「いったいいつの話だ?の京都旅行記(その12)」のつづきです。
「その10」で、
この時は理解不能でしたが、旅行から帰ってきてから調べるうち、今回の旅行に際しても大きな示唆をいただいた@niftyデイリーポータルZの記事(後述します)のライター木村岳人さんが・・・
と書いたものの、後述し忘れていました
くだんの木村さんの記事は、「琵琶湖疎水をたどって京都まで」ではなく(いま見つけました
)、今年3月17日に掲載された「琵琶湖疎水を巡る、産業観光モニターツアーに参加した」でもなく(あの地震後、@niftyデイリーポータルZはほとんど見ていませんでした
)、2月17日の「京都では学校建築を見るべきだ」でした。
もっとも、この記事自体はあまりしっかりと読んでいなくて、だからこそ記事の冒頭に出てくる龍谷大学の建物を観て、「その2」で書いたように、
「ここはどこ? 私は誰?」な建物でした。
しっかりと予習していれば、おぉ で済む話かもしれませんけれど、何の予備知識もなかった私はドキドキ
でありましたよ。
なんてことになったのでした。ケガの功名ってやつでしょうか?
で、私の目を引きつけたのは木村さんの記事の一番最後に書かれていたこの告知でした。
京都の大学には明治時代の建造物が数多く残っていて楽しいですが、京都には大学建築以外にも、明治時代に築かれた土木建築がいろいろ残っています。その代表格といえば、やはり琵琶湖疏水じゃないでしょうか。
来月、2011年3月12日(土)、13日(日)に、観光庁のモニターツアー事業として「琵琶湖疏水ツアー」が開催されるそうです。私が以前デイリーに書かせていただいた「琵琶湖疏水をたどって京都まで」という記事をご縁に、このツアーにご招待いただきました。
【明治ロマンの道~琵琶湖疏水と近代京都をめぐる~】
疏水とか明治とかねじりまんぽとか、そういうのにご興味のある方は、参加されてはいかがでしょうか。私は3月13日のツアーにうかがう予定です。
そして、リンク先のツアー募集サイトを見て、楽しそう~と思ったのですよ。
そんなわけで、木村さんの一連の記事をしっかりと読んでいれば、今回の京都旅行は若干違う感覚で楽しめたのかもしれません。
でも、まぁ、知らなかったからこそ楽しめた部分もかなりあると思っています
さて、昼食に南禅寺名物の湯豆腐を食べた後(地震後、近所のスーパーでは豆腐がずっと品切れで、私は豆腐を渇望
しておりました
)、京都市美術館へと向かいました。
今回は、裏側から敷地に侵入(?)しましたが、京都市美術館は、裏側から見ても素敵な建物です
基本デザインを本館と合わせた事務棟もかなりよござんす
そして、扉の金具が絢爛豪華
さて、初日にもやって来たものの、既に入場時間を過ぎていた(記事はこちら)親鸞展を観ますぞ
チケット売り場
で、2日前に東本願寺でgetした割引券を提示したところ、売り場のおねえさまは、ボールペン
と割引券を返してよこし、
こちらに「しゅうは」をご記入いただけますか?
とな
「しゅうは」って・・・?
聞くと、
例えば『本願寺派』といったものです。
だそうで、なぁ~んだ「宗派」か
さっそく「大谷派」と記入すると、当日1,300円のところ、無事に800円で入場できました
で、色々あった末に観た親鸞展だったのですが、、、わたし的にはイマイチでした。
国宝・教行信証(坂東本)で親鸞聖人の肉筆を拝見できたことが一番の収穫だったでしょうか(失礼ながら、結構がさつな筆遣いでした)。
もともと、ほとんど信心を持っていないから(もちろん私が、デス)ですかねぇ~
なんともあっけなく親鸞展を観終わって京都市美術館を後にした私が向かったのは、並河靖之七宝記念館です。
並河靖之さんというのは、明治~大正期に活躍した七宝作家で、私がその名前を知ったのは、2009年秋に東京国立博物館で開催された「御即位20年記念特別展『皇室の名宝-日本美の華-』」がきっかけでした。
2009年10月12日の記事「東京国立博物館で満腹感!」でこのように書きました。
最後に紹介するのは、「第2部 近代の宮殿装飾と帝室技芸員」で展示されていた、並河靖之作「七宝四季花鳥図花瓶」です。まったく予備知識もなく観たこの作品、実に実に美しい作品でした。きょうの「東博完全制覇」で、もっとも「持って帰りたい作品」でした。
ありゃ、人間わざではありませんよ、ホント。
この記事を書くにあたって、下調べ(後調べ?)をしているうちに、京都に「並河靖之七宝記念館」という施設があることを知りました。機会があったら是非行きたいものです。ただ、この記念館、毎週月・木曜日の休館日に加えて、冬休み(12月初旬~翌年3月中旬)と夏休み(7月中旬~9月初旬)まであるので、なかなかタイミングが難しそうです。
「永徳、若冲から大観、松園まで」と副題が冠されたこの展覧会で「もっとも持って帰りたい作品」に選び出したのですから、その気に入り方はハンパではありませんでした
(持って帰っても飾れない作品は除外しています。無意味なこだわりですが…
)
宮内庁・三の丸尚蔵館のHPに作品の写真が載っていますが、ほの暗い会場で観たこの作品は、地の漆黒が周りの空気と一体となって、そこから草花や鳥が飛び出してくるようでした。
そんなこともあり、また、冬休みと夏休み
はあっても春休み
はないし、休館日の月・木曜日が祝日の場合は翌日に振り替え
だそうですから、喜び勇んで出かけた次第です。
神宮通を南に歩き、一旦、三条通まで出て、ちょいと西に進んで「この辺りか?」と「上る」と、
なんとも京都なおうち
そしてその向かいに、これまた京都なおうち(というにはかなりデカイ)の並河靖之七宝記念館はありました。
この記念館の見どころは、並河さんが生涯手放さなかったという作品群だけではなく、明治時代中頃に建てられた建物(通り庭というものを初めて見ました)や工房、琵琶湖疎水を引き込んだ庭園も見事なものでした。
決して広い庭ではありませんが(私の実家の庭の数倍は広いケド)、外界とを区切る塀の内側には小宇宙のように落ち着いた空間が広がっていました。
並河さんは帝室技芸員に任命され、東京に工房を構えた後も、本拠地はこの京都の屋敷に置いていたそうです。
そりゃそうでしょう。皇室技芸員に任命されたのは、この屋敷が完成した2年後のこと。
いくら名誉ある仕事をもらったとしても、こんな素敵なお屋敷を離れたくないのは致し方ないことだと思います。
ふと屋根を見上げると、一文字瓦と呼ばれる瓦と、、、七宝紋に「並」を組み合わせたトレードマーク(?)が
ホンの数十mしか離れていないところを、クルマがブンブン走る三条通が通っているというのに、この落ち着いた風情はどうしたことなんでしょ。
並河靖之七宝記念館はお薦めデス。開館していれば、ですが…
これにて、2泊3日の京都旅行の主な見物はほぼ終了。
あとは新幹線の時間を横目に見ながら
、たらたらと京都駅に向かうだけです。
京都旅行3日目の散策マップはこんな具合です。
さぁ、次回はようやく完結編です
【追記】さきほど、TV番組表をつらつらと見ていたところ、今日(5月22日)のNHK BSプレミアムの放送予定に、こんな番組を発見
“いのち映す超絶工芸”▽色彩めぐる小宇宙
七宝家・並河靖之
な な な なんというタイミングでしょうか
あわてて録画予約しました
よくよく見ると、「極上美の饗宴」のシリーズ「いのち映す超絶工芸」の第2回として、先週月曜日夜に放映したものの再放送のようです。
不覚でした…
放送時間・内容は以下のとおりです。
5月2322日(日) 13:00~13:58
シリーズ“いのち映す超絶工芸”▽色彩めぐる小宇宙 七宝家・並河靖之
シリーズ「いのち映す超絶工芸」第2回は、明治の七宝家・並河靖之。金属の素地に釉薬で彩色し焼成する七宝は、3000年以上の歴史を持つ。なかでも、日本の自然の色彩の移ろいを繊細に表現した並河の作品は、最高峰とされる。葉の一枚一枚まで微妙に異なる色のグラデーション。花や鳥を縁取る緻密(ちみつ)で表情豊かな線。それらを際立たせる漆黒の背景。一代限りで受け継がれなかった並河の幻の技の秘密と、その生涯を探る。
ご興味がありましたら是非ご覧ください [2011/05/22 07:59]
つづき:2011/05/22 いったいいつの話だ?の京都旅行記(その14:完結編)