吉村昭の「総員起シ」(そういんおこし)を読了。
この衝撃をどう表せばいいのだろうか。
有島希音さんの「海が語ること」から、たまたま、吉村昭が増毛での樺太からの引き揚げ船のことを書いてあると夫からきいて、夫に借りてきてもらった。
戦争中の彼があとがきに書いているが「世に知られぬ劇的な出来事が数多く実在した」とある。
入念な可能な限りの取材をして、その事実に基づいて書かれた5篇の短編は、あまりにも酷い。
増毛のことは「烏の浜」として書かれている。
「総員起シ」の「伊号第三十三潜水艦」の話は、信じられないけど、9年もたち、ハッチを開けたら・・・
「総員起シ」の号令をかけたら全員はね起きそうだと現場で言っているという言葉がその様子を物語っている。
ほかに「海の柩」「手首の記憶」「剃刀」
多くの方々の生命が、いとも簡単に失われた事実・・・私には言葉がない。
機会があれば、皆さまもぜひ読んでくださいと言うしかない。
機会があればではなくて、ぜひお読みくださいと思う。
読了する前に畑に行った。
かぼちゃとモロヘイヤやピーマン、オクラなどを収穫。
そのモロヘイヤです。
柔らかくておいしい。
ねばねば感がいい。
ああ、食べながら、胸が痛む。
心に重いものがある。
戦争で亡くなられた方のご冥福をあらためて祈りたいと思う。
その無念の思いを後世に伝えなければと思う。