NPOな人

NPOの現状や日々の雑感などを徒然なるままにお伝えします。

江戸しぐさとは

2010年04月29日 | 江戸
今日からゴールデンウィークが始まりましたが、お陰さまで私もカレンダーどおりの毎日を送ることができそうです。ところで、NHKはゴールデンウィークという言葉を使わずに大型連休と言っているのをご存じですか? その理由は、コチラをクリックしてみてください。

このブログでは、今日から5月5日まで「江戸しぐさ」についてご紹介したいと思いますが、初日の今日は江戸しぐさとは何かについてです。

江戸しぐさは、江戸の小商人から身を起こした豪商たちが、武家社会と上手に付き合いながら商売を繁盛させていくための極意であり、日本橋や神田、浅草などといった限られた範囲に密集して暮らしていた町方が、お互いに思いやり助け合いながら気持ち良く楽しく暮らすために築き上げてきた人づき合いのノウハウがベースになっています。

江戸しぐさは、口伝であり文献資料はありませんが、越川禮子さん(NPO法人江戸しぐさ理事長)が江戸講最後の講師である故芝三光先生から利(き)き書きしたものを体系化し、語り部として現代に継承しているものです。

芝先生の本名は小林和男、1922年に東京・芝に生まれました。母方の祖父のもとで育てられましたが、祖父はかろうじて維新後も残った数少ない江戸講の講元で、芝先生は物心つくころは大人たちの間で静かに我慢することを覚え、8,9歳になると講師の口真似をし、10歳ごろにはお説教の内容が少しわかるようになっていたそうです。

戦後は、GHQ(連合国軍総司令部)に、しばらく勤務していていた時期があります。ある時、女性将校に幼いころ祖父から聞いていた「商人しぐさ(繁盛しぐさ)」について、次のように提言したとのことです。

芝: 日本にはGHQが目の仇にする『軍国主義』とは違う、素晴しい伝統がたくさんある。日本を統治するにはそうした口伝えの江戸しぐさを有効活用すべきだ。
将校: 例えばどんなもの?
芝: とっさに「傘かしげ」「肩引き」「こぶし腰浮かせ」を見せた。
(傘かしげは互いに道ですれ違うとき、相手に雨がかからぬよう傘を反対側にそらすしぐさ、肩引きはすれ違うときに肩を後ろに引いて譲り合うしぐさ、こぶし腰浮かせは船の中で譲り合って席を作るしぐさで、パフォーマンスとしては欧米人に分かりやすかったのだと思います。)
将校: グッド!広めてください。

GHQの中で、江戸しぐさは評判になり、帰国したニューヨーカーたちが五番街でおどけて実演すると、早速、通行人たちが面白がってまねをして一世を風靡したとのことです。

芝さんの周りの古老たちは「GHQがよく許可をしたものだ。後で何か揉め事が起こらぬか。」と懸念する一方で、「江戸しぐさは日本の精神文化復興への手がかりになる。」と喜んだと言います。

以後、芝さんは江戸しぐさの研究をライフワークとし、さまざまな情報の発信を始めていますが、その直系の弟子が越川禮子ということになります。

(To Be Continued)

*記述の一部は、越川禮子さんの著書およびNPO法人江戸しぐさのHPを参照させていただきました。
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