After The Lights Go Down Low/Freda Payne
(Impulse A-53)
(Impulse A-53)
John Coltraneの多大な録音を行ってきたインパルスは,ジャズ3大レーベル(Blue Note, Riverside, Prestige)に比べると、1961年設立とやや後発であり、ラインナップもニューウェイブを感じる企画が多く,カバーもオレンジ色のspineをもった美しいcoatingの効いたgatefold coverでジャズビニルを愛するものには見過ごすことができない重要なレーベルであります。ボーカルはジャッキー・パリスやジョニー・ハートマン,レイ・チャールズなど男性優位でありますが,女性ボーカルで忘れてはならないのが本日アップのFreda Payneではないでしょうか?!彼女のデビューアルバムがこれですが,既にクラブ,ラジオと多くの場数を踏んだフリーダの卓越した歌唱が印象的な一枚です。
またバッキングの素晴らしさも特筆モノでサイドAがManny Albumがアレンジをつとめるオケ【Nick Travis, Ernie royal, Al Derisi, Jimmy Nottingham(tp), Al Raph, Quentin Jackson, Bob Brookmeyer(tb), Phil Woods(as), Zoot Sims, Seldon Powell(ts), Sol Schlinger(bs), Hank Jones(p), Art Davis(b), Gus Johnson(ds)】、サイドBがPhil Woods(as), Hank Jones(p), Jim Hall(g), Art Davis(b), Walter Perkins(ds)の五重奏団のバッキングとなっております。サイドAのオープニング、”After The Lights Go Down Low”での見事なdictionとノリはLena Horneを思わせる歌唱スタイルで感心してしまいます。またA-3のblues, "Blue Piano"はエリントンの曲ですが,Quentin Jacksonのmuted tromboneとテナー陣との掛け合い,それに絡むフリーダのブルージーなボーカルが素晴らしいグルーブ感を生んでおり,A面のベストトラックと思います。B面の5重奏団のバッキングにのった"I Cried For You", "Round Midnight", "Out Of This World", "I Wish I Knew"等のスタンダードへのアプローチも聴きモノでPhil Woods(as), Hank Jones(p), Jim Hall(g)にも充分なソロスペースが与えられています。さらに、Ornette Colemanの"Lonely Woman"も取り上げられており,リリカルなハンクの伴奏を相手に語りかけるようなボーカルが印象的です。
所有盤は,abcの再発黒ラベルで小ちゃなドリルホールがあります。カバーの横顔のアップ,一度見たら忘れない美しいカバーです。インパルスを代表するボーカルアルバムと思います。