ練習熱心とはいえなかった時期があり、
そのせいで体力面で自信を持てず、その心理面が時に冷静さを欠いた試合ぶりに出ていた、と
概ねそういう感じだったそうです。しかしダウンを食っての負傷ドローとなったホセ・アルボレダ戦の後、
敵地名古屋での大橋弘政戦などに象徴されますが、そのあたりは目に見えて改善されていて、
もう昔の不安定な、子供っぽかった下田は既に過去のものになっていました。

願わくば、挑む相手が海外の強豪だったら、下田一人に集中して見られるのにな、というところでした。
挑む相手は李冽理、あのプーンサワット攻略で一躍ニューヒーローとなった王者です。
ええカードやけど、どっちにも負けてほしくないなぁ、と矛盾することを思いながら、試合を見ておりました。


試合が始まってまず「下田自信満々、李は重い」と、ぱっと見て思いました。
やや気負いすぎかと思うほど気合いの入った下田がぐいぐい出て、李はというと押されて下がるばかり。
プーンサワット戦で見せた軽やかさと鋭さが最初から感じられませんでした。

試合は3Rにダウン応酬、5、8Rに下田が倒し、それ以外にも下田がほぼ圧倒して終わりました。
下田は相変わらず、攻撃はワン、ツーでリズムが切れ、好機にコンビネーションがまったく出ませんでしたが、
こと心身のタフネスは以前と段違いで、終始攻勢を譲りませんでした。

李は単発のカウンターに目を見張るものがありましたが、全体として後手で、大差で敗れました。
あれだけボディを打たれて、よく耐えたものだと思いますが、プーンサワット戦で見せたステップと
確実にポイントを拾った速い連打がほとんど見られず、ちょっと残念でした。


下田は試合後のインタビューでもなかなか立派な態度で、感心しました。
以前、山中との再戦だったですかね、応援団がインターバル中に
「落ち着け、落ち着け、し、も、だ!」とコールしているのを聞いて大笑いしたことがありましたが、
今の下田にはそんなコールも、もはや不要でしょう。

今は大半の攻撃が単調かつ細切れのものしか無い下田ですが、好機を逃さぬ攻撃の緩急が今後の課題でしょう。
下田は王座を手にしてなお、まだまだ改善点、伸びしろがあるという意味で、見方によっては本当に恐るべき選手です。
精神面ではもう不安はないと思いますので、技術面でさらに成長を期待したいですね。


さて、内山高志と三浦隆司の強打対決は、思った以上に激しい試合になりました。

以前、代打挑戦者となった三浦について、軽い代役などではないと書きましたが、
立ち上がりは「こんなに差があるのか」と思う展開でした。
サウスポーを苦にしない内山の的確で強い左の前に、三浦はほぼ何も出来ない状態。
だから3R、三浦の一撃で内山が倒れたときは本当にびっくりしました。

内山は試合後「一瞬目を外したら打たれていた」と語っていましたが、そんなはずはないでしょう。
やはり打たれた衝撃がすごかったのでしょうね。
三浦が全てを賭けて打った左の迫力が、試合の様相を一変させました。

5Rにも三浦の好打があり、かなり内山も失速したかに見えましたが、
6R以降は持ち直した内山が攻勢、三浦の右目が腫れ上がり、8R終了後、三浦陣営が棄権。
この判断も理性的なものだったと思います。遅いくらいだ、という意見もありましょうが、
今までの日本のボクシングの常識からすれば「進歩的」な決断であったことは確かですね。

李と下田の激戦に触発されたかのように、こちらも両者譲らぬ激闘でした。
130ポンド級、世界と日本の王者対決がこれほど見応えのあるものになったことは、
ボクシングファンとしてとても嬉しいことですね。

次の試合は海外になるかも、と報じられていた内山、現実には難しいこともありましょうが、
東洋最強の看板をひっさげて、今回はかなわなかった米大陸の強豪との対決に進んでほしいです。
対する三浦は、総合力では及ばなかったものの、日本王者の誇りを見せてくれたように思います。


ということで、なんとか見られたダブル世界戦、どちらも熱戦で、見て良かった、と思える試合でした。
どちらも日本人同士の対決となって、普通なら物足りなかったり、何か不満を言いたくなるようなものですが、
今日の試合に出た4選手とも、世界戦と名の付く試合に見劣りしない健闘を見せてくれたと思います(^^)


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日本時間で昨日、南アフリカで高山勝成がIBF王座に挑んだ一戦は、3Rノーコンテストとなったそうです。
映像が見られないので何とも言えませんが、これもまた、思わぬ形での試練ですね。
挑戦者決定戦を敵地で闘い、勝利して手にした指名挑戦権ですので、再戦の保証があって然るべきかとは
思うのですが、なかなかそう綺麗な話になるのかどうか...なんとか再戦が実現してもらいたいものです。


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