数年前,明らかに次元の異なる超面白い本が出た。アダム・ファウァー著,「数学的にありえない」である。タイトルが正直イマイチなのでパッとしない印象があるが,この本の面白さと来たらない。クライトンの「ジュラシック・パーク」を初めて読んだ時に匹敵するインパクトのあるエンターテイメント小説であった。
その作者の新作が出た。「心理学的にありえない」である。これまた怒涛のノンストップ・エンタテイメントと言えそうだ。この人の作品の特徴は,主人公の「特殊能力」の設定が秀逸なことと,いきなりトップギアーに入る展開の速さである。読み始めてすぐあっという間に引きずり込まれる。
映画も小説も冒頭部分のスピード感は絶対的に重要だ,というのが持論である(因みに映画は最初の30分間の展開力で面白いか面白くないか決まる。最近の例だと,パイレーツ・シリーズの「ワールドエンド」は出だしのスピード感が悪すぎた)。
しかし,今作の設定もオリジナリティあるものだ。一気に読んじゃいそうで勿体無い感じがしてます!