晴れ間を見つけて運動のため自転車で散歩していると、地鉄上滝線と交差する県道のアンダーパスのトンネル入り口(出口)の壁に、何かがとまっているのに気付きました。コンクリートの壁面にとけこむような灰色です。
近寄ってみると、地味な色合いのヤガ科と思われる中型の蛾です。いつものように写真を撮っていると、トンネルを吹き抜ける風に逆らって飛び立ち、10mほど離れた壁にまたとまりました。このとき、ちらちら見えた後翅は鮮やか(?)な桃色です。蛾は詳しく知りませんが、後翅のきれいなカトカラの仲間です。後翅が見えるように翅を広げてくれないので、持ち帰り、後翅が見えるようにカッターマットに載せて写真を撮りました。
後翅の赤いカトカラは日本にはエゾベニシタバ、ベニシタバ、オニベニシタバの3種類が生息。写真を見ると、後翅の色がきれいなピンクなことなどから、ベニシタバだと思います。
《アンダーパスのトンネル入り口(出口)の壁にとまっていたベニシタバ 2022/08/24》
《アンダーパスのトンネル入り口(出口)の壁にとまっていたベニシタバ 2022/08/24》
《後翅はピンクで黒の帯状の斑紋があるベニシタバ 2022/08/24》
カトカラ同好会のウェブサイト『カトカラ全集/日本のカトカラ』に載せられていた説明を引用します。
「カトカラCatocalaはギリシャ語のkato(下)・kalos(美しい)に由来している蛾の属名である。後翅が綺麗な蛾ということである。日本では・・・シタバ、英語では・・・underwingと呼ばれている。
現在のところ、世界で約250種が知られている。蝶のオオムラサキほどの大きさのものからからシジミチョウのように小さいものまでいる。前翅は静止する樹皮などに類似した色調のものが多い。後翅の色は白、黒、黄、青、様々な赤と多様である。主に北半球の暖温帯から冷温帯に分布する。北はフィンランドの北緯60~70°あたりから、南は中南米のグアテマラやインドシナのタイの北緯10~20°あたりまでの広い範囲に分布している。…かなり狭食性で、様々な広葉樹…に依存する。このため、必然的に広葉樹林の広がる東アジアと北アメリカ東部に多くの種が生息する。
北米に約110種、…旧大陸には約150種、…日本にはいままでに30種が知られていて、アマミキシタバを入れると31種になる。…いずれも綺麗な蛾で、愛好者が多い。」
「ベニシタバ…ヨーロッパからウクライナあたり、中国、朝鮮半島、沿海州、日本に分布するとされているが、アジアのものは別種である可能性が高い。食樹はヤナギである。成虫は7月頃から出現する。灯火にも樹液にも飛来し、珍品というほどのものではないが、数多く採集するのは難しい。新鮮な個体の後翅は、息を呑むほど綺麗な淡紅色で、日本産の鱗翅類で敵うものはない。しかし、残念ながら褪色しやすい。」
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