さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

ボディで返り討ち/次は似た者対決?/決壊の予兆/ベルト5本/7月6日デビュー

2019-06-25 22:08:37 | 海外ボクシング



ということで先の週末、海外では気になる試合がけっこうありました。
ライブ配信あったのを見たのは当然のこと、短いながらハイライトもあったりとか。
良い時代になったものですね。後日WOWOWなどでやってくれそうで、またじっくり見るとしますが。
その辺の感想と、ちょこっと話題を。


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前回もWOWOWではなくDAZNでライブ配信された、WBAスーパーフェザー級タイトルマッチ。
強豪王者への道まっしぐらかと思われた、大柄なサウスポーの強打、アルベルト・マチャドが、普段はガスの配管工として働いているというメキシカン、アンドリュー・カンシオに逆転KO負けでした。
動画はこちら。フルです


逆転とはいえ、クリーンに決着したものを、何故直接再戦することがあるか、とは思いますが、まあその方が新王者にとっても実入りが良いという面もあるのでしょうか。
とにかく直接再戦となりましたが、結果は3回、カンシオが左ボディブローでマチャドをKO。今回は逆転でもなし。
しかし、カンシオは2回に出血(マチャドの右フックでしょうか?)して、顔を朱に染めての猛攻でした。
動画はこちら。短いハイライト。



マチャド、序盤からボディで膝ついて立てない、という負け方は、ちょっと体調に問題ありか、とも見えました。
しかしカンシオが、対マチャドに関しては完全に決着つけたわけで、記事にもあるとおり、またフルタイムの仕事に戻るという、労働者の星カンシオが、他の相手にも勝ち続け、スター街道を走るのかどうか、注目です。


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この試合のセミでは、田中恒成との激闘で知られるティト・アコスタが二敗目を喫し、王座から転落
3回、左フック、右アッパーで倒れ、ダメージありありでスリップも。
その後は強打を繰り出して巻き返すも、最終回攻めたところに左フックを食い、追撃の連打でストップ。
ちょっと早いストップには見えましたが、それまでの展開でもけっこう打たれていたのは確かでした。





挑戦者、そして新王者のエルウィン・ソトという選手は、不勉強なもので全然知らなかったですが、小柄で筋肉質、左フックの強打など、あれ、こんな選手、最近ちょくちょく見てるなあ、誰やったかな...と思い出したのが、久田哲也でした。

で、これまた何も知らんかったのですが、海外報道などでは、ソトの初防衛戦は、1位との指名試合になる、とのことで、その1位というのが、他ならぬ久田哲也なのだそうです。
なんとまあ...と、一人勝手に思ったような次第。
これ、日本に持ってこれるものか、お出かけになるかは不明ですが...予想の有利不利より先に、なんか、似た者対決やなぁ、面白そう、と思ったりもします。


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WBCのスーパーバンタム級、次期指名挑戦者を決めるフリオ・セハとの一戦に、あのギジェルモ・リゴンドーが8回、KO勝ち。
結果だけ知れば、まあそうなろう、としか言いようがないものでしたが、その後見た短いハイライト(正味1分半くらい)は、あれ、これは...と。
思わず、ぎくり、となるような、というか。
名選手が晩年を迎え、手痛い敗北を喫し、それでも再起をしたはいいが、特に防御面における感覚というか、勘というか、そういうものを失う、というパターンそのものに見えました。





後日、WOWOWでフル放送されるのでは、と思っていますが、フルに見れば違う印象もあるのかもしれません。
しかし、他ならぬ、あのリゴンドーが、こんな...という驚愕が、何よりも先に来ています。
本人は「敢えて打ち合った」的な発言をしているのだそうですが、あの御仁のどこ押しゃ、そんな言葉が出てくるのやろう、というのもまた、驚きですね。


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ベルト5本、お披露目
まあ壮観、と言うべきでしょう。

気になる次戦の日時ですが、米国、日本(大阪)、中東が候補、とあります。
首都圏の会場スケジュール確保が困難なら、日本ではやっぱり大阪になるんでしょうか。
井上のキャリアを思えば、二度目の米国、それこそベガスで開催となるのが一番でしょうが、単なる実入りや、個人的に直に見たいという気持ちで言えば、大阪だったら有り難いなぁ、とも。悩ましいところです。
何にせよ、変に長い間を空けるのだけは勘弁ですね。


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高山勝成、五輪を目指す試合日程が、やっと決まりました
7月6日からの、全日本と国体の愛知県予選に出場するとのことです。

これからは、一試合でも落とせば、東京五輪のフライ級日本代表が遠のくことでしょう。
彼の立場を考えれば、勝って勝って勝ち続ける、それ以外に道はありません。
そしてフライ級、3ラウンドの試合。プロで負った古傷。プロとは違う体重調整、グローブ、そして試合運び。
高山勝成にとって、全てが大きな困難であることでしょう。

しかし、この挑戦の果てに、どのような結果が待っていても、その挑戦自体に千金の価値があることに変わりはありません。
10代の頃から追い求めてきた、攻防一体で果敢なボクシングをもって、五輪の頂に、麓の第一歩から臨む高山を、影ながら応援したい気持ちです。


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そういうことで、一曲。
フジファブリック「若者のすべて」。





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またも技巧の冴え、存分に 井岡一翔、2年ぶりの国内リングで4度目の戴冠

2019-06-20 00:06:48 | 井岡一翔




前所属ジム離脱後、3試合めの井岡一翔、2年ぶりの国内リングで、見事な勝利でした。

大柄な強打のアストン・パリクテ相手に、距離も違えばパワーも違うのがまざまざと見えた立ち上がりで、ジャブは食らうわ、右打ち下ろしは来るわ、アッパーのお出迎えもあるわで、まともに行ったらこら大変、という感じ。
実際、1、2回は失点していたと見ました。

しかし、普通なら距離詰めたいな、打ちたいな、となるところ、一見懐取りたそうに見せといて、実は逆に相手を釣って、誘っているのでは、と見え始めたのは3回くらいから。
ジャブを敢えて「置いた」り、前に出る振りをして、パリクテの右クロス被せを外したり。
本当に外したいときはサイドに回り、「来て」欲しいときは、わざと真っ直ぐ下がったり、という使い分けが、この辺りから見えた気がしました。

さらに、4回になると、パリクテの右被せのきっかけになっていた左ジャブを控え、フェイント入れてから打つように。
さっと入って左ボディを決め、ジャブ打ちながら脱出、という鮮やかな技も。
この回、左フックの返しを好打。
5回は探り合いに戻るが、6回になるとパリクテの空振りが明らかに増える。

思うに任せ、好きに、気持ちよく打てていた序盤が嘘のように、思うに任せぬ流れになりつつあったパリクテ、自発的な判断か、セコンドの指示か不明なれど、7回に左アッパーから右ストレートのコンビを連発、攻めて出る。
ひと山作ろうという狙いだったか。
これに井岡がどう対するか、ちょっとでも迷いがあったらまずいことになっていたかもですが、井岡は離れず、外し、防ぐ自信があったと見え、踏み留まって打ち合う。右クロス、左ボディが決まって、やや優勢かというところ。
レフェリーが何事か注意のため割って入ったあと、距離が空いても、ワンツー決めて優勢を維持。

8回、井岡の右ショートがパリクテのアゴの先に入る。これ以降、パリクテ、口が開き加減。これ、ダメージけっこうあったように見えました。
9回、左ダブルが続けて決まる。苦しそうな様子のパリクテに、井岡が10回、ロープ際から右カウンター。
ぐらついたパリクテに右フック、左ボディ、相打ちの右カウンターもう一度。左フック、連打でストップでした。


改めて、大柄な強打の相手に、正面からの力比べになっていたら、とても敵わないところだったでしょうが、そこを埋めるのが、熟練というか、もはや老練とさえ言うべきか、井岡一翔の技巧と、それを支える冷静な試合運びでした。
最初はジャブの差し合いで勝てず、追撃も鋭く、迫力満点だったパリクテが、徐々に、好きなように打てなくなり、逆に軽くではあっても(或いは、そう見えても)打たれる頻度が増していく。
思うに任せぬ展開を、打開せんとして7回に出たが、それに失敗したあと、あまりに露骨に消耗した点は、世界の上位としては不足も感じましたが、逆に言えば、その脆さをここまで出さずに勝ち続けてきたのは、持ち前の攻撃力が、それだけ突出していたことの証でもあります。
実際、ドニー・ニエテス相手に、井岡一翔とはまったく違った趣の試合展開で、フルラウンド渡り合っているのですから。

しかし、そういう相手に、井岡一翔は改めて、正しく尊称としての「技巧派」という表現に相応しい、見事な闘いぶりで勝ちました。
まるでMSGでデビー・ムーアに勝ったときのデュランのような...とは、さすがに大仰かもですが、そんなイメージが浮かぶような、鮮やかな「技」の勝利、でした。


正直言って、日本初の4階級制覇、というお題目には、あまり関心がありません。
過去のいくつかの「階級制覇」の実情がああだった、こうだった...と言いたい気持ちもありますし、そもそも今回の試合とて、あれこれ言おうと思えば、いくらでも言い様はあるもの、でした。

しかし、過去にさんざん重ねてきた「レベコ上限」の「寸法」に収まる対戦相手との、半ば予定調和のような雰囲気の、数々の試合を経て、本人の心情がどうだったかは知らず、そこから離れて再起するという決断の後、幻の王者MWアローヨ戦、ニエテスとの東洋スター対決を経て、ひとつ間違えば倒される可能性も大いにあった強打者と闘い、見事に勝利した。
その事実は当然として、結果以前の問題としても、井岡一翔が、どう見ても体格面で不利は否めないと見える階級で、世界の上位陣と「素」の勝負を立て続けに闘い、勝ったり負けたりしながら、自身のボクシングをさらに磨き上げつつある。
その事実に、一人のボクシングファンとして、私は大いに拍手を送り、心から称え、脱帽もします。


そして、今の井岡一翔を称賛するのに、記録がどうだという話など、良くも悪くも必要の無いことだ、とも思います。
同じTV局の系列にいる田中恒成との対戦話については、最近、言下に否定したらしいですが、実際どうなるかはさておいて、本人の言の通り、米大陸のリングで、王者クラスと闘いたいという希望を追うのだとしたら、なおさらのこと、でしょう。
もし、事態がそのように、或いはそのための段階を踏むような試合の実現へと動くのなら、やはり彼は、過去の自分自身が置かれた状況との決別を求めて行動している、と見なすべきでしょう。そして、記録云々というのもまた、彼にとっては過去の些事に過ぎないのだ、とも。


今後、そのような闘いに挑むならば、その先に、厳しい結果が待っていることも当然、ありましょう。
しかし、井岡一翔が求める闘いが、そのようなものであるならば、ボクシングファンとして、それを見たいのは当然のこと、心底から応援もし、結果以前に、その挑戦自体を称えたい...というか、当然称えることでしょう。

現実がどう動くかはともかくとして、井岡一翔は今回、その過程において、見事な勝利を手にしました。
見応えある試合展開、見どころ多い闘いぶり、そして見事な「仕留め」での終幕。改めて、お見事でした!


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ということで、今日は自宅にてTV観戦。さすがに千葉、幕張まで観戦に出かけはしませんでした(笑)
paraviでセミまでを見て、メインのみTVを見たんですが、メインはTBSとparaviで、実況解説が違いました。
TBSは内藤大助、内山高志解説。paraviは佐藤修でした。

TBSはいつもの感じ(笑)の実況解説でしたが、paraviは解説の佐藤修のみならず、実況の方も、全体的に抑えめのトーン。
TBSの実況が「当たった、当たったー」とやっているのを尻目に?なんか渋め、大人の雰囲気というか。
最後のストップシーンも、ぎゃあぎゃあ騒がず、わりと淡々としていました。

これ、paraviの方でメインも見ようかな、と途中で思ったんですが、どうしても画質で、TV放送の方が良い。
ならば画面だけTVにして、音声はparaviで、と思ったら(私の環境では、なんでしょうが)タイムラグが1分前後くらいか、ありまして、断念しました。
しかし、こういう感じのも、やろうと思えば出来るんやな、という意味で、ひとつ発見?をしたような気持ちではありましたね。



で、セミの京口紘人vsタナワット・ナコーン戦は、残念ながら前後のステップがほとんどで、サウスポー相手にサイドに出ることをしない(出来ない?)京口が効率の悪い闘い方に終始しました。

立ち上がりは、メインのパリクテ以上に優勢でしたが、タナワットがスタンス広めに取って構え直し、上体を柔軟に使って外す防御を作り直すと、遠回りの位置から強振するパンチの的中率が一気に落ちて、逆に打たれる頻度も増えていき、その流れを引き戻せませんでした。
京口が取った回は、一打の威力と攻勢で抑えたものが多く、タナワットはしっかり外し、当てた回が多かった、という印象。
ポイントは中差で3-0でしたけど、私は7対5くらいか(迷ったのも当然ありますが)と見ました。

タナワットは、実際の採点の読みがどうだったかはともかく、自分なりに捌いた感覚のまま闘い終えた、という風でした。
ムエタイ強豪王者の凄みは見えませんでしたし、それを見せようという意志の強さも伝わってきませんでしたが、それでも闘い方ひとつで、こういう試合が出来てしまう。

井岡一翔とは違い、感心したわけではないけれど、一言、やっぱり奥深いなぁ、というところ、でした。



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ということで、最後に一曲。
THE YELLOW MONKEY で “Horizon“ です。





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強打健在なれど/百年一日の国/半分に分けて見ると/若手は好カードばかりなのに

2019-06-11 20:19:56 | 話題あれこれ



ということで、しばらく更新が滞っておりましたが、こういうものは一旦サボ...じゃなくて、手を止めてしまうと、なかなか再開しにくいものでもあります。
しかし来週は井岡京口ダブル、来月は村田など、あれこれありますので、徐々に調子上げていかんと、ということで、とりあえず見た試合、話題などから。


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日曜はDAZNでゴロフキン再起戦生中継。当然、見ておりました。

スティーブ・ロールズは、悪くない選手だったなあ、という印象でした。
ゲンナジー・ゴロフキン相手に、ジャブをしっかり当て、右、逆ワンツーなども決めていましたし、攻められたときもガードをしっかり立て、3回は上から振り下ろすゴロフキンの左フックを防いでもいました。
ゴロフキンは少し打たれる序盤を経て、3回から巻き返しに出ましたが、得意のガード崩しの連打を読まれていた感もあり。この辺はロールズの研究の跡が見えました。

しかし、4回は斜め上からの左フックを決めて効かせ、追撃して最後は右足が前に出たまま左フック。
これが決まって、強烈なKO勝ちでした。

攻めの威力、迫力はまだ落ちてはいない、けれどけっこう打たせたなぁ、という印象です。
しかしこういう、圧倒的に強かった選手というのは、後から振り返って全盛期、好調時とされる頃の試合を見ると、案外打たれてたんやなぁ、と思い直したりもするものです。
そもそもゴロフキンの声明が高まる過程において、打たれた直後に打って、その一発がKOパンチになった試合があったくらいです。
問題は、打たれるにしても頻度がどうか、というところ、でしょう。

今後に関しては、カネロとの三戦目が当然、本人の望みでしょうね。すんなりとは行きそうにありませんが。
今回の闘いぶりだと、攻めて捉えきれず、受けて防ぎきれず、という展開が繰り返されるだろう...という風にしか思えません。
そして、拮抗した試合になったら最後...という。そういう予見を覆すだけのものがあったかというと、残念ながら、というところです。
もちろん、ファンとしての心情はまた別なのですが。


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もう先月の話ですが、5月31日、タイでのWBCミニマム級タイトルマッチは、ネットで観戦。
画質もまずまず、という感じで、試合の詳細をわりとしっかり見られました。

元WBO王者、福原辰弥は初戦同様、積極的に出ましたが、ワンヘン・ミナヨーティンは前回の苦戦を教訓に、しっかり右ショート、連打を当ててくる。
福原は前回、執拗なボディ攻撃でワンヘンを苦しめましたが、今回はボディを攻める頻度が下がった印象でした。

それに関連する話でもありましょうか、2回にバッティングで福原がカット、出血。
福原は少しずつペースをワンヘンに握られたまま、8回に今度はワンヘンがカット。
こちらは明らかに、福原の方がアタマをぶつける形になってしまいました。

傷はワンヘンの右目上。しかし瞼から離れていて、傷自体も小さい。深さまではわかりませんが。
ところがこれにドクターチェックが入り、一発で続行不可能の裁定。
さほど血も出ていない段階でした。


それにしても、タイのボクシング界というのは、これだけ世界中を情報が飛び交う時代になっても、本当に変わりませんね。
試合時間の変更があったようで、5時から生中継というので、その頃に画面を見たら、もうワンヘンが勝ち名乗りを受けていて、思わずのけぞりましたが、巻き戻して見た試合の終わり方もまた...いかにもタイ、これぞタイ、タイならばこそ、というしかありません。

言うだけ空しいですが、半ば治外法権とも言えるこの状況、どうしたら変わるものなんですかね。
古くはキングピッチの昔から、世界の有力者と強固な誼を築き、それを元に話を回していく、とはよく言われることですが、それこそ統括団体の本部国お抱えの有望選手でも無い限り、あらゆる局面で「強く出られない」挑戦者が泣きを見る、馬鹿を見る、どう言うかは人それぞれでしょうが、同じ事の繰り返しです。

基本的には、もう、関わってもしょうがない、と切り捨てる以外、手はないのかもしれませんね。
業界の方々は、あれこれあって、そうもいかん、と言われるのかも知れませんが、見ているこっちにしたら、こうした「百年一日」にはもう、飽き飽きしておりますので...。


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井上尚弥以外は総崩れ、とお嘆きの貴兄な今日この頃、な日本のボクシング界にあって、井上に次ぐ二番手、希望の星といえば田中恒成ですが、次戦は8月24日、名古屋で指名試合とのこと。
相手は1位の小柄なサウスポー、ジョナサン・ゴンサレスです。

国籍はプエルトリコ。出生地はニューヨーク。
戦績は22勝(13KO)2敗(2KO)1分1無効試合。
KO率は軽量級だからまあ普通かな、と思うところなのですが、レコードを見てみると、デビューから13戦で11KO勝ち、1無効試合、ということで、KOはキャリア初期に集中しています。
以降13戦で10勝2KO、2敗2KO、1分。
こうして、キャリアを半分に分けて見ると、印象がはっきりしますね。上位選手相手のKOは非常に少ない選手です。

試合映像を少し見ましたが、パンチは速く伸びるが、パワーには欠けるか。
13年にジョバンニ・セグラにKO負けした試合は、インサイドから良い左を当てても、セグラの右フックを強打され倒される、という展開で、非力さが泣き所になっていました。

田中恒成が夏場の調整に苦しんだ場合に、こまめに動かれて空転させられる可能性はあると思います。
しかし間違っても、見ていて魅力的な選手だとは思いませんし、勝っても好試合が期待出来るかどうか、という感じですね。
1位としては怖さがない、という意味では安心ですが、違う意味で、色々と難しそうかも...というところです。


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山中慎介トーナメントは、一時期待もされた王者や上位クラスの参戦はなく、若手中心のエントリーとなりました。
しかし期待の若手が大勢参加し、これはこれで要注目です。

元アマチュアの上位選手、地方からのして来たユース王者、パンチパーマの(笑)ベテラン等々、多士済々と言っていいでしょう。
賞金額や賞品も、この規模の大会としては、目一杯の努力の結果、なんでしょうね。今後、もっと景気の良い話が聞けるように願うばかりです。

昨今の日本ユースタイトルマッチに続く、若手同士の好カード実現の流れですが、それに反して、日本上位に上がって行くと、途端にライバル対決が減少するなぁ、という印象でもあります。
階級によっては、国内最強が誰なのか、いつまで経ってもすっきりしないまま、各々が世界世界と打って出てしまう状況が、延々と続いていたりもします。

結局、このような大会が、より大きな規模で行われるしか、その状況を変える方法はないのでしょうね。
問題は、そのような意志や力を、誰一人持っていないのではないか、と見えること、ですが。

しかし、何にせよこの大会、楽しみです。BoxingRaiseで当然、ライブ配信ですよね(^^)


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ということで、本日の一曲。
甲斐よしひろ「レッドスター」。






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ピンチの直後に、代打が牙を剥いた ポッチャリの星ルイス、筋骨隆々ジョシュアをTKO

2019-06-02 13:50:13 | 海外ボクシング



ということで、先月はWOWOWが放送でオンデマンドで、生中継を連発してくださいました。
ところが、今月はDAZN逆襲月間?というわけで、今日を含めてライブ配信、3興行を予定とのこと。
まあ、カードとして、勝敗への興味はというと、カンシオ、マチャドの再戦が一番で、あとはスター登場ではあるけど、勝ち負けはまあ...という感じで、のんびり見ていたようなことなんですが。


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挑戦者アンディ・ルイスのことは、数年前にWOWOW生中継のアンダーか何かで初めて見ました。
一目見て忘れられん、可愛らしい童顔とぽっちゃり体型。
ところが打ち出すと、ジャブ、右クロスにスリーパンチがけっこう速い。
見た目のコミカルさと、ボクサーとしての良さのギャップがなんとも言えず、一気にファンになってしまったものです。
人呼んで、というか、私が勝手に呼んでいるだけですが、この選手は「ポッチャリの星」である、と。

しかしその後、WBO戦で敗れ、試合映像もあまり見る機会がなかったのですが、今回の試合に代打で出場が決まり、久々に試合を、というより前に、その姿を見ることとなりました。
以前より入れ墨が増え、髭も伸ばして「闘うキューピー」のイメージはだいぶ失せたものの、それでも「味」のあるとこは、一目見て変わらず(笑)。
あまりに対照的な外見の、筋骨隆々が度を超しているアンソニー・ジョシュア相手だと、大変そうだけども、ええの一発当てるなりして、爪痕は残してほしいなあ、くらいに思っていました。


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初回、ジョシュア、ルイス共に慎重。見て立つ、という表現がぴったり。
ルイスの左ジャブは、外見からは想像つかないくらい、普通に速い。ジョシュア左ジャブで距離取る。
イーブンつけたい回。

2回、ルイスが早々に出て、左から右クロス、くっついて連打。ラビット気味のも混じる。
ジョシュア冷静に防いで、ジャブ。右ストレート長いのが、ルイスのこめかみに届く。ややジョシュア?

3回、ジョシュアが出る。右アッパー入れて、返しの左フックでルイスダウン。
ダメージありそうなルイスに、ジョシュアが追撃するが、ルイスが返して打ち合いになる。

ここでジョシュア、若干雑に狙った感も。そして、距離が詰まったときに、右ガードが低くなる。
打ち合いでルイスの左フックが決まり、逆にジョシュアがダウン。MSG騒然。
ジョシュアが立って、しばらく持ちこたえるが、ラウンド最後になってルイスが右クロスから攻め、ロープ際で、ジョシュア二度目のダウン。
ジョシュアダメージありあり。だがほどなくゴングが鳴り、レフェリーは続行を許可。

後から思えばですが、普通の、というか、もっと「小さい」試合なら、ここで止めていたかも、と思うくらい、ジョシュアにはダメージを感じたし、レフェリーの見極めも慎重なもので、これがこの試合の最後にも繋がっていたのでしょう。

4回、両者音無し。ルイスは傍目に「もっと攻めんと!」と言いたくなる慎重さ。
5回、ジョシュアはルイスの詰めの甘さに助けられたか、きつそうだが少しずつ手は出始める。フック気味の左リードが決まる。

6回、ジョシュアが回り、ルイスがじりじり追う。共に左がヒットしたあと、ルイスの右ボディフックが突き刺さる。
ジョシュア、身体の運びが重く、あまり動けないところにボディを打たれ、上体が伸び、表情にも苦しさが出てしまう。

7回、両者左相打ち気味にヒット。直後、ルイスの右ロングフックがジョシュアに命中。ジョシュア、これは見えていなかったか、ダメージ甚大。
ここからの追撃、連打の速さはルイスの真骨頂。ジョシュアのガードを打ち崩し、最後はジョシュアが前に手をついてダウン。
立ったが、ルイスが左右フックで打ちかかると、この回二度目、通算四度目のダウン。

レフェリーがコーナーに立つジョシュアを、長い時間をかけてチェックしたあと、ストップが宣告されました。
これで続けたら、ただのロングカウントやないか。健康管理の目的を利用して、何を勝手な...と思ったりもした場面でしたが、上記の通りの経緯もあり、レフェリーはこれ以上は危険、と断を下しました。


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敗れたアンソニー・ジョシュアには、過去の試合ぶりを見て、その都度、鍛え上げられた肉体によるスピード、パワーは凄まじいものの、その肉体の鍛え方そのものが、ボクサーとしての持久力を損ない、または技術面での練度にも追いついていないのでは、という危惧を感じてきました。

今日の試合でも「露呈」のレベルで見えましたが、離れたところでガード下げても、くっつきゃ自然に上がる、そう訓練されているのが(一流の)ボクサーというものでしょうに、ジョシュアは離れたところで手が上がり、距離が詰まると、右手を下げる癖があります。
見ていて何度も「逆やがな」と思った次第ですが、この弱点が、3回最初にダウンを奪った後の、追撃する場面において出てしまいました。
ルイスの左フック「着弾」を許したことが、その後の破局に繋がったわけです。

このような粗を出さないよう、慎重に手控えて自重して闘う...というか、闘わねばならないジョシュアの限界は、過去の試合にも見て取れました。
KOシーンは派手なジョシュアですが、試合内容、過程を見れば、その心技体のバランスは非常に歪で、危うさを抱えたものであると。
そういう自覚は、今日の初回、2回にも充分出ていました。しかし3回の好機に、一瞬それを忘れたか、迷ったか。
米国デビュー戦、殿堂MSGでの試合、という要因も、そこには絡んでいたのかな、と思ったりもします。

いくら筋肉の鎧を身に纏い、明朗快活なイメージで売ろうと、ボクシングという闘いは、結局のところ、人間を裸にするもの、なのかもしれません。
そして、ボクサーが持つ真の強さとは何か、という問いに、今日の試合はひとつの回答を示したのかも、とも。

予想が不利であろうと、代打出場であろうと、己の力を信じ、危機にあっても果敢に、懸命に闘う。
強大な相手であろうと、恐れず挑みかかる剥き出しの牙こそが、闘いの場において、もっとも鋭く、恐るべきものなのだ、と。


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ということで、アンディ・ルイスが世界ヘビー級チャンピオンになりました。なりよりました(笑)。
しかも3団体のベルトを一手にしたわけです。
DAZNに多額の投資をもたらした立役者であり、ヘビー級の次代を担う期待の星。
時代の最先端を行くフィジカルトレーニングで作り上げた筋骨隆々の戦士。
朗らかに自己主張のスピーチを繰り返す、当世風のスターボクサー。
そんなアンソニー・ジョシュアに、ポッチャリ体型のメキシコルーツのアメリカ人が、ニューヨークの殿堂、マジソンスクエアガーデンでKO勝ちし、ヘビー級の新チャンピオンになる。
実際に試合が行われれば、どんなことでも起こる可能性はある。それがボクシングだとわかっていても、やっぱり、これを予想、想像しろと言われても、無理というものだったでしょう。

今後についてですが、3強時代と言われるヘビー級戦線に、とんでもない新たな主役が躍り出てきて「4強」時代となった...と言えるかどうかは、まだ少し時間が必要かな、とも思います。
アンディ・ルイスの戦力には、今日の勝利を見てなお、ある程度の限界を感じもしますが、しかし確かな強みもあり、それが結果による裏付けを得て、確固たる自信が身につくのかもしれません。その答えは、これからの試合で、すぐに見られることでしょう。


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今日のライブ配信は、DAZNの目玉商品たる、欧州チャンピオンズリーグのファイナルと一部時間が重なる、早朝6時半からのライブ配信、と予定が出ていました。
なんで米国東海岸の試合がそんな早い時間になるのや、第一試合から全部やるのか。メインはいつになるものやら...と思っていたら、DAZNのHPに「メインは11時半以降配信」と※付きで注意書きあり。
これは本当に驚きました。なんと親切な。どないしましたんや、DAZNさん(笑)というのが、率直な感想です。

真面目な話、シーサケット、エストラーダ再戦の2時間待ちぼうけ事件を受けて、さすがに抗議が殺到...まではいかなくとも、やはり苦情が数件はあったんでしょうね。
何にせよ、冗談抜きでこれは有り難かったです。安心して、9時半くらいまで寝て、ゆっくりと試合を見ることが出来ました。
まだ、DAZNはWOWOWオンデマンドと違い、見ている最中でも、巻き戻して前座の試合を見ることも出来ます。
この辺の便利さは、やはりオンデマンド本業のDAZNと、サービスの一環でしかないWOWOWオンデマンドの、明白な差ですね。
と、良いところがあれば、ちゃんと褒めておきます。


そんなことでセミはカラム・スミスが、あのアッサン・エンダムを3回までに3度倒してTKO。
初回、2回に左フック。3回は右ショートで倒しました。
エンダムは、ダウン食っても判定まで行く、という特技を今回は出せず。体格、パワーの差は歴然でした。



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ということで、本日の一曲。
The Birthday 「さよなら最終兵器」。






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