会社法百選マーキング講義Ver2の収録状況は。
第6回 75事件~90事件 です。
この回はいわゆる最新論点が目白押しですね~。しっかり押さえておきましょう!
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大谷どうなるんだろうかなぁとちょいと考えてみる。
新労使協定の適用がある場合、22歳でプロ歴4年、MLBとの契約経験のない大谷は「アマチュア」扱いとなる。その結果、各球団は年俸500万ドル(100万ドル増額は可能)がマキシマム提示になる。しかも500万ドル縛りは、一人の選手に対しての契約ではなく、the international free-agent signing systemの適用を受ける選手全員に対する「総額」なので、オファーを出した球団は大谷以外の海外選手は獲得できない。
適用を受ける場合の大谷自身の契約がどうなるかもまた流動的だ。NPBでの4年を合わせた「プロ経験通算6年」を満たすまでの2年間だけの縛りなのか、MLBで6年間を過ごしFA権を取得するまで契約した球団に拘束されるのか。前者であれば、2年間我慢をすればFAになれる可能性があるのに対し、後者であれば6年間は年俸500万ドルで我慢せざるを得ない(ただし途中で調停権を取得できる)。
MLB側からすると、入札費用2000万ドルに2年1000万ドルで大谷の保有権を取得できるのが前者の場合で、後者であれば、2000万ドル+6年3000万ドル(但し調停権を取得した4年目の年俸からは1500万ドルを超えることになるだろう)で6年間保有権を維持できることになる。どちらにしろ、10年総額3億ドルともいわれる相場に比べると「バーゲンプライス」で大谷を獲得できる。これに対し、日米間でポスティングに関する協定があるので、ポスティング経由になる大谷は、the international free-agent signing systemの適用除外となる、という見解が日本側にはあるようだが、それは無理筋であろう。労使協定は、MLBと選手会にとっては日米安保条約みたいなものですべてに優先する。NPBの利益のために、MLBが薄氷を踏んで新協定を締結した選手会と喧嘩するとは到底思えない(ただし選手会の意向がイマイチ見えてこないのも事実)
また、ポスティング経由と言う「抜け道」を認めては、the international free-agent signing systemが骨抜きになってしまう。例えば、海外の若手有望選手が形式的にMLB以外の海外球団(どこでもいい)と契約し、ポスティングを経由すればいいことになるからだ。the international free-agent signing systemは戦力均衡策の一環である。実はオーナー側も一枚岩ではない。金持ち球団と貧乏球団とでは利害が対立している。今回の新協定では、クオリファインング・オファー制度が大幅に改定されたが、ビッグマーケットの球団に有利でスモールマーケットの球団には圧倒的に不利な内容に変更されている。すなわち「戦力不均衡策」に改定されているのだ。そのため、the international free-agent signing systemに抜け道を認めることは、新協定の内容的な不均衡をもたらす危険性があるので、果たして抜け道を認めるのだろうかと吉野は考えている。
何となく大谷に不利な状況に思えるが、あくまでも「金銭面」と「FA権取得」に関する話だ。彼が拘っている「二刀流」を認めさせるかどうかについては、有利に働く可能性があると見ている。何故ならば、the international free-agent signing systemの適用を受ければ、ヤンキースなどのビッグマーケットの球団が「札束攻勢」でスモールマーケット球団を圧倒できないからだ。金額的には500万ドルに上限が設定されるので、球団側が「大谷の意向を如何に汲めるか」で大谷が移籍先を決断することになるからである。より有利な条件を大谷は引き出せるだろう。例えば、「先発ローテとして32試合の登板+100試合程度のDHでの出場」と言う条件でア・リーグの球団に移籍、という条件提示もできるのだ。MLB側も巨額の長期契約ではないので、条件を飲みやすいともいえる。
以上はあくまでも予想である。新協定と大谷の関係は全ての関係者が先が読めない状況だからだ。しかしながら、個人的には大谷は金額に拘らずに来オフ海を渡るのではないかと思う。仮に6年縛られても28歳の時にFA権を取得できる。それまでに実績を残しさえすれば、その時点で7年総額3億ドルオーバーも夢ではない。どちらにしろ、大谷、ダルビッシュ、田中の3人がマーケットに出てくる可能性のある来オフは、激熱なストーブリーグになることは間違いない。