新・徒然煙草の咄嗟日記

つれづれなるまゝに日くらしPCにむかひて心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく紫煙に託せばあやしうこそものぐるほしけれ

あきれる話ばかり…

2011-05-28 09:45:48 | ニュース

東京電力福島第一原発事故についての雑感です。

震災直後の3月12日、東電が原子炉への注水を中断したかしなかったかを巡るすったもんだが明らかになってきました。
私は原子力に関して(も)ド素人ですから、原子炉に注水することが良いことなのか悪いことなのかさっぱり判りません。
ですが、経緯だけをみると、いろいろなお偉いさんたちのいいかげんさと、ちょっと前までは一流の会社だと思われていた東電のいいかげんさだけはひしひしと感じます。

まず、ことの経緯を今朝の毎日新聞の社説からひろってみます。

「注水中断」は、東電が(5月)20日に行った会見で明らかになった。地震発生の翌3月12日午後7時4分に注水を開始、同25分に中断、午後8時20分に再開した、というもので、誰の指示によってなぜ中断したのかが、その責任問題とからめて国会で論議された。
これについて、政府側は細野豪志首相補佐官が、中断は東電の独自判断で行われたと会見(21日)、東電は、注入計画は事前にファクスで原子力安全・保安院に連絡してあったと発表(25日)した。いずれも中断を前提にした説明だった。
ところが、26日になって、東電の武藤栄副社長が会見し (1)注水は午後7時4分に始まり、同25分には本店と現場のテレビ会議を実施、「(注水に)首相の理解が得られていない」との情報を協議、注水停止で合意した (2)しかし、吉田昌郎第1原発所長は冷却を優先すべきだとの考えから注水を継続した (3)その後国会での追及や国際機関の視察もあることから訂正した、との経緯を明らかにした。24、25日に行った吉田所長からの聞き取りでわかったという。

ここで注目すべきは、①「首相の理解が得られていない」という「情報」をもとに、②本店と現場が協議して注水中止を決定したものの、③現場の長が決定に背いて注水を継続し、④その事実を本店はまったく把握していなかったということ。

まず①について、5月22日付けのasahi.comの記事によれば、

東電は(3月12日)午後3時36分に1号機の建屋が水素爆発した後、原子炉を冷やすため、発電所長の判断で午後7時4分、海水の試験注入を開始。ところが当時、官邸にいた武黒一郎・東電フェローから午後7時前後、保安院などの検討について電話連絡を受け、東電は同25分、注入をいったん止めた。武黒フェローが電話連絡をしたのは、だれかの指示を受けたものではなく、自主的判断という。

だそうですが、ウォール・ストリート・ジャーナル日本版の記事からもうちょい詳しく覗いてみると、

しだいに明らかになってきた事実を総合すれば、原子力安全委員会の斑目春樹委員長が、再臨界の可能性は「ゼロとは言えない」と言ったことによって官邸で海水注入に対する懸念が強まり、官邸に詰めていて、官邸は注水に懸念を持っていると「察した」東電の元副社長の武黒一郎氏が東電本社にその旨を伝え、東電本社はそれを現場に伝えた。
結局、官邸が注水停止を命じたわけではなかったらしい。しかし驚いたのは、武黒元副社長が東京大学工学部卒の技術畑の人だったということだ。原発技術者は、あのとき注水を停止するなど論外という点でほぼ一致している。だからこそ、国会まで誰が悪かったのかと大騒ぎをしたのに、なんと、その決断の元凶が、東電で副社長まで務めた技術者だという。

この記事に出てくる斑目委員長の「ゼロとは言えない」発言は、発電所長の「実は注水を継続していました」という告白が出るまで、私にとって最大の「あきれた」できごとでした。

斑目委員長は、5月24日に開催された衆議院の東日本大震災復興特別委員会原子力安全委員会で、

福島第1原子力発電所1号機への海水注入が一時中断された問題をめぐり「『再臨界の可能性はゼロではない』という(自らの)発言は事実上ゼロだという意味だ」と述べた。

とな(同日の日経の記事より)。

ゼロではない=事実上ゼロ」だなんて、誰がそう解釈できますか
更に、

「だいたいそういう時、口癖として『可能性はゼロではない』と言うんです」と班目委員長は打ち明ける。(同じ日経の記事より)

ですと。万が一の時の担保をとることが癖になっているんですな、きっと。
可能性はゼロではない」ではなく「可能性は限りなくゼロに近い」だったら、素人の受け止め方はまるで違うでしょう。
こんな御仁、間違いはしないかもしれないけれど、一刻を争うような時のアドバイザーとしては無能デス

次に②と③。
会社の「誤った決定」に背いて注水を継続した東電福島第一原子力発電所・吉田所長の行為を巡って、賛否さまざまなようですが、「②本店と現場が協議して注水中止を決定した」が事実ならば、吉田所長も注水中止の意思決定に参加していたはずで、なぜ協議で注水継続を主張し続けなかったのかが疑問です。さらに、注水を継続したことを2か月も隠していたことも批判されて当然だと思います。
執行役員が会社の決定に面従腹背していた(東電の社外にとっては正しい行為だったようです)ことにも驚くし、加えて、副社長がぐしゃぐしゃの記者会見をしていることには開いた口がふさがりません

東京電力の武藤栄副社長は26日午後の記者会見で、福島第一原子力発電所1号機の海水注入の一時中断を見送った吉田昌郎所長の処分について、「それも含めて検討する」と述べた。
武藤副社長は、海水注入を継続したことについては「原子炉を冷やすうえで大変正しい判断をしたとしたが、「報告の在り方やその後の対処について、これで良かったか検討する必要がある」と述べた。処分の内容、時期については「慎重に考えたい」とした。
(2011年5月26日16時49分  読売新聞)

会社の決定に背く判断は「大変正しい判断」だったけれど、「報告の在り方やその後の対処について」「それ(吉田所長の処分)も含めて検討する」ですか。
会社の決定が「大変に正しくない」ことを副社長が実質的に認めるとは、、、、
なんという会社なんでしょうか、東電は…
永田町方面や霞ヶ関方面への対応で実績を積み上げた人ばかりがトップについてきた会社だけのことはあります。

内幸町(本社)と現場との間には、原子炉の圧力容器並みの遮蔽物があるようで、東電社内の風通しを良くするためにはメルトダウン並みの荒療治が必要かも。単純に国有化とか発送電分離でなんとかなるようなものではないと思われます。

なんともあきれた話ばかりで、滅入ってしまいます。

コメント
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