ギミチョコ

　　　　　　　　　ギ　ミ　チ　ョ　コ　　　　ＮＯ.１２０
「義理チョコ」という言葉はご存じでしょう。　バレンタインデイに女性から好意のある男性にチョコレートを贈るという(変な)習慣ですが、別段好意はなくても、義理として贈る人へのチョコレートのことを「義理チョコ」と言いますね。
ところで、敗戦後私が住んでいた遊郭地域にはアメリカ兵が買春目的で、ジープに乗って颯爽とやってきました。
それで地域の経済は活性化されたのでしょうが、あまりいい気分はしませんでした。　売春婦の生活実態もよく解ってましたが、米兵がやって来ると近所の子供たちがジープを追いかけて、ギミ・チョコ、ギミガムと叫ぶ姿はみじめですらありました。
と言っても空腹の身には米兵の投げ出すチョコレートやハーシのチューインガムは魅力でした。
でも、わが母は貧乏百姓の出ながら、そういう行為を厳禁しました。
武士は腹が減っても高楊枝という。　また、渇しても盗泉の水は飲まじともいう。　　日本人は戦争に負けたが、心根まで腐ってしまってはイケナイというのです。
当時チューインガムなど寝るときとご飯を食べる時は口から出しておくが、ほとんど３日ほどくちゃくちゃと噛んでいたと記憶します。
時代は変わって現代は物質的には当時と比べものにならないほどに豊かになりましたが、人の心はどうでしょうか？。
将来に対して明るい希望もなく、人心は殺伐として空疎で乾燥しきっているのではないでしょうか？
昔はよかったなどと懐古趣味みたいなことは言いませんし、そうも思いませんが、なんと言いますかもう少し心のゆとりが持てる社会になってほしいと願います。
孫たちに「ギミチョコ」などと言ってジープを追いかけるようなことはさせたくはありませんね。