『憲法と社会問題を考えるオピニオンウェブマガジン。/マガジン9』(http://www.magazine9.jp/)の西村リユ氏によるコラム【今週の「マガジン9」vol.584/「標的の島」に暮らすのは誰か】(http://www.magazine9.jp/tips/thisweek/31913/)。
《三上智恵監督の新作映画『標的の島 風かたか』の試写に行ってきました。前作の『戦場ぬ止み』から2年近く。その2年の沖縄の状況が、あますことなく描かれた映画》。
『●「どうぞ米軍は撤退してください」:散々「思いやら」されて、
そしてまたしても「肝苦(ちむぐり)さ」…』
『●「落とした魂(マブイ)」を探しに、なんて悲し過ぎる…
「選択肢は一つしかない。沖縄から去ることだ」』
『●遺族の願いとはほど遠い現実…
「沖縄に米軍基地があるゆえに起こる。一日でも早い基地の撤去を…」』
《稲嶺進・名護市長が口にした「我々は、また命を救う“風かたか”になれなかった」という嘆きの言葉から》映画のタイトルは採られたそうだ。《沖縄のことばで「風よけ」のこと》だそうです。
番犬様には何も言えないアベ様ら。一方で、番犬様にシッポを振るために沖縄でやっていることは、「沖縄イジメ」そのもの。
『●斎藤貴男さん「人権を否定することに喜びを感じている
変質者集団」…「人権の砦」のはずが最「低」裁…』
『●アベ様の頭上は、なぜ「空飛ぶ棺桶」
「ウイドーメーカー」の飛行ルートに入っていないのか?』
『●沖縄基地負担軽減の実相=「オスプレイがヘリパッドを
利用することを念頭」にした基地の固定化』
『●最「低」裁による辺野古破壊訴訟のデタラメ:
「国と地方は対等という地方自治の精神を踏みにじる判断」』
『●沖縄イジメ: アベ様…「大学時代の恩師は
二つのムチ(無知、無恥)を挙げ「彼は歴史を知らない」」』
『●「沖縄戦20万余の犠牲者、焼き場に立つ長崎の少年」や
アジアでの慰霊につなげる意思が感じられない…』
『●歴史学者らの公開質問状に、「侵略の定義は
国際的にも定まっていない」というアベ様はどう応えるのか?』
『●柴田鉄治さん「キナ臭さが一段と増した年」、
マスコミから失われる「ジャーナリズムの義務」…な1年』
『●「菅官房長官は徹底抗戦の姿勢を崩さない翁長知事を
念頭に、「わが国は法治国家だ」と牽制」だって!?』
『●新作『標的の島~風かたか~』の監督・三上智恵さん、
「あなたが穴をあけた森はもう元には戻らない」!』
一方、同じくマガ9のコラム【三上智恵の沖縄〈辺野古・高江〉撮影日記/第63回 自衛隊配備を問う! 宮古島の市長選挙】(http://www.magazine9.jp/article/mikami/31911/)によると、《今週末、日本の南の端っこの小さな島で、とてつもなく大切な選挙があるのだが、その重大さに気付いている人がどれだけこの国にいるのだろうか…2年前、唐突に防衛省が宮古島と石垣島にそれぞれ800人、600人規模の自衛隊ミサイル部隊を配置すると発表してから、二つの島は揺れに揺れてきた。…新作映画『標的の島~風かたか~』は辺野古と高江の続報が半分で、あと半分は宮古島と石垣島の話なのだが、その宮古編の主人公は「てぃだぬふぁ 島の子の平和なみらいをつくる会」のお母さんたちだ。彼女たちは小さな子を抱えながら必死に自衛隊配備反対を訴えて活動をしてきたのだが、市長選挙の混迷を見るに見かねて、落選覚悟で市長選に打って出ようかという猛者の発言も飛び出したほど、この市長選挙を重視していた。しかし自衛隊断固反対の候補が出たため、これを歓迎。それならば、自衛隊反対の議員が圧倒的に少ない市議会から新しい市長を支えるべく、同日行われる補欠選挙への立候補を決めたのだった》。
沖縄戦の悲劇を無視し、自衛隊配備で「住民分断」。アベ様らのやることときたら、呆れるばかりだ。
『●中学生を「青田買い」する自衛隊:
「体験入隊や防衛・防災講話」という「総合的な学習の時間」も』
『●自衛隊配備で「住民分断」:
「自衛隊の配備計画…いずれの島でも人々は分断されている」』
「東京新聞の半田滋さんによるコラム【【私説・論説室から】
島を分断する自衛隊配備】…。《「賛成派が新たな職を得て
優遇される一方、反対した人は干され、島を出ている」という。
…自衛隊の配備計画は与那国に続き、奄美大島、宮古島、
石垣島でも急速に進む。いずれの島でも人々は分断されている》」
『●「しかし、沖縄にはいまだ“戦後”は
一度たりとも訪れていない」…安倍昭恵氏には理解できたのだろうか?』
『●現在進行形の「身代わり」: 「反省と不戦の誓いを…
沖縄を二度と、身代わりにしてはならない」』
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【http://www.magazine9.jp/tips/thisweek/31913/】
今週の「マガジン9」
vol.584
「標的の島」に暮らすのは誰か
三上智恵監督の新作映画『標的の島 風かたか』の試写に行ってきました。前作の『戦場ぬ止み』から2年近く。その2年の沖縄の状況が、あますことなく描かれた映画でした。
タイトルの「風かたか」とは、三上さんも以前にコラムで書かれていますが、沖縄のことばで「風よけ」のこと。2016年6月、元米軍属による女性暴行殺人事件が起こった後、被害者を追悼する県民大会で稲嶺進・名護市長が口にした「我々は、また命を救う“風かたか”になれなかった」という嘆きの言葉から取られています。
もちろん、この事件だけではありません。前作でも描かれた辺野古や高江での新基地建設反対の闘い、宮古・八重山の先島諸島で新たに進む「軍事要塞化」、そしてかつての沖縄戦の凄惨な記憶…。そこに描き出されるのは、「本土」によって幾度となく踏みにじられ、犠牲にされてきた沖縄の姿です。「風かたか」になれなかったのは(むしろ、ときに風を起こすほうに荷担さえしてきたのは)「本土」に暮らす私たちでもあるのだと、改めて思い知らされた気がしました。
選挙で明らかな民意が示されたはずの翌日にさえ、その結果を裏切る基地建設工事が、堂々と再開される。やむにやまれぬ思いで路上に座り込んだ人々は、全国から集まった機動隊員によって、次々と排除され、何事もなかったかのように事態は「粛々と」進行していく。これが本当に法治国家で、民主主義の国で起こっていることなのか。その思いが、何度も口をついて出そうになりました。
もしかしたら現政権は、沖縄だけではなく全国で、これと同じようなことをやりたいのではないか。さらにそんな思いが頭をよぎったのは、何度も危険性が指摘されてきた「共謀罪」が、またしても国会に提出されるかもしれない、というニュースを読んでいたからかもしれません。秘密保護法や安保法制の強行採決、繰り返されるメディアへの圧力を思えば、あながち絵空事ともいえない気がするのです。
先島諸島の「軍事要塞化」は、日本を守るためではなく、日本列島と南西諸島を、中国を軍事的に封じ込めるための「防波堤」にしようとするアメリカの軍事戦略によるものだ、とも三上監督は映画の中で指摘しています。「標的の島」とは、決して沖縄だけを指すのではない。その意味でも、この日本列島に暮らす人すべてが、見るべき映画だと思います。公開は3月。ぜひ、周りの方に広げましょう。
また、今週の三上監督のコラムでは、自衛隊基地建設計画が進む宮古島の市長選挙について書いていただいています。こちらも、ぜひ。
(西村リユ)
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