好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」 仲道/ヤルヴィ/ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン

2020-05-10 10:41:55 | ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」&第4番
ベートーヴェン
ピアノ協奏曲第5番「皇帝」

ピアノ…仲道 
指揮…ヤルヴィ 
演奏…ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン 
好み度…4(5点満点)

仲道はグリーグの協奏曲での思い切りのよいまっすぐな情熱のようなものに好印象を持っていたし、普段小編成のオケは聴かないが、協奏曲では小編成ならではの音色も合うのかもしれない、と期待して聴いてみたが、仲道のピアノにグリーグの協奏曲で感じた、ほとばしる純真な熱のようなものは感じられず、オケにも小回りのよさは感じるものの特有の音色は感じられず、そういった意味では期待は外された感を受ける。
しっかり洗練されてまとまってはいるが、力強い躍動感とかのびのびとした感情の発露とかがほしい感を受ける。ちがった指揮者でフルオケ相手にやれば仲道のピアノはまたちがった響きを聴かせるのだろうか。
とはいえ、綺麗でそれなりの力強さも感じさせ、録音もいいし、普通によい演奏とは思う。
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ブラームス 交響曲第1番 ヴァント/NDR響(1982年セッション)

2020-05-10 10:38:13 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…ヴァント
演奏…NDR響
好み度…4.5(5点満点)
1982年セッション

序奏は速い。ちょっと面食らうくらいに速いが、軽いものではなく緊張感漲って悪くない。その後も特に謳ったり情を込めたりという感じではないのだけれど、骨太な存在感ある低弦に支えられた響きは深みのある重量感あり、がっちり聴かせながらも推進力を感じさせ、メリハリと活力も伴って上質のブラームス的な響き。NDRってやはりいいな、と思ったり、ヴァントもこういう演奏があるからドイツ音楽継承の巨匠とか言われるんだろうな、とも思ったり(ベルリンフィルみたいな華やかさを伴わないところがかえってよかったりするのかも)。
流麗とかではなく、遅くなく速くなく、深みをたたえた骨太な重みと推進力とでしっかり聴かせる「まさにブラームス」といったブラ1。
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ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」 ショルティ/シカゴ響&合唱団 他

2020-05-09 17:27:29 | べートーヴェン 交響曲第9「合唱」
ベートーヴェン 
交響曲第9番「合唱」 

指揮…ショルティ
演奏…シカゴ響&合唱団 他
好み度…4.5(5点満点)

86年盤。72年の同じコンビの録音と比べると、ごつい力感とか激しさは薄らいで、普通の響きに近くなったようであるが、平凡になるのではなく、こういう変化を円熟味を増したというのだろうか、美しい洗練味と艶を加えたような響きであり、一音一音への気の使いようも一段増した感がある。
テンポはどちらも第1楽章と第3楽章のゆっくりさはちょっと印象的(第2楽章は普通にむしろ激しさを伴う)で、終楽章は普通の速さとなっているがこのテンポ設定は各楽章のよさと曲全体の荘重さを引き出している面も感じられ悪くない。
第1楽章は洗練されつつも低弦もしっかり効いた堂々たる歩み、
第2楽章は激しさと美しいゆとりが同居したような響き、
第3楽章前半の慈しみと優しさを帯びたような弦の響きでゆっくり奏される調べは美しい。19.59とかなり長いがゆっくり美しい世界に、冗長な感はない。
終楽章に入り、強く速めのバスにより第3楽章とは明確なコントラストが示され、結構しっかり奏されるバスやヴァイオリンによる歓喜の主題も美しい。独唱はバスは雰囲気ある歌いっぷりでなかなか見事に声楽部への導入を果たし、その後のソリストたちも立派なもの。合唱も透明感をもって力強く、広がりとアンサンブルも豊かに美しくなかなか見事。合唱はライナー、72年盤、86年盤と合唱指揮をつとめるヒリスという指揮者の手腕によるところも結構あるのだろうか。
完成度と上質な響きで72年盤に優ると思うが、得体の知れない覇気のようなものや終楽章中盤以降の感動を誘うような情の入った盛り上がりは86年盤にはそれほど感じられず(その分洗練された美しさは感じるが)、風格を備えた質の高さや美しさでは86年盤が上かと思うが、個人的な好みでは72年盤が上かな、といったところ。
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ブラームス 交響曲第1番 ジュリーニ/バイエルン放送響

2020-05-09 17:19:07 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…ジュリーニ
演奏…バイエルン放送響
好み度…5(5点満点)

ゆったりめのテンポの中、バイエルンの美音が厚く響き、スケール感を感じさせる、全体的におおらかに謳うような雰囲気も心地よい、感銘深く聴かせる名演のように思う。
ウィーン盤ほど遅さは感じない。タイムを見てみるとこちらは第1楽章が15:05、終楽章が18:49、ウィーン盤が第1楽章が15;49、終楽章が19;46。単純に1分違うとこれくらいは印象が変わるものなのか、あるいはウィーン盤のほうが響きや雰囲気が重く感じられ、こちらはライブの熱気あるいは推進力をほのかに持つからなのか、終楽章など聴いていても、ウィーン盤で「遅い」と感じたものが「ゆったりおおらかな大きさ」になっているようにも思う。フィナーレの輝きもこちらが上。
透明感を感じさせるような厚く力強い響きの中にほどよいほの暗さやもたれるようなブラームスっぽい重ったるさ(悪い意味でない)も漂わせ、おおらかに歌い重みのあるスケール感を感じさせる、正統ではあるが例えばヴァントの堅固な正統とは趣を異にする、聴き応えのあるブラ1である(ヴァントが聴き応えないという意味ではないです)。
※ちなみにロサンゼルス盤との比較ではロサンゼルスは第1が18:53(反復あり)、終楽章が18:34。細かな長短はあれこれあれど、とにかく響きが、どちらも明るめながらバイエルン盤のほうが重さ深みで勝る。オケの響きは、クーベリックとのときやバーンスタインとのときとも違うように聴こえ、このオケは自らの響きのよさを保ちながら固執せず、指揮者の特性をしっかり吸収してよい形で表現してみせる、という点では最も優れたオケのように思う。ネットにこの盤の感想としてジュリーニ云々よりとにかくバイエルンが凄い、といったものがいくつかあったが、そんな面も確かにあるかもしれない。とはいえ、やっぱりジュリーニの大きなおおらかさがいい方向に出ていることもこの演奏の大きな要素であることも間違いないと思う。
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チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」 ユロフスキ/ロンドンフィル

2020-05-09 17:10:09 | チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
チャイコフスキー 
交響曲第6番「悲愴」 
指揮…ユロフスキ
演奏…ロンドンフィル
好み度…5(5点満点)

ことさらに情を強調することはないが、録音も美しく、内声の響きなどセンスを感じる行き届いた配慮が感じられ、第1楽章では展開部での緊張感も迫力もあり、十分に緊張感を高めた後でゆっくり弦主体で悲しみ漂うクライマックスへ持っていくあたりは印象的であり、この人特有の、ここぞというところでの爆発力と情感の出し方といえようか。ロンドンフィルもまた個人技というよりオケ全体として美しくうまい。
第2楽章は概ね普通だが、平易にならない歌と、随所に聴かれる弦の美しさが印象的。
第3楽章も特に変わってはいないが完成度高く活気ある力感と小気味よさを備えて上質。
終楽章出だしのテンポは特に遅くないが、重なる弦の響きは美しい憂いを帯び、中間の叙情部も何とも美しい。その後も弦は緊張感と憂いを帯びた美しい響きを聴かせている。
このコンビの盤は、ブラ1で軽い(現代的な?)印象を受けたし、他の盤も含め響きは情感豊かとかとは違う印象もあり、悲愴には合わないだろと思ったが、どうしてこの人の悲愴を、しっかり雰囲気をつくって聴かせている。やっぱりちょっと普通の指揮者じゃないものを感じるし、ライブ録音とのことだが、オケも一糸乱れずバランスのよい美しい響きとアンサンブルは見事で、それを伝える美しい録音もこの盤では1つの価値と思う。冷静に細部にこだわりつつ、感情を煽るようなことはしていないようで、全体的に美しい情感をまとう、そんなどこか新鮮で特有の雰囲気をまとった上質の悲愴。
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ブラームス ピアノ協奏曲第2番 ルービンシュタイン/クリップス/RCAビクター響

2020-05-06 15:37:30 | ブラームス ピアノ協奏曲(1番・2番)
ブラームス
ピアノ協奏曲第2番

ピアノ…ルービンシュタイン 
指揮…クリップス 
演奏…RCAビクター響 
好み度…4.5(5点満点)

ルービンのピアノは飾らず一音一音が一粒一粒のように実直な力を持つかのようである。
オケも華美な美しさなどはないが実直で素朴といえるような厚みと力強さで応え、クリップスらしい素朴な味があるように思う。
両者相まって素朴で健全な力強さを感じ、それはほのかな明るさにつながるようでもある。
第2楽章にそれほどの緊張感はなく、あまりつかれないまま入る第3楽章はチェロの音色も何とも情を誘うような美しさであり、クリップスとルービンのよさが出て柔らかさとほのかな明るさを漂わせた温かみのある美しさは懐かしいよき思い出を回想するような趣があり美しい。録音は少し古さを感じるが許容範囲、計算しつくされた完成度とか、何かに圧倒されるとか、そういう感じではないが、おおらかで実直な力強さとほのかに明るい温かみのようなものを感じる盤のように思う。
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ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」 バーンスタイン/ウィーンフィル

2020-05-06 15:34:39 | ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」
ベートーヴェン
交響曲第3番「英雄」

指揮…バーンスタイン 
演奏…ウィーンフィル 
好み度…4(5点満点)

低弦やティンパニも含めよく鳴っているとは思うのだけれど、どうも覇気というか、何かを感じるところがないというか。
響きも、大きな音が出ているようで、何かこちらに音が届いてこないような。
うまいし上質であろうとは思う、けど、特に何もないような。
この曲ならバーンスタインのこってり気味の演出もいいかも、とも思ったがそれも特になく。
いろんなものが注文どおりに詰められているようでどれをも感じられないというか。何かバーンスタインは結構そういうこと多いんですよねぇ、相性かなぁ。
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サン=サーンス 交響曲第3番「オルガン付き」 ダーリッツ/フロール/ベルリン響

2020-05-06 15:30:24 | サン=サーンス
サン=サーンス
交響曲第3番「オルガン付き」

オルガン…ダーリッツ 
指揮…フロール 
演奏…ベルリン響 
好み度…4.5(5点満点)

華やかさや絢爛たる響きとかを聴く盤ではない。印象としては静かな印象を受けるが、活力がないとか覇気がないとかというのではなく、美しい深遠さが感じられるような静けさで、この曲の内にある美しさを感じるようである。
オルガンも大音量で荘重に響き渡るというタイプではないが、響きは美しい。
特に第2楽章のゆっくりと静かにたっぷり謳う弦とオルガンの美しさが印象的でこの演奏の印象に大きく影響しているように思う。
華やかというよりは透明感のある幽玄を感じるような、結構新鮮で、美しいサン=サーンスの3番のように思う。
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ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番 ポリーニ/アバド/ベルリンフィル

2020-05-05 14:34:27 | ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」&第4番
ベートーヴェン
ピアノ協奏曲第4番

ピアノ…ポリーニ 
指揮…アバド 
演奏…ベルリンフィル
好み度…5(5点満点)

かっちり堅固な、しかし美しい、古城のような美しさ、なのだろうか、あるいは他がそうでないという気はないが、正統のもつ美しさというのだろうか。
単に澄んでいるとか透明感とか、そういうものとも違うし無機的とか堅苦しいといったことも少しもなくむしろ温かみを内包するようであり、第2楽章なんかでもピアノの一音一音は透明感と情を込めて美しい。終楽章は適度(中途半端という意味ではない)な力強さも加えて、これはライブならではの熱だろうか。
しかし、ライブでこの豊かな完成度はやっぱりさすがと思う。
気品だけでなく、ドイツ的というのだろうか、しっかりした強さも感じさせてかつ美しい、やっぱりさすが、と書くしかないような、これは名演といっていいのだろうな、と思う演奏である。
この曲はどちらかといえば華奢な、貴婦人のような美しさのイメージがあるが、こういった堅固な美しさを感じるというのはかえってなかなかないのではなかろうか。そういえば第1楽章の後半はちょっと聴いたことのない譜を採用しているようである。
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ドヴォルザーク 交響曲第8番 ケルテス/ロンドン響

2020-05-05 14:27:14 | ドヴォルザーク 交響曲第8番
ドヴォルザーク 
交響曲第8番 

指揮…ケルテス
演奏…ロンドン響
好み度…5(5点満点)

ケルテスの明晰でバランスに満ちた豊かな色彩が明るい艶と活気に満ちた響きとなって、溌剌とした力感と洗練身も感じさせながら明るい色彩と輝きを感じるドヴォ8である。
第1楽章はドヴォルザークらしい雰囲気を洗練された響きの中に感じさせ、第2楽章も表情豊か、第3楽章の哀愁を帯びる旋律も弦の表情豊かでドヴォルザークの舞曲の魅力をしっかり感じさせる。終楽章も特徴的な金管は溌剌と響きつつ叙情部での弦の情感も結構印象的に、重さや迫力というよりは小気味よい活力で聴かせている。
ケルテスはそんなに聴いていないが、多分、明晰にセンスよく活気ある音を重ねるケルテスの音楽はブラームスでいえば1番より2番、ドヴォルザークなら新世界より8番に、より合っているように思う。
明るい色彩と輝きとドヴォ8ならではの雰囲気に満ちた秀演。
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