黒鉄重工

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北米project 4 ~Is the order a warbird? その8【2016/03/04~10】

2017-03-14 23:14:15 | 海外旅行記

甲板前方から主砲と艦橋を収めます。絶景ですよ。
結構細長い砲なのだなと感じます。まあ口径が大きい方がよく飛ぶしね。



第2主砲とレーダー塔。
射撃する時というのは個々の主砲がそれぞれ勝手に撃つということはなく、射撃管制装置の管理下に置かれます。これでどこに主砲弾をぶっ放すのかをアレコレ決めるのだ(手抜き解説
アイオワ級は射撃管制にレーダーを使っていました。レーダーは何も遠くから来る敵を発見するためだけに使うのではなく、射撃照準にも使われるのです。

で、アイオワ級の主砲の射撃管制装置は、完全に退役するまでほとんど更新されないまま運用されていたんだはないかなぁと思います。第二次世界大戦で使われていたMk.38射撃管制装置がいまこの瞬間にも付いていますし、湾岸戦争での射撃時の写真を見ても、主砲が向いている方向と同じ向きにこの射撃管制装置が向いているのです。そもそも戦艦主砲なんて第二次世界大戦後は開発が行われなくなってしまったので更新しようもないのです。
つまりアメリカ海軍さんは1990年台においても1945年の装置で主砲を運用していたことになるのではないかと。戦後こんな兵器に実用性なんて無かったでしょ・・・。

射撃管制装置の写真はまた後々・・・。



主砲の砲口。フタがされていますね。
中心に星のマークがあります。これで制式なものだそうな。



第1砲塔の左舷側には主砲弾の展示がされていました。弾は全てつくりものでしょう。まあ雰囲気は伝わります。

余談ながら主砲の装甲から展開されている白い布。これはもちろん日除けのためなのですが、甲板の日除けというよりもその下、船内の室温上昇を防ぐためのものです。船内全てに冷房があったわけではない時代ですしろくに舷窓もないですし(ていうか無い?)で、軍艦ではUSSアイオワにかぎらずよく見られるものです。甲板が可燃物であるところの木甲板なのも日除けに効果があるからだそうな。



左から装薬袋、砲弾、装薬袋搬入用筒。砲弾は模擬弾という弾種です。



砲弾にもいろいろ種類がありまして、これはHC弾 High Capacity。榴弾の一種で、通常の榴弾(COM; common)よりも爆発力を高めたものです。対地攻撃の面制圧に使ったのかな?重さは1,900lbs (860kg)。



このスツールみたいなものは装薬袋。砲弾発射用の火薬がこの布の袋の中に詰まっています。
実は戦艦の主砲のような大型砲には薬莢、つまり装薬の入った金属の入れ物が存在しません。なので射撃時は砲弾の後ろに装薬袋をその都度詰めてから発射します。
アイオワ級では1発につき6個の袋を使います。これだけ使うと薬莢だとやはり重くなるのかしらん。砲弾よりは軽いと思うけど。
ちなみにこの装薬袋は16inch/50口径用 110lbs(50kg)の装薬袋です。こんなのが砲塔に目一杯入っているんだから引火爆発すれば戦艦も沈む。



装薬袋の使用例。6個使うのが通常のようですが、おそらく弾種や射撃距離に応じて装薬袋の数は減らすことも出来たはず。装薬袋の存在は今まで知らなかったので、これだけでもかなりの収穫でした。



クレーンに吊るされている砲弾。
これは、艦外から搬入された砲弾を砲塔内にある弾薬庫へ格納するためのクレーンです。甲板に砲弾が通れるだけの大きさのハッチがあるのですが見当たらず。無いってことはないのでどこかに隠れているんだと思いますが。



「砲塔」というと戦車のアレのようなものを想像しますが、軍艦の砲塔はそれとはだいぶ趣の異なるものです。
外からは見えない部分、すなわち甲板の下にもこれだけのものが根を生やしていて文字通り塔のような代物なのです。弾薬庫、給弾装置、あとは砲塔回転用機関もあるはずです。図解を見ると甲板の下に5層あります。甲板に露出している主砲は砲塔のほんの一部なのですよ。
なおこの図解は砲弾の弾薬庫への入れ方。一度最下層へ下ろしてからまた上げるという方法だそうで。



この砲弾はBL&P弾(Blind Load & Plug)。重さ2,700lbs (1,225kg)。演習用弾です。

ちなみにアイオワ級の砲弾で一番キてるのはMk.23弾頭弾でしょう。威力は15~20キロトンでリトルボーイ相当。1956~1963年まで配備されていました。この時期のアメリカ軍はどこもトチ狂って何にでも核兵器を装備していたからアレデスよネ・・・。



第2砲塔。1段上にある分、威圧感は第1砲塔よりもあります。
第2砲塔には、第1砲塔では無かった大きい測距儀が残っています(主砲側面の後ろ張り出している四角い棒のようなもの)。第1砲塔にも元々は付いていたんですが、まあ要らないですし外されたんでしょうかね。
上で書いたとおりアイオワ級には射撃管制レーダーを実装していたので測距儀による光学照準は行われていませんでした。それでも万が一ということも考えられますので、レーダーマスト上の射撃管制装置と主砲に測距儀を付けていました。
ただどうも測距儀は第二次世界大戦時においても本当に万が一の時にしか使うつもりがなかったとしか思えず。
詳しい原理は飛ばしますが(自分でもあまり分かっていない)測距儀は横に長いほど精度が良いのです。戦艦の主砲だったら10mは必要になるんですが(大和型は15mのクソ長い測距儀を持っていた)、アイオワ級のそれは10m行っていないだろ~という程度の長さでして。
主砲の測距儀は横幅こそ長いですが、高さが低すぎて話しにならないです。アイオワ級の主砲の最大射程は38kmですが、だったらその距離まで見える高さに測距儀を持ってこないと意味ないです。主砲の高さだと水平線の距離はせいぜい数kmでしょうか。
レーダーを使って索敵・射撃照準するというのがアイオワ級の基本戦術なのだな・・・というのが分かります。



前部甲板を一周して、左舷から艦内に侵入します。

今日はここまで。


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