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「機械による記録」の場合の注意点

2014-03-06 21:13:32 | 司法試験関連

機械の場合,誤りの介在する余地は人間に比べれば「少ない」というだけの話である。「無い」わけではない。機械の場合でも,①科学的・機械的な装置の非人間的な無差別性・科学的正確性を重視するか,②その科学的・機械的な装置を操作する人間のもつ誤謬の危険性を問題視するか,という問題は残るので注意する。

 同じカメラ撮影でも,オービスⅢによる写真撮影の場合と,警察官が普通のカメラで撮影した場合とでは,誤謬介在の危険度は当然異なる。オービスⅢの場合は,装置が正常に動いている限り,警察官が意図的に特定の車輛が違反車輛であるかのように操作した写真を写した可能性は皆無といえる。しかし,もし装置が故障していた場合(シャッターのタイミングがずれるなど),大量の無実の自動車に対する虚構の証拠が作成される危険性がある。他方,警察官の場合は,見誤り,写し間違い,意図的な撮影等,常に人間的な誤謬の危険性が付きまとうであろう。

 そこで,後者のような場合には,操作した本人が公判期日に操作過程を正当に行ったことを供述することが証拠能力を認める不可欠の要件とすべきである。これに対し前者の場合は,機械が正常に作動していなかった疑いが残るときは,証拠としての許容性を欠くが,その疑いが無ければ,関連性の問題のみが残ると見て良いであろう。

刑事訴訟法の伝聞証拠の場面での話のまとめです。「機械的な」記録のケースも,デジタル化が

進んでいる現状おいては,単純に「人が」記録する場合に比べて「誤り介在の危険が少ない」とは

必ずしも言い切れない。むしろアナログ時代に比べて,編集等がやりやすくなっている。

この点は今後更に問題になってくるのではないだろうか。

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閣議決定

2014-03-06 14:01:56 | 司法試験関連

安倍内閣は4日、法科大学院の修了者が司法試験を受けられる回数を、修了後5年で「3回まで」から「5回まで」に増やす司法試験法改正案を閣議決定した。

みたいです。当初の法案提出予定時期(1月末)に比べると遅れましたが,今国会で通れば来年から制度が変ります(まぁ,通るでしょう)。短答は3科目に,5年5回の受験が可能,という新制度です。

Comments (5)
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例外を認める思考パターン

2014-03-05 18:14:17 | 司法試験関連

<原則:解除の意思表示に条件をつけてはならない>

「債権者が,相当な期間を定めて催告をし,当該期間内に履行がないことを「停止条件に」解除の意思表示をした。解除の効力は生じるか」。

本件解除の意思表示には,問題文にあるような「停止条件」が付いている。そして,解除の意思表示には条件つけてはならない,という原則がある。したがって,解除の効力は生じないのが原則である。

しかし,例外は認められないか。そもそも「条件付けの禁止」が「原則」とされた理由は何か。それは解除の意思表示に条件を付すと,相手方の地位を不安定にするからである。つまり,「条件をつけることそのもの」が悪いのではなく,条件をつけると一般的に「相手方の地位が条件成就に左右され不安定になるから」,条件付け禁止を原則にしただけなのである(条件は,将来到来するかどうかが不確定なものにかからしめるものなので)

だとすれば,形式的には「条件が付されて」いても,相手方の地位が「不安定にならなければ」,条件付け禁止原則の背景にある「趣旨」に反することにはならない。そこで本件条件の内容を見てみると,解除が相当な期間内における債務者自身の債務履行如何にかからしめられるだけであって,債務者の地位を不安定にするものではない(債務者は本来債務を履行すべきものでもある)。よって禁止原則には反せず,解除は有効になりうる。

これが原則に対する例外を認める典型的な思考パターンです。表面上の「原則」が絶対的なものなのではなく,その原則を導いた「理由」・「制度趣旨」に反するのかどうかが重要だ,というアプローチです。民訴法などでもよく見られる出題パターンですね。参考までに。

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祝!1500000Hits!

2014-03-04 17:17:34 | 雑感

IPベースで150万アクセス突破しました!いつもご愛読有難う御座います!最近は役に立つエントリーが多いかと思いますが如何でしょ?笑 

しかし「150万」と言うのは,久しぶりに大きな区切りです。次は目標200万アクセスです!

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桜の季節が

2014-03-04 14:12:22 | 司法試験関連

つい2週間前には「記録的な豪雪」に見舞われた列島ですが,東京は大分春めいてきている気がします。気温自体はまだ低いですが,空気の質感が明らかに変りましたし,何よりも日に日に昼の時間が長くなってきています。正に春近しです。

今年は寒かったので,多少遅くなるかもしれませんが,ここ数年は3月末に桜が満開になります。つまりあと3週間もすれば桜が満開になるんですね。しかし今のところ,桜の木を見てもそのような気配はまるでなく,じっと静かにそのタイミングを待っているかのような佇まいです。

今の時期の受験生の皆さんも同じような感じなのではないでしょうか。5月の本番に向けて今はじっと耐え忍ぶ時期。しかし冬の間に蓄えたエネルギーは十分あります。あとはタイミングよく綺麗に花を咲かせるだけです。今日も気合い入れていきましょう!

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被告の反論,上げ下げの作法

2014-03-03 19:34:17 | 司法試験関連

<被告サイドの言い分>

①    そもそも憲法上の権利として保障されていない

②    パターナリズムからの制約がある(保障の程度が下がる)

③    特殊な「場」,「関係」の問題である(保障の程度が下がる)

公務員関係,在学関係,在監関係,政党関係,宗教関係,大学の自治,公共施設利用関係(←パブリックフォーラムで打ち返す),未成年,公人,外国人

④    保障されるにしても,本件では制約されていない

 制約されているとしても,

 → 間接的・付随的な制約に過ぎない

 → 内容中立的な制約に過ぎない

 → 裁量行為である,制度依存型である

 → 積極目的規制である

⑤    他の憲法上の要請,他者の人権保護の要請

*    特別な制約原理が認められる,というのは,権利保障の程度が下がる,ということである。

権利保障の水準が決まった後,それを前提に当該規制手段の関連性が論証されていく。

 ・「検察官は,○○という権利は,憲法上保障されていないというが,その主張には賛成できない」。

 ・「検察官は,本件は間接的・付随的制約に過ぎないというが,私は反対である」。

 ・「国民のプライバシーを守るという重要な目的に応える必要があり,合憲性は緩やかに審査すべきである」

 <違憲審査基準を上げ下げする際に検討すべきファクター>

①    問題となっている人権の性質(権利の多面性含む),重要度,ベースライン論(制度依存型,請求権型の場合)。

②    規制の態様・程度(抽象論レベルとして)。

例:「いわゆる許可制は」,「いわゆる事前規制」は,「内容に着目した規制なので」等々

 規制の及ぶ範囲が本質的な部分か,周辺的な部分か。

③    他の憲法上の要請等の有無(規制目的=対立利益=「公益」の具体的な中身)

④    特殊要因(未成年,公務員,外国人,「場」の理論等々)

*    違憲の瑕疵が認められる範囲が広いほど,または法令の適用の中核的部に違憲の瑕疵が

認められるほど法令全部違憲との判断になりやすい。

 【論証例】

「本件で問題となっている○○という権利は,上記の通り憲法21条により直接保障される重要な人権であり,しかも,規制の態様は,表現内容に着目した事前規制型であって,権利を直接規制するものである。従って本件規制手段は,一般的にみて人権制約の度合いが強いものと評価できる。他方,選挙の公正の確保という憲法上の要請にも応えなければならない側面もある(他方で,未成年者を保護するというパターナリズムの観点からの特殊な制約要因も無視できない)。そこで,合憲性の判断基準としては・・・・」。

*    アンダーライン部分に言及する際には,実際には問題文の具体的事情を引用する。

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いよいよ明日開講!

2014-03-02 16:32:06 | 司法試験関連

「2014年吉野クラス」の開講はいよいよ明日です。論文突破基礎力完成講義から開始になります。よく考えたら3月3日雛祭りに開講ですね。別に狙ったわけではないんですが,何とはなしにめでたい感じがしています(笑)。

以前お知らせしたとおり,明日3日は,「無料体験受講」もできますので是非ご利用下さい。初回では,憲法の処理手順総論的なことをシッカリやるので,お楽しみにです。

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弥生突入

2014-03-02 14:36:45 | 司法試験関連

刑法総論の百選判例は,他の科目と比べて,結論だけアッサリ述べていたり,実は長文なんだけれども,単に事実の当てはめが長いだけ,ということが多いです。要は,理論面について何か論じていると言うわけではなく,規範がいきなり出てきたり,事実認定から本件はこう,と述べているケースが非常に多いので,気をつけないといけません。受験生がこれと同じことを答案上でやると,法解釈が抜けている,事実の羅列からの「単なるべき論」に過ぎない,とされてしまうからです。

刑法百選Ⅰの解説部分に学説色が前面に出た理論的な部分が多いのはそのような理由からかと思います。講義では,このへんのメリハリをつけるべく,判例理論を押さえる上で必要な「学説的部分」について言及するようにしています。過失犯の部分など混乱している人も多いと思うので,しっかり整理して理解していただきたいと思います。

マーキング講義ですが,3月に「短答過去問題マーキングシリーズ平成25年版」を収録したいと思っています。実は未だリリースしていなかった「親族・相続法」編はあと1コマ取れば平成18年度分からまとめてリリースできると思います。遅れてごめんなさい。

 

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