さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

今頃剥奪/油断禁物/後から言われても/IBF新王者/存分に/遂に返上

2014-01-29 05:12:29 | 話題あれこれ

初黒星のブローナー、王座剥奪。

最初、へ?と思ったんですが、WBCライト級王座のことだったんですね。
これ、まだ保持を認めていたのか、と今頃気づいたようなことです。

ほんとに、統括団体のやることって、さっぱり意味がわかりませんね。
マリナッジとやって勝ったの、確か去年の6月頃だったと思うんですが...。

ということでオマール・フィゲロアが正規王座に昇格。当然ですね。
さて、ここにホルヘ・リナレスvs荒川仁人戦の勝者が挑む形になるんでしょうか。

というか、このカード本当にあちらでやってしまうんですかね。
良い話だと思う反面、ちょっと...何か悔しいな、とも思う、心の狭い自分がいます。

========================================

マニー・パッキャオの次戦は、4月にティモシー・ブラドリーとの再戦とのこと。

一度負けた相手とはいえ、危険かというとそうではないかな、という見方もあるようです。
確かに前回、不調だったパッキャオでしたが、それでも、負けという判定に誰もが驚いたわけですし。

ただ、王者としてプロボドニコフ、そしてあのマルケスに勝ってきたブラドリーを、
前回と同じだと思うことは出来ません。

容易い勝利はボクサーを弱くする、とはかのモハメド・アリの言葉ですが、
その逆に、強敵相手に生き残ってきた事実は、ブラドリーに自信を与え、
より巧く、強く、冷静で逞しいボクサーに変えているかも知れません。

パッキャオは、油断もあったとされる前回の試合前の行状への反省を含め、
この再戦において、厳しく引き締めて、自分のベストを出さないといけないでしょう。
それが、すごく大まかな分類になりますが、スピードとテクニックで勝つボクサータイプ、
という点で共通する、あの標的との対戦に向けたアピールにもなることでしょう。

========================================

石田のヘビー級ランクインは見送り、とJBCが裁定したとのことです。

正直、よくわからん話です。
実戦で実力を証明せよ、ってことなら、最初からあんなスパーやらせる意味があったのでしょうか。
あのスパーの内容が云々、といいますが、仮に内容が良ければ良いで、耐久性やスタミナに疑問は残ります。
いったい何をどうすれば、あのスパーで、ランキング入りが認められたのでしょうか。
それなら最初から、ランカーやそれに次ぐ選手との実戦を要求すべきでしょう。

選手の数が少ないのに、タイトルマッチを開催したこと自体問題のある、JBCの興行優先姿勢に
ランキング委員会が歯止めをかけた、という意味合いも含め、この判断には、それなりに妥当性がありはします。
しかし、選手にしたら良い迷惑です。スパーをやらせる以前に言ってくれ、という話でしょう。

石田が怒っているというのも理解出来ます。
もう、ミドル級に戻して、海外の試合オファーを受けてほしいですね。

========================================

IBFフライ級タイトルマッチ、動画です。




アムナート、序盤は構えも良くて、速くて敏捷ですが、徐々にフェンテスの圧力に押されます。
最初は、勇利を破ったチャッチャイ・サーサクンぽく見えましたが、すぐに構えがほどけてしまい、
そういう硬質な印象は無くなっていきました。

もちろん、フェンテスの力があればこそ、そういう展開になっていったとも言えます。
アムナート、自分の間合いで好きにやらせたら、なかなか攻略し難い王者かもですね。
日本勢の挑戦は、今後あるんでしょうか。
日本に呼べたら何とか、とついつい思うところですが、甘く考えない方がいいかもです。

=======================================

下田昭文、流れたかと思ったマカオでの試合が決定。
元王者メルビン・ソンソナとの10回戦だそうです。

タイトルマッチじゃないのは改めて残念ですが、ここで良い試合をして勝てば、
広く注目を集めることは間違いないでしょう。
あまり意気込み過ぎずに冷静に、しかし思う存分にやってほしいところですね(^^)
こういう興行への日本人ボクサーの出場は、もっと数多く見たいものです。

=======================================

ローマン・ゴンサレス、正式にWBAスーパー王座を返上。

減量苦もあり、フライ級進出の希望もあり、ということなのでしょう。
しかし一昨年末の「棚上げ」の影響か、この一年、ろくに防衛戦も行わぬロマゴンに対し、
コンスタントに試合を重ね、しかし統一戦は「待ち料」を払って回避する「下」の王者、という、
この倒錯した、馬鹿げた状況はいったい何なのだ、と、改めて嗤いたくもなります。

佐藤洋太が引退式で発した「ボクシングはビジネスではなく、ロマンだ」という言葉は
この状況に関わった全ての関係者にとり、まさしく馬の耳に念仏なのでしょうね。

ボクシングとは、いったい何のために存在し、その試合は、何のために闘われるのか。
社会はその存在を何故許容し、人々は何故それを見るのか。
選手と興行者が、その時々の経済的利益を得ること「だけ」が、その理由なのか?

今一度、問い直してもらいたい...とは、今更言っても空しいだけですが、
少なくとも我々は、王者を自称する数多の「タイトルホルダー」たちの内実を厳しく見て、
心の中で選別することで、念仏を唱えても無意味な「馬」たちの行状に、対抗していくしかないのでしょう。
単に好きで見ているだけのものに対して、何ともしんどく、面倒くさい話ではありますが...。

いずれにせよ、ローマン・ゴンサレスの、フライ級での活躍には期待が膨らみますね。
エストラーダ、八重樫、アムナートといった王者たちに、ジョバンニ・セグラ、コンセプション、
そしてエドガル・ソーサといった元王者たちも、まだまだ元気です。

どの相手と闘っても、好ファイトになりそうですね。またWOWOWで見られると嬉しいんですが。
というか、ひょっとしたら、来日もある...のかも?


コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

功罪やや罪重し/早期切り捨て希望/突然の決定戦/返上返上、また返上/「状況固定」の退屈

2014-01-21 22:15:51 | 話題あれこれ

しばらく観戦予定もないので、話題あれこれと。

=========================================

WBCプレジデント、ホセ・スライマン死去

功績や業績は枚挙にいとまが無い反面、ボクシング界における「公」のモラルを破壊し、
人脈、コネ、よしみ、言い方は何であれ、様々な癒着、ご都合主義を団体運営に持ち込んだ人物でした。
その体制を何期何年か数えるのも面倒なほど長きに渡って維持し続けた間に、
世界のボクシング界は、取り返しのつかない変容を遂げ(てしまい)ました。

そのことに対する評価は死してなお、厳しくなされるべきである、というのが私の個人的な見解です。
功罪相半ば、という言葉がありますが、功四割、罪六割、というのが実感です。これでもやや甘いかもですが。


確か本田秀伸の世界戦の時でしたか、大阪の会場で、リングサイドで観戦していたとき、
メイン直前に目の前を歩いて行ったのを、間近で見たことがあります。
何というか「悪人面」が地球一周して帰ってきたような顔やな、と思った記憶があります。
良くも悪くも、そんじょそこらにいるような人間やないな、この人は、と。

まあ、私の見方はともかくとしても、毀誉褒貶かまびすしい人物でありましたが、
ボクシング界に絶大な影響力を持つ人物であったことは間違いないでしょう。
ご冥福をお祈りします。しかしWBCの今後は、どうなるんでしょうね。ちと心配です。

=========================================

IBF会長ダリル・ピープルズ、来日へ。

お馴染みの THE PAGE によりますと、件の「大阪コンフィデンシャル」の事情説明と釈明、謝罪のため
自発的に来日する、とありますが、デイリースポーツでは「JBCの要求に応じて」という表現です。

もしこれが、亀田プロモーション主導による来日であれば、また色々ややこしいでしょうけど、
JBCが「JBCを取り、亀田を切る」選択をIBFに強いるのであれば、感情的には嬉しい話ですね。
もちろん過去にも書いてきた通り、それだけで頬被りというのは、納得し難いですけど。

それにしても、この話、さっさと片付けてもらいたいものですね。
いうたってあっという間に2月です。村田のマカオ興行もすぐです。
4月には長谷川のみならず、その他のボクサーの試合もあれこれと話が出てくるはずです。
その前景気を煽る助走期間といいますか、その時期に、汚い名前をあれこれ話題にしたくないですし。

=========================================

お馴染みロッキー・フェンテス、遂に世界戦出場
IBF王者ムサレーンは、フライ級時代にドネアとも闘った強豪ですが、何故か王座返上。
挑戦者アムナット・ルエンロエンの対戦相手に急遽抜擢、とのことです。

それなりに「おお」と思う話題ですね、これ(^^)
奈須勇樹との初戦で初めて見て以来、何度も来日しては勝ち続けている実力者ですが、
なんと試合期日が明日。急なお話で...というどころの騒ぎじゃありませんね。
相手が元々試合予定だったことを考えると、極めて不利な条件ですが、
何とかベターな状態であってほしいと願うばかりです。

アムナットは、よく専門誌でも取り上げられていた、元トップアマで、
井岡一翔やゾウ・シミンにも勝ったことがあるのだそうですが、今回の試合時で34歳。
フライ級でこの年齢の世界王者って、あまり聞いたことがないです。
色々興味深いカードですね。明日ネットで見られるかなぁ...。

=========================================

戸部洋平戦が決まっていると報じられていた帝里木下、日本王座を返上

しかし今年は、カーニバル前の王座返上が多い年ですね。決定戦ばっかです。
これは四大王座認可のデメリットのひとつか、と思ったりもします。
帝里に関していえば、瞼の負傷が理由で試合が延びるのかな、と思っていたら、返上となりました。
おそらく、世界挑戦の具体的な話があるのかも知れませんね。

防衛回数自体は延びていたし、ランキングも上昇していましたが、
試合内容に関しては、日本王者として盤石とは言えないという風に見ていました。
ここらへんは大場浩平についても同様です。個人的には残念に思います。
未完成ながら素質は感じる、戸部洋平との試合で、
そういう私の辛い見方を覆してくれるかな、と期待してもいました。ちょと残念です。

=========================================

月曜日、WOWOWで放送ありました、やっと決まったリゴンドーの試合。
軽量級最高のスーパースターだったドネアに完勝しても、なかなか試合が組まれず、
やっとアグベコみたいな、名前のある相手と試合が出来たのに、さっぱり盛り上がらない。

客席は、どこの前座よ、というくらい空席だらけ。試合内容も高度なれど平板。
リングサイドの3列目くらいのとこでで、ガキ...もといお子様が、
なにやら携帯ゲームみたいなのに勤しんでいる様子が見えたのには、
さすがにこちらも開いた口が塞がらず...エキサイトマッチであんなの初めて見ました。

別にリゴンドー、何も悪いことしてるわけじゃないんですけどね。
腕から肩、そして背筋の強さから来る、強固な上半身の構えで相手を威嚇し、
それでいて柔軟で速い打ち出しの左を中心に、相手のヘッドムーブやサイドステップを
正確に捉え続けて無力化する、高度過ぎるほど高度なボクシングはまさしく驚異です。

しかし、それとわかっていても何故か退屈、見飽きてしまうのも事実です。
プロ転向直後は、もちろん相手の耐久力も違いましたが、もっと獰猛に相手を倒しに行く風に見えたんですが、
最近、すっかりセーフティーファーストになってしまっていて、しかし圧倒的に巧くて強いものだから、
先の展開が読めてしまうところがありますね。ああ、何も変わらんのだろうなコレ、という。

私は、プロなのだからお客さんを魅了するボクシングを、というような、ボクシング界に昔からある
お馴染みの常套句に対し、あまり共感を覚えなかった方です。
ボクシングは、勝つ、という意志と意志との激突であり、それが時に企まざるスペクタクル、
劇的な試合となることはあるが、ボクサーに対し、それ以上の要求をすることは筋違いであり、
さらにいうなら、選手自身の虚栄心、出世欲というようなものが、不自然に表現されるようなボクシングは、
少なくとも私の思い描くものとは方向性が違っている、と思っていました。

その考えは今でも、さして変わっていませんが、最近のリゴンドーの試合だけは、ちょっとその辺が揺らいでいます。
何というか「状況固定」の展開を作り上げることを、ボクシングにおける至高の芸術性であると考えているかのような
リゴンドーのボクシングを見ていると、いくらなんでもなぁ...と思わずにはいられないのです。

もちろん、ドネア戦でも思ったとおり、ボクサーが目指すボクシング、勝利の形は人によりさまざまなのだ、と
頭では理解していても、やっぱりこれは...まあ、余計なお世話かもしれませんけど、
次の試合がまたいつになるやら、という話も含め、本当にこれでいいのかなぁ、と。

まあ、違う意味で、その行く先が興味深い存在である、と思ったりもするのですが。
本当に、これからどないなるんでしょうね、このお方。


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本初、漢字で書ける三階級制覇へ 長谷川穂積、IBF王座挑戦か

2014-01-18 22:31:04 | 長谷川穂積


少し前に話自体は聞いていたんですが、長谷川穂積の次の試合は、
いよいよ世界戦になるとのことです。

挑戦する対象は、スーパーバンタム級の王者のうち、リゴンドー、サンタクルスは
おそらく興行的、もっというと経済的に厳しいから、除外されたか。
残るはWBA正規スコット・クイグ、そしてIBF王者キコ・マルティネス。
私が聞いた話では前者でしたが、まとまらなかった模様。
結果的に、二重王座の下の方、というのは、話としてややこしいので、止めて正解ですね。


実力的には、厳しい相手の方に行ったな、というのが正直な感想です。
マルティネスは、一度敗れたカール・フランプトン(実力的には、欧州最強と目されます)と
次の防衛戦を闘うという話だったはずですが、この強敵との一戦を前に、
日本から舞い込んだオファーを、利益あるものと見て、受けたのでしょうね。

しかしフランプトンに負けた後、ジョナサン・ロメロとジェフリー・マセブラを連破、
試合内容も充実したもので、勢いに乗っている感じがあります。
攻撃的なボクシングが板についているマルティネスは、おそらく圧力をかけて
強打をもって長谷川を攻め立て、打ち崩しにかかるでしょう。

対する長谷川は、自身のスピードを生かして、もっと大きく動いて外し、相手を引き込んで
速い左を当てていく、という形で闘えれば、現在のタイトルホルダー達、誰と闘っても
五分かそれ以上の試合が出来る、試合を作れると思うのですが、そういう闘い方だと
変にトリッキーになってしまって、どうも安定しない、というのが現状です。

長谷川が集中して、相手のパンチを見切りながら左で切り込んでいき、
合わせ技を決めて、好機に連打を決めるという展開になればいいですが、
やはりそこまで上手く回るかどうか、ですね。

体格、パワーで圧倒的優位だったバンタム、それが通じず苦闘だったフェザー、
そして今回、その間のスーパーバンタムで、攻撃力が自慢の王者に挑む...
正直、どういう目が出るか、ちょっと読みにくいです。
速くて正確な左を、コンパクトな間合いで当てて、防御をしっかりしてポイントを稼ぐ、
これを基本線に、集中して闘えるかどうか、でしょうね。
好打、好機が作れるとしても、それ以外のラウンドをいかに抑えるか、という
地に足のついた発想で、まずは試合を作って欲しいと思います。


と、まあ硬い話はこれから、いくらでも語れることでしょうが、
この試合については、やっと決まりそう、ということ自体がまずは嬉しいです。
ホントに、このまま何も決まらず、なんてこともあるのかな、と思ってましたんで。

もちろん、多くのファンにとってもそうでしょうが、私にとっては、
辰吉丈一郎が去ったのち、長谷川穂積というボクサーの存在は、何よりも重く、大きなものでした。

関西の小規模興行において、タイトル戦線において、そして世界戦において、
彼はその都度、我々が思う最強の相手と闘い、その天性を磨きつつ、徐々に逞しく成長し、
試合のたびに、ファンの思い描く夢を実現してくれた選手でした。

しかし、フェルナンド・モンティエル戦の敗北は、それ自体は嘆くに値しないものであっても、
やはり彼自身や、その周辺に、消しがたい爪痕を残したようです。
フェザー級転向の経緯、初防衛戦前の震災と、試合開催地の変更による動揺は、
ボクサーとしての彼を足元から大きく揺さぶり、王座転落という結果を招きました。

その後、結果として無冠戦を4試合闘えたことは良しと思う反面、
試合間隔も開き加減、出来不出来も試合毎というよりはラウンド毎に波があり、
どうも安定しないなという印象も強く残っているところです。
まあそれも、いかにも長谷川らしいといえばそうなのかも知れませんが。


しかし、直近の試合では、最初から集中した様子で、切れ味も抜群、
攻撃することに関しては、迷いなく立ち上がって、最初の好機で相手を仕留めるという
見ていてすっきりした印象の長谷川穂積を見ることが出来ました。

立ち上がり、見て立つにせよ、攻めて出るにせよ、ああいう吹っ切れた印象の、
我々にはわからない部分も含めて、足枷となる何事かを感じさせない、
軽やかな長谷川穂積の清々しい闘いぶりを、いよいよ決まりそうなこの世界戦で、
思う存分に見せてほしいと、まずはそれを願っています。


長谷川にとり、この試合はそれこそ、ボクサーとしての存在意義を問われる試合になります。
また、事実上、日本初の三階級制覇がかかった大一番でもあります。
ここでやらずしてどうする、勝たずしてどうする、という思いは、
我々が思う以上に、長谷川の心中に燃えたぎっていることでしょう。


試合は4月頃とのことですが、もうすでに、楽しみという言葉を超えた、
待望の思いを抑えられません。
有り難いことに場所は関西なのだそうです。
これはもう、当然見に行くしかありませんね(^^)
はやくこいこい4月頃、という感じであります。

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

若き俊才、失速せず 中谷正義、7戦目で加藤善孝を攻略、新王者に

2014-01-12 07:44:07 | 関西ボクシング

ということで、馬鹿をやって見に来た昨夜の興行ですが、
結果として非常に満足度の高い観戦となりました。

どうも、TV放送はなさそうですので、試合展開を簡単に。
頼りないメモ書きですが。

=============================

加藤善孝は、中谷正義と比べると相対的に小柄。
というか、あまりにも身長、リーチが違って見えて、計量後の体重にも差がありそう。

1R、中谷が長い左を突いて出る。加藤は右を返すも、ヒットは少ない。
加藤が右を振ると、ミスしていても歓声。中谷。
2R、中谷遠い距離から左ボディ。加藤は距離の長さに苦しみ、右のミスが目立つ。中谷。
3R、中谷は左ジャブ、右ストレート、返しの左を上下、という連打。中谷。

4R、加藤が右ヒット、中谷打ち返すが距離が近い展開が増え、加藤がまた右。
近い距離だと加藤もコンパクトに打てる。加藤。

5R、中谷、やや自分から行き過ぎる感、距離が近く、加藤の右ヒット。
しかし中谷、加藤の右をミスさせ、オフ・バランスの加藤に連打。中谷。

6R、加藤ボディ、中谷アッパー連打。打ち合い増える。
両者共に密度の濃い攻防、疲れ気味。
迷う回だが中谷。この回、中谷右目周りを切る、加藤のバッティングによるもの。

7R、中谷、少々疲れ気味とはいえ、思った以上に失速の度合いが低い。
両者右応酬、際どく芯を外す。終盤、加藤の右で中谷が膝か手をついた感じに見えたが
レフェリーはカウントを取らない。微妙。加藤追撃もゴング。
中谷のダメージはさほどではない。しかしこの回は明白に加藤。

8R、中谷が右ストレートを二発ヒット。加藤やや足が止まる。
ここは中谷、行ってほしいと傍目には見えたが、冷静。中谷の回。

9R、打ち合いの中、またバッティングで中谷カット。今度は左。
私はよくわからなかったのですが、違う角度から見ると、
加藤が明らかに頭を振ってぶつけた、とのこと。
この回は迷う回ながら、やや中谷か。

10R、加藤がコンパクトな右。しかし中谷が左フックを二発、加藤効いて自分から下がる。
加藤手数を出して巻き返しを図るが、中谷が外からひっかけるような右。中谷。

11R、加藤右を当てて攻める。中谷も打ち返すが攻勢を取って加藤。

12R、中谷が右から左の返し。左右アッパー。加藤ボディ、右クロス。
激しい打ち合いだが中谷が上回る。中谷。

判定は114-114、116-112×2の2-0で中谷。
私はやや甘く117-111、中谷でした。
ドローの採点は一言、理解不能という感じです。
私は迷った回がふたつありましたが、それを共に加藤に振っても115-113まで。
ドローや逆などあり得ない、という見方です。



このカード、前半中谷が良くても、加藤が中盤から盛り返してくるのは必定で、
その過程において中谷が冷静に距離を取って、競ったラウンドをいくつ拾えるかが問題であり、
中谷逃げ切り、加藤追い上げの度合いによって決まる、接戦必至の試合、と見ていました。

しかし内容、結果ともに、中谷の強さが私の想像を超えていました。
身長やリーチを生かすというよりは、自分から切り込んで試合を作り、
積極的、攻撃的な試合運びが目について、それで加藤を押し切った、という試合でした。

やれスタミナや安定感に不安、加藤の追い上げをどう凌ぐか、ということばかり考えていた
こちらの見方を覆す逞しさを、中谷が見せてくれました。
おそらくこの試合に向けての練習は、相当に充実したものだったのでしょう。
もちろんこの試合だけで、彼の今後を全て、手放しで語るわけにはいきませんが、
少なくとも7戦目でこの相手にこの内容と結果は、十分すぎるほど見事なものだと言わざるを得ません。

嬉しい驚きをもらった試合でした。新王者、中谷正義に脱帽、そして拍手です。
個人的な勝手を言えば、関西にタイトルホルダーが増えると、観戦の楽しみも増えますので、
そういう意味でもありがたく、嬉しい勝利でした(^^)

==========================================

セミファイナルでは小國以載が移籍二戦目を闘いました。
三津山ジムの藤本悠起を相手に、正確なジャブ、遠い距離からでも届く左右のボディブローで
1、2回と圧倒し、ペースを握りますが、3回くらいから足を敢えて止めた感じ。
ガードを上げて距離が詰まった展開で、これなら藤本も手を出せるという印象でしたが、
やはり悉く打ち勝った小國が、最終回に右を当てたところでTKO勝ちでした。

悪いですが、このレベルの相手(日本ランク中位以下やノーランカー)相手では、
小國が圧勝するのは当然といえます。しかしこの試合の小國は、今後に向けてああいう展開を
敢えて選んで闘い、色々なことを試していたという風に見えました。

もちろんレベルは違いますが、堅実なファイターである大竹秀典との対戦に向けて、
ああいう接近戦での対応を強いられるいくつかのラウンドのための準備をしているのではないか、と。

あと、端正なスタイルの小國ですが、決め手や緩急、強打に欠けるのはちょっと不満です。
最終回のストップも、いかにも地味な終わり方でした。小國らしいといえばそうですが。
ちなみに私は、小國の「KO勝ち」を直に見るのは今回が初めてでした。
貴重なものを見られた、と思えばいいのでしょうか(^^)

=========================================

さて、注目の「石田順裕90キロ」ですが、実際には91キロとのことでした。
思ったよりも無理を感じない体つきでした。ただ、本当に90キロもあるのかな、とも思いましたが。
上半身、胸や腹が分厚く、太腿も太い、しかし手首足首はミドル級の細さでした。

相手は4勝3敗、元力士という大和藤中とのスパーリング。こちらはかなり太い。
戦績が駆け出しの力士みたいな感じで、いとおかし、という感じ。

石田は相手の重さと同時に、自分の重さにも苦しんでいる様子。
初回は身体ごと押し込まれ、ロープ際で左フックを当てられて、場内がどよめく場面も。
しかし2回からジャブ、右、返しの左を当てて攻める。手の速さはミドル級のものとさほど変わらない。
クリンチの場面では押し返そうとせずに力を抜いてやり過ごし、また速い連打。
ボディにアッパーも決めて3Rを終えました。

おそらく普段も、そう頻繁にヘビー級相手にスパーが出来るわけでもないでしょうから、
この3ラウンズも試行錯誤の過程でしょうし、そういう意味ではまずまず、という印象でした。
しかしリングサイドにいた藤本京太郎への挑戦希望は、もし実現するとしても、
受ける藤本にしてみればあまり愉快な話でもないでしょうね。

やはり、せめて一試合、誰かと試合して勝った上で、というのが筋でしょうし、
もし実現すれば注目の一戦ではありましょうが、もしこれで石田が勝つようだと、
それこそ日本ヘビー級王座を復活させた意義って何なの、という話になってしまうでしょうし...。

正直、その辺ちょっともやもやした感じが残りました。
下のクラスで世界的選手として活躍した石田の良さは、思ったよりも消えていなかったですが、
さりとてこれが実戦のタイトルマッチ、10回戦を戦い抜けるものなのかどうか、というと
確信を持てない、という印象でした。

========================================

そういうことで新春一発目、急遽決めた観戦でしたが、見どころや思うところの多い
楽しい観戦となりました。
また今年も何度か、後楽園ホールにお邪魔させていただこうと思っております。
やっぱ見やすくていいなぁ、この会場は(^^)

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マカオ興行カード決定、明と暗 その他

2014-01-10 20:05:50 | 話題あれこれ


2月22日マカオ興行、カード正式決定とのこと。

村田諒太は40歳ながら、世界挑戦経験もあるカルロス・ナシメントとの対戦。
レコード見ると、29勝(23KO)3敗、世界戦はセルゲイ・ジンジルクに負け。
最近はマーティン・マレーに負けた後くらいから試合のペースが落ちていますが、
それでもなかなかのキャリアです。3戦目の相手としては、難関だと見るべきでしょう。

先の2戦目の内容については、私は厳しいものに感じましたが、
人によるとそうでもない、という意見もあるみたいですね。
私の友人も「あれは前半舐めすぎただけで、後半、締めたら簡単だった」という見方でした。
うーむ、そういうもんなんかなぁ、そんな余裕あるようにも見えんかったですが...と、
とにかく、村田諒太というボクサーは、様々な見方があるにせよ、注目せざるを得ない存在であることは確かです。

しかし4回に食った右などは、相手によれば致命傷になりかねないものでしたし、
傷の大小や深浅はともかく、爪痕として残って不思議のない一撃でした。
次の試合でも、村田諒太の将来が、さまざまに問われる一戦となりそうです。

==============================================

以前、ほぼ決まりと思い込んで喜びの記事を書いた、下田昭文のベチェカ挑戦は、結局決まらず。
トップランクから打診があったような話だったので間違いないと思っていたのですが、
記事によるとWBAから横やりが入った、とか。

本当に、やることなすこと腹の立つ団体ですが、こうなった以上仕方ないですね。
マカオで前に試合したIBF王者なんかはどうなのかな、と思ったりもしますが、
とにかく下田には、早いところ世界挑戦の機会が訪れてほしいものです。

==============================================

「BOXING MASTER」さんの情報によると、3月8日、カネロvsアングロのPPV興行に
ホルヘ・リナレスvs荒川仁人が計画されている、とのことです。
確か新人時代に一度きりの、リナレスvs日本人というカードが、アメリカのPPV興行にて実現するのでしょうか。
荒川は昨年のフィゲロア戦で、あちらのメディアに大絶賛された「メジャー」の一員と言えるボクサーですが、
まさかこういう形でのアメリカ再登場とは、実現すれば凄い話ですね。

我々にしてみればリナレスは半ば日本のボクサーという目で見てきたボクサーなので、
荒川との対戦があるなら、それは世界タイトルマッチで、と思ってしまう部分もありますが、
そこは勝負の世界、上を目指す者同士の闘いなのですから、仕方の無いことですね。
これもまた、まだ決まったわけじゃないですが、どうなるか注目です。

==============================================

WBOバンタム級1位のランディ・カバジェロさん、IBF王座挑戦目指す、とか。

記事にはあれこれ書いてありますが、要するに日本でやるとややこしいから嫌、ってことですね。
まあこれが山中なら、ややこしいことは何もないですし、単に強いか弱いかを問われるだけの話なんですが。

とはいえ、先の井岡vsアルバラードについての見解は、正直、どうかと思いますね。
どこをどう見れば、あの試合がアルバラードの勝ちに見えるんでしょう。意味不明です。

ついでにこのカバジェロさん、Youtubeでちょっと前に映像を見ましたが、
迫力のない、軽い印象のサウスポーで、全然大した選手じゃありませんでした。
これならすんなり挑戦出来てしまうだろう、と思ってたら、先方から先に、違う道に行っちゃいましたね。
もし対戦してたら、退屈きわまりない試合になったと思うので、これでよし、なのかも知れません。

==============================================

んなことで明日は上京です。
計量も無事終了、盛り上がってきました(^^)
好試合を期待しております。
試合については、当日は無理でも、翌日中には何か書きたいと思っております。



コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石田順裕90キロ/転級もまた楽しみ/決着のその先も/ご冥福を

2014-01-09 14:58:21 | 話題あれこれ


この11日、急遽上京して、加藤善孝vs中谷正義戦を観戦することに決めました。

新年早々、これは必見の好カード。前座に小國以載も出る。
これはG+の生中継が楽しみやなぁ、なんて思っていたら
なんと生中継どころか録画放送すら無いことが判明。
ちょっと荒い言葉になりますが、G+何を寝ぼけとる!という感じです。驚きました。
しょうがないので、急遽宿などを探して、予定も空けて、ホールにお邪魔することにしました。

とまぁ、こういう馬鹿は時々やっているので、別にどうという話でもないんですけど、
メインと小國がお目当ての興行で、何だか珍しいものが見られそうであります。

そもそも、ランカーが4人しかいない時点でタイトルマッチを開催したわけですから、
早晩、ランカー不足という事態になるのは目に見えていて、今後どうするのかと思っていた矢先に
石田順裕参戦、という意外ななりゆきになったわけですが...。
この「ランキング査定スパーリング」というのもまた、前代未聞...かどうかは知らんのですが。
少なくとも、あまり聞いたことのない話ですね。

記事中にもあるとおり、本来ならヘビー級で一試合でもするのが筋なんでしょうが、
何とも柔軟な発想に基づく対応とでもいいますか。
普段は硬直した、手の届く範囲でしか仕事しません、といういかにも官僚的な組織に見える
JBCですが、興行の論理に対しては、変なとこで臨機応変ですね。

それにしても石田が90キロに増量...ちょっと、想像つきませんね。
11日、なんだか楽しみなような、怖いような、何とも言えない感じです...(^^;)

========================================

高山勝成、四団体目の王座獲得なるか。

WBO王者メルリト・サビージョの試合は、今月27日ですか、WOWOWで放送されますね。
ただ、この試合でニカラグアの暫定王者カルロス・ブイトラゴとドローだったので、
すんなり高山との統一戦へ、という運びになるのかどうかが疑問です。

この記事では、念願としている4団体王座獲得なれば、ライトフライへ転じるとあり、
そこは大いに期待したいところではありますね。
井岡一翔、宮崎に井上らとの絡みは、大いに期待したいところです。
見た目は一番若いですが、円熟の域にあるベテラン、高山の技巧を恐れずに挑む気概と、
それを打ち崩す力を示せる者が、これらの中にいるかどうか、というテーマは
私にとってはとても興味深いものです。是非、これらのカードをひとつでも見てみたいですね。

========================================

THE PAGEの最新記事。
JBC内部の最強硬派のコメント、という理解でいいんでしょうね。
また、この記者(過去に書いたある記事により、私はこの記者の書くものを、素直に読めるものとは思っていません)が、
これだけ断続的に、ある方に向いた記事を発表しているということは、最低限、それが容認されているということであり、
少なくとも現時点では、JBC全体といかずとも、多数派、ないしは主流派の見解、なのでしょうね。

もっとも、実際にどうなるかは、蓋を開けてみないとわかりません。
あくまで一般論ですが、極道というものは、そうそう簡単に、傍目の思うようにはならないものですので。

ただ、以前も書いたとおり、亀田による「ボクシングの社会的信用の毀損」は、昨日今日の話ではなく、
あのような輩の跳梁跋扈を許した責任は、業界首脳の帝拳じゃなくて定見のなさと、それに追従するJBCの無能さにもあります。
もし、きれいに切ってくれれば、それは一定の評価に値するでしょうが、そこから先の話もまた、
厳しく注視されるべきものでしょうね。

========================================

昨年末に起こったリング渦にて、岡田哲慎選手が亡くなったとのことです。

試合自体を見ていないので、あれこれ書くことは出来ませんが、
こうした悲劇の背景にあるものは、時に周囲の心を苦しめることどもであったとしても、
しっかりと分析され、さらなる事故防止のために生かされるべきものです。
それが亡くなった選手への、せめてもの手向けとなるのだと。

岡田選手のご冥福をお祈りします。

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

内輪の論理に閉ざされた「世界」の果てに 井岡防衛、宮崎惨敗

2014-01-02 06:55:44 | 井岡一翔

大晦日、大阪の試合について。


初回、ポイントはフェリックス・アルバラードに振るべき、と見えました。
右のヒット数が多く、井岡一翔に比べてよりウェイトが乗ったパンチを打てていました。
非常に体躯に恵まれていて、ぱっと見た目はクリサント・エスパーニャ風。
あのメルドリック・テイラーの機動力を、正確な強打による「突き放し」で削り、
最後は強烈なノックアウトで沈めた一戦が印象深い強豪です。

しかし、見た目はそうでも、中身は全然違いました。
やや優勢と見えた初回からです。

まず何よりも思ったのが「リーチの無駄遣い」。
普通に離れて立ち、ジャブを突けば相手が入ってこれなさそうなものですけど、それをしない。
つまりは長い距離でジャブを当てる技量がない、又は普段からそういうことをやっていないのでしょう。
距離の長短を使い分けて試合を作れない、ただ打っていった結果、手応えの有無で次の選択が決まる。
戦績やランクには相応しくない、そういうレベルの選手ということなのでしょう。

対する井岡一翔は、初回こそ失点したかに見えましたが、
距離の長さを見た上で、二回目からはがらりと闘い方を変えました。

相手の攻防の繋ぎ目にある穴を、高い頻度で突きたいと考えたか、
距離を詰めて肩で押し合う距離に立ち、6~7割程度の力で
振り幅が小さく、正確なショートを当てて行くという流れ。

強打のアルバラード相手に、危険な選択でもありましたが、
上体を下げてもバランスは崩さず、ダッキングやサイドステップを駆使して
アルバラードのヒットを最小限に抑え、逆にボディ攻撃でダメージを与え続けました。

終盤、手数が減った回のいくつかも、要所で好打を決めていましたし、
終始自分のペースを崩さずに打ち勝って、数字の大小はあれど、クリアな勝利に変わりなかったでしょう。
前評判ほどでないにせよ、もし井岡に、緩みや選択ミスが多少でもあったなら、
もっと苦しめられたかもしれない相手に、またも高レベルの堅実さを見せた勝利でした。


普通に見て、井岡の充実ぶりを見られた試合でした。
一発強打こそないものの、攻防共にレベルが高く、常に良いコンディションを作れ、
闘い方もよく練られていて、集中力も高い。
井岡一翔はライトフライ級復帰4戦を、全てWBAランキング10位以内の相手と闘っていますが、
その試合内容はまたしても、充分に合格点と言えるものでした。

しかし、そういう井岡一翔のボクサーとしての充実ぶりとはまた別に...という話は
過去にもさんざん書きましたので、改めて繰り返したくはないのですが、
試合翌日の会見で、陣営は「他団体」との統一戦や、フライ級転向を語ったそうです。

「他団体」って...といちいち突っ込むのも疲れてきますが、この厚顔無恥というか、無神経さというのは、
もはやメイウェザー並の難攻不落とでも言うべきか(呆)。
ボクシング界におけるジャーナリズムの不在が産み落とした鬼子、という観点のみで言えば
この素晴らしい井岡一翔というボクサーが、かなりの部分、あのヤカラ一家と重なって見えます。

今回の試合、上記のとおり、なかなかの好試合でした。
なのに、それを見た後、それでも心の中に引っかかりを感じねばならない、
そういう井岡一翔の現状を、改めて残念に思います。

==================================================

次に、TBSについて。

今回も、実況解説ともに、ローマン・ゴンサレスの「ロ」の字も出さない徹底ぶり...と思っていたら
番組のどこかで、「前王者」という表現があったそうですね。

もしそれが本当なら、まさしく噴飯ものです。
単に、事実に反します。嘘でも報道機関の端くれでしょうに。
よほど恥知らずなのか、無能なのか、それともボクシングというものを馬鹿にしているのか。


そして番組が録画、或いはディレイ放送であったにも関わらず、試合終了、判定発表が流れた時間が
9時半を過ぎたことにも驚かされました。よくもまあこんな無神経な真似が出来るものだと。

TV局というものは、基本、単に視聴率イコール広告収入が欲しいだけの企業に過ぎず、
報道機関として公に存在することの意味など、もはや何も考えていないことも承知しています。
今回の中継にしたところで、世に言う「スポーツバラエティ」の一部であり、
別段、ボクシングファンという少数民族に対する気配りなど不要、ということなのでしょう。

しかし、この番組を見る者の中で、ボクシングの試合を(生中継でなくとも、結果知らずに)見たい、
という層が一定数存在するのも事実です。そして当然、9時半開始のTV東京の録画放送と被ることくらい
TBSの人間も承知していたでしょう。しかし、彼らはそれを平然と無視しました。
それも苦心惨憺の末に生中継をしたのではなく、ディレイ放送なのに、それでも。

普段、この局の番組を見ることは皆無なのですが、例えば他のスポーツや、報道や芸能番組でも、
その視聴者層に対して、こういう雑なやり方で番組を作っているんでしょうか?
それとも、他局の番組がどうであれ関係ない、とでもいうつもりなんでしょうか?

TBSを見るのも、TV東京を見るのも、同じ普通の国民です。
その国民が営む生活に、報道や娯楽を提供することで存在を許されているのがTV局でしょう。
そしてそれはTBS一局だけの話ではありません。
当然「他局」が存在し、その他局の存在もまた、TBSを同じ意義を持っています。
そして、その存在意義を無視することなど、誰にも許されません。
視聴率の競争は、あくまで、番組の内容によってのみ、なされるべきです。

人によっては小さな話かもしれません。まして昨今、ボクシングに対する社会の関心が低下する中、
ボクシングファンの意見など、取るに足らないものなのでしょう。それは充分に理解しています。
しかし、このような視聴者層を重複を無視した番組構成をやってのける様を見ると、
上記のような基本的な理解が、TBSの内部において、決定的に欠落しているのではないか、とも思うのです。

実際、宗教団体の信者の取り合いやあるまいし...。
本当に、信じられないレベルの無神経さです。考えるだけで気持ち悪くなってきます、もう。


============================================

最後に、触れないわけにもいかないので、宮崎亮。


試合結果は現地観戦組から電話で知らされました。
こりゃ、放送されへんのかも、と思ったら録画が流れ、その様子が
想像以上に酷いものだったので、結果知って、映像見て、
一粒で二度悲しい、という、わけのわからん状態に陥ってしまいました。

前日計量の様子を報じた記事や写真を見ると、
どう見ても翌日にボクシングの公式試合を闘おうという人間の様には見えませんでした。
しかし試合は挙行され、ご覧の通り、でした。

足は動かず、リズムもなく、手数も出せず、たまに打ったら上体が前に伸びて、戻らない。
ファーラン・サックリリン(と表記するはずです、お父さんの現役時代はそうでした)ジュニアは
そのタイミングを捉えて、初回から宮崎の右のミスのあと左フックを決め、
3回、同じパンチから右をフォローして倒しました。
福地レフェリーのストップは、単に試合のダメージを見て、というのではなく、
明らかに、前日からのコンディション不良をも勘案した上でものでした。


ここでもまた、ボクシングそのものや、ボクサー自体を大事にせず、
ビジネス面「だけ」を優先した結果、全てのしわ寄せがボクサーに行く、という
日本のボクシング界が根源的に抱える卑しさ、貧しさを垣間見たような気がします。

宮崎本人の失態、であることはもちろんです。
本当に緻密な取材の末に書かれたかどうかは怪しい限りのスポーツ新聞報道ですが、
宮崎本人が節制出来ずに体重超過を招いた、という話が事実なら。

しかしそれとは別に、プロモートとマネージメントの権益を同時に保有する「ジム」側が
内実はどうであれ、まるで無責任な教師のような発言をするのは、どう見ても異常です。
叱責したければ内部でやればいい。選手の管理が出来なかった責任は、誰にあるのか。
考えるまでも無いことでしょう。

そして、このような状態の選手をリングに上げて、仮にも世界ランカーと闘わせた、
その判断の異常さもまた、こちらの理解を超えています。
おそらくビジネス上の問題だったのでしょう(そうでなく、心情的な話だったとしたら、また別の意味で怖いですが)。


宮崎亮がここ一年の間に闘った試合は、あらゆる意味で無理があり、
彼の心技体が、決定的に傷つけられたのではないか、という懸念が消えないものでした。
ようやく本来の階級に戻れたか、と思った最初の試合で起こった事態は、まさに惨劇です。

宮崎亮は、ろくに動かない身体で、相手の機先をダイレクトライトで打ち抜こうという、
狂気にも似た、一撃での「打倒」に執着して闘っていました。
誰の目にもそれは無理だ、と見えるにも関わらず。

彼の執着するものに対して、それは必ずしも妥当では無い、とは、他人ならばこそ
勝手に、無責任に、過去にあれこれ書いてきました。
同時に、異形の天才ともいうべき彼の闘いぶりに、蠱惑的な魅力を感じ、強く惹き付けられてもきました。

その彼が世界王座を獲り、TV中継にも登場するようになって、
でもそれを本心から喜べなかった3試合のあと、その喜びを陰らせていたものが、
一気に噴き出したかのような試合を見て、ただただ暗澹たる気分でいます。

==================================================


「試合の度に事件が起こる」とは、あのヤカラ一家の試合を評した言葉ですが、
社会的には事件じゃ無くても、ボクシングファンにとっては充分「事件」に相当する事態というなら
それはむしろ「TBS」関連の興行において、毎度繰り返されている、と言えるでしょう。

正当性のない王座に、逸材といえるボクサーを就かせて「世界戦」として興行し、放送する。
ジャーナリズムの怠慢に乗じ、その事実をいっさい報じず、興行側の良いなりの「喧伝」を重ね、
本来の王者についてはその存在を無視し、或いは隠蔽する。
他局の同競技との放送時間を、ディレイ放送なのに重複させる。
前日、「軽度の意識障害」に陥った人間を、公式試合のリングに上げた陣営が、惨敗を喫した選手を、他人のように批判する。

大晦日、大阪で起こった事態は、もし、ボクシングが広く社会に関心を持たれ、
ジャーナリズムやマスメディアがまともな態度でそれぞれの仕事に取り組んでいたなら、
どれひとつとして看過されず、問題視され、多大な批判がなされたであろう事例ばかりです。

しかしどれひとつとして、ファンの間ではともかく、そういうことにはなっていません。
上記の事例、ひとつひとつに内輪の論理が強固に存在し、それに業界もメディアも追随し、
その閉ざされた「世界」の中で、ことによると一部のファンまでが、納得を語っていたりもします。

その事実をもって、目先の利益だけを追いかけ、ボクシングそのものを大事にしない「業者」たちは
自らの正当性、或いは「仕方ない」という偽りの納得を、心中で支えているのでしょう。

その心根の貧しさは、いずれ、彼ら自身に跳ね返る...とは言い切れないのが悔しいところです。
しかし確実に、ボクシングそのものが傷つけられ、そしてすでに、ボクサーたちは様々な形で
その苦しみを引き受けさせられています。
その現実の前にファンは無力かもしれません。でも納得だけは絶対出来ません。

=============================================

新年早々、暗い記事になってしまいましたが、書かずにはおられませんでした。どうもすみません。

井岡一翔の今後が、より真っ当な評価を、天下晴れて得られるような方向に修正されることを。
宮崎亮の心身の傷が癒え、また元気な、闊達な、才気溢れる姿が見られることを。

素晴らしいボクサーたちに対しては、変わること無く、せめてもの希望を見たいと思っています。



コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

それぞれの強さが見えたふたつの勝利 内山、三浦が統一戦へ前進?

2014-01-01 06:07:25 | 関東ボクシング


新年最初、東西大晦日決戦、東京の方の二試合についてざっくりといきます。
関西の方はまた後日。

========================================

内山vs金子は、内山の王者ならではの巧さ、強さによる「封殺」と
それを果敢に打ち崩そうとする金子の闘志、切れ味が共に出て、スリリングな試合でした。

序盤、ジャブは金子が速いが、ワンツー、右ストレートは内山が速いという対照。
内山が自分のリズム、テンポに金子を引き落とそうとし、
金子が前に出て手数の多い展開を作ろうとするがかなわず。
4回、右ヒットの金子が取った以外は、ワンツーとダイレクトライト、そして左フックのリードを
時に先制に、時にリターンの相殺にと巧く振り分ける、内山のペースで進んでいました。

中盤以降、金子が頭を嫌がらせに使って前に出て、内山がそれを嫌って
上体を引いたまままっすぐ下がるシーンが目について、ちょっと気になってました。
10回、その流れで左を食った内山に金子が右で追撃、まさかのダウンシーン。
内山は三浦戦以外にも、無冠時代に倒れたことがあり、けっして脆いというわけでもないですが
食えば倒れることもある、まあ普通の耐久力なんでしょうね。
しかしここまで無敗であるとおり、倒されても立て直し、挽回して勝ってきたわけで、
今回も冷静に対応し、11回は逆襲して見せました。最終回は倒したそうに見えたが、自重か。

しかし双方とも、終始、中身の濃い攻防を見せてくれた、見応えのある試合でした。
同国人対決に時に見られる、国内だから世界戦になる「ご近所対決」とは違う、
どこに出しても世界戦で通る、一定の水準を超えたレベルにある試合でした。
両者に拍手したいですね(^^)

============================================

三浦vsハルドンは、三浦の「原始的」な強さに目を見張らされてばかりの一戦でした。

初回早々左から右で攻め込み、その後は左のボディブローを中心に、終始猛攻。
左フックで軽いダウンを喫したのをスリップにしてもらったご愛敬もありましたが、
そもそも大して効いてもなかったので、その後も何も変わらず、
打ち合いには強いはずのハルドンをものともせず、終始先手で打ちまくる。

4回にコーナーに詰めてボディから上に、強打を連発した様など、
まるで浜田剛史かカオサイか、果てはビセンテ・サルディバルか、という勢いで、
見ていてただただ驚くばかり。余りにも「今時」じゃなさ過ぎ。
な、なんじゃこれは...という感じ、でした(^^;)

こらもう、いつ倒すか、楽にしてやるかやな、という視点で見ていた試合は、
事実上8回で終わり、結果は9回でストップでした。

ダンテ・ハルドンは大柄な強打者でしたが、確かに粗もありました。
とはいえ、ここまでワンサイドで負かしてしまう三浦の強さは、
敵地でのトンプソン戦勝利によって、さらに強固なものになっているようですね。

矢代義光戦の頃から、強いことは強かったですが、
キャリアを積んで心身ともに図太く、逞しくなっています。
私なぞが最近のボクシングを見るときに、あれこれ考える理屈や理論を
ある部分では無視し、超越したところで闘っている、そんな印象でさえあります。

今後は内山との再戦が取りざたされるでしょうが、
前回の対戦の展開を基本的には踏襲するにせよ、あのときには踏み越えられなかった一線を
三浦の猛攻が踏み越えて攻めていく場面が見られるのではないか、という期待もあります。
できる限り早い時期に実現してもらいたいものですね。

===============================================

雑感を少々。

リングサイドレポーターの佐藤洋太は、良いレポートしてましたね。
簡潔に、的確な内容を、聞きやすい話し方で伝えてくれました。

彼が引退式で発した「ボクシングはロマン。誠実に向かい合って欲しい」というコメントには
胸を打たれましたが、彼の目にもこの日の二試合は、涼やかに映るものだったのではないでしょうか。
今後も時に、このような形で元気な姿を見せてもらいたいものです。


解説の畑山隆則は、またも好調でした。
ファンやマニアにも、そして一般視聴者にも気を配った解説の中身は、安心して聞けるものです。
最後の方には「世界戦といってもしょうもないのもあるけど、この試合は素晴らしい」と
最近の好調ぶりを見せつけるコメントも出ました。
畑山さん、そういうことは、固有名詞を出してもっと何度も言いましょう(^^)
今後の活躍にさらなる期待しておりますです。


あと、前座では河野公平が再起戦で勝ったそうですね。
田口良一も同じくとか。
この辺、後日BSで放送とかいう予定はないんでしょうかね。見てみたいものですが。


============================================

ということで、まずは元日更新です。
更新頻度が安定しない、拙いブログではありますが、
これまで同様、皆様とコメント欄で楽しく交流させていただきたいと思っています。
本年もよろしくお願いしますm(_ _)m



追記:明日か明後日には、関西の試合の方についても何か書きます。
正直、気分の良くないものをいくつか見せられたので、年始をそんな話から始めるのもナニですので
後回しにさせてもらいました。
どっちもTV観戦の身ですから、あまり意味の無い仮定ではありますが、
もしどっちかを会場観戦せよと選択を迫られたら、東京の方が正解、だったでしょうね...。



コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする