東京新聞の社説【週のはじめに考える 拝啓未来の私自身へ】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016071002000146.html)。
《なぜ投票してほしいのか。今日投開票の参院選が、国の形を変える選挙になり得るから。特に若い皆さんには、自分の未来を自分で決めてほしいから》。
投票することでしか変え得ない。1票、1票を積み重ねるしかない。
2016年7月参院選、7月10日20時(違法に数時間早く閉める投票所もあるようで、腹立たしいですが)に終了し、いつものとおり、「未来」が「過去」へと移り変わっていきます。後悔しても、「過去」を変えることはできません。「あとの祭り」。
またしても「眠り猫」だった皆さん、特に、投票という権利を放棄し、「人殺し」に行かされるリスクの高い若い人々…、「未来」が「過去」に変わっていく瞬間、何を想うでしょうか? 《大人たちは木を植える》どころか、「平和憲法」という大木を切り倒そうとしています。
nikkan-gendaiの記事【独裁か、改憲阻止か…カギを握る当落線上の野党候補29人】(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/185398)は以下の様に述べています。
《投票は国民の義務ではなく権利だ。だから「投票に行かない」という権利も
成り立つが、それは自らが行使できる権利に対して、あまりに不覚といえる。
法律の世界には、「権利の上に眠る者は保護に値せず」という格言がある。
長期間にわたり権利を放置した者は、その権利を奪われても仕方がない。
何もしないで眠っているのは怠慢であり、他者の利益が優先される。
何もかも奪われても、泣き寝入りするしかない。
…かつて森元首相が口をすべらせた通り、
「無党派層は寝ててくれればいい」が彼らの本音なのである。逆に言えば、
無党派層が動けば、いま流されている選挙情勢がひっくり返る可能性は高い。
投票結果は確実に変わってくる。》
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016071002000146.html】
【社説】
週のはじめに考える 拝啓未来の私自身へ
2016年7月10日
なぜ投票してほしいのか。今日投開票の参院選が、国の形を変える選挙になり得るから。特に若い皆さんには、自分の未来を自分で決めてほしいから。
はじめはきっと、学園祭のノリでした。
愛知県大府市の至学館大学では一昨年から、主に「人間・社会と法」という講座の中で“主権者教育”を展開しています。
実習の一環としてことし二月、地元大府市との間で「選挙啓発に関する協定」を締結し、この春からは、「十八歳選挙権」の参院選に的を絞って、三年生有志が活動計画を練ってきた。
チラシやポスターを手づくりし、配布する。立候補予定者の公開討論会を開く。そして最大のミッションは、学内に期日前投票所を設置して運営に当たること-。
健康スポーツ科学科の板橋彩衣さん(20)は「何か大きなことができるかな」と期待して、応募した。
ところが、せっかく作ったチラシを学生たちは受け取らない。しかし、うつむいて足早に通り過ぎていく学友の後ろ姿に、ついこの間までの自分を見いだした。
同じ学科の山田健太さん(20)は「興味がないことだから、やってみよう」と手を挙げた。
期日前投票所では、入場券の確認係、主に二重投票の防止に目を光らせた。
間違いは許されない。一票の重さが、いつの間にか身に染みた。
同じ大学の仲間が、何やら真剣に投票を呼びかけているらしい-。口コミは、じわじわと広がりました。
◆この国のかたちが変わる
公示後のある日、担当の越智久美子助教は、JR大府駅とキャンパスを結ぶスクールバスの車中で、こんな会話を耳にした。
「選挙、どうする」「ところで比例代表って何よ」「ジモトが長野なんだけど、投票に帰れるかしら」…。ファッションや音楽、恋愛やスポーツなどを差し置いて、選挙が話題になっていた。
「主権者って何なのか、それはまだ、よく分からない。だからこそ、(選挙や政治に)無関心ではいられない、いちゃいけないと、考えるようにはなりました」
延べ四日間の投票事務体験のあと、今日を迎えた若者二人の感想です。
「十八歳選挙権」の話題が先行しています。“十八歳”が重みを持つのは、きょうのこの参院選の投票結果が、日本という国のかたちを大きく変えることになるかもしれないから。
参議院で改憲派が三分の二以上の議席を占めれば、すでに三分の二を超えた衆議院とともに、憲法改正の発議が可能です。
発議とはこの場合、憲法改正を国民投票にかけましょう、という提案です。十八歳は再び、重大な選択を迫られます。
国民投票で賛成が過半数に達すると、改正が成り立ちます。つい先日の英国の出来事も、それにまつわる喜怒哀楽も、遠い国の遠い出来事ではありません。
もしも戦争放棄を定めた憲法が“改正”されて、この国が国防軍を持つ普通の国になったとき、遠い異国の戦場へ銃を担いで出かけて行くのは、私たち“大人”でも、政治家でもありません。十八歳を含む若い世代の皆さんです。
憲法とは国の骨格です。骨格が変われば国のかたち、国の未来も当然大きく変わります。
その未来をより長く生きるのは、当然若い皆さんです。
だとすれば、投票権を“与える”だなんておこがましい。十八歳こそ、投票の権利を持ってしかるべきではないですか。
◆大人たちは木を植える
♪未来の自分に宛てて書く手紙なら/きっと素直に打ち明けられるだろう…。
アンジェラ・アキさんが歌う「手紙~拝啓十五の君へ~」から。
そう、投票とは、一票とは、未来の自分自身へ書き送る手紙のようなものなのかもしれません。
では、大人はどうでしょう。
NHK朝の連ドラ「とと姉ちゃん」。大地真央さんのこんなセリフが思い出されます。
「木材ってのは、植えた時は自分の利益にならないのさ。それでも四十年後に生きる人のことを思って植えるんだ-」
一票という鍬(くわ)をふるって、未来という土を耕し、木を植える人でありたいと。
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