ヒゲジイのアル中よもやま話

断酒を始めて早7年目。このブログは回復プロセスの記録と脳のリハビリを兼ねて綴っています。やはり、まだチョット変ですかネ?

スリップした人の話

2020-07-03 05:45:01 | 病状
スリップ(SLIP:Sobriety Loses Its Priorityの略)
 アルコール依存症者が自助グループAAに参加し、飲まない期間がある程度続いた後に再飲酒
 すること。
 「節酒のつもりが大事な決意、断酒を破ることになる」、「チョットぐらい飲んでもいいや」と、
 酒を飲む事を優先した意。
 スリップしてしまった後は自分に呆れ返って照れる人が多い。

 私は幸い、断酒して6年8ヵ月間まだスリップしたことがありません。読者登録しているある男性が最近、スリップしたときの生々しい体験をブログで告白してくれました。今回は、その記事を題材にしてみます。

 ギャンブル依存症に加えアルコール依存症にもなってしまった彼、今は釣りを唯一の楽しみとし、AAのミーティングには半年ほど参加していなかったそうです。話は、断酒を始めて3年8ヵ月経った昨年の10月のことだったようです。

 車で向かった海釣り先で車中泊をしたとき、彼、途中のコンビニで買ったロング缶の缶ビールを3本一気に飲んでしまったそうなのです。

 多分、車を運転しながらのことだと思いますが、ビールを買う直前までの心境を彼はこのように書いています。

「もうオレ、3年以上、酒を辞めてるよな……オレって、本当に "アルコール依存症" なの? もし、今、飲んだらどうなるの?」

 この言葉、まさしく私にも度々襲ってきた囁きです。断酒して3年過ぎた頃から、ゴミ拾いをしながらボーッとしていたときに時々ありました。ですから、彼の場合も時期的に合致します。

 さて、これに続く翌早朝、車中で目覚めたときの体感・体調を彼はこのように書いています。

「時刻はAM4:30、猛烈なダルさが身体を包む。・・・(中略)・・・吐きまではしなかったけれど、胸のムカムカ感、足腰の倦怠感が止まらない。」

 これは明らかに二日酔い、アルコールの代謝物で猛毒のアセトアルデヒドの仕業です。

 スリップした体験は、AAのミーティングでもよく聞く話ですが、こうも生々しい表現にはなかなかなりません。さすがに書き言葉、よく実感がこもっています。

 その後彼は、弟さんの勧めもあってAAのミーティングで告白をしたそうです。「仲間たちとの "共感" を久しぶりに味わったような気がした」と、そのときの気持ちをこう述べていました。

 既報の通り夙川では、正規のミーティングの代わりに “二人ミーティング” をやっています。その相棒の M 氏にこの話をしたところ、
「身体のダルさ、シンドさはまさしくその通り。それを紛らわせるために再び飲んでしまうんですよ。」M 氏もスリップ経験者なのです。

 そして、こんなことも付け加えてくれました。

「身体のダルさ、シンドさは精神安定剤(セルシン、デパス?)も同じです。酒の代わりにと飲んだら同じ目に遭います。やはり “仲間と共に” 、ミーティングで話すのが一番ですよ!」

 ところで、その正規のミーティングですが、夙川でのミーティングは7月も継続して休止することになるようで、まだまだ “二人ミーティング” は続きます。ヤレヤレ


今回、記事を引用させていただいた  “ちぃ~暴” 様には、この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。



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健常者と依存症者

2020-06-26 05:57:44 | 病状
 無意識の内に複数の依存先を持っているのが健常者、たった一つ(か二つ)の依存先に囚われてどうにもならなくなっているのが依存症者。

 どちらにとっても行動の自由は当たり前のこと、大してありがたいとは思っていないのも両者共通しています。

 今回の新型コロナ禍をこの観点から見れば、当たり前と思っていた行動の自由は両者共に制限されているのですが、依存症者の方が殊の外辛い状態になっていると思います。

 この間散歩していたら久々に、小学6年生の娘を持つ母親にバッタリ出会いました。3月初め以来のことですから3ヵ月ぶりの再会でした。

「あら、随分お久しぶり! どうされていました?」と、開口一番に彼女。

「新型コロナのせいでゴミ拾いはしばらくお休み。
 散歩以外どこにも出歩かなくなったんで、家で延々とTVばっかり。
 朝、小一時間の散歩から帰ると11時から韓国現代ドラマ、
 お昼の1時からは “午後のサスペンス”、
 3時ちょっと前からまた別のドラマ、
 といった具合にドラマのハシゴですよ。
 なに、古いドラマの再放送だけどね。」と、私の方は事細かに説明。

「あら、それうちの娘と同じ。学校に行けなかったんだから
 しょうがないし、それに古いドラマでも結構おもしろいからねぇ。」

 いやはやピチピチした小学6年生の健常者と古稀を迎えるジジイの依存症者とが同じ生活パターンだとは、その子が何ともかわいそうに思えました。

アル症の回復には複数の “依存先” を
......依存先を複数持つことが回復への近道ということになるのでしょうか? それもギャンブル依存、セックス依存、買物・万引き依存など、後々高いツケを払うことになる依存先は避け、できれば社会参加に繋がる健全な依存先を複数選べばいいだけの話......



 思えば、先ず自助グループAAのミーティングの休止から事が始まって、その次にゴミ拾いや市役所通いの休止と続き、今の私は “キョウイクとキョウヨウ” 先が、一つまた一つ奪われた状態にいます。言い換えれば依存先がその分減ったということです。

 そんな私にとって、新たな依存先がTVとラジオ、昭和真っ只中の頃の娯楽です。これをも先祖返りというのかわかりませんが、今どっぷり嵌まっています。

 こんなふうにダラダラしているから、どうしても気が弛(たる)んでしまうわけです。ヤレヤレ



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“空白の時間” 最近の凌ぎ方

2020-03-24 06:10:14 | 病状
 今回の新型コロナウイルス騒動、喧しいのはマスコミばかり。感染拡大抑止のため催し物・集会の自粛を呼びかける政府の要請が利いたのでしょうか、世の中微妙に静かです。

 私の住む市では、急遽休校となった小・中・高生の通学姿が見えなくなった以外、道を行き交う人にさして変化は見られません。毎日通う市役所でも、訪れる人の数はさほど変わってないようです。

 ただ、市内に感染者が出て以来、市役所ロビーで新聞を読む人がめっきり減りました。通行人もやはり減っているのでしょうか、道のポイ捨てゴミが目に見えて減っています。
(ゴミ拾いする人が急に増えたとは考えにくいのです。)

 ところで、さすがに今回はヤバイと私が感じたきっかけは、北海道で感染者が急増し始め、しかもその感染者が道内の互いに離れた地域で発生していたことでした。これでは身近に起こってもおかしくない、そう考えたのです。

 それで既報のごとく、週2回火曜・木曜の午後参加していたAAのミーティングを3月一杯欠席することに決めました。このことで苦手な “空白の時間” が発生しますが、それをどう凌ぐかが新たな課題となりました。

 午前中はいつも通りに行動することにしました。ゴミ拾いをしがてら毎朝市役所通いを続けていますし、その後市役所ロビーで新聞をじっくり読むことも相変わらずです。

 問題は昼過ぎにありました。濃厚接触の場となり得る市役所食堂を避け、昼食は自宅で、が習慣となりました。そして昼食後には、あまりTVを見ない私なのにそのままTVを見ることに。最近は「午後のサスペンス」にはまっています。

 ドラマでは、並べて中折れの携帯電話が頻繁に映るので10数年前の作品でしょうか、配役陣に懐かしい顔ぶれが並びます。さすがに主役級の女優名はまだわかるのですが、準主役級の女優名が思い出せなくて、もどかしいやらじれったいやら。

 かくて、“空白の時間” はどうにか凌いでいますが、“失われし女優の名を求めて” 悶々とした日々を送っています。
(オソマツ!

 今、地元兵庫県ではクラスターが3つも発生しています。皆様もどうぞご用心ください。



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この歳になって過敏性腸症候群(IBS)の再発?

2019-12-31 06:33:16 | 病状
 子どもの頃からひょんなことでお腹を下すことが多く、その一方で便秘がちでもありました。いつも急に催すものですから、不案内なところに出かけるときは、まずトイレがどこかを確認するのが欠かせませんでした。

 酒を飲むようになってこの傾向が強くなり、ひょっとして過敏性腸症候群(IBS)ではないかと疑っていたものです。ところが、酒を断ってからは不意に催すことなど滅多になくなったので、粗相して惨めな恰好になったこともあるかつての自分をすっかり忘れていました。

 つい先日、夙川のAAミーティングからの帰り道、いつものようにゴミ拾いをしながら歩いていると久々にしぶり腹に襲われました。道の途中、トイレのあるスーパーは既に通り過ぎていたので、もう一度催すようなら確実にヤバイと予感しました。

 悪い予感は当たるもので案の定、10分ほどしたら再び襲ってきました。経験上、これでは後10分も持たないとわかりました。

 自宅までは最短でも10分以上かかります。当然、頭の中で最も近いトイレを探してみました。コンビニが最も近かったのですが、それでも5分はかかりそうでした。幸い、コンビニに向かう道の途中には所々に駐車場があります。最悪の場合を想定してそのコースを取ることにしました。

 愈々コンビニまで後50 m、その斜向かいの手前に駐車場というところまで来たとき、遂に限界となりました。必死の思いでその駐車場に飛び込み、空いていた場所にレジ袋を放るように敷いて、恥も外聞もなくズボンを下ろすや、・・・奇蹟的に、どうにか最悪とならずに済みました。

 既に、少しだけ下着に漏らしてはいました。幸い、漏らしても下着だけに留まっていたので、この程度の始末はお手の物。下着に付いたシロモノを拭い取り、汚物で一杯のレジ袋の方も別のレジ袋に放り込み、それらをゴミ袋ふうに丸めて一件落着としました。幸い周りに人目はなく、まさに間一髪の緊急避難でした。

 もしも、あのまま道で粗相でもしようものなら、・・・まず間違いなく人の噂のタネになり、文字通り鼻つまみの笑いものになっていたでしょう。やっとゴミ拾いのオッチャンとして知られてきたのに、ゴミ拾いどころか道を歩くこともできなくなっていたはず、そう考えただけでゾッとします。

 直近に口にしたのはノンカロリー・コーラぐらいで他に心当たりはありませんでした。そう言えば最近はちょっと便秘ぎみだったので、やはりIBSの再発なのかもしれません。またまた出掛ける度にトイレ確認が必須となりました。

 それにしても、返す返す今回の出来事を振り返ってみると、何とか無難に収められたのはゴミ拾いで重ねてきた精進(?)の賜と思われました。

 いつでもゴミ拾いができるよう、レジ袋は常に携行しています。レジ袋の活用はその経験によるところ大でした。また、ゴミ拾いで道に精通していたので、トイレ、駐車場、空き地などはすべて頭に叩き込んであります。人糞の始末なども、何度もゴミ拾いで経験してきたのでコツはよくわかっていました。まさしくゴミ拾い様々、感謝々々です。

 以上、年の瀬のこの時期に何とも尾籠な話で失礼しました。お粗末な話ながら、ウンが付いて新しい年の開運に繋がると思ってのこと、どうかご容赦ください。そして皆様、どうぞ良いお年を!



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依存症者の悪いクセ

2019-12-06 07:09:44 | 病状
 この時期にしては珍しく、ポカポカ陽気だった日のこと。コープの店頭にあるベンチに一人の男性がのんびり腰掛けていました。彼の直ぐ脇には酎ハイのアルミ缶が1本置かれていました。

 ベンチの隅に置いていたゴミ拾い道具を取ろうとして彼に声を掛けたら、眠たそうな顔で彼はこう応えてくれました。
「暖かいから日向ぼっこですよ。」

 私の方も、皮肉半分にこう返してやりました。
「酒なんか飲んでいるよりも、そりゃよっぽどいい。私は断酒中のアル中だけど、アル中の末期といったらそりゃ酷いものですよ。死の瀬戸際にまで行ったことがあるんです。だけどそのときは、死にそうなんてことも自分ではわからなかった。今生きているのが信じられないぐらいでしたよ。」

 そうしたら彼の方から、若い頃にあった話を始めました。最初、彼自身の話か、それとも知り合いの話かよくわからなかったので、聞き直してみたら以下のような話でした。

「若い頃、飲み会に自分でアル中と言っていた人も参加しましてね。場が盛り上がって大騒ぎとなったとき、その人が怒り出して若い者に激しく説教をし始めたんです。それで場が白けてしまって散会となりました。そんな人が飲み会へ出るのを、どうして家族が許したのか不思議でならなかったですね。そんな人、本来は出るべきではなかった、ですよネ?」

「その通り、その人は出てはいけない所に出てしまったんです。恐らく無意識のうちに飲みたかったんでしょう。仲間はずれになりたくなかったというのが表向きの言い訳で、アル中にはよくある話です。」と私。

 さらに続けて、
「その人が怒り出したのは、これ見よがしに自分の目の前で飲む方が悪いと思ったからでしょう。ある意味、人の所為にしたかったのでは(?)そう思いますよ。」

 これで話を切り上げて帰ろうとしたら、彼も後を付いて来ました。そのときです、今の話は彼自身の話で、彼自身がアル中なのだと確信しました。それでこうも付け加えました。

「依存症者には共通する悪いクセがあるんです。“言い訳する、人の所為にする、ウソをつく”。自分ではこのことに気づいていないから、人にそれを指摘されたら怒り出すんです。」

 今思うと我ながらこれはちょっと強引で、無理矢理話をこう持って行ったようです。

「そう言われれば、私にも心当たりがあります。タバコを止めて2年ぐらい経ったとき、目の前でタバコを吸われると流石に吸いたくなって、ついその人の所為にして貰いタバコをしていました。これはマズイと気づいて止めたんですがね。」彼は、うまいことタバコ依存の話にすり替えていました。

 序でに私は、家族についても付け加えておきました。
「依存症は、否応なしに家族を巻き込むのも特徴です。共依存というそうです。その人の家族も、共依存という病気の所為で判断が狂ったのでしょう。」

 彼は40代と言っていました。実は、昼間から酒を飲んでいる彼の姿を、近くのスーパーでも屡々目にしていました。だから、彼には再び会えると確信してこう伝えておきました。

「アル中だけが集まる自助サークルがあります。そのミーティングに通っていたら酒は止まります。今度そんな人がいたら、是非教えてあげたらいいですよ!」

 相手の手の内を読んだ上で言った言葉のつもりでした。年寄りの小狡さというか、それとも年の功と言うべきか?!



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“病は気から” “疲れたときは昼寝に限る”

2019-12-03 06:00:39 | 病状
 先々週に引いたカゼ、案の定まだ痰の絡む咳が続いています。そんなわけで今ひとつ気分の乗らない日々を送っています。まぁ、余程のことがない限り、そのうち完治するものとタカをくくってはいますが、・・・。

 こんな気分を以前も記事にしたことがあったはず、と過去記事を調べてみたらありました。やはりカゼにやられたときのことを書いていて、鼻水ダラダラ、頭がボーッ、外に出るのが億劫など、まったく同じような症状に悩まされていました。

 そんな記事の中にこんな言葉がありました。
「・・・内臓の状態にしろ、心の状態にしろ、身体に変調があったら最初に教えてくれるのが感覚です。“病は気から” という言葉がありますが、身体の変調を最初に教えてくれるのは感覚、という全く逆の意味なのかもしれません。」
2019.5.03投稿

 普通、気の持ちようによって病気は良くも悪くもなるという意味で使われるのが “病は気から”。今回のカゼ引きで、この言葉が身体の変調を最初に教えてくれる感覚のことだと改めて実感しました。

 何をするにも踏ん切りがつかず、とかくグズグズしがち、これは身体の異変を察知した脳の反応なのでしょう。「今動いてはダメ!」という脳からの警告と解釈すれば辻褄が合います。

 それともう一つ実感したことがあります。“疲れたときは昼寝に限る” これです。

 昼寝は、寝過ぎると夜眠れなくなるから精々20~30分に限るべき、と言われています。果たしてそうでしょうか?

 ゴミ拾いで歩き疲れた場合とか、脳が疲れて原稿の文案が浮かばなくなったときには、私は即一眠りすることにしています。大体2時間ほどの昼寝になりますが、昼寝から目覚めた頭はすっきりして原稿の文案も捗ること捗ること。昼寝のせいで夜眠れなくなったことなどありません。

 カゼの初期症状は、ある意味疲れと同じ感覚なので今回も即昼寝をしたのですが、このお陰で随分助かりました。下手に昼寝を我慢していると、私の苦手な “空白の時間” に悩まされることにもなりがちです。こんなときには、やはり “昼寝に限る” です。

 以上は、私に特有の症状(?)なのかもしれません。ただ自分の感覚を信じて素直に従った方が身のため、このことだけは間違いなさそうです。



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断酒を続けて丸6年

2019-11-08 06:20:57 | 病状
 断酒を続けて丸6年、愈々ソーバー(飲まない生活)7年目に入りました。

 まだ6年? もう6年? どちらかと問われれば、まだ6年というのが正直なところです。せっかくですから明日は、アルコール専門クリニックで継続断酒6年の表彰を受けてきます。

 アルコール依存症者(アル症者)の自助グループAAでは、アルコールのことを “巧妙で、不可解で、強力なもの” としています。この言葉に因み、今回は今の心境を2つ述べてみます。

 まずは、6年前アルコール専門クリニックに掛かる直前、連続飲酒していた頃のことです。

 朝目覚めても寝床から立ち上がれないとか、胸元のボタン嵌めができないとか、小脳失調に特有といわれる症状に苦しめられていました。ビタミンB1欠乏によるもので、そのまま放置していたらウェルニッケ・コルサコフ脳症に進行し、文字通り廃人になっていたと思います。

 命じられるまま断酒を始めました。断酒を始めて直ぐに幻視や幻聴を経験しましたし、2ヵ月ほどは連夜の悪夢にも悩まされました。

 3ヵ月以降、どうやら体調の方は戻ったのですが、一転して今度は性的妄想に悩まされ始めました。クロスアディクションの片割れが前面に出たせいだと考えています。

 これほどまで苦しく辛い思いを散々したのに、最近は「自分はアル症ではないのでは?」などと不謹慎で可笑しな考えが頭をよぎることがあります。まさしく “大きな妄想”、つい笑ってしまいます。

 次に、これもアルコール専門クリニックに毎日通院し始めてからのこと。

 朝早く家を出ることが2,3ヵ月続く内に、健全な生活リズムが知らずしらず身についてくれました。その後、この毎日通院にゴミ拾いも日課に加わったお陰で、アル症者が苦手とする “空白の時間” への免疫もそれなりにできたと思っています。

 因みに “空白の時間” とは、無聊なときとか間が持てないときに酒に手を出していた飲酒時代の名残で、何もすることがないときに決まって情緒不安定になることを言います。

 一応は順調な経過を辿ったためか、2,3年前からともすると緊張感が薄れて気の弛んだ日々を送りがちです。よく言えば、日々 “気楽に” やれているからでしょうか。

 それでも依然として、雨の日や風の強い日にはつい気持ちが落ち着かなくなってしまいます。そんな日はゴミ拾いには適さないから外出もしないでジリジリしています。かくて、 “空白の時間” への怯えは断酒丸6年の今でも健在(?)なままなのです。

 以上に挙げたことこそアルコールの本性、“巧妙で、不可解で、強力なもの” という表現にピッタリではないでしょうか。これらは生きている限り続くのだろうと覚悟しています。

 最後にオマケで、アンガーマネジメントにお勧めをーつ。“一息ついて 一歩引いて” の具体的やり方です。頭に血が上ったと感じたときは即、
「まっ、いいか!」または「まぁ、こんなもんよ!」と、是非呟いてみて下さい。よく効くこと請け合います。


次の記事もご参照ください。
大酒飲みにありがちなビタミンB1不足』(2017.7.07投稿)
“身体的底着き”の後から“精神的底着き”も・・・(下)』(2015.10.16投稿)



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出任せでやるウソはダメ!

2019-10-18 05:55:34 | 病状
 先日、3ヵ月に1回の定期的予約診療のため県立○○病院の内科に行ったときのことです。

 2年に1回は定期的に大腸内視鏡検査を受けるよう言われていたので案の定、その話になりました。前回の検査まではその場でパソコンから検査予約ができていたのに今はそれがなく、消化器センターで改めて検査予約するシステムに変更されていました。

 で、内科の診察後に消化器センターに行って検査予約を取ることに。消化器センターでは小1時間ほど待たされました。やっと診察室で1週間後の午後に検査予約が取れ、続いて看護師から注意事項の説明を受けることになりました。

 これまで私は大腸内視鏡を4回経験しています。検査前日の厳しい食事制限や当日の辛い下剤服用は経験済みで、それなりに工夫すべき点もわかっていたので説明など不要と思っていました。それに何よりも、絶食のまま午後の検査まで待たされることに不満タラタラでした。

 私が気乗りしていないことを雰囲気から見て取ったらしく、看護師の方も事務的に早く済ませてしまおうと少し苛立っていました。

 説明を一通り受け、必要書類に署名を済ませたとき、私は思い切ってこう尋ねてみました。

「以前は確か、午前中の検査だったですよねぇ?」
「胃の内視鏡は午前中ですが、大腸内視鏡は午後だけです。」と、看護師。
「えっ、そんなことないはずですよ。今まで4回も(検査を)受けてきたのに・・・」
「10年間ここで勤務していますが、大腸内視鏡が午前中ということはありません、午後だけです。」と、再びキッパリ。
「午後まで絶食なんて拷問ですよ! 患者第一ではなく、これじゃー医者側の都合第一じゃないですか?!」と、やや感情的になってこう反論してしまいました。

 以前検査を受けたときは、確かに午前中だったという具体的エピソードが喉まで出かかっていたのですが、どうしても思い出せないもどかしさがそう噛み付かせたようです。

 さすがに彼女はこの言葉に切れたらしく、私に書類を手渡すとさっさと席を立って行きました。感情的になった彼女の後ろ姿を見てやっと、初めて大腸内視鏡検査を受けた5年前のことを思い出しました。

 5年前のその日、午前中に大腸内視鏡検査を受けた後、AAのミーティングに出るため三宮に向かいました。そのミーティング中、検査で受けた強いストレスからか、激しいドライドランク状態を経験していたのです。

 患者から苦情を言われるのはいつも看護師で、その辛い立場には同情します。いくら神経を逆なでされてのことだったとしても、だからと言って看護師が患者に出任せでウソをついてはいけません。益々、私の腹の虫が治まらなくなりました。

 会計で支払いを済ませた頃になって、これは是非とも病院側に知らせておくべきと思いました。先ず行ったのは消化器センターの受付です。そこでは多忙を理由に埒が開かなかったので、已む無く、次に病院の苦情窓口に行くハメに。

 その結果、病院として厳重に注意しておくという月並みな回答に加え、病院の移転問題でスタッフが多少浮ついているという意外な釈明も受けました。

 この釈明から、少なくとも消化器センター内では移転がらみで何か人事問題を抱えているらしい、そう私の方は受け取りました。そんな問題を抱えていては、いつ医療事故が起こらないとも限りません。間近に迫る大腸内視鏡検査の辛さに怯え、ついそんなことまで考えてしまいました。

 この大腸内視鏡検査の辛さの件、かつて2度もこのブログに書いています。肝腎な時にそんなことさえ思い出せなかったなんて、私の頭は一体どうなっていたのでしょう? こっちの方がむしろ問題ですよネ。


大腸内視鏡検査については、次の記事もご参照ください。
断酒中のハイテンションは危ない!(ドライドランク)』(2014.9.06投稿)
患者説明文書はよく読んで!』(2017.11.14投稿)



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回復は、家族の方こそ時間がかかる?

2019-08-16 06:15:29 | 病状
 アルコール依存症(アル症)の人は、断酒しても家族と離れて一人暮らしをしている人が多く、家族と同居できている人は少数派のようです。その点、一旦別居して離婚したにもかかわらず、再び連れ合いと同居している私などは珍しい事例だと思います。

 AAのミーティングでも、同居していた家族の話はよく出ます。一向に酒を止めようとしない自分に家族が匙を投げてしまったとか、家族と衝突を繰り返して散々迷惑をかけたとか、飲酒時代を悔やむ話がほとんどです。が、当然ながら現在同居中の家族の話をする人は希です。

 先日のミーティングでは珍しく、同居中の連れ合いの話をした女性仲間がいました。
「(断酒して丸6年が過ぎた)自分は落ち着いて来ていると思っているのに、夫はいまだにカリカリしていて話す言葉にトゲがある」のだそうです。

 この話で、亡くなった仲間から以前聞いた話を思い出しました。断酒9年で再飲酒、再び8年間(?)断酒を続けていた女性でした。
「夫はちっとも私の気持ちをわかっていない。全部私のせいにして小言ばっかり。家のことは何もしてくれない。」
こんな夫への悪口を、ミーティングでは言いたい放題でした。

 この手の話は、ブログ記事でもよく見かけます。結婚生活の長い老夫婦によくある、無理解な夫への妻のボヤキそのもので、何もアル症に特別な話ではなさそうですが、・・・。

 実は彼女らの言葉に、アル症ならではの問題が二つ、透けて見えています。本人は、アル症から順調に回復が進んでいると自認しているのに、それをなかなか認めて貰えない欲求不満が一つ。もう一つは、家族に依然として残る酒害トラウマです。

 アル症からの回復は、身近に居る家族の方が時間がかかると聞きます。飲酒時代に同居していた家族なら、酒害で受けたトラウマは尋常ではないはずです。そのトラウマが、たとえ断酒を何年か続けていても依然として残っているようなのです。これは当然のことだと思います。

 かく言う私も同じような経験を何度もしています。相方の言葉にはトゲがあり、しかも冷ややかな口調で言って来ます。私の方はと言えば、小バカにされた気分になって、どうしても頭に血が上りがちです。

 「何だ、その言い方は?!」と、つい言い返すこともたまにありますが、頭に血が上った状態では記憶が不確かです。生々しい言葉の数々を正確には覚えていないので、そのうち「まっ、いいか!」となってしまいます。

 先日、市役所であった水の飲み比べの際、職員の面前でアンケート用紙に記述することになり、久々に手が震えて字の乱れを経験しました。私にも依然として、飲酒時代の急性離脱症状・振戦がまだ生々しいトラウマの一つとして残っています。

 アル症からの回復を正確・冷静に判断できるのは身近に居る家族です。双方がトラウマを抱えていることは、お互い適当な距離感を保ててむしろプラスになるのかもしれません。

 こういう複数の歯止めがあってこそ、飲まない生活が続けられるというもの。私はそう考えることにしています。



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“病感” がある?

2019-08-09 05:57:14 | 病状
 二ヵ月ぶりに元町のアルコール専門クリニックに行ってきました。前回は、S 先生が自らボケ宣言をしたのでビックリさせられました。当然私の関心は、専ら S 先生のその後にありました。

 いつものようにしばらく待たされた後で診察室に呼ばれました。S 先生、前回の診察時とは打って変わって顔の表情が生き生きしていました。

 問診では、ゴミ拾いをまだ続けているかとか、ビタミンB1配合剤は他所で出してもらっているかとか、経過確認すべきポイントをしっかり聞いてきました。

 問診ついでにこんなことも教えてくれました。
「夏バテ対策には、ビタミンB1配合剤とビタミンCが一番。私も、この二つは欠かさないようにしているんです。」以前のS 先生そのものでした。

 診察室を出ると、私担当の相談員 N さんが丁度通りかかりました。早速、N さんを呼び止めて情報交換となりました。
「S 先生、今日はシッカリしていましたよ。前回はビックリさせられたけど、病識があるから大丈夫、まだ認知症まではいっていないと思っていましたが、・・・。」
「病識があるか、ないかは微妙だけど、“病感” はあるみたいですよ。」
「“ビョウカン”? 何ですかソレ?」
「自分は病気かもしれないという感覚のことよ。病識の一歩手前と言ったらいいかな。」

 S 先生本人には、スタッフ皆で物忘れがヒドイと伝えてある。だから、病気かもしれないという感覚は本人にもあるらしい。ただし、本人に病識があるのかないのか、本当のところはわからない。N さんの言った “病感” とはこんなところでしょうか。

 統合失調症や認知症の診断には、病識のないことが決め手になるそうです。病識の有無は、精神科領域ではそれだけ大事な所見なのです。

「(“病感” はあるとして、それが何にそれでどうなるの?)」咄嗟に、こう聞き返せないのが私の迂闊さ、切り返しの鈍さはいつものことです。結局、そのときの話はうやむやのまま終わりました。

 ところで、認知症の進行には好不調の波があると聞きます。今回が好調だったからと言って次回もそうとは限りません。

 とても他人事とは思えない S 先生のボケ問題、まだまだ目が離せないようです。で、私の定期通院もまだまだこのまま続けようと思っているところです。



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