さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

後退局面、そこに罠あり 藤田炎村、劣勢から右フック一撃

2023-04-30 00:04:12 | 関東ボクシング




ということで水曜日の感想文、三試合目。
日本スーパーライト級、これも空位の決定戦。
全体的にはまだ未完と見えるが、その劇的な試合ぶりで目を引く藤田炎村と、果敢なファイトが売りのアオキ・クリスチャーノの好カード。


初回はアオキがトリッキーに動き、藤田はじりじり出る。想像通りの「絵」。
藤田の右が肩越しにかすめるが、徐々にアオキが左で測定して、右ダイレクトのヒット。出鼻を巧く叩く。

2回もアオキの巧いヒットが目に付く。右ヒットは互いにあるが、後続のボディ攻撃など、アオキの方が攻防に幅がある。
藤田は右クロスの強打を狙いすぎている感。
アオキは打ち合った後の離れ際に右ロングフック決め、続いて対角線のコンビ。さらに細かい連打で、藤田を後退させる。良い流れ。


藤田、普通に言って劣勢。一般的に、強打のファイターというものは、下がる展開では強さが出ない選手が多い。
ところがこの選手、ここに罠があります。


ラスト10秒の拍子木が聞こえたあと、アオキは見て終えれば良かったがさらに攻め、右から左フック返す。
しかし藤田、オーソドックスからサウスポーにスイッチしたスタンスで待っていた。
右足をアオキの左足の外側に置く、パワーをかけて打てる位置から、右フック一発。
まともに入ってアオキ、ダウン。腰から真下に崩れる。ダメージ甚大。
立ったもののふらつきを抑えられず、レフェリーがカウントアウトしました。タイムは3分8秒。



アオキは打ち合いの攻防のあと、すぐに追撃の手を出してヒットを取り、巧みに連打を散らして、ファイターの藤田を受け身に回らせる、理想的な展開を作っていました。
好スタート、ではあったのですが、しかし藤田は、過去の試合でもダウンしたり、劣勢だったりする場面において、両足が揃った位置から、或いはサウスポーにスタンスを変えて、そこから右フック一発、形勢逆転、ということをやってきた選手です。言えば「得意」なのでしょう。

アオキ、好調に攻めているが、この相手に深追いは禁物で、慎重に行くべき...と思っていた矢先のKOシーンでした。
試合運びは果敢な中にも巧さが見えて、良いスタートだったのですが、藤田の強打、そして勝負強さに屈した、という試合でした。



対する藤田炎村、いつも通り、闘う心の構え、その気迫は、変わらず表情や佇まいからはっきり見えました。
強打で相手を脅かし、クリーンヒットは取れていなくとも、威圧感はかなりのものがあるのでしょう。
それがあるからこそ、受け身になったと見えても、強打を決める「余地」がある。そういうものだと思います。
単に自分の都合の良いことだけを考えて狙っても、あんなパンチ、そうそう決められるものではないはずです。

もちろん打たせず打つだけで勝てれば良いのでしょうが、タイトルマッチのレベルで、相手も実力者のアオキとなれば、簡単には行かない。
それは短い試合の中で見られた事実だと思います。
しかし、悪いスタートと見えても、一撃でひっくり返せる強打を持つ。滅多に見られない劇的なKOで勝つ。
単に「評」の言葉では語りきれない魅力が、このファイターには確かにあります。



上位陣にも好選手が揃い、平岡アンディや永田大士なと、並立するタイトルホルダーも強敵ですが、勝ち負け以前に誰と組んでも、誰と向かい合って立っても「絵」になる、新チャンピオンが誕生しました。
控えめに言っても、FODやLemino配信興行のメインイベンターとして充分なタレント、だと思います。今後の活躍に期待です。
まだ早いかもしれませんが、いずれ、井上浩樹戦など、あるんでしょうかね。「品評」をすれば井上かと思いはしますが...。




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予想外の反転攻勢で2回KO 坂井祥紀、帰国後初タイトル奪取

2023-04-29 00:09:25 | 関東ボクシング




水曜の4大タイトル、感想続きです。
二試合目のタイトルマッチは日本ウェルター級、こちらも空位の王座決定戦。
メキシコ拠点に長く活動し、帰国後も日本上位で活躍する坂井祥紀と、長身サウスポー重田裕紀の一戦。

けっこう因縁というか縁のあるふたり。坂井の帰国初戦の相手が重田で、この時は坂井が判定勝ち。
昨年10月に、日本王座への挑戦者決定戦で再戦し、坂井が二度ダウンを喫するも1-0ドローに持ち込み、優勢点で坂井が挑戦権獲得。
1勝1分を受けて、今回はタイトル賭けて三戦目。
仮に重田が勝っても数字上は五分になるだけですが、かかったものの大きさを思えば、充分「決着」戦、と言える試合になりました。


初回は、前回二戦目の展開同様、序盤から重田がヒットを取る。
遠目の位置から力み無く、左ストレート、左アッパー。左フックは内外から通す。
坂井は低い姿勢で入って右から攻めるが、重田が左アッパーなど、連打で当て返す。


初回3分、前回同様に重田がヒットを取りまくり、坂井は懐に入ろうとしてかなわず打たれる、という展開。
少なくとも序盤はこの感じで行くのだろうなあ、としか見えませんでした。

また、前回に二度のダウンを喫した坂井、そのタフネスからすれば驚きでしたが、こういう頑丈さが売りの選手がひとたび倒れると、遠からずキャリアの終焉がやってくるものではないのか、と想像もしていました。
確かに坂井がこのまま大人しく引き下がるとも思えないが、やはりこの試合は重田の勝利による「因縁決着」となるのでは...そんな風に思っていた、のですが。


2回、重田は左中心にヒットがあるが、坂井は早々に反転攻勢を意識したか、攻めて出る。
右リードで入る、と思ったら右のトリプル。一発ずつは強打とは言えずとも、同じところを続けて打つことで、見た目以上にダメージを与える効果がある、という攻撃。
使うパンチの種類はさまざまなれど、これもまたメキシカン・ボクシングにおけるセオリーのひとつ。

重田ダメージありか、上体を起こされたまま、ロープ際に下がり、もたれかかる。そこへ坂井、左フックのレバーブロー。しっかり狙って「まとも」に決める。
重田あっという間にスローダウン。左を出すがスピードがなく、そこに坂井の右、振りかぶったオーバーハンド。これまたクリーンヒット。
坂井さらに攻める。重田は左足が浮くなど、踏ん張りが効いていない。

坂井左右、大振りのミスもあるが、この展開ならそれも威迫になる。
重田をロープに押し込み、ボディから顔面、顔面からボディ、そしてまた右フックがクリーンヒット。
さらに左右フック強打し、インサイドへ右ストレート。重田のガードを崩しておいて打ち込む。強引な中にも理詰めの攻め口。
重田の顔が跳ね上がったところで、マーチン主審が割って入りストップ。
重田、止められたあとに手を出してはいましたが、気持ちは残っていても、頭へのヒットが重なっていて、これは仕方ないところ。妥当な裁定と見ました。



終わってみれば、早々に危機に立ったかと見えた坂井祥紀の、この一戦に賭けた闘志が爆発した、という試合になりました。
2回の反撃は正直予想外で、中盤以降、一打の切れはやや不足だが重いパンチを連ねて、地道に盛り返すということはあっても...という想像しかしていませんでした。

本人は試合後「不細工な試合」と言っていましたが、傍目の印象は全く違いました。
重いパンチを正確に、時に一点集中、時に上下内外に打ち分けての攻め落としは、鮮やか、お見事、としか言いようのないものでした。
さらに言うなら、4大タイトルのうち、この試合が一番判定にもつれ込む可能性が高いだろう、とも思っていて、その予想も外れました。


実にユニークなキャリアと、日本ボクシングの常識が通じない部分が多々あるそのスタイルで、試合の度に目を引かれる選手ではありますが、タイトル獲得にはあと一歩、なのかなあと思っていました。
しかし、そういうこちらの悪い想像を覆し、打ち砕く、見事な坂井祥紀の勝利でした。脱帽するのみ、です。

セコンドの石井一太郎会長も、嬉しそうでしたね。
また近々、動画で喜びの声が聞けることでありましょう。


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トップランクのスター候補来日 ロベイシー・ラミレス、清水聡の挑戦受ける

2023-04-28 00:01:11 | 関東ボクシング



水曜日の感想文を書いて行こうと思ってましたが、驚きのニュースが目に入ってきました。
WBOフェザー級のチャンピオンになったばかりのロベイシー・ラミレス来日、清水聡の挑戦を受ける
7月25日有明アリーナ、スティーブン・フルトンvs井上尚弥戦のアンダーに入るとのこと。


まず思ったのは、PBCとトップランクの、軽・中量級スター選手が一堂に会する、希有な興行が日本にて実現するのだなあ、ということです。
あちらのリングじゃ、同じカードに出ることはあり得ないフルトンとラミレスがいっぺんに見られる。
我々は井上尚弥の試合があれば、基本それでいいのですが、こんな付加価値のある興行になるとは。望外の喜びでした。



そして、あまり言いたくないことですが、私はやはり、日本上位の強敵と闘ったのはせいぜい森武蔵戦くらいで、関西の中堅ランカーばかりと闘ってきて、ジョー・ノイナイには完敗というキャリアしか持たない、言えば日本チャンピオンになれるかどうかも証明していない清水聡が、世界選手権二連覇のスター候補、ラミレスにこのタイミングで挑むことに、驚いているわけです。
あちらでは、元銅メダリストだし、よく知らないけどまあまあ面白いかも、くらいに思われているのかもしれませんが...よりつぶさにその辺りを見ている我々の方が、厳しい視線を向けてしまいますね。


しかしまあ、よく組めたものだと感心もします。WBO王座はエマヌエル・ナバレッテ返上、そして今回、ラミレスが新王者となったわけですが、トップランク興行のラインナップに継続して入るはずの選手が来日というのは、想像していませんでした。
井上尚弥の試合に注ぎ込まれる、オンデマンド配信の予算が大きなもので、そのセミファイナルにもある程度の金額が振り分けられ、それが週末のトップランク通常興行のメインに出る額より多かった、ということなのでしょうが...また将来、井上がフェザーに転じた時の対戦を見越しての「顔見せ」という意味合いもあるのでしょう。
改めて、井上は凄いところに立っているのだなあ、と思わされる話ですが。



あと、やはり元五輪銅メダリストを引き受けた以上、大橋ジムとしては、形どうあれ経緯どうあれ、一度は清水を世界戦に出さねばならなかった。
我々ファンにとっては、預かり知らない話でしかないんですが、それも事実なのでしょう。

そりゃ、実際闘って、清水の重いパンチが、独特のリズムでもってラミレスを捉え、打ち据える可能性もゼロでは無いでしょうが。
ただ、それ以前に、実力で世界挑戦への待望、機運を勝ち取っていない。それが清水聡の現状です。
ファンとして、素直な気持ちで期待出来ない挑戦者であることは、今、率直に語っておこうと思います。
実際に試合となれば、やる以上は健闘を祈りますが...。



で、こちらは王者ロベイシー・ラミレスのTweet。
日本向け、ってことなんですかね。これまた驚き。
他の選手でこういうの、見たこと無いように思います。






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105ポンド級の鋭さと迫力に刮目 高田勇仁、長谷部守里に雪辱のTKO戴冠

2023-04-27 06:36:34 | 関東ボクシング



ということで昨夜はLeminoのライブ配信、楽しく見ておりました...というより、衝撃的な試合の連続に感動した次第です。
どれも見どころありな試合だったので、順番に感想を書いていこうと思います。




4大日本タイトルマッチ、最初はミニマム級。強打の高田勇仁は、一度敗れた長谷部守里との再戦に6回TKO勝ち。
最軽量級とは思えないシャープなパンチの応酬。初回から高田の右が伸びるが、長谷部も鋭く返す。
2回、高田右ヒット、左ジャブで追い立て、左フックも好打。長谷部、目尻が腫れてくる。ナックルが硬い印象の高田、しっかり打ち抜くパンチが怖い。

3回、右ストレート応酬。長谷部の右から両者もつれ、高田スリップダウン。
4回、長谷部のコンパクトなワンツーも、高田が外回りの左フックを上に、次は下に合わせる。
このタイミングはなかなか大胆。日比のハーフという高田、ボクシング自体にもフィリピンのカラーが見えるのが面白い。


5回からパワーの差が出始める。長谷部を引き付けて高田が右フック。
待って引き付けて、という感じかと思ったら、間が空いたところに踏み込んで、伸びる右ストレートも決める。
途中採点は3-0で高田。

これを聞いて6回、長谷部が前に出る。少し慌て過ぎかと思うが、当人にしたら無理からぬところ。
長谷部の右も良いが、対する高田は、巧く迎え撃ち。一発の威力の差が生きる展開に。
この回ラスト20秒くらいか、長谷部のワンツーに高田、左フックのカウンター。長谷部ぐらつき、高田の追撃に、ロープからロープに追われる。
体勢を整えようとしてかなわず、反撃の手も出せない長谷部を、レフェリーが救うストップ、TKOでした。


ミニマム級ながら、と書くのは失礼ですね、シャープなパンチを果敢に応酬した、両者に拍手したい好ファイトでした。
こういう、タイトルマッチ級の試合が複数連なるイベントというのは、やはり最初が肝心ですので、さい先の良いスタート、でもありました。



勝った高田、ライオンズジム会長、ライオン古山こと古山哲夫会長と歓喜の抱擁を交わしておりました。
私も現役をリアルタイムで見てはいませんが、強豪ひしめく140ポンド級において、あのアントニオ・セルバンテスやセンサク・ムアンスリンに挑むなど、三度世界に肉迫した猛ファイターが、指導者として遂に、チャンピオンを育て上げたわけです。
なかなか感動的なシーンでした。ここまで強敵、上位相手に黒星も多いキャリアの高田、強打者にありがちなスタミナ面の不安を克服し、受け身になりすぎないバランスを身に付けられれば、面白い存在です。今後に期待です。





ちなみにこちらは、セルバンテスと古山会長を取り上げた短いドキュメンタリー。
コロンビアのTV局によるものらしいです。
放送されたのがいつ頃か、定かでは無いですが、YouTubeにアップされたのは5年前。古山会長が「ジムを25年やっています」と語っています。

もちろんただ見るだけでは、何言ってるかわかりませんし、自動翻訳の日本語字幕表示も無茶苦茶ですが(笑)
Kid Pambele(意訳すれば「大樹の子」という感じ?)と、日本のライオンは、その闘いから50年の時を経て、距離は離れていても、お互いに敬意を抱いている。
それがしっかりと伝わってきます。興味ある方は是非。






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今日は4大タイトル、Lemino初の配信 解説に亀海喜寛も

2023-04-26 00:06:06 | 関東ボクシング




今日はdTV改めLeminoのライブ配信。4大タイトルマッチです。
無料で見られるとのことですので、皆さん是非見ましょう。

こちらによると、アーカイブも無料みたいに書いてありますね。5月10日までと。
アンダーに新人王予選の4回戦が一試合入り、あとは全部タイトルマッチですので、始まるのも少し早くて、17時15分開場。
第一試合開始は17時30分予定です。







今回は、亀海喜寛が解説を務めるそうです。これはグッドニュースですね。
配信の世界で、ボクシングがコンテンツとして生き残るためには、彼のような新鮮なイメージがあり、なおかつ中身のある解説が出来る、それをしようという意志が見える人材の登用が必須だ、と思います。

帝拳OBだから、U-NEXTの方に出るのかと思っていました...というのは、もう古い考え方ですね。
そういう垣根を越えての番組作りが、今後の常識、当たり前になってほしいものです。



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視聴するかはアンダー次第? 井岡一翔、フランコ再戦はABEMAでPPV配信

2023-04-25 00:09:27 | 井岡一翔


井岡一翔、ジョシュア・フランコとの再戦が決定
6月24日、大田区総合体育館にて。
カード自体は既定路線でしょうし、会場も含め、予想通りというかいつも通りというか。


しかし驚いたのが、TBSの放送ではなく、ABEMAでの配信になるという点。
しかもPPVになるのやそうです。
以前、お茶の間に見てもらえることの意義を得々と語っていたような記憶もあるんですが。
宗旨替えでしょうか?それとも「さすがに」切られた?か。


それにしても、返上云々で色々あった挙げ句に、このカード、しかも再戦で、よりにもよってPPVに打って出るとは。
この御仁のやることは、逐一見てるこちらの想像、理解の範疇を超えることが多いですが、またしても。


仮に中谷潤人戦なら、それも良し、てなものでしょうが。
正直、タダでも別にええかな、と思う人も結構いるであろう、このカードで?
首を傾げるなんていうものじゃないです。うっかりすると、首がねじ切れてしまいそうです(笑)



いやホントに、私みたいな物好きでも、どうしたもんかなと、ちょっと悩みますね。
実際のところ、ナンボ取るつもりなんやろう、と...アンダーに何か良いカードでもあれば良いんですが。
堤駿斗は日程的に無理だし、比嘉大吾関連で何かあれば、というところでしょうか?例えば栗原慶太戦とか。
あと、注目なのはPPVの場合、大画面でも良い画質で視聴出来るのかどうか、というところです。

何しろ、メイン以外見どころがなくて、それで3千円とか4千円とか言われたら、最悪パスも考えます。
でも見なかったら、またそんなときだけ、けっこう良い試合するのかもしれませんけど(笑)。


とはいえ、大方、試合内容に関しては、驚くようなことはほぼ起こらないだろう、と思っています。
しかし、試合以外の部分で、思わぬ注目ポイントが出来てしまいました。
それにしても井岡一翔...ここまでくると、一周回って面白いお人、とも言えそうです。なんともかとも。



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打ち終わりを狙える「決定力」の差 デービス、ガルシアをボディブローで沈める

2023-04-24 00:05:22 | 海外ボクシング




昨日はオンデマンド二本立て、朝から昼過ぎまでなんやかやと大変でしたが、とりあえず全世界注視の「メイン」から感想。




初回、大柄なライアン・ガルシアが上体を立てたまま圧してくるのに対し、小柄なジャーボンテイ・デービスはほとんど手を出さず見ている。
ガルシアが少しジャブなどを出すのに対し、デービスは慎重。パンチを通す軌道、タイミングを見つけるまでは打たない、という構え。


解説の浜さんが「30年前の採点ならイーブン」と言った3分。実際はもっと前から、そういう採点は終わっていましたが。
しかし今なら、ちょっとだけでも手を出したガルシアの回。傍目にはこういう回でも取れば1ポイント、取っておきたいところだろうに、デービス、初回のポイントに関しては諦めて捨てたか。
或いは、そのくらいは平気、という自信なのか。


2回、ガルシアが前進のみならずパンチを繰り出して、攻めてくる。ガード高く、ジャブを強く突いて、その距離から上下のコンビ。
右ストレート、返しの左フックも強振する。
試合が一気に緊迫する。この間合いで懐に入れず、その上で打ち込まれたら、デービスとて大変...かと思っていたら、初回からほとんど手の出なかったデービスが、ガルシア必殺の左フックを外して、左フックを打ち返す。これがまともに入ってガルシア、ダウン。


この試合、ほとんど初手というか初弾。それでライアン・ガルシアを倒してしまう。
しかも相手が一番自信を持っているパンチを外して、打ち終わりを狙って。
ジャーボンテイ・デービス、やはり並々ならぬ才能を、早々に見せつけました。


3回、今度はデービスが低い姿勢から突き上げるような左ストレートを繰り出す。
ガルシア、強い陣を立てて圧したいが、その都度少しずつ後退を余儀なくされる。
4~5回、ガルシア懸命に強打を振るう。デービスのボディ攻撃がよく決まる。
6回、ガルシアが奮起。互いに強振しては外し合う。ガルシアの右ストレート、打ち合いも。この回はガルシアが取ったか。


7回もガルシアの右フックから始まる。しかし返しの左フック外され、デービスが打ち終わりに低い姿勢で前に。
もつれて止まったかと思ったとき、デービスが左を打ったようには見えた。ガルシア下がり、一拍置いて膝をつく。
左のパンチらしいことはわかったが、そんなに効くパンチとは見えず、驚き。

スローで見ると、ガルシアの右腕の下を通ったデービスの左が、レバーの位置か少し上か?ガルシアが身体を「戻す」前に入っていて、しかもデービスのナックルが打った後、打ち込んだ向きとは逆に回っている。
見た目以上に、その衝撃はガルシアの身体の奥深くに伝わっていたのでしょう。
ガルシア、立つには立ったが戦闘態勢は取れず。レフェリーがカウントアウトしました。



このフィニッシュもまた、2回のダウンシーンと同じく、強打者故に打った直後の体勢が戻る前、その弱味、タイミングを突いた攻撃でした。

互いに「決定打」を持つ者同士の闘いだが、単に精度や威力の比較ではなく、狙いどころの鋭さ、その質が違う。
デービスとガルシア、決定打の威力は互角でも、実際の攻防における「決定力」には、厳然たる差があった。
それが一見してわかる二度のダウンシーン。その鮮烈が目に焼き付けられた、世界の最高峰を争う闘い。凄いものでした。




試合後は爽やかに健闘を称え合っていた両者に、こちらも称賛というか、畏敬の念を抱くしかありません。
デービスは試合以外の部分では「どうしようもない」レベルのあれこれが纏わり付いていますが、その辺きちんと...お務めが必要ならそれも含めて身綺麗になった上で、その恐るべき才能を、然るべき試合において見せてほしいものです。


ガルシアは終始果敢に闘い続け、敗れたもののその姿は堂々たるものでした。
最後のシーンは一見して不足を覚える向きもありましょうが、私はどちらかというと、あれはもう、続けたところで蛇足だ、と見る側です。
SNSの帝王、というのは、若干揶揄する意味合いで捉えていましたが、今はもう、そういう気持ちはなくなりましたね。





※先日、WOWOWオンデマンドについて、アーカイブが見られないという思い込みで間違ったことを書いていました。
もちろん録画は出来ませんが、翌月曜のTV録画放送までは、オンデマンドでライブ配信丸ごと、見られるようになっています。
これは当然、WOWOWがTV放送だけでなく、オンデマンド視聴のみの契約が出来るようになっている以上、当然のことです。大変失礼しました。訂正します。




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統括団体外し?のビッグマッチ デービス、ガルシア大盛況の中、計量パス

2023-04-23 00:03:54 | 海外ボクシング




ジャーボンテイ・デービスvsライアン・ガルシア戦、前日計量が終わりまして、無事、本日激突です。





仲良きことは美しき哉。






こちらは別アングル。
デービスがこっち向いて何か言ってますが、バーナード・ホプキンスと言い合っていたんですね。
もしホプキンスと向かい合ったら、私なら何も言わずに2千円くらい渡して、走って逃げますが。
さすがはデービス、度胸あります。






計量会場の様子。大盛況!







計量の数字見ると、ライト級プラス1ポンドという、キャッチウェイトの意味はほとんど無し、ですね。
承認料要らずのビッグマッチです。結構な話です。
WBCあたりが、またわけのわからん理屈で、変なベルトこさえて駆けつける、という、毎度げんなりする話題も、今回は聞こえてきませんしね。


ホントに、統括団体もお互いに統合して数を減らし、まともなものにならないと、スター選手から相手にしてもらえんで、という状況になってくれんものかと思います。
この試合の成立過程が、そういう意味を読めるものなのかというと、多分違うんでしょうが...でも結果として、時代が変わるきっかけになってくれたら嬉しいですね。


まあ何しろ、えらい盛り上がりです。
若くて勢いのある内に、スター同士が直接対決するわけですから、試合の内容や結果以前に、両者に拍手して、大いに称えたいです。
もちろん事前に盛り上がったからといって、試合も同じく盛り上がるとは限らないわけですが...どうなりますか。しかと見ましょう。



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今頃言われても/Sバンタムどこ行った/メイン中止/日曜はライブ二本立て

2023-04-22 00:06:18 | 話題あれこれ




怒濤の4月も終盤戦、楽しみな日曜を前に話題あれこれ。簡単に。


来週水曜、26日の4大日本タイトルマッチ興行は、dTV改めLeminoで、無料ライブ配信されるとのことです。
試合の5日前になって「実は無料」とやられても、とうに加入手続きを済ませているこちらにとっては、ちっとも有り難くありません。
もちろん、アーカイブを見ようと思えば有料なんでしょうし、こちらとしては一応加入しておかねば、というところではありますが、それにしても、です。
何か、NTTがやることって、毎度毎度...。


ちなみにこちらはメインで宇津木秀に挑む仲里周磨の記事
父、繁会長のラリオス戦、会場で見ておりました。あの熱狂は、色々見た試合の中でも、別格クラスのものでした。



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ところで当初、このイベントは5大タイトルマッチだったはずが、Sバンタムが消えています。
石井渡士也vs下町俊貴は、メインと並ぶ好カードでしたが、早々に中止になった、とだけ聞こえてきました。

理由が何か、どういう事情かは全く分かりません。
関西依怙贔屓主義の私としては、下町に何か、この試合以上に良い話でもあるのなら...と期待もしますが、しかし、何しろ情報不足です。気持ちの悪い話ではありますね。



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23日、もしWOWOWがオンデマンドでなく、TVの放送で生中継をしてくれていたら(録画が出来るので)、コレ見に行っても良かったかな、と思っていた堺の日本ライトフライ級タイトルマッチが、中止になりました
もしチケット買ってたら大変でしたね。

執念の男、と言う表現も、もはや生易しい大内淳雅ですが、今回は相手どう以前のところで、タイトル獲得のチャンスを先送りにされてしまいました。
冨田大樹は、芝力人戦の気の毒なドローを受けて、地元のリングで再挑戦のはずが...こちらもどういう事情、理由あってのことか、まったく情報がありません。「棄権」と言われても...。

セミの津川龍也の試合がメイン昇格ということで、まだ救われた?というのも微妙か。カード自体が弱いですしね。



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ということで明日はDAZNとWOWOWオンデマンドでライブ配信二本立て。

DAZNはシャフカッツ・ラヒモフvsジョー・コルディナ。IBFスーパーフェザー級タイトルマッチです。
英国での試合でしたっけ、何しろ早朝、というか未明、3時から。メインは余程早くても6時くらい、普通だと7時前後ですかね。

何かと疑わしい目で見てしまうラヒモフより、尾川をクリーンにKOしたコルディナの方を、心情的には応援しますが...見ていて疑わしいレベルでしぶとく、粘り強いラヒモフは、容易な相手ではないしょうね。どうなりますか。


で、WOWOWの方も少し早くて9時頃から。ハイ、デービスvsガルシア戦です。
メインはどうでしょうか、11時くらいでしょうかね?この辺はちょっと読めません。
何しろもう、ボクシング界はこの試合一色、という盛り上がり。
会見があって、今日は計量、明日試合ですが、なんとかここまで来たんですから、要らんことが起こらないように、と願うのみ、ですね。



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Sミドルで闘いたいのは彼のほう ディミトリー・ビボル語る

2023-04-21 18:31:00 | 海外ボクシング



昨日見つけた、ディミトリー・ビボルのインタビュー。翻訳されたものがありました。
元リングマガジン記者のトム・グレイによるものです。
なかなか興味深いインタビューでしたので、ご紹介します。



こちらはパート1
カネロ・アルバレスとの再戦をスーパーミドル級で闘いたいのはビボルの方で、カネロはライトヘビーで闘いたがっている、というあたりは興味深いです。
この辺は逆だと思い込んでいましたんで、意外でした。

カネロはビボルに減量を強いて勝ったと言われるのが嫌だ、と言い、ビボルは4団体のベルトを手にしたい意欲がある、ということのようです。
正直言ってこの辺は、インタビューを見てもなお、奇異に感じる部分ではありますが。



パート2はこちら。
WBCライトヘビー級王者、アルツール・ベテルビエフ戦に立ちはだかる、ロシアの侵略戦争、その影響などについて。

両者とも、口に出して言えることではないのでしょうが、ロシアという国に対して、全面的に支持してなどいないのは、出自や来歴を見てもはっきりしています。
それでもこうして、実際に様々な枷があり、試合に出ればブーイングも降り注ぐ。やりきれない気持ちになりますね。


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