東京新聞のコラム「筆洗」(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013061402000134.html)。
『●『世界が完全に思考停止する前に』読了』
『●『戦争と平和 ~それでもイラク人を嫌いになれない~』読了(1/2)』
『●『戦争と平和 ~それでもイラク人を嫌いになれない~』読了(2/2)』
『●『だまされることの責任』読了(2/3)』
『●『松下竜一未刊行著作集3/草の根のあかり』読了(2/2)』
『●『安心のファシズム ―支配されたがる人びと―』読了』
『●『それでもドキュメンタリーは嘘をつく』読了(2/2)』
『●『ウォーター・マネー/「水資源大国」日本の逆襲』読了(4/5)』
『●見損ねた』
『●『キャプテン・アメリカはなぜ死んだか/超大国の悪夢と夢』読了(1/3)』
『●『キャプテン・アメリカはなぜ死んだか/超大国の悪夢と夢』読了(2/3)』
『●『松嶋×町山 未公開映画を見る本』読了』
『●靴を投げられたブッシュ氏のいま』
『●『ルポ戦場出稼ぎ労働者』読了』
『●ビンラディン暗殺・私刑に喝さいを叫ぶ国民』
アメリカによるイラク侵略戦争後に、こんなことが起きているなんて知らなかった。「検問所の頼みの綱となった▼が、すべてはペテンだった。ADEの正体は、千数百円で米国から仕入れた玩具。エックス線で調べれば、ろくな部品も入っていないと分かるシロモノ」・・・・・・侵略され、詐欺師にコケにされ、「欺瞞」による悲劇が続くイラク。「「犬」に靴を投げつける」くらいでは、とても気がおさまらないでしょう。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013061402000134.html】
【コラム】
筆洗
2013年6月14日
ADEは、まさに夢のような機械だ。「魔法の杖(つえ)」とすら呼ばれた。片手で楽に使える大きさなのに、爆弾だろうが違法薬物だろうが、危険な物なら何でも探知できる▼しかも、値段は初期型で数十万円、最新型でも四百万円前後。テロ対策で高性能の探知機が求められる世界にあって、売れぬはずがない。英国の会社は三年ほどで七千台を売りさばいた。うち六千台は爆弾テロに苦しむイラクに輸出され、検問所の頼みの綱となった▼が、すべてはペテンだった。ADEの正体は、千数百円で米国から仕入れた玩具。エックス線で調べれば、ろくな部品も入っていないと分かるシロモノだ。これで七十億円以上も荒稼ぎした英国人のマコーミック被告に先月、詐欺罪で禁錮十年の実刑判決が言い渡された▼しかしなぜ、こんな商売がまかり通ったのか。イラクの高官は、億単位の賄賂を手にしたといわれる。だとすれば、詐欺と汚職のため、多くの命が危険にさらされたことになる▼英国の哲学者ホッブズは「力と欺瞞(ぎまん)は戦争において主要な美徳だ」と指摘した。なるほど、戦争に詐欺の類(たぐい)はつきものだ。イラク戦争を正当化した「大量破壊兵器の保有疑惑」も結局は欺瞞だった。そう主張した某国の指導者は、裁かれもしていないが…▼イラクでは今月に入って既に百八十人以上が、爆弾テロなどで死んでいったという。
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