自助会AAのミーティングでは、当然ながら常連の人の方が多いです。そんな常連の人が欠席や遅刻をしたら何か異変があったことを意味します。
前の週に欠席していた D さんですが、その日も遅れてミーティング半ばになってやってきました。ミーティング後に話を聞いてみたら、こんな事情があったのだそうです。
● このグループの会計を任されているので、発熱を押してミーティングに
出て来た。
● 誤嚥性肺炎に罹ってまだ38℃近い熱がある。自宅の隣が病院なので
点滴を毎朝受ける約束で入院せずに凌いでいる。夜勤の仕事も続けて
いる。
● AAに繋がって12年になるが、いまだにSLIP (再飲酒)を繰り返してソー
バー(飲まない生活)が長続きしてない。
酒を飲んで参加しても気持ちよく受け入れてくれたのはこのグループ
だけだったので恩義を感じている。だから今日も出てきた。
● 今日はホスピスに入院している仲間の見舞いも予定していた。
予定の時間が迫ってきたので勝手に点滴スピードを上げて早めに切り
上げた。
● ホスピスに入院しているのは同じ時期にAAに繋がった仲間。
ソーバーを12年も続けてきたのに末期がんのためホスピスで死に
かかっている。
仲間の不憫さと自分の不甲斐なさから思わず涙が出てきた。
すべてがドライドランクを思わせる危なっかしい話なのですが、新薬の臨床開発をやってきた私としては特に点滴の話は危険だと思いました。そこで、二つのことだけを忠告しておきました。
○ 点滴で使う薬は点滴でこそ最も効果が発揮され、代謝・排泄が速くて
効果の持続しない薬が多いので過信しないこと
○ 点滴スピードを勝手に速めたりしたら命にかかわるので大変危険なこと
D さんは、最後にSLIPしてから1年8ヵ月になるそうです。
「自分でも無理しているとわかっているんだけど止められない」
こうも語っていました。
無茶をしていると自覚していても自制できない、これもドライドランクに特徴的です。さすがに彼もこれはドライドランクかも、と薄々考えているらしかったので、これだけ伝えて後は自重しました。
「無理をしちゃーダメですよ!
“自分を大切に” って、決して無理しないことだそうですよ!」
1週間後、D さんは元気になってミーティングに出て来ました。平熱に戻り、内服薬だけでうまくいっていると笑顔で話していました。
危なっかしい綱渡りをしてでもどうにか凌げる、世の中にはこんな剛の者もいるものだと感心させられました。
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改元の少し前のことですが、身障者が自立できるバリアフリー社会の意味をこんなふうに解説していた新聞記事があったように思います。それも確かコラム欄にあったような、・・・記憶が定かではありません。
「健常者と身障者との違いといえば、依存先がいくつあるかなんです。健常者なら依存先が無数にあるのに対し、身障者の依存先は極めて限られているか、ほとんどないのが実情なんです。」
更に続けてこうあったような・・・。
「たとえば、ビル火災があったとします。
健常者ならエレベーターが使えなくても階段がある。その階段にしても通常階段の他、屋外に非常階段だってあるし、最悪の場合、避難用のハシゴやダストシュートを使う手もある。
ところが身障者にとっては、エレベーターが使えなかったら他に自力で避難できる手段が何もない。こんなふうに依存先が極めて限られ、悲惨な状況に身障者は置かれているんです。」
もちろん文体は違いますが、まぁ、ざっとこんな主旨だったと思います。
私がいつも読むのは産経新聞なので、図書館に行って産経新聞を漁ってみました。今年の4月と3月の2ヵ月分、念のため全ページを3時間かけて捲ってみたのですが、該当する記事は見当たりませんでした。
とすると、あれは夢だったのでしょうか? 夢だったとしたら、よく出来た夢だと思います。依存症者が焦がれる回復への道、その具体的方向(性)を示すオシャレな道標のように思われたからです。
たとえばアルコール依存症(アル症)者の場合、そもそも酒は心に負ったストレスを紛らわすための依存先の一つに過ぎなかっただけですが、いつの間にか唯一無二の依存先に変わってしまったことが問題なのです。たとえチマチマした楽しみでも、複数の依存先を持っている健常者とはこの点で違います。
ということは、依存先を複数持つことが回復への近道ということになるのでしょうか? それもギャンブル依存、セックス依存、買物・万引き依存など、後々高いツケを払うことになる依存先は避け、できれば社会参加に繋がる健全な依存先を複数選べばいいだけの話なのでしょう。
アル症者に共通するのは強い依存気質です。依存先を複数試してみるぐらいなら、アル症者にも簡単なこと。性格を変えようなどと無茶をしなくて済むところが何よりも道理に適っています。
手前味噌になりますが、週2回の自助グループ参加とブログ投稿、ほぼ毎日やっているゴミ拾い、これらが社会参加に繋がる新しい私の依存先です。これら依存先を室内・屋外それぞれに持つ私のやり方は理想に近いものと自負しています。
繰り返しになりますが、あれは夢だったのでしょうか? 少なくとも私には、身障者を依存先の有無からみる洒落た着眼点などありません。きっとどこかで読んだ記事なのでしょうが、それがどうにも思い出せないことにもどかしさを感じています。
試しに『依存先』というキーワードでネット検索してみると、同じ観点から論じている人のいることがわかりました。一体あれは、どこで読んだ記事だったのでしょうか?
その後、新聞コラムの著者がわかりました。その詳細については次の2つの記事をご参照ください。物書きのプロがまとめた記事ですから、とてもわかりやすい内容になっています。
『自立は、依存先を増やすこと 希望は、絶望を分かち合うこと』
『絶望だって、分かち合えば希望に変わる。熊谷晋一郎さんが語る「わたしとあなた」の回復の物語』
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「健常者と身障者との違いといえば、依存先がいくつあるかなんです。健常者なら依存先が無数にあるのに対し、身障者の依存先は極めて限られているか、ほとんどないのが実情なんです。」
更に続けてこうあったような・・・。
「たとえば、ビル火災があったとします。
健常者ならエレベーターが使えなくても階段がある。その階段にしても通常階段の他、屋外に非常階段だってあるし、最悪の場合、避難用のハシゴやダストシュートを使う手もある。
ところが身障者にとっては、エレベーターが使えなかったら他に自力で避難できる手段が何もない。こんなふうに依存先が極めて限られ、悲惨な状況に身障者は置かれているんです。」
もちろん文体は違いますが、まぁ、ざっとこんな主旨だったと思います。
私がいつも読むのは産経新聞なので、図書館に行って産経新聞を漁ってみました。今年の4月と3月の2ヵ月分、念のため全ページを3時間かけて捲ってみたのですが、該当する記事は見当たりませんでした。
とすると、あれは夢だったのでしょうか? 夢だったとしたら、よく出来た夢だと思います。依存症者が焦がれる回復への道、その具体的方向(性)を示すオシャレな道標のように思われたからです。
たとえばアルコール依存症(アル症)者の場合、そもそも酒は心に負ったストレスを紛らわすための依存先の一つに過ぎなかっただけですが、いつの間にか唯一無二の依存先に変わってしまったことが問題なのです。たとえチマチマした楽しみでも、複数の依存先を持っている健常者とはこの点で違います。
ということは、依存先を複数持つことが回復への近道ということになるのでしょうか? それもギャンブル依存、セックス依存、買物・万引き依存など、後々高いツケを払うことになる依存先は避け、できれば社会参加に繋がる健全な依存先を複数選べばいいだけの話なのでしょう。
アル症者に共通するのは強い依存気質です。依存先を複数試してみるぐらいなら、アル症者にも簡単なこと。性格を変えようなどと無茶をしなくて済むところが何よりも道理に適っています。
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繰り返しになりますが、あれは夢だったのでしょうか? 少なくとも私には、身障者を依存先の有無からみる洒落た着眼点などありません。きっとどこかで読んだ記事なのでしょうが、それがどうにも思い出せないことにもどかしさを感じています。
試しに『依存先』というキーワードでネット検索してみると、同じ観点から論じている人のいることがわかりました。一体あれは、どこで読んだ記事だったのでしょうか?
その後、新聞コラムの著者がわかりました。その詳細については次の2つの記事をご参照ください。物書きのプロがまとめた記事ですから、とてもわかりやすい内容になっています。
『自立は、依存先を増やすこと 希望は、絶望を分かち合うこと』
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先々週の土日はカゼで寝込んでいました。2月下旬にも一度カゼを引いたのですが、春真っ盛りのカゼはまた違うものだと思いました。
その土曜日の朝、睡眠十分のはずなのに身体が重く、目覚めても直ぐにまた眠りこける有様でした。鼻水ダラダラ、頭がボーッ、外に出るのも億劫なほど気分が落ち込んでばかり。熱が出なかったことが不幸中の幸いでした。
長く眠り続けるには体力が要ります。だから老いた身では長く眠ってなどいられないのですが、病んだ身だといくらでも長く眠り続けられるもの、こんな当たり前のことにも改めて気づかされました。
2日間はなんにもやる気が起きなくて、少々 “うつ状態” にありました。ひょっとしたら今更花粉症(?)、ならばこのまま続くのか(?)と一時不安にもなりました。
やはり、身体が病むと気分もふさぐ、この体感の変化が不安を呼び込むようです。そう言えば、深酒したときの翌朝も気分はこんなふうだったかと、酒で病んでいた頃のことが久々に思い出されもしました。深酒したときと違っていたのは、怠さで背中に根っこが張ったような重い感覚のないことでしょうか。
結局、単なるカゼだったようで安心しました。ただし、2週間経っても痰の絡んだ嫌な咳が続いたままで、今でも治りきっていません。
普段は夜出歩くことのない私ですが、実は、前日の金曜日の晩に桂米團治の独演会に行っていました。昼間はそれなりに暖かでしたが、日没後の冷気は3月を思わせるものでした。
行きしなに、歩きながら素手で吸い殻拾いをしました。が、そんな軽い屈伸運動でも汗をかいてしまい、講演が終わってもその汗が乾ききっていなかったようです。帰り道、そよ吹く夜風に背筋がゾクゾクしました。今思えばこれがいけなかったようです。
今年はソメイヨシノの開花以降、例年よりも花冷え期間が長く続きました。その分、3週間もの長い間花を楽しめたのですが、身体の方は寒暖差にうまく付いていけてなかったようです。日頃慣れてない “夜遊び” をしたことで、そのツケが覿面に回ってきたのでしょう。
さて、10連休という長い休みも終盤を迎えています。皆さん、生活リズムが変わってしまったと感じていませんか? ノホホンとしたままボーッとしていたら高いツケを払うことになりかねません。
五月病に代表される “うつ状態” は生活リズムの変化が原因で始まります。休み明けの朝に気分の重い目覚めを迎えないよう、今からでも正規の生活リズムに戻してはいかがでしょうか。またまた余計なお世話でした。
下の囲み記事は、本物の “うつ病” と単なる “うつ状態” との違いについて考えてみた過去記事です。私が断酒して2年3ヵ月後に投稿したものです。ご参考までに。
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その土曜日の朝、睡眠十分のはずなのに身体が重く、目覚めても直ぐにまた眠りこける有様でした。鼻水ダラダラ、頭がボーッ、外に出るのも億劫なほど気分が落ち込んでばかり。熱が出なかったことが不幸中の幸いでした。
長く眠り続けるには体力が要ります。だから老いた身では長く眠ってなどいられないのですが、病んだ身だといくらでも長く眠り続けられるもの、こんな当たり前のことにも改めて気づかされました。
2日間はなんにもやる気が起きなくて、少々 “うつ状態” にありました。ひょっとしたら今更花粉症(?)、ならばこのまま続くのか(?)と一時不安にもなりました。
やはり、身体が病むと気分もふさぐ、この体感の変化が不安を呼び込むようです。そう言えば、深酒したときの翌朝も気分はこんなふうだったかと、酒で病んでいた頃のことが久々に思い出されもしました。深酒したときと違っていたのは、怠さで背中に根っこが張ったような重い感覚のないことでしょうか。
結局、単なるカゼだったようで安心しました。ただし、2週間経っても痰の絡んだ嫌な咳が続いたままで、今でも治りきっていません。
普段は夜出歩くことのない私ですが、実は、前日の金曜日の晩に桂米團治の独演会に行っていました。昼間はそれなりに暖かでしたが、日没後の冷気は3月を思わせるものでした。
行きしなに、歩きながら素手で吸い殻拾いをしました。が、そんな軽い屈伸運動でも汗をかいてしまい、講演が終わってもその汗が乾ききっていなかったようです。帰り道、そよ吹く夜風に背筋がゾクゾクしました。今思えばこれがいけなかったようです。
今年はソメイヨシノの開花以降、例年よりも花冷え期間が長く続きました。その分、3週間もの長い間花を楽しめたのですが、身体の方は寒暖差にうまく付いていけてなかったようです。日頃慣れてない “夜遊び” をしたことで、そのツケが覿面に回ってきたのでしょう。
さて、10連休という長い休みも終盤を迎えています。皆さん、生活リズムが変わってしまったと感じていませんか? ノホホンとしたままボーッとしていたら高いツケを払うことになりかねません。
五月病に代表される “うつ状態” は生活リズムの変化が原因で始まります。休み明けの朝に気分の重い目覚めを迎えないよう、今からでも正規の生活リズムに戻してはいかがでしょうか。またまた余計なお世話でした。
下の囲み記事は、本物の “うつ病” と単なる “うつ状態” との違いについて考えてみた過去記事です。私が断酒して2年3ヵ月後に投稿したものです。ご参考までに。
アルコールと “うつ” 症状単なる “抑うつ状態” と本物の “うつ病” との違いは、キッカケと思しき出来事と症状発現との間に時間的隔たりがあったか否かだと言います。別離や失敗、喪失などの......
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“心の落ち着き” AAのミーティングでしばしばテーマに取り上げられる言葉です。先行きに不安のない心のありようを表し、精神的な回復もこの言葉に象徴されているからでしょうか。先日のミーティングでもこの言葉がテーマとなりました。
「随分長い間、この言葉に囚われていたのではないか?」ふとそんな思いが湧いてきました。過去記事を振り返ってみると、断酒して1年5ヵ月目の記事に早くもこの言葉が出ていました。それだけ “心の落ち着き” に恋い焦がれていたのだと思います。
その後の記事を辿ってみると、この言葉の意味するところは “平常心”、と一旦結論づけていました。それはそれで正しいのですが、“心の落ち着き” は身体全体で感じる感覚です。一方の “平常心” は、どちらかと言えば頭で考えた理屈であって、体感を表してはいません。
その後も模索は続き、最終的に辿り着いた言葉は “楽になった” でした。この言葉こそ “心の落ち着き” を感覚的に表現した言葉だろうと思います。断酒して4年後の記事にありました。
ところで、言葉に囚われた例は他にもあります。「~でなければならない/~しなければならない」という “認知のゆがみ” を象徴する言葉のことです。
正直に言えば、当初は行動を表す「~しなければならない」という方に重きを置いていました。「なるようにしかならない」という割り切った考え方がありますが、これも「なるようになる」と無理に言い換えていたほどで、バカみたいにこだわっていました。
本来、用心すべきは「~でなければならない」という考え方であって、絵に描いたような理想像に雁字搦めになってしまうことです。
「家族とは~であるべき」、「夫/妻は~であるべき」という “べき論” がそれに当たります。こんな簡単なことに気づいたのもつい最近のことです。
こんなふうに極端に走ってしまうこともありますが、言葉に囚われるのも悪くないとも思っています。とことん意識し続けて様々な場面に出会い、少しずつでも核心に近づければいいのです。その方が言葉の持つ意味の奥行きがわかって得した気分にもなれます。
* * * * *
患者が回復を恋い焦がれるのは当たり前のことです。その傾向は、アルコール依存症(アル症)者の場合、特に強いようです。
断酒して3ヵ月ぐらいまでに体調は回復します。ところが脳の回復は遅いので、体調と脳の間にアンバランスが生じます。そのアンバランスがアル症者に回復を焦るよう煽るのだと思います。
断酒して3ヵ月~3年ぐらいは、早く回復したいという思いが殊の外強いだけに、早くも回復したという勘違いに陥りがちです。特に1年ぐらいまではPAWS(⊇ドライドランク)がそれに拍車を掛けます。
自信過剰・自己万能感、自己憐憫(なぜ自分だけがこんな目に・・・)、自我の肥大(人にお節介をやきたがる)などの気持ちが強く出るのがドライドランクです。念のためご用心を!
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その後の記事を辿ってみると、この言葉の意味するところは “平常心”、と一旦結論づけていました。それはそれで正しいのですが、“心の落ち着き” は身体全体で感じる感覚です。一方の “平常心” は、どちらかと言えば頭で考えた理屈であって、体感を表してはいません。
その後も模索は続き、最終的に辿り着いた言葉は “楽になった” でした。この言葉こそ “心の落ち着き” を感覚的に表現した言葉だろうと思います。断酒して4年後の記事にありました。
ところで、言葉に囚われた例は他にもあります。「~でなければならない/~しなければならない」という “認知のゆがみ” を象徴する言葉のことです。
正直に言えば、当初は行動を表す「~しなければならない」という方に重きを置いていました。「なるようにしかならない」という割り切った考え方がありますが、これも「なるようになる」と無理に言い換えていたほどで、バカみたいにこだわっていました。
本来、用心すべきは「~でなければならない」という考え方であって、絵に描いたような理想像に雁字搦めになってしまうことです。
「家族とは~であるべき」、「夫/妻は~であるべき」という “べき論” がそれに当たります。こんな簡単なことに気づいたのもつい最近のことです。
こんなふうに極端に走ってしまうこともありますが、言葉に囚われるのも悪くないとも思っています。とことん意識し続けて様々な場面に出会い、少しずつでも核心に近づければいいのです。その方が言葉の持つ意味の奥行きがわかって得した気分にもなれます。
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患者が回復を恋い焦がれるのは当たり前のことです。その傾向は、アルコール依存症(アル症)者の場合、特に強いようです。
断酒して3ヵ月ぐらいまでに体調は回復します。ところが脳の回復は遅いので、体調と脳の間にアンバランスが生じます。そのアンバランスがアル症者に回復を焦るよう煽るのだと思います。
断酒して3ヵ月~3年ぐらいは、早く回復したいという思いが殊の外強いだけに、早くも回復したという勘違いに陥りがちです。特に1年ぐらいまではPAWS(⊇ドライドランク)がそれに拍車を掛けます。
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新年早々ドジな話を二つ。一つは中気にあたったのでは(?)と肝を冷やした話、もう一つは暮れの嫌な予感があたった話です。漢字で書くと、片方は “中”、もう一方は “当” でしょうか。
ひとつ目は初詣の道中でのこと、西宮神社(戎さん)から打出天神に向かう途中でした。ほぼ1時間半も歩きづめでさすがに小腹が空いてきたので、スーパーのイートイン・コーナーで一休みすることにしました。買ったばかりのお菓子を食べようとプラ包装の袋を開けようとしたとき異変に気づかされました。
普通、この手の袋を開けるときは底のギザギザ部分を利用して袋を引き裂きます。普段通りに拇・中指・人差し指の三本を使って袋を摘まみ、両手で引き裂こうとしたのですが、何と、左手拇に力が入らないのです。ちゃんと動くことは動くのですが、イザ強く摘まむとなると全くダメで開けられません。結局、お菓子は断念しました。
「(これは中気にあたったせいではないか?)」と流石に慌てました。中気とは中風とも言われ、脳卒中後の麻痺のことです。つまり、TIA(一過性脳虚血発作)ではないかと考えたわけです。
急遽、病院に行くことも真剣に考えたのですが、元日なので祝日休診中です。それならばと、よく左手を調べてみたら拇以外の指にはしっかり力が入ることがわかりました。左側の腕にも脚にも目にも別に異常はありませんでした。これなら大丈夫だろうと、しばらく様子を見ることにしました。
自宅に戻ってから再びプラ包装の袋開けを試みました。今度はうまく開けられ、心底ほっとしました。どうやら左手を下に敷いて寝ていたせいで、単なる寝違えだったようです。
さて、二つ目の話は正月三日の晩のことです。夕飯に餅を食べていたら、ゴリッと音がしたので「(アチャーッまたやってしまったか!)」と思いました。前歯の中央左下の差し歯2本が抜けていました。
ふた月に1回、歯周のプラーク・クリーニング(歯垢除去)を受けに歯医者に通っているのですが、暮れに受診したときに休日歯科救急センターの話になりました。正月には餅で差し歯が抜けるケースが多く、休日歯科救急センターはその手の患者で一杯になるというのです。ガムを噛んで差し歯の抜けを散々経験している私としては他人事ではありませんでした。
その予感が見事に当たったのです。昼に食べたときの餅は少々堅かったので大丈夫でしたが、晩の餅は膨らむほどの焼き上がりで粘りもあり柔らかでした。ガムと同じで粘りのある柔らかな餅は差し歯に危ないと実感しました。
「(やれやれまた余計な出費がかさむのか)」と内心、万単位を覚悟したのですが、何とか再利用が可能だったので900円の出費で済みました。以上、新年早々ながらシャレにもならないオソマツな話でした。
餅食えば歯の抜けにけり老いの春
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ひとつ目は初詣の道中でのこと、西宮神社(戎さん)から打出天神に向かう途中でした。ほぼ1時間半も歩きづめでさすがに小腹が空いてきたので、スーパーのイートイン・コーナーで一休みすることにしました。買ったばかりのお菓子を食べようとプラ包装の袋を開けようとしたとき異変に気づかされました。
普通、この手の袋を開けるときは底のギザギザ部分を利用して袋を引き裂きます。普段通りに拇・中指・人差し指の三本を使って袋を摘まみ、両手で引き裂こうとしたのですが、何と、左手拇に力が入らないのです。ちゃんと動くことは動くのですが、イザ強く摘まむとなると全くダメで開けられません。結局、お菓子は断念しました。
「(これは中気にあたったせいではないか?)」と流石に慌てました。中気とは中風とも言われ、脳卒中後の麻痺のことです。つまり、TIA(一過性脳虚血発作)ではないかと考えたわけです。
急遽、病院に行くことも真剣に考えたのですが、元日なので祝日休診中です。それならばと、よく左手を調べてみたら拇以外の指にはしっかり力が入ることがわかりました。左側の腕にも脚にも目にも別に異常はありませんでした。これなら大丈夫だろうと、しばらく様子を見ることにしました。
自宅に戻ってから再びプラ包装の袋開けを試みました。今度はうまく開けられ、心底ほっとしました。どうやら左手を下に敷いて寝ていたせいで、単なる寝違えだったようです。
さて、二つ目の話は正月三日の晩のことです。夕飯に餅を食べていたら、ゴリッと音がしたので「(アチャーッまたやってしまったか!)」と思いました。前歯の中央左下の差し歯2本が抜けていました。
ふた月に1回、歯周のプラーク・クリーニング(歯垢除去)を受けに歯医者に通っているのですが、暮れに受診したときに休日歯科救急センターの話になりました。正月には餅で差し歯が抜けるケースが多く、休日歯科救急センターはその手の患者で一杯になるというのです。ガムを噛んで差し歯の抜けを散々経験している私としては他人事ではありませんでした。
その予感が見事に当たったのです。昼に食べたときの餅は少々堅かったので大丈夫でしたが、晩の餅は膨らむほどの焼き上がりで粘りもあり柔らかでした。ガムと同じで粘りのある柔らかな餅は差し歯に危ないと実感しました。
「(やれやれまた余計な出費がかさむのか)」と内心、万単位を覚悟したのですが、何とか再利用が可能だったので900円の出費で済みました。以上、新年早々ながらシャレにもならないオソマツな話でした。
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明けましておめでとうございます!
年の初めにあたり、アル症の皆様に表題の “気楽にやろう!” を提案します。この言葉はアル症の回復度合いを測る言葉でもありそうです。
暮れのAAミーティングでテーマとなったのがこの言葉でした。参加したメンバーは皆が皆一様に、「断酒を始めた頃は、とても素直に聞ける状態ではなかった」と口を揃えていました。「聞いて腹が立った」と言っていた人も。
断酒して間もない時期は、「どうしても断酒しなければ・・・」とか「再飲酒したらどうしよう」とかに囚われ、不安と恐れに怯えているときです。とても素直に聞き入れるだけの余裕さえありません。実は内心、「(早く回復したい、いや、身体はもう回復しているんだから大丈夫では?)」などとケシカランことも考えている時期なので事はややこしいのです。
“気楽にやろう!” は、シャカリキになっているときや切羽詰っているときなどに、「まぁまぁ~」と諫める言葉ですが、心にまだ余裕があって初めて受け容れられる言葉ではないでしょうか? お陰様で、今の私は素直に聞けています。
司会者は、新しい年を迎える心構えとして提案したと思うのですが、次のような使い方もありそうです。
アル症には回復を測る客観的な検査方法はありません。専門医は患者に目ヂカラがあるか否かで診断するそうですが、この言葉を掛けられてみて(あるいは掛けてみて)どんな気持ちになるのか試してみるのも一法かもしれません。これなら自己診断も可能です。
この言葉を素直な気持ちで聞けるようなら、かなり回復が進んでいる証です。 “まとも” な精神状態だからこそ聞けるのです。今年は是非、折に触れてこの言葉を掛け合ってみてはいかがでしょう。
これから西宮神社に初詣します。皆様、今年もどうぞよろしくお願いします。
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年の初めにあたり、アル症の皆様に表題の “気楽にやろう!” を提案します。この言葉はアル症の回復度合いを測る言葉でもありそうです。
暮れのAAミーティングでテーマとなったのがこの言葉でした。参加したメンバーは皆が皆一様に、「断酒を始めた頃は、とても素直に聞ける状態ではなかった」と口を揃えていました。「聞いて腹が立った」と言っていた人も。
断酒して間もない時期は、「どうしても断酒しなければ・・・」とか「再飲酒したらどうしよう」とかに囚われ、不安と恐れに怯えているときです。とても素直に聞き入れるだけの余裕さえありません。実は内心、「(早く回復したい、いや、身体はもう回復しているんだから大丈夫では?)」などとケシカランことも考えている時期なので事はややこしいのです。
“気楽にやろう!” は、シャカリキになっているときや切羽詰っているときなどに、「まぁまぁ~」と諫める言葉ですが、心にまだ余裕があって初めて受け容れられる言葉ではないでしょうか? お陰様で、今の私は素直に聞けています。
司会者は、新しい年を迎える心構えとして提案したと思うのですが、次のような使い方もありそうです。
アル症には回復を測る客観的な検査方法はありません。専門医は患者に目ヂカラがあるか否かで診断するそうですが、この言葉を掛けられてみて(あるいは掛けてみて)どんな気持ちになるのか試してみるのも一法かもしれません。これなら自己診断も可能です。
この言葉を素直な気持ちで聞けるようなら、かなり回復が進んでいる証です。 “まとも” な精神状態だからこそ聞けるのです。今年は是非、折に触れてこの言葉を掛け合ってみてはいかがでしょう。
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まだちょっと引っかかるところがあるのですが、私の回復は着実に進んでいると実感しています。
散々悩まされてきた物忘れですが、直近の記憶ならしっかり覚えていられますし、意図した言葉も大分速く思い出せるようになりました。
感情の揺れ巾も小さくなってきたようなので、精神面での回復もそれなりに進んでいるのでは、と勝手に思ったりしています。だからでしょうか、最近は “心の落ち着き” など余り考えなくなっていました。
先日、自助会AAのミーティングでこの “心の落ち着き” がテーマに出ました。恐らく大部分のアルコール依存症(アル症)者にとって、感情をうまくコントロールできていることこそが “心の落ち着き” であって、先ずは感情のコントロールが第一、となるのだと思います。
私にとっても、“心の落ち着き” はまさに回復のイメージで、いざ事が起こったときにも平常心でいられることが回復だと考えています。複眼的な見方を持って冷静に事態に対処できる心の持ち様のことであって、感情のコントロールが大前提というのに異論はありません。
久々に考えをまとめようとしていたら、ある “妄想” が浮かんで来ました。感情とは感覚に対して脳が咄嗟に下した解釈ではないか、という考えです。“怒り”、“恐れ”、“不安” などの言葉は、経験的に後から意味付けしたものというわけです。
断酒して3ヵ月が過ぎた頃、私は明鏡止水とでも言うべき感覚やその真逆の胸の空回り・ザワザワ感を経験しています。
改めて当時を振り返って見ると、明鏡止水のときは妙に静かで不思議な感覚と捉えていましたし、胸の空回りやザワザワ感のときも遣り場のない不思議な閉塞感と捉えていました。“心の落ち着き” とか “不穏で不吉” とかは、謂わば経験的に後から取って付けた表現だったようです。
この経験から、感覚には巾があることを改めて知りました。感覚に座標軸を想定すると、明鏡止水と言うべき感覚やその真逆の胸の空回り・ザワザワ感は、同じ座標軸上の対極に位置付けされる感覚です。両者の間には強弱様々な感覚があり得るわけで、感情とは感覚に下した解釈であるとすれば、感情にも強弱様々な形態があることになります。
そして恐らくは、経験を繰り返すことによって感覚が馴染んで円やかなものになり、感情もそれに釣られて暴走しなくなるのでは、と考えるに至りました。感覚が馴染んで円やかになるとは、兆しとして早めに感知できることではないかと、これも勝手に考えています。
少なくとも今では、“怒り” の感情なら、その兆しが感知できるようになりました。3年半以上続けているゴミ拾い体験と、黙って人の話を聞くAAミーティングを続けたお陰だと思っています。
少し飛躍しますが、アル症からの回復は、先ず身体的な体調の回復に始まり、次いで感覚の回復の順に現われ、その先に “心の落ち着き” が訪れるのではないか、というのが私の “妄想” の全体像です。その感覚の回復も、先ず五感(視・聴・臭・触・味)の回復に始まり、次いで身体の内部から湧き出る体感(勘も含む第六感のこと?)の回復の順のようです。
ですから、私の場合は感覚の回復が第一なのです。これらの過程で、たとえばポイ捨てゴミで道が散らかっていることや人の酒臭さなど、飲酒時代には気付けなかったことに気付けるようになりました。
そして、今は時間の流れ方がまともになり、体感が身の危険や忘れ物を教えてくれるようにもなっています。そのうち追々 “心の落ち着き” にも繋がるだろう。これは新手の “妄想” なのでしょうか?
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散々悩まされてきた物忘れですが、直近の記憶ならしっかり覚えていられますし、意図した言葉も大分速く思い出せるようになりました。
感情の揺れ巾も小さくなってきたようなので、精神面での回復もそれなりに進んでいるのでは、と勝手に思ったりしています。だからでしょうか、最近は “心の落ち着き” など余り考えなくなっていました。
先日、自助会AAのミーティングでこの “心の落ち着き” がテーマに出ました。恐らく大部分のアルコール依存症(アル症)者にとって、感情をうまくコントロールできていることこそが “心の落ち着き” であって、先ずは感情のコントロールが第一、となるのだと思います。
私にとっても、“心の落ち着き” はまさに回復のイメージで、いざ事が起こったときにも平常心でいられることが回復だと考えています。複眼的な見方を持って冷静に事態に対処できる心の持ち様のことであって、感情のコントロールが大前提というのに異論はありません。
久々に考えをまとめようとしていたら、ある “妄想” が浮かんで来ました。感情とは感覚に対して脳が咄嗟に下した解釈ではないか、という考えです。“怒り”、“恐れ”、“不安” などの言葉は、経験的に後から意味付けしたものというわけです。
断酒して3ヵ月が過ぎた頃、私は明鏡止水とでも言うべき感覚やその真逆の胸の空回り・ザワザワ感を経験しています。
改めて当時を振り返って見ると、明鏡止水のときは妙に静かで不思議な感覚と捉えていましたし、胸の空回りやザワザワ感のときも遣り場のない不思議な閉塞感と捉えていました。“心の落ち着き” とか “不穏で不吉” とかは、謂わば経験的に後から取って付けた表現だったようです。
この経験から、感覚には巾があることを改めて知りました。感覚に座標軸を想定すると、明鏡止水と言うべき感覚やその真逆の胸の空回り・ザワザワ感は、同じ座標軸上の対極に位置付けされる感覚です。両者の間には強弱様々な感覚があり得るわけで、感情とは感覚に下した解釈であるとすれば、感情にも強弱様々な形態があることになります。
そして恐らくは、経験を繰り返すことによって感覚が馴染んで円やかなものになり、感情もそれに釣られて暴走しなくなるのでは、と考えるに至りました。感覚が馴染んで円やかになるとは、兆しとして早めに感知できることではないかと、これも勝手に考えています。
少なくとも今では、“怒り” の感情なら、その兆しが感知できるようになりました。3年半以上続けているゴミ拾い体験と、黙って人の話を聞くAAミーティングを続けたお陰だと思っています。
少し飛躍しますが、アル症からの回復は、先ず身体的な体調の回復に始まり、次いで感覚の回復の順に現われ、その先に “心の落ち着き” が訪れるのではないか、というのが私の “妄想” の全体像です。その感覚の回復も、先ず五感(視・聴・臭・触・味)の回復に始まり、次いで身体の内部から湧き出る体感(勘も含む第六感のこと?)の回復の順のようです。
ですから、私の場合は感覚の回復が第一なのです。これらの過程で、たとえばポイ捨てゴミで道が散らかっていることや人の酒臭さなど、飲酒時代には気付けなかったことに気付けるようになりました。
そして、今は時間の流れ方がまともになり、体感が身の危険や忘れ物を教えてくれるようにもなっています。そのうち追々 “心の落ち着き” にも繋がるだろう。これは新手の “妄想” なのでしょうか?
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先日の自助会AAのミーティングでは、“やる気” がテーマとなりました。私にしては珍しいことですが、すかさず思い出したのは次のエピソードでした。
「今は何にも “やる気” がしないでしょう? 大丈夫! 点滴できっと、“やる気” が戻るようにしてあげますから、・・・それから、階段や段差など降りるときは気をつけてください。今は、バランスが思い通りには取れない状態ですから、手すりなどにつかまってね。原因は同じだから、それも点滴で元に戻りますよ。」
これは、アルコール専門クリニックを初めて受診したときに院長のS 先生に言われた言葉です。5年経った今でもこの言葉はしっかり覚えています。
「(えっ、“やる気” が戻る? 精神的なものが点滴で? ホント?)」頭がボーッとしていて考える気力も失せていましたが、それでも俄には信じがたい言葉でした。
一般病院を強制退院となり、専門クリニックには妻に連れられてやって来たのですが、妻に付いて歩くのにも難儀していました。また、緩い斜面とか階段や段差を降りるときには、ともすると転げそうでヒヤヒヤしていたことを覚えています。
初診の日から、連日1時間の点滴を受け続けました。1ヵ月もしないうちに歩き方がマシになり、より長い距離を歩こうと自宅から駅までのコースを片道30分のコースに変えるまでになれました。
3ヵ月が過ぎた辺りから、さらにビックリすることが起こりました。何と、本がすらすら読めるようになったのです。酒浸りだった頃は “やる気” が全く失せて、本を読む気力すらなかったのに、です。明らかに、“やる気”(=意欲)が戻ったのは断酒とこの点滴のお陰でした。
通院5ヵ月で点滴が静注になり、その後1ヵ月ほどで静注が内服に変わりました。医者の判断で一時中止となったのですが、たちまち体調も気力も今ひとつに逆戻りしてしまいました。直ぐに内服処方を再開してもらい、5年経った今でも朝夕2回の服用が続いています。
ところで、静注のときにニンニク臭がしましたから、成分中にビタミンB1が含まれていることはわかっていました。後になって医者に聞いたところ、点滴も内服もビタミン B1 、B6 、B12が主成分の配合剤だったそうです。
これらのビタミンB群をネットで調べてみると次のように書かれていました。
●ビタミンB1:糖質をエネルギーに変換する代謝過程で補酵素として働き、不足すると疲れやすくなり、イライラや抑うつ気分にもなりやすい。アルコールが無毒化される代謝過程では大量に消費される
●ビタミンB6:脳の神経伝達物質、特に抑制的に働くGABAの生成に深く関わって、不足するとイライラや寝つきが悪くなりやすい
●ビタミンB12:神経伝達物質の生成を促して精神を安定させ、集中力や記憶力を高める。不足すると睡眠障害が起こりやすい
概観して、これらのビタミンB群はヒトの精神状態にも深く関わっていて、不足すると疲れやすさやイライラ、抑うつ気分、不眠などになりやすいことがよくわかります。つまり元気がなく、“やる気” の出ない状態です。酒の飲み過ぎが連日のように続いた翌朝のことを思えば、これらの気分にきっと心当たりがあるはずです。
この連日飲酒の場合を想定してみれば、そのカラクリがよくわかります。多量の飲酒は消化管を傷めて消化不良を起こし、これらビタミンB群の吸収不足を来たします。これに加えてビタミンB1はアルコールを無毒化する代謝過程で大量に消費されますから、益々ビタミンB1不足に拍車がかかることになります。
こうしたビタミンB群不足の悪化が抑うつ気分に落ち込ませることになるのでしょう。が、そんなことを知らない大酒飲みは、何とか落ち込んだ気分を紛らわそうと再び酒に手を出す悪循環に嵌まってしまうのです。
以上は、依存性薬物であるアルコールのもう一つの側面、つまりビタミンB群の側から見たアルコールによる負の連鎖のカラクリです。夏バテでも同じように元気も “やる気” もなくなりますが、主に暑さが原因で食欲がなくなる夏バテに比べたら、アルコールの複雑さや手強さがよくわかると思います。
長くなりましたが、大酒飲みの方にここで特にお勧めします。なにかにつけメンドクサイが先立って “やる気” が出ないときは、是非ビタミンB1を初めとしたビタミンB群不足を疑ってみてください。
そしてできれば、処方箋によるビタミン B1 、B6 、B12からなる配合剤を1~2ヵ月お試しください。市販の栄養ドリンク剤よりも、結局、処方箋薬の方が安上がりなこと請け合います。
次の記事も是非ご参照ください。
「アルコールと “うつ” 症状」(2016.2.05投稿)
「大酒飲みにありがちなビタミンB1不足」(2017.7.07投稿)
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「今は何にも “やる気” がしないでしょう? 大丈夫! 点滴できっと、“やる気” が戻るようにしてあげますから、・・・それから、階段や段差など降りるときは気をつけてください。今は、バランスが思い通りには取れない状態ですから、手すりなどにつかまってね。原因は同じだから、それも点滴で元に戻りますよ。」
これは、アルコール専門クリニックを初めて受診したときに院長のS 先生に言われた言葉です。5年経った今でもこの言葉はしっかり覚えています。
「(えっ、“やる気” が戻る? 精神的なものが点滴で? ホント?)」頭がボーッとしていて考える気力も失せていましたが、それでも俄には信じがたい言葉でした。
一般病院を強制退院となり、専門クリニックには妻に連れられてやって来たのですが、妻に付いて歩くのにも難儀していました。また、緩い斜面とか階段や段差を降りるときには、ともすると転げそうでヒヤヒヤしていたことを覚えています。
初診の日から、連日1時間の点滴を受け続けました。1ヵ月もしないうちに歩き方がマシになり、より長い距離を歩こうと自宅から駅までのコースを片道30分のコースに変えるまでになれました。
3ヵ月が過ぎた辺りから、さらにビックリすることが起こりました。何と、本がすらすら読めるようになったのです。酒浸りだった頃は “やる気” が全く失せて、本を読む気力すらなかったのに、です。明らかに、“やる気”(=意欲)が戻ったのは断酒とこの点滴のお陰でした。
通院5ヵ月で点滴が静注になり、その後1ヵ月ほどで静注が内服に変わりました。医者の判断で一時中止となったのですが、たちまち体調も気力も今ひとつに逆戻りしてしまいました。直ぐに内服処方を再開してもらい、5年経った今でも朝夕2回の服用が続いています。
ところで、静注のときにニンニク臭がしましたから、成分中にビタミンB1が含まれていることはわかっていました。後になって医者に聞いたところ、点滴も内服もビタミン B1 、B6 、B12が主成分の配合剤だったそうです。
これらのビタミンB群をネットで調べてみると次のように書かれていました。
●ビタミンB1:糖質をエネルギーに変換する代謝過程で補酵素として働き、不足すると疲れやすくなり、イライラや抑うつ気分にもなりやすい。アルコールが無毒化される代謝過程では大量に消費される
●ビタミンB6:脳の神経伝達物質、特に抑制的に働くGABAの生成に深く関わって、不足するとイライラや寝つきが悪くなりやすい
●ビタミンB12:神経伝達物質の生成を促して精神を安定させ、集中力や記憶力を高める。不足すると睡眠障害が起こりやすい
概観して、これらのビタミンB群はヒトの精神状態にも深く関わっていて、不足すると疲れやすさやイライラ、抑うつ気分、不眠などになりやすいことがよくわかります。つまり元気がなく、“やる気” の出ない状態です。酒の飲み過ぎが連日のように続いた翌朝のことを思えば、これらの気分にきっと心当たりがあるはずです。
この連日飲酒の場合を想定してみれば、そのカラクリがよくわかります。多量の飲酒は消化管を傷めて消化不良を起こし、これらビタミンB群の吸収不足を来たします。これに加えてビタミンB1はアルコールを無毒化する代謝過程で大量に消費されますから、益々ビタミンB1不足に拍車がかかることになります。
こうしたビタミンB群不足の悪化が抑うつ気分に落ち込ませることになるのでしょう。が、そんなことを知らない大酒飲みは、何とか落ち込んだ気分を紛らわそうと再び酒に手を出す悪循環に嵌まってしまうのです。
以上は、依存性薬物であるアルコールのもう一つの側面、つまりビタミンB群の側から見たアルコールによる負の連鎖のカラクリです。夏バテでも同じように元気も “やる気” もなくなりますが、主に暑さが原因で食欲がなくなる夏バテに比べたら、アルコールの複雑さや手強さがよくわかると思います。
長くなりましたが、大酒飲みの方にここで特にお勧めします。なにかにつけメンドクサイが先立って “やる気” が出ないときは、是非ビタミンB1を初めとしたビタミンB群不足を疑ってみてください。
そしてできれば、処方箋によるビタミン B1 、B6 、B12からなる配合剤を1~2ヵ月お試しください。市販の栄養ドリンク剤よりも、結局、処方箋薬の方が安上がりなこと請け合います。
次の記事も是非ご参照ください。
「アルコールと “うつ” 症状」(2016.2.05投稿)
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様々な含意を込めやすいので、“今日一日” は自助会AAのミーティング・テーマによく取り上げられる言葉です。以前のブログ記事で、私もこんな “こじつけ” を書いています。
“今日一日” ぐらい・・・・・・ズル休みしても
(現役サラリーマン時代;結局その日は飲酒三昧)
“今日一日” だけでも・・・・断酒を続けなければ
(断酒10ヵ月まで;再飲酒に怯えて不安)
“今日も一日” またいい日・・・・Today is another good day.
(断酒3年8ヵ月時;飲まない生活が定着)
“今日一日” がらみで使える言葉として、英国に留学中の若い医師がこんな言葉を紹介してくれました。
Today is the first day of the rest of your life.
(今日は貴方の残りの人生の最初の日です)
これは英国に古くからある警句だそうです。事実をそのまま表現しているに過ぎないのですが、含蓄のあるこの言葉に私はいたく感じ入りました。彼はこう続けます。
「残りの人生を想えば、今日がその最初の日なのだから、過去を悔やんで落ち込まずに、これからのことを前向きに考えよう・・・何か辛いことがあって思い悩むことがあっても『今日は最初の日なのだから、また新しくスタートすればいいんだよ』という優しさを伝えられたような、そういう思いやりを感じさせられる言葉でもあります。」
(『 Today is the first day of the rest of your life. 』
「不可視の両刃」放射線に挑む~英国大学院博士課程留学~2018.10.26)
アルコールのせいで生きる意欲を全くなくしていた飲酒時代最末期の頃の私なら、ただ力なく苦笑いするだけだったでしょう。が、断酒して体調が回復し意欲も戻った頃の私なら、思わず背筋をシャキッと伸ばし、
「生かしてもらったせっかくの人生、残りも一丁、頑張ってみるか?!」
と前向きな心意気になれただろうと思います。先行きが不安だらけの時期だっただけに、どんなに励みとなったことか想像に難くありません。
“今日一日” には、その日だけと区切りを付ける意味があると話した仲間がいました。“Today is the first day・・・”は、その “区切り説” に芯を入れてくれた言葉ということでしょうか。
“今日一日” 残りの人生最初の日
再飲酒で落ち込んでいるアル症の人にはまさに打って付けの言葉です。きっと襟を正してシャキッとしてくれるでしょう。これ以上の励ましはないだろう、と心底思います。
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(断酒3年8ヵ月時;飲まない生活が定着)
“今日一日” がらみで使える言葉として、英国に留学中の若い医師がこんな言葉を紹介してくれました。
Today is the first day of the rest of your life.
(今日は貴方の残りの人生の最初の日です)
これは英国に古くからある警句だそうです。事実をそのまま表現しているに過ぎないのですが、含蓄のあるこの言葉に私はいたく感じ入りました。彼はこう続けます。
「残りの人生を想えば、今日がその最初の日なのだから、過去を悔やんで落ち込まずに、これからのことを前向きに考えよう・・・何か辛いことがあって思い悩むことがあっても『今日は最初の日なのだから、また新しくスタートすればいいんだよ』という優しさを伝えられたような、そういう思いやりを感じさせられる言葉でもあります。」
(『 Today is the first day of the rest of your life. 』
「不可視の両刃」放射線に挑む~英国大学院博士課程留学~2018.10.26)
アルコールのせいで生きる意欲を全くなくしていた飲酒時代最末期の頃の私なら、ただ力なく苦笑いするだけだったでしょう。が、断酒して体調が回復し意欲も戻った頃の私なら、思わず背筋をシャキッと伸ばし、
「生かしてもらったせっかくの人生、残りも一丁、頑張ってみるか?!」
と前向きな心意気になれただろうと思います。先行きが不安だらけの時期だっただけに、どんなに励みとなったことか想像に難くありません。
“今日一日” には、その日だけと区切りを付ける意味があると話した仲間がいました。“Today is the first day・・・”は、その “区切り説” に芯を入れてくれた言葉ということでしょうか。
“今日一日” 残りの人生最初の日
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昨25日、酒を飲まなくなって丸5年となりました。5年前の10月24日に酔いどれ状態で一般病院に入院し、翌25日から全く酒を飲んでいません。ただし、自ら断酒に踏み切ったのは更に5日後の専門クリニック初診日からとなります。
この5年を振り返ってみて感慨深いのは時間の流れの体感速度です。そして、断酒継続には “空白の時間” をどう逸らすかが最大の解決策ということです。私自身の経験とAAでの見聞からそう確信するに至りました。
断酒して10ヵ月ぐらいまでは一日がとてつもなく長く感じていました。それが断酒1年半前後から1週間が短く感じ始め、それから間もなくして1ヵ月経つのも速くなり出しました。それでもまだ1年は長くて遠い感じでいました。
その後、季節の移り変わりも速くなったのですが、断酒丸4年を迎えた去年でも、「まだ4年? 1年って何て長いの?!」と嘆いていたものです。ところが今年は「もう1年も経ったのか?! 速い!」という感じなのです。どうやら歳相応の時間感覚に戻ったようです。
断酒1年半の頃は、週1回のブログ投稿が軌道に乗り、定期的な道のゴミ拾いも本格的に始めた時期でした。断酒6ヵ月から定期的に週2回通い始めた自助会AAも完全に習慣化していました。断酒を継続するには “空白の時間” が問題で、それをどう逸らすかが決め手では、と気づいた時期でもありました。
さて、その “空白の時間” です。何もすることがなくて家で一人くすぶっていると、モヤモヤ・ジリジリ・イライラし始めると思います。これが典型的な “空白の時間” で、再飲酒へと誘う最も危ない兆候とされています。急性離脱期を脱して体調が安定し始める断酒3ヵ月以降が、特に “空白の時間” を意識し始める危険な時期だと言われています。
断酒3ヵ月以降のこの時期は、急性離脱後症候群(PAWS;AAの言うドライドランク)やクロス・アディクションの片割れが現われ始める危険な時期でもあります。私はこの時期に性的妄想に散々苦しめられましたし、過食と嘔吐を繰り返す摂食障害やギャンブル依存、買物依存に苦しんだと言う人もいます。
ほぼ2年前、私はこのgooブログに『断酒継続の科学』という記事を投稿しました。その記事で、断酒継続のために励行すべき項目として「不規則でだらしない生活習慣を改め、自律的で規則正しい生活リズムに切り替える」を挙げました。が、これではあまりに総論的で、「あぁ、そうですか」と左から右へと直ぐに抜けていくだけでしょう。
そこで改めて強調したいのは、“キョウイクとキョウヨウ” です。「今日、用があって、行く所がある」という意味です。認知症予防に最も効くと言われていますが、アル症にもこれが一番だと思います。
断酒1年の頃、医者に毎日通院を止めたいと申し出たことがありました。そのときに冷ややかに言われた医者の言葉が忘れられません。
「クリニックに来なくても、毎日、他にやることあるんですか?」
明らかに “空白の時間” を危ぶんだ言葉でした。
AAには、断酒歴10年を過ぎた大ヴェテランでもほぼ毎日ミーティングに通っている仲間がいます。「家に一人でいたらロクなことがない!」そんな姿を見ていて確信を強くしました。
とにかく毎日家から出ての “キョウイクとキョウヨウ” です。仕事再開などは時期尚早でお勧めできませんが、断酒3ヵ月を過ぎたアル症の方に特にお勧めです。
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この5年を振り返ってみて感慨深いのは時間の流れの体感速度です。そして、断酒継続には “空白の時間” をどう逸らすかが最大の解決策ということです。私自身の経験とAAでの見聞からそう確信するに至りました。
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その後、季節の移り変わりも速くなったのですが、断酒丸4年を迎えた去年でも、「まだ4年? 1年って何て長いの?!」と嘆いていたものです。ところが今年は「もう1年も経ったのか?! 速い!」という感じなのです。どうやら歳相応の時間感覚に戻ったようです。
断酒1年半の頃は、週1回のブログ投稿が軌道に乗り、定期的な道のゴミ拾いも本格的に始めた時期でした。断酒6ヵ月から定期的に週2回通い始めた自助会AAも完全に習慣化していました。断酒を継続するには “空白の時間” が問題で、それをどう逸らすかが決め手では、と気づいた時期でもありました。
さて、その “空白の時間” です。何もすることがなくて家で一人くすぶっていると、モヤモヤ・ジリジリ・イライラし始めると思います。これが典型的な “空白の時間” で、再飲酒へと誘う最も危ない兆候とされています。急性離脱期を脱して体調が安定し始める断酒3ヵ月以降が、特に “空白の時間” を意識し始める危険な時期だと言われています。
断酒3ヵ月以降のこの時期は、急性離脱後症候群(PAWS;AAの言うドライドランク)やクロス・アディクションの片割れが現われ始める危険な時期でもあります。私はこの時期に性的妄想に散々苦しめられましたし、過食と嘔吐を繰り返す摂食障害やギャンブル依存、買物依存に苦しんだと言う人もいます。
ほぼ2年前、私はこのgooブログに『断酒継続の科学』という記事を投稿しました。その記事で、断酒継続のために励行すべき項目として「不規則でだらしない生活習慣を改め、自律的で規則正しい生活リズムに切り替える」を挙げました。が、これではあまりに総論的で、「あぁ、そうですか」と左から右へと直ぐに抜けていくだけでしょう。
そこで改めて強調したいのは、“キョウイクとキョウヨウ” です。「今日、用があって、行く所がある」という意味です。認知症予防に最も効くと言われていますが、アル症にもこれが一番だと思います。
断酒1年の頃、医者に毎日通院を止めたいと申し出たことがありました。そのときに冷ややかに言われた医者の言葉が忘れられません。
「クリニックに来なくても、毎日、他にやることあるんですか?」
明らかに “空白の時間” を危ぶんだ言葉でした。
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