さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

何故割れるのか?という「圧倒」 田中亮明、ベスト8進出

2021-07-31 13:54:46 | 関東ボクシング


連日五輪五輪言うてますが、日本勢、ことに男子は初戦突破は果たしたものの、ベスト16ともなると容易ではなくなってきています。
成松棄権、岡澤、森脇敗退となり、残るは田中亮明ひとりとなりました。



その田中、さきほど中国のフー・ジャンガンと対戦。
早々から積極的に右リード、左ストレート、合間に強烈なボディーブローを突き刺すなどして圧倒。
フーもアジア予選大会で優勝した強敵のはずでしたが、もう気合いからして違う、という勢いで攻めまくる。
フーの反撃は散発的で、さほど効果もなさそう。当然10-9が5人揃う、と思ったら、初回のスコアが3対2で割れ、田中。

あー、圧されて腰が引けたまま打ってるパンチでも、当たれば数の内ということかいな、とはいえ数でも全然やったような...と驚くこちらを尻目に、2回も田中が攻め、フーが瞼と耳の後ろから出血。
三度のドクターチェックを経て試合終了。判定は田中3、フー1、ドローと割れたものの、田中を支持しました。


この内容で何で割れるかね、20ー18フー勝利というジャッジは一体何を見てたのや、というのはともかく、普通に見て、単純に田中の心技体がフーを圧倒していた、という試合だった、と思います。

試合中も打つ度に気合いの声を上げ、勝利のコールを聞いても同様。
喜ぶというよりは「よし、次!」という感じで、自らに気合いを入れ直しているかのように見えました。

フーも上位進出の候補と目されていた選手らしいですが、その一角に競り勝つ、というのでなく、圧倒して勝ち上がる様を見ると、大会前の報道で喧伝されていた、積極的な、攻撃スタイルの実現は、ここまでのところ前向きに捉えてよさそうなものに見えます。
あと一勝でメダル確定となりますが、この際ですから一気に突っ走ってほしいです。
ここから先は単に強いだけでなく、駆け引きやごまかしの上手い選手と当たることになるんでしょうが、ジャブ、ワンツーで「壁」を作って押し切る、という今の型を貫ければ、充分いける、と思えます。



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さてさて、フルカバーとはいかずとも、五輪ボクシング競技を、一回戦の段階からこれほど数多く見た経験はこれまでにないので、色々と発見というか、気づいたこともあります。


総じて、ロシア及び中央アジアの選手の試合は、普段プロの試合中心にボクシングを見ている者の目には、あまり面白くありません。
体力があり、もちろん細かいところに巧さもあり、質実剛健、という魅力はあるんですが、同時に流れがぶつぶつ切れ、優勝候補と目される選手であっても、やたらとクリンチが多いです。
この辺も含め、3ラウンズで終わる条件に、過剰によっかかっている作りやなあ、と思うのも確かです。

まあ、その日の試合が全てじゃなくて、大会日程全般に渡っての闘いで勝たねばならない選手のペース配分なのだ、というのも事実なんでしょう。
この先、メダルや優勝がかかる上の試合ともなれば、いよいよ本当の姿が見られるのかも、と期待していますが。



それ以外では、アメリカのスーパーヘビー級、リチャード・トーレスがちょっと目を引きました。

アメリカでスーパーヘビー級ったら、かつてのリディック・ボウのような大男が出てくるのかと思ったら違って、名前のとおりヒスパニック系の、ずんぐりした、気の弱そうなお兄さん。
しかしこれが動き出したらけっこう巧く、サウスポーからの右ジャブ連打で「作って」相手が来たら、ワンツーと同じタイミングで打つ、見えない左ボディアッパー。
この一発でダウンを奪い、後はヒットでまさり優勢、判定勝ち。

滅茶苦茶強いとか、将来プロで有望だとか思ったわけではないんですが、プロ同様、アメリカではヒスパニックの台頭目覚ましく、反面、アフロ・アメリカンの大柄なアスリートが他のスポーツに流れている現実が、アマチュアにも反映されているんだなぁ、と。
あと、果たしてこのボクシングで、やたら大柄なサウスポー、優勝候補だというバホディル・ジャロロフに勝てるんやろうか、と心配になったりも。
二年前、一度KO負けしているそうですが、二年の間にその力関係が変わったものかどうか、ですね。



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「1.5倍速」の猛攻 森脇唯人、優勝候補に敗退

2021-07-30 15:31:35 | 関東ボクシング


東京五輪、連日見られる範囲で見ております。
段々目が慣れてきて、クリンチの多い試合は眺める程度、そうでない試合はしっかり見る、という棲み分けも覚えました(笑)。
あと、全体的にレフェリー、ウザい(笑)人が多いですが、そこは精神修養として。



ミドル級の森脇唯人は、二回戦で優勝候補と目されるウクライナのオレクサンドル・ヒズニャクに判定負け。
立ち上がり、森脇が右のカウンターで迎え撃つが、ヒズニャク凄い速さと馬力で身体を寄せ、揉み合いでも圧しまくり、先手先手で打ち続ける。
森脇、連打また連打で攻め込んでくるヒズニャクに対して後手に回り、挽回しようと離れたり、突き放したりと試みるがかなわず。
単発の威力では負けていなかった森脇ですが、圧倒的な手数の前に押し込まれたまま、敗れました。


元世界選手権王者でもあるヒズニャク、ウクライナでは「第二のロマチェンコ」と言われるがその内実は猛ファイター、という評がマガジンの展望記事に載っていましたが、今回見て、ある意味では単なるファイター、連打型というではない、攻めるにもそれなりの「理」があるなあ、と見えました。

まず、何しろ速い。最初、いつ打つか、打ち始めるかのタイミングが速い。後続も速い。
森脇が遅いわけではないのですが、比べると「1.5倍速」という感じに見える。

そして、手数がえらく多い。それもいい加減な打ち方、と見えたら次がしっかりナックルを返していたり。
また、手打ちみたいな打ち方でも、身体に力があり、腕力もあって、それなりの威力がある。

矢継ぎ早に打てて、なおかつ相手を止められる威力を維持しつつ、旺盛な体力を見せて身体を寄せ、離れ、また打ち続ける、という具合。
「機先を制する」と言いますが、まさにその行為を3ラウンズ、9分間、休み無く繰り返す、というボクシングでした。


森脇はまともにやりあえれば、一方的にやられるような力の無い選手ではないと思うのですが「勝負」をさせてもらえずに敗れた、という試合でした。
まあ3ラウンズで終わるから出来る闘い方なのかもしれませんが、それにしても、世界には色んな選手がいるなあ、と感心させられました。

しかし森脇も、立ち上がり、右クロスのカウンターなどは鋭いものがありましたし、僅かに生じた間に反撃を試みていて、それは日本のこのクラスの選手としては、かなり秀でた切れと力あるものに見えました。
まだ若いですし、今後、世界上位に迫るところまで、成長していってほしいと思います。



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他にも見られた範囲で、ですが、フェザー級のタイ代表、チャッチャイ・デッチャブディー(で、いいんですかね)、なんと36歳だそうですが、バランスが良くて力強く、そして巧いサウスポーでした。
ポンサクレックを少し地味にして、良い意味で重みを加えた選手、という感じでしょうか。わかったようなわからんような表現ですが。


森脇の後に登場した、ミドル級のフィリピン代表、これまたサウスポーのユミル・マルシアルもなかなか強く、初回から優勢、左のヒットを重ね、反撃してきたアルジェリアのユネス・ネムシーを右フックで倒す。
再開後もヒットを重ね、ネムシーが瞼のあたりを切ってドクターチェック二度、試合終了。
スロー映像で見ると、バッティングもあったようでしたが。

このマルシアル、世界選手権準優勝の経験があり、日本同様フィリピンでは貴重な重いクラスの選手ですが、なるほど強い。
森脇唯人もいずれ、このレベルに追いついてくれたら、それこそメダル云々の話が出来るようになりますね。



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史上初、女子ボクシングメダル確定 入江聖奈、準々決勝で判定勝ち

2021-07-29 06:33:59 | 関東ボクシング



昨日はいつものネット配信だけではなく、NHK-BSで、ボクシング競技の生中継がありまして、レコーダが検索で拾って録画してくれました。
知る限り、ここまでただの一試合もTV放送がなかったボクシング競技ですが、以前から予定されていたのか、急遽なのかはわからないんですが、何しろ女子ボクシング初の五輪メダル確定なるか、という女子フェザー級準々決勝、入江聖奈vsマリアクラウディア・ネクタ(ネシタ、と実況は言ってましたが)戦があるがため、なのでしょう。
それ故か、入江の試合が終わったら、他の試合には目もくれず、他競技の中継に切り換えてしまいましたしね。いやはや...。


試合ですが、親の欲目か、えらく欲張りな名前のルーマニア代表は、左右のストレート連打で押し込み、攻勢を取ろうとする。
対する入江は、正確な左ジャブを突き、適時、右のストレート、クロスを決めていく。
初回は3対2と割れてましたが、二回は再三ワンツーが決まり、5対0。
最終回はまた少し競ったかと見えましたが、判定は3対2ながら入江の勝利、となりました。

入江聖奈、良い左があるし、右の後続打もしっかりまとめていて、これでスプリットになるのはよくわからん、というクリアな勝ちに見えました。
これで女子ボクシング初の銅メダル以上が確定。日本ボクシング界、男女合わせて通算、6人目のメダリスト誕生となります。
各競技、連日金メダルラッシュぽいことになっているらしいですが、ボクシングの話題も、何とかそこに割り込んでいってほしいですし、さらに上の試合でも、健闘を期待です。



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他の階級も、とてもじゃないが全部は見られずにいますが、ライトヘビー級の有力選手のひとり、英国のベンジャミン・ウィテカーは、ちょっと目を引きました。
191センチの長身から、長いジャブを突き刺して、重いクラスにもかかわらず、相手のパンチをひらり、ひらりという感じの身のこなしで躱していく。
この長身、体格でよくもまぁ...凄いなぁ、と。
プロになるとしたら、英国では人気クラス?のクルーザー級で活躍するのでしょうか。
もっとも、なまじ、あんな避け方が出来てしまうのも、階級の選択によっては良し悪しあるかも知らん、と思ったりもしますが。


このウィテカー君、なかなか愛嬌のある子でした。
試合終了後、まず相手のコーナーに挨拶。
判定勝ちのコールを受けてダブルピースをかまし、続いてカメラ目線で「かめはめ波」のポーズを決める。
そして相手と笑顔で健闘を称え合い、相手がリング降りるときにロープを広げて「どうぞ」とやってたり。
すごく「エエ子」な感じでもありました。
何も知りませんが、すでに母国じゃ人気者なのかもですね。けっこう男前でしたし。



こういう、普段見る機会のないアマチュアボクサーのキャラクターなども、ちらほら見られるのは楽しいことです。
何かと剣呑な感じを演出しがちなボクシングの世界ですが、五輪ならでは、スポーツマンライクで朗らかなボクサーの姿があって良いではないか、と思いますね。



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2-0ではなく、2-3 岡澤セオン、ロンドン五輪金に惜敗

2021-07-28 06:30:52 | 関東ボクシング



東京五輪、ボクシング競技はこちらでライブ配信がありまして、全部見ろと言われても不可能ですが、見られる限りの試合はチェックしております。

一回戦のうちは、一部の優勝候補や有力選手がシードされていましたが、日を重ねるにつれ、一見して「おお」と思うような選手がちらほら、目につき始めました。
昨日はヘビー級、ベスト16に出た、キューバのフリオ・ラ・クルスがそうでした。
ライトヘビー級リオ五輪金で、全階級通じてもキューバの大エース、という位置付けの選手だったそうで、今回は階級上げたのがどう出るか、というところですが、確かに小柄ではあるが、まあ巧いこと。感嘆するのみ、でした。



日本勢は全員、初戦突破。成松大介の負傷による棄権は残念でしたが。
先日「せやねん」にも登場した岡澤セオンは、ウェルター級ですが一部では上位進出を、或いは優勝も、なんて展望記事もあるくらい期待されているようで、本人もアマチュア、とされているボクシングルールでは相当自信あり、というコメントをしています。
一回戦は、過去に一度惜敗したインドの選手にクリアな勝利。
しかし、二回戦は、ロンドン五輪では一階級下のライトウェルター級金メダルを獲得した、ロニエル・イグレシアスに惜敗しました。


初回は岡澤がよく動いて、右ジャブをボディへ送り、左も。ヒットの数で上回る。
2回、イグレシアスがプレッシャーを強める。というと聞こえは良いが、ゴング後に打ったり、離れ際、ブレイクの後も打つなど、ラフというか「タチ」が悪い。
しかしレフェリー、その辺はあまり注意しない。これで通るのか?と見ていて不思議。
と思いきや、ラビットパンチを取ったのか、イグレシアスに減点。
岡澤も懸命に手を出し、競った内容。

3回、イグレシアスが強引に出て支配。
岡澤がバッディングされ、後退したところ、レフェリーがカウントを取る。
自動的に10-8になるわけではないが、ヒットと見做したということか。どう見たらそうなるのか、理解不能。
これが自動的にジャッジ5名との共通認識になるのか?というところも、判然としない。
ラウンドの内容自体はイグレシアス優勢でしたから、関係ないといえばそうかもしれませんが。


判定はスプリット、3-2でイグレシアス、とコール。岡澤膝をついて悔しがる。
しかし、採点の数字を見ると、29-27のスコアで、二者が岡澤を支持。残り三者は、28-28。
これだと2-0なのだが、この三者が揃って、イグレシアス優勢、としたため、3-2でイグレシアスの勝利なのだとか。


トーナメントだからドローで済ませることが出来ず、勝敗を決めねばならない、それはプロの新人王などのトーナメントでも同じですが、さすがにこれは。
一方が過半数の支持を得ていない場合は、例えば警告や減点を受けた側が負けとか、合計ポイント数で決めるとかすればいいのに、というのは、プロのトーナメント形式の試合でも思っていたことですが、5人ジャッジ制で二者の支持を得て、あと三者がイーブンなのに負け、というのは...ルール上問題はないんでしょうが、ちょっと納得感がないですね。
こんなことがあるのか、と、何も知らんもので、びっくりしました。


岡澤セオン、初の五輪は二回戦で終わりましたが、ウェルター級で五輪に出て、曲がりなりにもキューバの元金メダリスト(その闘いぶりには感心しませんでしたが)相手に渡り合ったのですから、まずはその健闘を称えたいところです。
本人は「また五輪に戻ってくる」とコメントしたようで、アマチュアボクサーとしての誇りを語っていたとおり、そのボクサー人生は五輪、及び世界選手権の場において「勝負」するためのもの、なのでしょう。
今後の、さらなる健闘に期待したいと思います。



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これも「呪い」の続編か 澤田vs定常負傷ドロー、王座空位のまま

2021-07-27 14:28:13 | 関東ボクシング





ということでBoxingRaiseでは昨日、日本バンタム級タイトルマッチのライブ配信がありましたが、それには間に合わず、アーカイブに置かれた動画を結果知らずで見ました。
ただ、動画の時間が10分くらいだったので、ありゃ、このカードで早いラウンドのKOがあるとしたら...澤田京介かな?いや、技巧の選手が速攻仕掛けるパターンも希にはあるか、ならば定常育郎が?と、まあ要らんこともあれこれ思いつつ、見始めました。


初回、澤田は対サウスポー、それもやりにくそうな定常相手に、足使って動いて、当てて行く。
定常、ワンツーで探るような打ち方をしてしまい、身体が中途半端に「前残り」した瞬間、澤田が外して即、右ストレート。
左フック返しも入り、定常がダウン。

ダメージありそうな定常に、澤田が右カウンターを決め、連打する。ゴング間際、定常左返す。

これは澤田のKO奪取か、と思ったのですが、2回早々、バッティング。見た目以上にきつく入ったようで、両者ともに出血。
これがまた、両者揃って続行不可能か、とさえ見える出血量で、当然試合は打ち切られ負傷ドロー。
王座は空位のまま。両者の治癒を待って再戦する運びだそうです。



過去にも触れてきたとおり、ここ数年「呪い」と表現されるほど、様々なトラブル続きだった日本バンタム級王座ですが、今回もまた...でした。
何か「呪い」の影がまだ払拭されていない、という絵を見せられたような気がします。
階級世界最強のボクサーがいて、その弟も国内レベルではアタマ一つ抜けていて、地域タイトルもまずまず充実したタレント同士のカードがあるバンタム級で、何故かナショナル・タイトルだけが、こんな感じ。不思議というのか何というのか。

ただ、国内最高のボクサーがこのタイトルを争奪し、手にして、それに上位が挑むという形になっていれば、そもそも...という気はします。
世界ランキングが自動的に附随してくるわけではないタイトルですが、時の王者がその価値を手にしていれば、その問題も解消されるわけですし。
例えば、ここ数年の情勢で言えば、井上拓真に「持たせて」おけば「呪い」などとは無縁だったのに...と、昨年までなら言えたんですが(余談)。


話は戻って澤田京介、散々待ったタイトルマッチの機会で、この結果は残念無念でしょう。
定常育郎も同様でしょうが。救われた、というのでなく、逆襲の機会を失った、と本人は思っているでしょうし、そうあるべきだと思います。
また辛く厳しい鍛錬の日々を経ることになりますが、再戦の場で、今度こそ「決着」を見せてほしい、と思います。




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若手ボクサーの奮闘続く 大橋哲朗連敗脱出、亀田京之介KO勝ち

2021-07-26 06:32:28 | 関西ボクシング




ということで土曜も日曜も、あれこれある上に、五輪のライブ配信もあって、なんやかやと賑やかな週末でありました。
全部ライブで見るのは到底不可能ですが、とりあえず関西の試合について、簡単に。



神戸の真正ジム興行では、技巧のサウスポー大橋哲朗が連敗脱出。
日本14位の青山功が強い右ストレートで入ってきた序盤は、連敗脱出のプレッシャーもあったか、動きが硬かったですが、3回以降は左ボディストレートが増え、持ち味のダッキングを怠らないサイドステップと、上下のコンビネーション、その合間に狙うカウンターなどが徐々に増え始める。
6回まで連取と見えたが、ラスト二つは青山も奮起、それ以上の「詰め」はならず。
とはいえ、判定は問題なく大橋。大差とは思いませんでしたが。

大橋、コロナを待たずして?新人王戦以降、ハード路線を歩んでいますが、やっと勝ち星に恵まれました。
身体作りを含め、全体的に伸びていけば、良いタイミングのパンチをあれこれ持っていますんで、今後に期待です。



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BoxingRaiseで配信された、金曜の府立夜の部メイン、亀田京之介と奈良井翼の若手対決は、亀田が2回、右ヒットから攻め込み、打ち合いの中で逆にヒットを喫する危機もあったが、クリンチで逃れた後、奈良井の左アッパーにカウンターの鋭い左フックを決め、ぐらついた奈良井を逃さず、右で強烈なダウンを奪い、レフェリーストップ。
奈良井は立ったものの、このストップは妥当と見ました。パンチのある選手だけに、可能性はゼロではなかったかも、ですが。

まあ、東西通じて、敵地では「止められる理由を見つけたら、止める」レフェリングが横行している、というのもまた、現実ではあります。
もっとも、より深刻な問題なのは「逆」の場合、ですが、それはさておき。



亀田京之助は、従兄弟の三兄弟とは違う路線で、新人王出場から国内若手対決に進み、見事な勝利を収めました。

前回の浅井大貴戦もそうですが、体格とリーチを生かした闘いに徹する、という新人王戦の頃のイメージにとどまらず、打ち合いの中で果敢に「勝負」して、結果、見事なノックアウトに繋げる、という試合ぶりが、これで二試合続いたことになります。
ことに今回のKOは、一見した「絵」として、スペクタクルな、という表現がぴったりでした。
もちろん、これで今後、上のレベルでも前途洋々、と言い切れはしませんが、少なくとも日本ユース王座を手にしたのですから、例えば一度敗れた前田稔輝との再戦などを、堂々と呼びかけうる立場に「浮上」したと言えるでしょう。



敗れた奈良井翼は、打ち合いの中で好打した場面もありましたが、初回から多少、距離の遠さ、懐の深さを感じていたところが、激しい攻防の中で決定打を喫する要因だったか、という印象でした。

新人王MVPという肩書きについては、正直、決勝で耐久力の落ちる相手に当たって初回KO勝ちをした、という以上の内実が見えない、と率直に思っていたので、今回の試合で真価が、というと大げさなれど、ボクサーとしての全体像が見えるか、と思っていました。
結果は敗北でしたが、好機に見せたパンチやスピードは、やはり良いものを持っている選手だ、と思えました。
きちんと「勝負」した上での初黒星、恥じることなどないもので、挫折を乗り越え勝ち上がってきた亀田京之介同様、こちらも再起に期待、ですね。




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激戦制した23歳、足を止めない43歳 加納陸と野中悠樹、揃って勝利

2021-07-24 06:00:28 | 関西ボクシング




昨日は府立の二部興行、一部はYouTubeでライブ配信、二部はライブではないがBoxingRaiseの動画配信あり、ということで、会場には足を運べませんでしたが、その日のうちに一部はチェックすることが出来ました。


WBOアジアパシフィック、ライトフライ級タイトルマッチは、加納陸が二度のダウンを喫するも、右アッパーやボディ攻撃の猛攻で、九州の雄、榮拓海を9回、逆転TKO。

正確で強い榮の右を初回にもらった時点で、鼻の辺りが赤黒く見えて、何か重篤な負傷でもあったか、と見えた加納。
2回に同じような打たれ方で倒れた上に、その後連打で持ち直したかと思ったら、5回にボディだったか、打たれて再びダウン。
厳しい状況ではあったが、その前後から変わらず、果敢に上下の連打で攻め続け、8回の右アッパー、そして9回、連打から左の好打で榮を捉え、打ち込んでストップでした。

15歳の海外デビュー、18歳で世界ランカーに勝ち、高山勝成とWBOタイトルで対戦、という路線で敗れ、その後も日本タイトルを含め、痛い星を落とした加納でしたが、23歳の今、平井亮輝と榮拓海に連勝し、再びその評価を高めています。
もちろんこの上という話なら課題もありましょうが、一見優男な風貌に反する、激戦も厭わぬ闘いぶりには、目を引かれるものが確かにあります。



セミというのか、ダブルメインというのか、その加納より20歳年長、43歳の野中悠樹は、越川孝紀を多彩な左とフットワーク、ボディワークの
防御で捌き、判定勝ち。
序盤にダウンを奪うベストパターンとはいかなかったものの、足と上体を動かして外すボクシングで前半リード、中盤から終盤は多少スピードが落ちても、リードを元手に試合を回す。
野中の勝ちパターン、その雛形という感じの試合でした。

と、簡単に言えばそうですが、43歳になって、フットワーカーとしてのボクシングを普通にやっていること自体、驚異的です。
だいたい、ベテランになるほど、足が止まるのが相場ですが、彼は自分のスタイルを変えずに闘い続けています。
よくベテラン選手が「年齢はただの数字」と言いますが、正直、そんな簡単に言えることかな、と思うこともあります。
しかし、この野中の姿を見ると、彼がそう言うなら「その通り」と思わざるを得ないですね。説得力が違います。



それにしてもこの一週間強、国内でオンデマンド花盛り、というのみならず、その試合内容が悉く劇的で、見どころ多いものばかり、という印象です。
昨日のメインにしても、タイトル云々を抜きにしても、軽量級国内上位同士という好カードでしたが、やはり組んだ甲斐は、こういうところにあるのだなあ、と思う試合内容でした。

もちろん、選手の皆さんは、心身共に大変な思いをしているのでしょうが、同時にそういう試合を闘える幸福が、さらにいうならボクサーとしての本懐、ともいうべきものが、数々の試合を通じて見られた、という実感があります。
そして、そういう試合が、TV放送の枠、誼、柵を越える形で、多くの人の目に触れてほしい、その可能性を信じたい、そんな気持ちにもなりました。



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ということで、一曲。
吉川晃司 “Speed” です。







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今日と明日、二日連続で関西ボクシングのライブ配信あり

2021-07-23 07:00:19 | 関西ボクシング

ということで今日と明日、二日連続で関西ボクシング興行のライブ配信があります。

今日、いつもは兵庫は三田で興行している、元OPBFウェルター級チャンピオンが会長の「丸元大成ジム」が、難波は府立の地下「エディオンアリーナ第二競技場」にて、ダブルタイトルマッチを開催。

WBOアジアパシフィック、ライトフライ級タイトルマッチは、加納陸vs栄拓海。
世界再挑戦を目指す加納と、かつてWBO1位まで上った九州の雄・栄、サバイバル戦というところでしょうか。
同ミドル級は、4243歳にしてフットワーカーの野中悠樹vs移籍初戦の越川孝紀。
※年齢を間違っておりました。訂正します。

このほか、アンダーには関西リングでお馴染みの顔ぶれが並ぶ。
松岡新vs見村徹弥...は中止になったようですが、諏訪亮vs岸根知也、村井貴裕vs山本龍児など「見たことある」選手同士のカードばかり。
デビュー戦の選手が多い4回戦は、その限りではありませんが。

配信開始は12時30分から、という予定になっています。多少前後するかもしれませんが。
こちらから見られると思います。







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明日は真正ジムのリアルスピリッツ。こちらはお馴染み神戸から。16時頃より開始、となっています。
メインを張るのは、先日のフェニックスバトルでも、若手としては抜きん出た強さを見せた高山涼深と闘い、敗れたもののダウン応酬の激闘を繰り広げた大橋哲朗。
その後、久高寛之とも熱戦の末、僅差で敗れて連敗中ですが、その試合内容は素晴らしく、関西リングの貴重なキャストとして、まだまだ今後に期待したい選手です。







こちらは BEFORE MOVIE となっていて、ここから配信が見られるのかはちょっとわかりません。
別に動画が置かれるのかもです。



これで、先週土曜から、8日間で5興行が、何らかの形でライブ配信されることになります。
視聴者の数や、興行の規模や注目度、試合内容への評など、本当に様々だと思いますが、やはりボクシングはライブで見られるなら、それに越したことはない、というのだけは確かです。
この二日間、個人の事情を言えば、じっくりネットを見られるかどうかはわからないのですが(困)、出来る限り多くに見られるように、と願っています。



話は戻って、今日の府立は二部興行で、夜の部ではハラダジムの亀田京之介と、全日本新人王MVPの奈良井翼が、フェザー級の日本ユース王座を争います。
これはBoxingRaiseで、ライブではないですが動画配信あり。
BoxingRaiseといえば、来週月曜、26日の日本バンタム級王座決定戦、澤田京介vs定常育郎のライブ配信があります。
こちらも要注目。タレント豊富なクラスの日本タイトルマッチが、やっと、やっと行われますね。




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最強王者に、さらなる脚光を ユーリ阿久井、痛烈KOで防衛

2021-07-22 16:43:24 | 関東ボクシング



ということで昨日はdTVにて、ライブ配信を楽しく見ておりました。
とりあえずメイン、簡単に、とはいかないですが、感想。


ボクシングビート誌で特集されてましたが、ユーリ阿久井政悟と桑原拓含め、この1995年生まれ世代は、好選手が目白押しなんだそうです。
普段、そういう観点でボクシングを見ることがないので、へー、と驚きました。
この辺、ビートの特集は、その都度注目すべきトピックスを捉えるセンスに優れていて、しばしば感心させられるところです。


ということで同級生対決でもあった日本フライ級タイトルマッチ。
初回、阿久井が圧して出る。桑原足と連打が速い。予想通りの「絵」。
後は阿久井がどの程度、桑原に窮屈な思いをさせる位置取りを繰り返せるか、それとも桑原が追われる中に、常に「逃げ」る先のスペースを確保しつつ動けるか、というところ。

そして、初回早々、桑原がしばしば、ロープ際で、もう後ろには身体を動かすスペースがないところに追われ、立たされているのが見える。
足は動くし、速い連打もある。しかしもっと「下がる」選択を出来る位置取りをし、余程丁寧に外さないと、台無しになる...と思っていたところ、桑原が左突いて、動くのでなく右を出したところに、阿久井の右ショートが炸裂。桑原、早々にダウン。
ダメージは序盤故にまだ何とかなる?にせよ、初回早々痛い失点。

2回、桑原は立て直した、とは言える奮戦。速い連打を繰り出し、足で捌く。
しかし阿久井が強い右を数発ヒット。桑原、打たれると頭や身体が大きく動く。
採点上、印象、ではなく評価として、阿久井にポイントが行く(べき)だろう、と見える。阿久井。

3回、桑原動いて阿久井が追う。ロープ際で左フックの相打ち、桑原の方が打ち勝って追撃。
阿久井、右から左返す際に、スウェイした桑原を追った分、ワイドオープンになった。桑原。

4回、同じ展開。桑原、右ボディストレート打ったあと「走って」逃げる。足がよく動く。
しかし速い連打を当てる度、阿久井の正確で強いパンチを食って、ポイントを「相殺」されてしまっている。
ロープ際で阿久井の右、桑原がのけぞる。それ以外の攻勢、攻撃も加えて、この回はやや阿久井か。

5回、微妙な回。どちらにも振れる印象だが、やや桑原か。
途中採点、2-0で阿久井。阿久井リードの採点が妥当と思えるが、思い通りの数字が出たことに、多少驚きも。


6回、採点を楽観はしていなかった?阿久井が、少し余裕を持ったか。
桑原はボディから速い連打も、右、返しの左と、単発ながらヒットを喫し、身体が後ろにずれる。やや阿久井か。
7回、桑原左ボディを3連打など、奮戦。阿久井も反撃するが、桑原。
8回、桑原の奮戦続く。左右フックを連打し、阿久井の単発を上回る。桑原。

9回、阿久井の肩越しの右が、良いタイミングで3度ばかり、桑原を脅かす。左フック相打ちはやや阿久井か。
桑原疲弊、ダメージが顔に出ている。阿久井の回。

10回、桑原コーナーから速い連打、左フック好打。しかしロープを背負った位置で右をヒットされ、ダウン寸前。
この後打ち合ってスリップ。足の速さがなくなり、阿久井にしっかり追われ、打たれる。
もう動くのでなく、速い連打でなく、右を振って反撃しようとするが、いかにも危うい。
そしてラスト15秒くらいか、阿久井のワンツーに対し、カウンターのつもりで右を振ったが、完全に遅れる。
阿久井の右が先に入る、一番危ないカウンターを食って倒れると、即座にレフェリーが試合終了を宣告しました。



展開としては、パンチャー対ボクサーが、互いのスタイルを貫けるのはどちらか、というところで激しく争った、中身の濃い試合でした。

桑原拓に関しては、過去の戦績、試合内容からして、今、ユーリ阿久井政悟と組んで「好カード」と言える段階なのかどうか、若干微妙かも、と心の片隅で思っていましたが、結果は及ばずとも、内容的には充分、善戦健闘だったと言える闘いぶりでした。
ただ、序盤からあれだけ深く踏み込まれ、追われる展開は厳しいもので、速い連打を当てて、足で捌いても、再三好打されて頭が、身体が後ろに動くと、採点上はもとより、ダメージも溜まっていき、勝ちパターンが遠のくばかり。
さらに連打を増やし、ボディも打ち、と打開を図っていましたが、最後は刀折れ矢尽き、という感じでした。


ユーリ阿久井政悟、懸命の闘いを見せた挑戦者を、初回と最終回に倒す、劇的なKOで退け、王者としての価値をまた上昇させた、見事な勝利でした。
速い連打と足を持つ相手に、慌てず騒がず、無理や無駄のない位置取りで追い詰め、強打はしても強振はしない、という感じの右で脅かす。
相打ちの左を食い、ボディも打たれていたように見えましたが、ほぼ揺るがず。展開を譲ることなく闘い抜き、最後は見事に仕留めました。

「評」云々は置くとしても、ぱっと見た「絵」として、これだけ、一見してわかりやすい風格と迫力を兼ね備えた選手は、近年の「日本フライ級チャンピオン」の中でも、そうそういないのでは、と思います。

今回、オンデマンドでライブ配信、そして解説井上尚弥、という場で、王者としての実力を存分に見せたことが、彼の今後をさらに切り拓いていく...のかどうかは、今回の配信が、視聴者数などの面で「成功」したか否か、にもよるのでしょう。
しかし今後、例えば木村翔のようなビッグネームと、同様の興行、配信形態のもと闘うとなれば、彼はさらなる脚光を浴びることでしょうし、また、そうあってほしい、そうあるべきだ、とも。



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今回はとりあえずPCに繋いだテレビ(40インチくらいのやつ)で見ましたが、スマートTVでもアプリ入れたら見られたと思います。
ただ、ブラウザによって不具合があるのか、chromeでは見られず、Edgeにすると見られました。
ライブコンテンツだから、事前に視聴出来るか確認したかったんですが、それが出来なかったため、冒頭部分が見られませんでした。
プレビュー動画でも置いといてくれたらいいのに、とその辺、少し不満もありました。

あと、視聴は一発勝負ってことだったんですかね。今のところ、アーカイブが置かれていません。こらまた厳しい。
この辺は、やることなすこと適当、と普段文句ばっかり言ってるDAZNさんに比べ、非常に不便というか...如何なものか、と思います。


しかし 試合自体はどれも熱戦で、先の八王子や刈谷に引き続き、ライブ配信で非常に充実した興行を、全部丸ごと見られて、大変満足しています(^^)
細かいところは改善してもらうとして、今後も是非、オンデマンドに「余り物」を押しつけるのでなく、これぞ!という切り札的好カード、ビッグカードをどんどん投入していく、という流れを、業界挙げて作っていってほしいものですね。


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本日ユーリ阿久井、桑原激突 配信はあるが、TVの録画放送は?

2021-07-21 00:40:54 | 関東ボクシング





今日はホールで日本フライ級タイトルマッチがあります。
初回KOアーティスト、ユーリ阿久井政悟か、大橋ジムのホープ桑原拓か。
要注目のメインに、アンダーも充実した興行。
これが記事にもあるとおり、ひかりTVとdTVで、ライブ配信されます。
私は今まで、どちらも視聴したことがなかったんですが、今回はdTVで見てみよう、と思っています。


で、いつもなら週末深夜に録画放送をするフジテレビですが、今回に関しては、放送予定がないらしいです。
今のところ、Twitterにも出てません。
この辺、急遽、ということがあるかもしれませんが、今のところは。

今日、人に教えてもらって、あー、そういうこともあるのか、と驚いた次第。
今後予定されている、井上拓真vs和氣慎吾や、平岡アンディvs佐々木尽などはどうなるのか...ちょっと気になりますね。



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さて、ボクシングのネット配信といえば何と言ってもA-Signチャンネルです。
土曜日の八王子興行は、全5試合がKOで決着し、内容もあれこれ賑々しいものばかりでしたが、A-Signチャンネルで、いちんち一試合ずつ、アーカイブが置かれています。
とりあえず二試合ぶん、ご紹介。







メインに負けない、トンデモ試合というか、あり得へん、という逆転劇です。








牛島祥吾のフィニッシュブロー、ライブ配信のときはカメラが近すぎて映ってなかったんですが、このアーカイブでは別角度の映像に差し替えてあります。
これは「ええ仕事」ですね。有り難いです。
都合の悪いところは二度と映さん、みたいな、どこぞのTV局よりも上です(笑)。



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