NPOな人

NPOの現状や日々の雑感などを徒然なるままにお伝えします。

「逝きし世の面影」にみる江戸人のNPO魂(その2)

2013年12月30日 | NPO
イザベラ・バードは明治11年、馬で東北地方を旅する途中、しばしば人々の無償の親切に出会って感動しています。

ある日の旅程を終えて宿に着くと、馬の革帯がひとつなくなっていました。「もう暗くなっていたのに、その男はそれを探しに一里も引き返し、私が何銭かを与えようとしたのを、目的地まですべての物をきちんと届けるのが自分の責任だと言って拒んだ。」

新潟と山形県境のみすぼらしい山中の村で、「品のない服装をしたある女性は、ふつう客が休憩した場所に置いていく二銭か三銭を、どうしても受け取ろうとしませんでした。私がお茶ではなく、水しか飲まなかったからだというのです。私が無理やりお金を渡すと、その女性はお金を伊藤(随行者、通訳)に返しました。」

山形の手の子という村の駅舎では、「家の女たちは私が暑がっているのを見てしとやかに扇をとりだし、まるまる一時間も私を煽いでくれた。代金を尋ねるといらないと言い。何も受け取ろうとしなかった。」

バードは日本滞在中に不愉快なことも数多く経験していますが、人々の無償の親切はそれを償って余りあるものであったようです。こうした「無償の親切」は、江戸人が当たり前のこととして身に付けていた正にNPO魂と言うべきものではないでしょうか。
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