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好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」 ショルティ/シカゴ響&合唱団 他

2020-05-09 17:27:29 | べートーヴェン 交響曲第9「合唱」
ベートーヴェン 
交響曲第9番「合唱」 

指揮…ショルティ
演奏…シカゴ響&合唱団 他
好み度…4.5(5点満点)

86年盤。72年の同じコンビの録音と比べると、ごつい力感とか激しさは薄らいで、普通の響きに近くなったようであるが、平凡になるのではなく、こういう変化を円熟味を増したというのだろうか、美しい洗練味と艶を加えたような響きであり、一音一音への気の使いようも一段増した感がある。
テンポはどちらも第1楽章と第3楽章のゆっくりさはちょっと印象的(第2楽章は普通にむしろ激しさを伴う)で、終楽章は普通の速さとなっているがこのテンポ設定は各楽章のよさと曲全体の荘重さを引き出している面も感じられ悪くない。
第1楽章は洗練されつつも低弦もしっかり効いた堂々たる歩み、
第2楽章は激しさと美しいゆとりが同居したような響き、
第3楽章前半の慈しみと優しさを帯びたような弦の響きでゆっくり奏される調べは美しい。19.59とかなり長いがゆっくり美しい世界に、冗長な感はない。
終楽章に入り、強く速めのバスにより第3楽章とは明確なコントラストが示され、結構しっかり奏されるバスやヴァイオリンによる歓喜の主題も美しい。独唱はバスは雰囲気ある歌いっぷりでなかなか見事に声楽部への導入を果たし、その後のソリストたちも立派なもの。合唱も透明感をもって力強く、広がりとアンサンブルも豊かに美しくなかなか見事。合唱はライナー、72年盤、86年盤と合唱指揮をつとめるヒリスという指揮者の手腕によるところも結構あるのだろうか。
完成度と上質な響きで72年盤に優ると思うが、得体の知れない覇気のようなものや終楽章中盤以降の感動を誘うような情の入った盛り上がりは86年盤にはそれほど感じられず(その分洗練された美しさは感じるが)、風格を備えた質の高さや美しさでは86年盤が上かと思うが、個人的な好みでは72年盤が上かな、といったところ。
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ブラームス 交響曲第1番 ジュリーニ/バイエルン放送響

2020-05-09 17:19:07 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…ジュリーニ
演奏…バイエルン放送響
好み度…5(5点満点)

ゆったりめのテンポの中、バイエルンの美音が厚く響き、スケール感を感じさせる、全体的におおらかに謳うような雰囲気も心地よい、感銘深く聴かせる名演のように思う。
ウィーン盤ほど遅さは感じない。タイムを見てみるとこちらは第1楽章が15:05、終楽章が18:49、ウィーン盤が第1楽章が15;49、終楽章が19;46。単純に1分違うとこれくらいは印象が変わるものなのか、あるいはウィーン盤のほうが響きや雰囲気が重く感じられ、こちらはライブの熱気あるいは推進力をほのかに持つからなのか、終楽章など聴いていても、ウィーン盤で「遅い」と感じたものが「ゆったりおおらかな大きさ」になっているようにも思う。フィナーレの輝きもこちらが上。
透明感を感じさせるような厚く力強い響きの中にほどよいほの暗さやもたれるようなブラームスっぽい重ったるさ(悪い意味でない)も漂わせ、おおらかに歌い重みのあるスケール感を感じさせる、正統ではあるが例えばヴァントの堅固な正統とは趣を異にする、聴き応えのあるブラ1である(ヴァントが聴き応えないという意味ではないです)。
※ちなみにロサンゼルス盤との比較ではロサンゼルスは第1が18:53(反復あり)、終楽章が18:34。細かな長短はあれこれあれど、とにかく響きが、どちらも明るめながらバイエルン盤のほうが重さ深みで勝る。オケの響きは、クーベリックとのときやバーンスタインとのときとも違うように聴こえ、このオケは自らの響きのよさを保ちながら固執せず、指揮者の特性をしっかり吸収してよい形で表現してみせる、という点では最も優れたオケのように思う。ネットにこの盤の感想としてジュリーニ云々よりとにかくバイエルンが凄い、といったものがいくつかあったが、そんな面も確かにあるかもしれない。とはいえ、やっぱりジュリーニの大きなおおらかさがいい方向に出ていることもこの演奏の大きな要素であることも間違いないと思う。
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チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」 ユロフスキ/ロンドンフィル

2020-05-09 17:10:09 | チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
チャイコフスキー 
交響曲第6番「悲愴」 
指揮…ユロフスキ
演奏…ロンドンフィル
好み度…5(5点満点)

ことさらに情を強調することはないが、録音も美しく、内声の響きなどセンスを感じる行き届いた配慮が感じられ、第1楽章では展開部での緊張感も迫力もあり、十分に緊張感を高めた後でゆっくり弦主体で悲しみ漂うクライマックスへ持っていくあたりは印象的であり、この人特有の、ここぞというところでの爆発力と情感の出し方といえようか。ロンドンフィルもまた個人技というよりオケ全体として美しくうまい。
第2楽章は概ね普通だが、平易にならない歌と、随所に聴かれる弦の美しさが印象的。
第3楽章も特に変わってはいないが完成度高く活気ある力感と小気味よさを備えて上質。
終楽章出だしのテンポは特に遅くないが、重なる弦の響きは美しい憂いを帯び、中間の叙情部も何とも美しい。その後も弦は緊張感と憂いを帯びた美しい響きを聴かせている。
このコンビの盤は、ブラ1で軽い(現代的な?)印象を受けたし、他の盤も含め響きは情感豊かとかとは違う印象もあり、悲愴には合わないだろと思ったが、どうしてこの人の悲愴を、しっかり雰囲気をつくって聴かせている。やっぱりちょっと普通の指揮者じゃないものを感じるし、ライブ録音とのことだが、オケも一糸乱れずバランスのよい美しい響きとアンサンブルは見事で、それを伝える美しい録音もこの盤では1つの価値と思う。冷静に細部にこだわりつつ、感情を煽るようなことはしていないようで、全体的に美しい情感をまとう、そんなどこか新鮮で特有の雰囲気をまとった上質の悲愴。
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