同条の発起人としての責任と設立時取締役としての責任の双方が問題となることを明確にしていないか,一方の責任についてのみ論じる答案も多かった。
細かいな,と思った人が大半かと思いますが,時間軸を意識して,誰がいつ何をやったのか,というのを分析的に見ていく手法は司法試験の定番。しかも年々この傾向は強くなっているので,「ドンブリアプローチ」は大変危険である。
最高裁昭和38年12月6日第2小法廷判決は,払込み後,当該借入金を返済するまでの期間の長短,払込金が会社資金として運用された事実の有無,当該借入金の返済が会社の資金関係に及ぼす影響という三要件により,見せ金に該当するか否かを判断し,見せ金による払込みは効力を有しない旨を判示しており,この判例を引用して解答すべきであるが,この判例に言及している答案はほとんどなかった。
判例をきちんと身に付け,それを踏まえて議論するという,法曹に求められる基本的な思考方法が十分に身に付いていない感がある。
最高裁判例があれば無視できないのは全科目共通だが,今年の商法の採点実感等では特に強調されている。短答式試験商法では,会社法関連の判例問題が殆ど出ていない事と関係があるのかもしれない。もしくは,商法に関しては受験生が判例をやや軽く見ていると言うか,規範部分を自分なりにアレンジして覚えているケースが目立つのかもしれない。会社法判例は第2次規範まで含めると長いものが多いと言うのも関係している可能性はある。
例えば,判例・学説が余り論じていない問題につき,自分なりに法的議論を展開して適切な解決を求める能力などに,不十分な点が見られる。
会社法改正による影響が見られる部分。まだ議論されていない,商法下の判例のロジックが通用しなくなっている(今年の問題が正にそうである),といった点が他科目に比べ目立つのが会社法である。そのような部分は「現場思考力」を試せるので意識的に出題してくると思われる。本番で「何それ!?」と思ったら,似たような制度に同じような議論がないか,というアプローチをするのが良いだろう。また商法も資料はフル活用しなければならない。
個人的な感想だが,やはり会社法は特に条文に触れる機会が少ないのではないかと思う。
* 民訴編は明日!
細かいな,と思った人が大半かと思いますが,時間軸を意識して,誰がいつ何をやったのか,というのを分析的に見ていく手法は司法試験の定番。しかも年々この傾向は強くなっているので,「ドンブリアプローチ」は大変危険である。
最高裁昭和38年12月6日第2小法廷判決は,払込み後,当該借入金を返済するまでの期間の長短,払込金が会社資金として運用された事実の有無,当該借入金の返済が会社の資金関係に及ぼす影響という三要件により,見せ金に該当するか否かを判断し,見せ金による払込みは効力を有しない旨を判示しており,この判例を引用して解答すべきであるが,この判例に言及している答案はほとんどなかった。
判例をきちんと身に付け,それを踏まえて議論するという,法曹に求められる基本的な思考方法が十分に身に付いていない感がある。
最高裁判例があれば無視できないのは全科目共通だが,今年の商法の採点実感等では特に強調されている。短答式試験商法では,会社法関連の判例問題が殆ど出ていない事と関係があるのかもしれない。もしくは,商法に関しては受験生が判例をやや軽く見ていると言うか,規範部分を自分なりにアレンジして覚えているケースが目立つのかもしれない。会社法判例は第2次規範まで含めると長いものが多いと言うのも関係している可能性はある。
例えば,判例・学説が余り論じていない問題につき,自分なりに法的議論を展開して適切な解決を求める能力などに,不十分な点が見られる。
会社法改正による影響が見られる部分。まだ議論されていない,商法下の判例のロジックが通用しなくなっている(今年の問題が正にそうである),といった点が他科目に比べ目立つのが会社法である。そのような部分は「現場思考力」を試せるので意識的に出題してくると思われる。本番で「何それ!?」と思ったら,似たような制度に同じような議論がないか,というアプローチをするのが良いだろう。また商法も資料はフル活用しなければならない。
個人的な感想だが,やはり会社法は特に条文に触れる機会が少ないのではないかと思う。
* 民訴編は明日!