NPOな人

NPOの現状や日々の雑感などを徒然なるままにお伝えします。

熈代勝覧(その1)

2010年04月03日 | エコでボランタリーな江戸の町
これまで、このブログで江戸の成り立ちや江戸っ子、町方による自治について紹介してきましたが、今日は江戸の町にタイムスリップしたような気になる「熈代勝覧(きだいしょうらん)」というすばらしい絵巻を取り上げてみたいと思います。

この絵巻の存在が明らかになったのは最近で、ベルリン東洋美術館が2000年のミレニアムに向けてリニューアル・オープンのメイン作品を探しいたときに同館の収蔵作品の中から見つけ出されたものです。

実物はベルリン東洋美術館にありますが、江戸開府四百年・江戸東京博物館開館十周年を記念する企画展「大江戸八百八町」展で日本にお里帰りしたことがあります。また、平成21年11月30日に名橋「日本橋」保存会、日本橋地域ルネッサンス100年計画、三井不動産(株)が共同で複製絵巻を東京メトロ「三越前」駅地下コンコース壁面に設置しました。





絵巻の長さは約12.30メートルで、江戸の中心地である神田今川橋から日本橋までのおおよそ七町(760m)の日本橋通りの西側を東側から俯瞰する構図で描いています。「熈代勝覧」とは、「熈(かがや)ける御代の勝(すぐ)れたる景観」という意味があるそうですが、画中に回向院再建の勧進と思われる一行の勧進箱に「回向院、文化二」の文字が見えることから、文化2年(1805)ごろの爛熟した江戸の町を描いたものだと考えられています。





画中には、沿道の店88軒、通行人1,671人、犬20匹、馬13頭、牛4頭、猿1匹、鷹2羽が克明な描写で生き生きと描かれており、人々の話し声や笑い声が聞こえてくるような錯覚に陥ります。説明をはじめると切りがありませんが、明日はその内容をもう少し詳しくご紹介したいと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする