深夜2時、バイパス沿いのマックでコーヒーを注文する。
ドライブスルーのメニューボードには、本日ガス設備の点検のため飲み物のみという貼紙があった。
さすがにこの時間、食欲はない。
仮眠は3時間程取った。
空を見上げると無風状態の中、星が出ていた。
今日は期待できそうだ。
以前からその地を何時訪れるか考えていた。
10本爪のアイゼンは昨年の内に購入しておいた。
コーヒー片手に日光を目指した。
この時間なら恐らく4時前には到着するだろう。
北関東自動車道を上三川ICまで走り4号線に出た。
国道の交通量も少なく流れもスムーズだ。
最も深夜3時前後なので当然といえば当然だ。
いつもの様に宇都宮有料道路手前のコンビニで食料を購入した。
この時間では休日であってもスキー客等まだ見当たらない。
その場で飲みかけのコーヒーと共にサンドウィッチを食べた。
日光ICから目的地の駐車場まで30分かからないだろう。
東照宮を迂回するように小道に入り滝尾神社前を通り過ぎた。
一般車両行き止まりになっているゲート前のスペースに車をとめた。
昨年の夏、日光を訪れた時にその場を確認しておいたので、スムーズに到着することができた。
そこにはまだ4時前というのに先客が居た。
車4~5台のスペースの所に既に2台停車している。
やはりこの時間に来て正解だった。
辺りが明るくなる7時頃に出発することとし仮眠することにした。
エンジンは停止させるが、暫く経つと寒さでエンジンをかける。
こんな繰り返しが続き、熟睡は出来なかった。
暫くすると車が次々とやってきた。
駐車スペースのないことに気づき皆Uターンしていく。
この手前の多少広くなった路肩沿いに駐車するしかないだろう。
6時頃ヘッドライトを点けたパーティーが出発した。
登山用のヘルメットをかぶっている人もいた。
恐らくアイスクライミングをするパーティーなのだろう。
そんな光景を見ながら着替えることにし、予定通り7時に雲竜渓谷に向け出発した。
舗装路の林道を暫く歩いた。
舗装路ではあるが雪に覆われ人工物の中を歩くような感覚はない。
一時間ほど歩くと稲荷川展望台についた。
稲荷川沿いの山々に囲まれた奥地をさらに目指す。
路面もアイスバーンが目立つようになりここでアイゼンを装着した。
アイゼンの氷面を噛む音が爪の鋭さを表現していた。
さらに進むと途中稲荷川へ向かう分岐点があったが、そのままやり過ごし歩き続けた。
8時40分 雲竜渓谷へ向かうための初めの分岐点、洞門岩方面へ下る。
稲荷川沿いに出た。
9時15分 雲竜渓谷への案内板を通り過ぎた。
崖沿いの氷壁を目にし、まさに雲竜渓谷が近づいている事を感じた。
途中何度か稲荷川を横断し、さらに山側にも数回入る。
日頃の運動不足もあり急傾斜地では息が切れそうになった。
稲荷川の横断は、ここで転倒ともなればと思うとさすがに慎重になる。
雲竜渓谷に到着。
この寒さの中でも体は汗ばんでいた。
青みがかった氷壁にしばし圧倒された。
巨大な氷柱。
山間からの雫が凍結したものだ。
上を見ながら慎重に近づく。
非常に硬い。
この先に見えるのが雲竜滝。凍結している。
数10mにもなる巨大氷柱、まさに自然の造形美だ。
氷柱の裏側に回って見た。
先程まで無風だったが、時折突風が吹きつけ小雪が舞うようになった。
帰り際にもう一度振りその場を後にした...。