仏滞在の最終クウォーターも二週目に入りました。自分なりのベストを尽くしているつもりです。順調に手配が進めば、12日(土) から外国出張ですので、出発まで日常をしっかり過ごしたいと思います。研究と執筆・編集作業と。
仏渡航以前は、ときどきは日本に出張で戻ってこないといけないだろうな、と思ってはいましたが、行ったり来たりすることは当然に出張手続きも煩雑になるし、どのように経費を支払うかも問題となります。実際、フランスに拠点を構えて、日本出張を何度も繰り返す私のやり方を聞くと、どうやってやってるの?と特に先輩の先生に聞かれます。
日本とフランスの往復以外にも、外国での会議や用務などもあり、それらをどのように手続き上組み込んでいくかも、当初はいろいろと悩んでいました。
結果的には、すべて自分の希望通りにさせていただいており、事務の方々にも最大限のバックアップをいただいており、本当に感謝いたします。
特に、日本出張は、4回を終了しましたが、すべて非常に充実しており、寝ている時間(睡眠時間も短い)以外は全く無駄のない時間と言ってもよいほど密度が濃く、毎回サバイバル状態となっております。あと一回、8月上旬に短期日本出張をしますが、よろしくお願いします。
最も手続きが難航するかと思われたナイジェリア出張も何とか手続きは最終局面に入っており、無事に出張が遂行できることを願っています。ナイジェリアの下水道インフラを耐久的にする研究について、ナイジェリアの修士学生を指導しています。日本では学生、母国では役人ですが。形だけの研究指導であればどうにでもなりますが、1.7億人を抱えるアフリカの大国に求められる下水道事情について、やはり肌で感じないと真剣に思考もしないし、指導も真剣にできません。インフラ管理学コースの学生の指導もこれで5人目になりますが、うちアフリカが4人目になります。そして、それらすべての学生(すべて母国の役人)の国を訪れていることになります。打算的に生きているつもりは全くありませんが、これらの経験も将来、何らかの役に立つと思います。危険を心配してくださる方はたくさんおられますが、万全を期しますし、またとない機会ですので、ベストを尽くしてこようと思っています。
やりたいようにやらせていただく、ということが私たち研究者にとっては最大の幸せです。
これ以上ない環境を与えていただいていることに再度感謝し、今週もベストを尽くします。
大学という教育機関に身を置いていますので、教育が私の仕事です。
日々、真剣に、教育の場でドラマティックに仕事をしておりますが、要点を抜き出してみると、「考え方」「誠実さ」「実践」です。
「考え方」は、フィロソフィーとも言えますが、これが重要であることは何度もブログでも書いてきたので省略します。
「誠実さ」は改めて重要だと思います。5月下旬に、デルフトで前川先生と長時間お話しした際にも、私の3つ年上で前川先生の教え子のカイロ大学教授のHamed先生の話が話題に出て、彼が大きく伸びているのも、誠実だからだ、とおっしゃっていました。元の能力(種類)は人それぞれなので、とにかく誠実でさえあれば、努力を継続し、成長して、貢献できるようになる、というのが前川先生がおっしゃっていたことでした。その前川先生のお言葉は、私自身にも向けて発された励ましであったことは、私ももちろん承知していました。
誠実であれば、間違っていても正すことができます。
合計3時間の長丁場ですが、現在とられている経済政策の是非についての議論がインターネットのテレビ番組でなされていました。藤井先生、三橋さんなども登場しておられ、有意義な議論がなされていました。その中でも論じられていますが、世の中でなされている議論の大半が、誠実でない、嘘、詭弁にまみれたものだと言うことです。詭弁を使うと決め込んでいる方を説得するのは不可能なので、嘘を言っていることを公開の場で指摘し、国民に判断してもらうしかない、と言われていました。嘘を付く人たちの、弁の立ち方はすさまじいです。
私も同感です。私は誠実な人間のつもりなので、間違っていたことは正しますし、人の意見にももちろん耳を傾けます。でも、そうでない方はたくさんおられ、そういう方々に限って自分の主張を人に押し付けようとします。そういう方々は説諭しても変わることはないし、特別の害悪が無いのであれば、唯一できることは近づかないことです。
私も本音を語るタイプですので、ブログや解説文などでも思い切ったことを書く場合が多いです。読み返すことも多いので、今読んでみると間違っていることもたまに見つかります。例えば、道州制に向かうのが望ましい、という表現も数か所で見られますが、私の不勉強でした。今は、道州制を導入するべきだ、などと微塵も思っておりません。導入した場合に予想される害悪も理解しています。
2007年ごろの専門分野の解説文(私は34歳でした)等でも、かなり思い切ったことを書いているな、と冷や汗をかきますが、間違ったことは言っていないと今でも思います。多くの尊敬する方々から「考え方」を吸収し、私なりに咀嚼して、実践しようとしていたからだと思います。
嘘や詭弁はなし。誠実に議論を重ねていく。間違っていれば正す。致命的に重要なことだと思います。
それから、「実践」。常にプラグマティックに物事を考え、行動する、ということだと思っています。吉田松陰先生も、実践のない学問には意味はない、常に実践を考えよ、と言われました。「実践」というと、現場でないとできない、とか、実構造物でやってるから実践、などと狭義のイメージを学生などは持ちがちですが、日常のほぼすべてのシチュエーションで、プラグマティックに考え、行動することはできます。このことについてよく理解されたい場合は、何度か紹介していますが、「プラグマティズムの作法」がとても良い参考書になると思います。