さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

ひとまずの祝福

2009-08-31 00:23:25 | 関西ボクシング
石田順裕、前回苦戦したマルコ・アベンダーニョを大差で破り、WBA暫定王座を獲得したとのことです。

各方面で批判のあった暫定タイトルマッチでしたが、そういう試合の看板を抜きにすれば、
前回苦戦した世界ランカーに大差の勝利、お見事、立派、といえると思います。

実際、前回はアベンダーニョのリズム、立ち位置の良さ、目の良さが、石田の生命線であるジャブを殺していました。
再戦するといってもあの防御をどう崩せるのかな、と思っていたのですが...。
なんでも単発のヒットを許す場面はあれど、ジャブをよく当てて、ポイントを連取したそうです。
TBSが後日、放送するとかいう話があるそうで、どういう形であれ、映像を見てみたいものですね。


さて、以前もこの試合について触れたとおり、国内の同級では最強、ハビエル・ママニにも完勝、
苦戦したアベンダーニョと再戦して明白に勝った、となれば、これは普通に考えて、石田は大いに称えられるべきです。
しかし試合の看板に疑問が呈されたばかりに、一部には彼の存在、キャリアを全否定するような批判すら見受けられました。

この試合がノンタイトル、或いは再度、世界挑戦者決定戦とでも銘打たれて行われていれば、
一度苦戦した相手と再戦して世界を目指す姿勢が称えられたのでは、と思います。
しかし昨今の暫定乱発の風潮の中、ファンはかくあれかしという試合の形を求めており、
今回の試合は、そういう基準からして、やはり多くの納得を得られませんでした。


これまでも何度か書いてきたことなのですが、やはりボクサーの懸命に闘う姿は崇高なものです。
だからこそ、彼らの闘いがすんなりと応援の対象になりうる、それを広く見てもらえる環境を、
全てのボクシング関係者諸氏には整えてもらいたい、と切に願います。

石田本人は「誰からも認められる王者になりたい」という主旨のコメントをしたそうです。
闘う者の心とは、すべからくこういうものでしょう。
願わくば、彼の思いが実現されることを。
そして、それが多くに認められる形で実現する今後が、彼の先行きに用意されることを。

最後に、石田順裕には「ひとまず、おめでとうございます」とだけ、書いておきます。
今後の試合において、「ひとまず」ではない、手放しの祝福が出来ることを願いつつ。

コメント (4)
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決まりも歯止めも何もなく

2009-08-13 23:12:23 | 西岡利晃
西岡利晃、三度目の防衛戦の相手が決定しました。

イバン・エルナンデス、元WBOスーパーフライ級チャンピオンで、
以前マーク・ジョンソンを破った試合はWOWOWで見て、
まだ若いのに強いのが出て来たなー、と思った記憶があります。

しかし初防衛戦で王座陥落、二階級上げてイスラエル・バスケスに敗れ、
その後、ケガもあって、ブランク作ってランク圏外。
それが、今年に入って格下相手に2試合したら、それでいきなりWBC6位。
直後、西岡挑戦が発表されました。

敵地メキシコで、ジョニー・ゴンサレスを倒す大仕事のあと、
西岡の次の挑戦者が下位の方から選ばれること自体を批判するつもりはありません。
しかし「下位」と言ったって、それはルール上で決められている15位までを指すはず、と
考えるのが普通じゃないでしょうか。

もっとも、川嶋勝重や越本隆志の初防衛戦で、15位に入っていなかった20位台の挑戦者が
王者側に選ばれて挑戦した例があり、最近では長谷川に挑んだネストール・ロチャが
挑戦決定と前後して、何故か11位から4位に上がったばかりです。

こういう経緯を知ってか知らずか、あるTV番組では、長谷川のロチャ戦初回ノックアウトを
「世界の上位ランカーをも寄せ付けない強さ」と表現していました。
まあ、確かに誰であっても寄せ付けない強さなんで、間違ってはいないんですが、
やっぱり「ええのかねコレ」と思わざるをえませんでした。

今年に入ってからさらに加速した感のある暫定王座乱発にしてもそうですが、最近の統括団体って、
有力プロモーターやマネージャーの要望があれば、それこそどんなことでもやってしまう感じです。
ただ、川嶋や越本の時も「誰もこれを批判しないのか、だからボクシングは駄目なんだ」と思ったものですが、
今回はなんと、40位まで広げたランキングの、さらにその下から引っ張り上げるというのですから、
少々のことでは驚かなくなってきた私も、さすがに驚きました。


かつて見たスーパーフライ級時代のイバン・エルナンデスは、素晴らしいボクサーでしたし、
二階級上げても一定の実力を維持しているかもしれません。
西岡との試合は、好試合になるかもしれませんし、西岡が敗れることだってあるかもしれません。

しかし、エルナンデスの実力が、現状がどうこう、ということとはまた別に、
プロモーターの都合と、統括団体の運営というのは、ある部分では相反するはずのものなのに、
これほど、何もかもについて折り合いがついてしまい、都合の良いところに収まるのを続けて見せられると、
いったいどうなっとんのかね、という感じです。
ボクシング「業界」の商業主義への迎合は、どこまで行けば歯止めがかかるんでしょうか。


あと、本来、こうした動きをチェックする役割の専門誌もマスコミも、こういう話は全部パスなんでしょうね。
批判も指摘も許されないし、エルナンデスが普通に試合をすれば、ランクへの疑問と選手への評価を
ごちゃ混ぜにして「やはりエルナンデスは実力者だったので問題なし」と書くのでしょう。

私は、西岡のファンであるからこそ、こういうのは勘弁してほしいな、と率直に思います。
なんか、最近のボクシング界には、人に聞かれて説明に困るような話が多すぎます。

以前「西岡には暫定王座など相応しくない」として、西岡の世界戦の相手をWBA暫定王者エイディ・モーヤから
一度敗れたWBC王者ウィラポンへと切り替えた時は「なんと厳しい、しかしさすが帝拳」と
素直に感心したものですが、そういう気概はすでに過去であり、時代は変わったということなのでしょうか。


最後に、アタマの古い私の個人的な思いを言えば、世界戦はせめて10位以内の選手とやってほしいです。
15位まで挑戦可能という現在のルール自体に対しては、言葉は悪いですが「アホか」と思っております。
このへんの感覚は、いつ頃ボクシングファンになったか、が関係してくる話に過ぎないのかも知れませんが...。

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祝福しにくい世界戦

2009-08-04 09:11:01 | 関西ボクシング
石田順裕、暫定ながら世界戦出場が決まったそうです。

以前、アベンダーニョとの第一戦が決まった際、ちょっと繰り言を書いたことがありますが、
試合がああいう内容になり、その後は世界の話も立ち消えかと思っていたら、
思わぬ形での世界戦決定となりました。

以前書いた通り、クレイジー・キムが去った後の154ポンドクラスにおいて、
国内レベルから一つ抜けた実力を示し、世界ランカーとの試合を続けてこなした
石田の世界挑戦が決まったことは、本来、ファンに喜ばれ、祝福される話のはずです。

しかし昨今、世界王座の価値よりも興行事情(と呼ぶに値しない話も多いですが)が優先された
暫定王座戦の乱発を多くのファンが嘆く中、こういう奇妙な形での試合が実現すれば、
やはり、批判的な意見も出ることと思います。話の筋と共に、時期も悪いです。

王者ダニエル・サントス、及び上位ランカーが対戦に応じない以上、これは仕方ない、という
理解の仕方もあり、それにも一理があるのは確かですが、石田の実績や実力を買うが故に、
やはり、彼の世界挑戦はこういう形ではなく、まっとうなものであってほしかった、と思います。


しかも今朝、初めて知ったのですが、なんか余計なオマケがつくみたいですしねぇ...。
またリングアナが「浪速のナントカ~!」いうて、コールする(させられる?)んでしょうね。

何もボクシングに限った話じゃないでしょうが、いい話ってなかなか続きませんけど、
悪い話ってのはいくらでも続き、重なるもののようで...。
コメント (2)
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