超人日記・俳句

俳句を中心に、短歌や随筆も登場します。

#俳句・川柳ブログ 

キルケゴール「反復」読後感

2023-09-16 20:10:25 | 無題
キルケゴールの哲学小説「反復」を読み終わった。
これは、恋人レギーネとの婚約を破棄して、
腑抜け同然で生きていたキルケゴールが、
ある演奏会でレギーネと再会した時に、
レギーネが何もなかったかのように朗らかに
キルケゴールに会釈した事件をきっかけとして、
レギーネとの終わった恋を反復する希望をもって
書かれた小説である。
主人公の初老の紳士は、若い青年が恋心で蘇った
様子をともに喜ぶ。
この時点では、キルケゴールは、レギーネとの恋を
やり直せると確信していた。
けれども、この小説を書いている途中に、
レギーネが別の男性と結婚すると知った。
小説の前半では、反復することの重大さ、
もう一度、勝手知ったる道をうまくやり直す甘美さを
熱弁していたが、レギーネの結婚を知って、
小説は方向転換する。老紳士は青年に、わざと振られるように
忠告し、青年は言うことを聞かず、婚約して
それを破棄する。かつての恋をうまく反復する筋は頓挫し、
尻切れ蜻蛉で終わっている。哲学的には、反復の意義を投げかけた
力作だが、恋愛小説としては、出だしと終わりがうまく繋がっていない。
早とちりの恋の仇花だが、今となっては、微笑ましくさえある。

断った恋を再びやり直す希望で書いて頓挫した作
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歳時記俳句・秋の声

2023-09-16 00:03:41 | 自作俳句
秋の空あの日へ誘う遠き青
宵闇に予期せぬ思い瞬きぬ
秋晴れに新しき靴弾ませて

秋の声身近に感ず朝の窓
花野原噴水裏に横たわり
赤ゲラのつつく樹林に光る秋

赤蜻蛉目立ち初めたる水源池
草紅葉見上げる顔も涼やかに
秋の子は荒地野菊の力満つ

秋桜の咲ける秋野へ飛び出せり
道端の金木犀と似合うシャツ
通い道ひとつふたつと柿紅葉



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