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2010採点実感等民訴法編

2011-02-26 13:26:36 | 司法試験関連
法律知識や判例の内容を直接問うのではなく,具体的な事例の検討を通じて,法律制度や判例についての基本的な理解を問う問題。

民訴は第4回から明らかに民訴理論が重視が重視されてきている。以前のようにその場で考えて,という問題ではないので注意が必要。

「手続保障」,「信義則」,「紛争の一回的解決」,「訴訟経済」,「不意打ち防止」などといった抽象的な用語のみによる説明に終始している答案が少なからず見られた。

本件においての「手続保障」,「訴訟経済」,「不意打ち防止」,「一回的解決」とは具体的にどういうことなのか,指摘できるかどうかがカギである。訴訟「経済性」も事案によって色々あるはずである。不意打ちもどう不意打ちなのか。そこまで落とし込んで考える癖を付けたい。これは全科目共通である。憲法で言えば,どう「選挙の公正」を害するのか,という具合である。

手続保障や信義則など抽象的な規範のみから結論を導く答案,題意をきちんと把握せず,定義や制度趣旨など自分の知っていることを書き連ねている答案,問題を正面から受け止めることをあえて避け,自分の知っていることに無理やり当てはめようとする答案が目立った。

抽象論だけでは,具体的事案の解決にはならない。信義に反すべきではない,という表現には何らの力も感じない。当たり前の事を言っているだけである。本件における「信義に反する」行為とは何なのか,具体的に考える必要がある。また,「守りの答案」と「題意に応えていない答案」はまるで違うことを再度確認したい。

判例が扱っている問題について判例とは別の角度から検討を求めたり,判例に反する立場からの立論を試みることを求めたりすると,全く歯が立たない受験生が多く認められる。察するに,判例についての表面的な理解を前提に,その結論を覚えて事例に当てはめるということはできても,その判例がそのような結論に至る論拠はどこにあるか,反対説の根拠は何か,その違いはどこからくるのかといったより根本的なことが理解されていないように思われる。

民訴は冒頭の指摘にあるように,判例を「そのまんま」の形では聞いてこない。角度を思いっきり変えて聞いてくるので,他科目以上にしんどい。民事系(民法,民訴)は判例オンリーでは対応できない問題が頻出なので,この点は気をつけたい。改訂された民訴百選は,先例性を重視して,より基本的重要判例に厳選したと編集記で高橋先生ご自身が述べられているところである。改訂版の百選判例については,「深い理解」をすべきである。民訴は理論が極めて重視されている事は肝に銘じたい。
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