Wild Woman Don't Have The Blues/Nancy Harrow
(Candid CJM-8008)
Candidは60年代初頭,ナットヘントフを中心に設立されたジャズ専門レーベルです。ややアバンギャルドなイメージのこのレーベルは21枚のアルバムを制作して親会社ケイデンスの倒産とともに幕を閉じました。この21枚の中に、2枚のボーカルアルバムが存在します。一枚はアビー・リンカーン、そしてもう一枚が本日アップのナンシー・ハーロウです。Candidとは「ずけずけモノを言う」と言う意味らしく、これがレーベルイメージとして定着しています。でも、こちらはレーベルイメージとはちょっとかけ離れたボーカルアルバムに仕上がっておりバックの演奏も良く愛聴盤になっています。
ナンシーはNYの出身。50年代から唄っていたのですが,ファイブスポットで彼女を聴いたナットヘントフがバック・クレイトン・オールスターズをぶつけて録音した彼女のデビュー盤がこのキャンディド盤です。バックはBuck Clayton(tp,arr), Buddy Tate(ts), Dickie Wells(tb), Tom Gwaltney(cl, as), Danny Bank(bs), Kenny Burrell(g), Dick Wellstood(p), Milt Hinton(b), Oliver Jackson(ds)からなり、各自のソロスペースも充分にとられておりインストファンにも充分に楽しめる内容になっています。特に,Buddy Tateのサックス,Tom Gwaltneyのクラリネット,そしてKenny Burrellの出来がすばらしいいですね。サイドA冒頭のTateのフルトーンのサックスが心地よい"Take Me Back Baby"や"Can't We Be Friends", "Sunny Side Of The Street"のジャジーな歌唱が好ましいですね。サイドBでタイトル曲の"Wild Woman Don't Have The Blues", 続く"I've Got The World On A String"等でのブルースフィーリングが聴きモノですね。
所有盤はCandidのモノラル/オリジナル盤で両面にDGが見られます。赤いタートルを着たナンシーが赤いバックに映えますね。アトランティック盤も良いですが,むしろデビューアルバムのこの盤がジャジーで更に好きですね。