キルケゴールの哲学小説「反復」を読み終わった。
これは、恋人レギーネとの婚約を破棄して、
腑抜け同然で生きていたキルケゴールが、
ある演奏会でレギーネと再会した時に、
レギーネが何もなかったかのように朗らかに
キルケゴールに会釈した事件をきっかけとして、
レギーネとの終わった恋を反復する希望をもって
書かれた小説である。
主人公の初老の紳士は、若い青年が恋心で蘇った
様子をともに喜ぶ。
この時点では、キルケゴールは、レギーネとの恋を
やり直せると確信していた。
けれども、この小説を書いている途中に、
レギーネが別の男性と結婚すると知った。
小説の前半では、反復することの重大さ、
もう一度、勝手知ったる道をうまくやり直す甘美さを
熱弁していたが、レギーネの結婚を知って、
小説は方向転換する。老紳士は青年に、わざと振られるように
忠告し、青年は言うことを聞かず、婚約して
それを破棄する。かつての恋をうまく反復する筋は頓挫し、
尻切れ蜻蛉で終わっている。哲学的には、反復の意義を投げかけた
力作だが、恋愛小説としては、出だしと終わりがうまく繋がっていない。
早とちりの恋の仇花だが、今となっては、微笑ましくさえある。
断った恋を再びやり直す希望で書いて頓挫した作
これは、恋人レギーネとの婚約を破棄して、
腑抜け同然で生きていたキルケゴールが、
ある演奏会でレギーネと再会した時に、
レギーネが何もなかったかのように朗らかに
キルケゴールに会釈した事件をきっかけとして、
レギーネとの終わった恋を反復する希望をもって
書かれた小説である。
主人公の初老の紳士は、若い青年が恋心で蘇った
様子をともに喜ぶ。
この時点では、キルケゴールは、レギーネとの恋を
やり直せると確信していた。
けれども、この小説を書いている途中に、
レギーネが別の男性と結婚すると知った。
小説の前半では、反復することの重大さ、
もう一度、勝手知ったる道をうまくやり直す甘美さを
熱弁していたが、レギーネの結婚を知って、
小説は方向転換する。老紳士は青年に、わざと振られるように
忠告し、青年は言うことを聞かず、婚約して
それを破棄する。かつての恋をうまく反復する筋は頓挫し、
尻切れ蜻蛉で終わっている。哲学的には、反復の意義を投げかけた
力作だが、恋愛小説としては、出だしと終わりがうまく繋がっていない。
早とちりの恋の仇花だが、今となっては、微笑ましくさえある。
断った恋を再びやり直す希望で書いて頓挫した作