一つ下の記事と関連して。
博士論文に値する研究テーマを設定できるか、またその成果をきちんと出せるか、ということは、大学で工学の研究を行う研究者としてとても重要なことと認識しています。
私が正式に博士課程の学生の主査となったのは、2007年の10月のことでした。このときから、博士論文を目指した研究の指導を開始した、ということです。当然に博士論文のテーマを提示して、研究を開始することになりますが、当時の私は34才。博士論文に値すると思えるテーマは一つしか提示できませんでした。結局そのテーマに二人でアタックして、博士論文をまとめることになります。
その博士論文がまとまる半年前に、林さんが博士論文を取りまとめたので、それも私の指導経験としては大きな財産になりました。
次の二人目の留学生を指導し始めたのは、2009年の10月でした。この学生がもうすぐ最終審査を迎えることになります。彼のテーマとして、表面吸水試験を選びました。研究を推進すれば、博士論文に値する研究になりうることを、当時の感覚で嗅ぎ取れたので、テーマに設定しました。林さんを筆頭に、多くの学生たちと表面吸水試験の研究に時間と労力を費やすジャッジを下しました。この研究では、成果を出すために研究室の人的資源を最大限に生かす、という判断をしました。それが功を奏すことになります。
今現在は、博士論文に値する研究テーマをいくつもいくつも提示できる、というわけではないですが、まあ複数提示できるようにはなっているつもりです。多少なりとも力が付いてきた証拠かもしれません。2007年より以前は、自分が本当に博士論文の主査を務められるであろうか、とても不安でした。
今後も、最良の成果を出すための方策と、それぞれの学生に適したテーマを選んであげられるよう、私自身の研鑽を重ねたいと思います。博士論文に値するテーマを提示できず、指導できなくなったら、即、この仕事を辞めるべきと思っています。当たり前ですね。
私が正式に主査を務める,二人目の博士課程の留学生の最終審査が近づいております。
8/8(水)の15:30~17:00に、表面吸水試験方法の開発についての博士論文の発表と質疑が行われます。最初の1時間は公聴会ですので、ご興味のある方はぜひご参加ください。お気軽にお問い合わせいただければと思います。
今日は、その最終審査に先立って、ある審査委員の先生だけで審査をしていただきました。どうしても他の日の都合が合わなかったからです。留学生も一昨日に急に審査が決まってびっくりしておりましたが、私も合計で5時間以上でしょうか、議論、指導をして、今日の審査に臨みました。
プレゼンテーションという形ではなく、重要な研究の目的と結論を、図を使ってご説明し、議論する、という形式でした。
プレゼンテーションとしてはパワーポイントファイルはまだ全く形になっていませんが、研究の成果については認めていただきました。
表面吸水試験の研究はこれからもまだまだ深度化させていきますが、切り込んで行くための重要なステップになる研究成果と思います。
まあ、とりあえず一安心。本人が一番安心していると思いますが。