小さな花の小さな物語でした

　花の都に、咲いておりました。



細々と。



花は、とても小さいです。
しかもその名は。
ハキダメギクさんと申します。



その昔、大先生が発見された場所にちなみ、命名された帰化植物。
無論、その場所以外でも咲いております。
しかも、夏を中心に、長い間。



蝉さんが去りなむとする、この公園におきましても。



陽射しは強いものの、すっかり秋です。
蝉さんを送り出した穴が、二つ三つ。



蝉さんにとって、この都会の空は、いかがだったでしょうか。
一昨日の画像ですが、まだこの時は、アブラゼミさんの最後の声が聞こえました。



その声が、この小さな穴にも、こだましておりましたが。
脇に羽毛が、ひとひら。



大都会のオオバコさんの傍らにも、また、ひとひら。
何か、ひと夏の事件があったようです。



もしかすると、こちらのお方も。
あの家政婦さんと一緒に、見ていたのかもしれません。



細ぼそながら、なかなか。
陰に日向に、したたかに。
有り難いお命を、つないでおりました。
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