心の免疫力~書とことばから

もっと暮らしに書やARTを~
雲のように水のように あっけらかんと自在に生きるヒントを
求めて~ by 沙於里

TOKYO 書 2013 れぽーと

2013-01-18 | 書展・展覧会情報
                        木原光威氏「雨にも負けず」 部分アップ


16日まで開催されていたTOKYO 書 2013は、リニューアルオープンした東京都美術館主催の、
書の18の公募団体(奎星会、謙慎書道会、玄潮会、現日会、書海社、書星会、書壇院、
書道一元會、書道芸術院、創玄書道会、貞香会、東京書道会、東洋書芸院、独立書人団、
日本刻字協会、日本書作院、日本書道美術院、藍筍会)の代表者による「公募団体の今」。

同時開催の現代の書のあゆみ も見ごたえがありました。

それぞれの会派を越えて一堂に拝見できる機会は、とても貴重で、興味深かったです。
伝統の継承、古典を元にした創作的なもの、現代書、そこにはそれぞれの会の色やニオイもあり。

古典にロマンを感じ徹底的に追求するもの、墨と空間に魅了されるもの、
鍛えられた線にため息がでるもの、迫力あるエネルギー溢れるもの、抽象的な絵画的なもの、
どれも、作家の書に対する真摯で熱い思いを感じました。

書壇は(なんて偉そうに言える身分ではないけど)個々の会の中で蠢くのではなく、
「書を愛する」という唯一の共通の思いを信じて、表現の自由を共有しつつ
もっともっと門を開いて、交流していって欲しいって思うのでして。

常々思うのは、ヨーヨー・マが言っていた「協調」。
音楽は調和ではなく、協調が大切だ、と。
調和は、どこか我慢が見えるけれど、協調は個々を尊重しつつ響き合う、と。

書壇も、もっと横のつながりもあったらいいのになぁなどと、おこがましくも 

・・・と、前置きが長くなりましたが、作品をブログに載せたかったけど
掲載の可否を聞きそびれたので、残念ながら控えておきますが、
書TENメンバーの越智麗川氏と木原光威氏はOKとのことでしたので、ご紹介しま~す。

最初の画像は木原氏の「雨にも負けず」の部分、こちら↓が全体像。
新潟在住の木原氏ならではの発想なのか、雪囲いの杉板に一発勝負で書かれたそう。



こちらは木原氏 「修羅のなみだ」


こちらは軸作品の「修羅のなみだ」


作品の大きさは、こんな感じ↓ 


そして、気に入っているとおっしゃっていた「美は乱調にあり」。


瀬戸内寂聴の作品タイトルにもなっているこのことばは、アナーキスト大杉栄の
「美はただ乱調にある。階調は偽りである」からとったもの。

今までにこの書風の作品を拝見したことがなかったので、意外な気もしましたが
お話を聞いていたら、ちょっと納得。

作品制作で大事にしていることは、「ことば」だと。
しっくりくることばが見つかったら作品は9割方できあがったようなものだ、そうで。

「美は乱調にあり」は、私も同感。岡本太郎の絵と文字をふと思い出したなり 

アーティストトークの時の木原氏 
 
忘己利他でもご紹介されていましたが、木原氏は穏やかで爽やかな紳士です

木原氏のブログはこちら→雪割草

そして、もう一人の代表、越智麗川氏の作品は二点。まずは「燃」。

「メラメラと勢いよく燃え上がるのではなく、心の中で静かに長い時間燃え続ける
炎が見えたような気がします。」 麗川氏のブログよりおことば拝借 

今までも拝見してきた大作の一字書からは、いつもこの「燃」のような
粘り強さと、静かなる中にマグマのように沸々と温存されているものを感じ、
いつかものすごい爆発をするのか、それとも静かに燃え続ける炎を持ちながら
少しづつ、観る者にそのエネルギーを分け与え続けるのかしら・・と。

そして全然印象の違う「いろは歌」


「コンセプトは平仮名のルーツ。平仮名は、もともと漢字の草書体から作られたもの。
よって、古体の雰囲気を残しながら、漢字の線を多用しています。」 またブログから拝借

連日の書展レポート、長くなりましたが、お付合い下さりありがとうございました
コメント
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