全トヨタ労働組合(ATU)

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トヨタ社員労災認定裁判(災害補償給付不支給決定、取り消し裁判)

2017年06月27日 19時35分39秒 | トヨタ自動車
 トヨタ社員の労災認定裁判が、6月26日(月)午前10時から名古屋地裁にて9回目の公判が行われました。傍聴参加者には公判前に弁護団から、原告としてどのように臨むのか説明をしていただきました。
 今回は、3月に被告側である国が第5準備書面として「反論」をしてきましたが全く中身のない内容で、トヨタ側から資料が出てこないために反論として書きようがないようです。そこで原告側は裁判所からトヨタ自動車に対して、会社側が持っている資料を出すように求釈明をもとめ了解を得ました。次回はこのことが焦点になります。

原告弁護団の梅村弁護士から
トヨタ社員過労自殺裁判のこれまでの状況について寄稿いただきました。
2017.6      
弁護士 梅村浩司
 
被災者は、トヨタ自動車株式会社本社において、生産準備の業務に従事していました。そして、リーマンショック(2008年9月ころ)の約1年後、うつ病を発症し、2010年1月に自殺をしました。被災者の遺族は、豊田労働基準監督署に労災の申請をしましたが、認められませんでした。さらに、この取消を求めて、愛知労働局に審査請求、労働保険審査会に再審査請求をしましたが、認められませんでした。そこで、2015年7月に、労災としなかった豊田労働基準監督署長の決定の取消を求めて、名古屋地方裁判所に提訴しました。現在、提訴から、1年と11ヶ月となります。
原告は、既にトヨタを退職した同僚労働者の証言と被災者の残したノート等の資料から、被災者の仕事の内容、上司からのパワハラの内容等を明らかにして、詳細な主張を行いました。
これに対して、被告の国は、2017年3月31日付第5準備書面において、原告が主張している具体的な事実については、事実としてあったことなのかどうかの返事をせずに、被災者が行っていた業務の過重性の評価についてだけは、大したことはないものと主張をしています。その根拠としては、労基署等で調査が行われた際に作成された被災者の同僚や上司の聴取書の内容を引用するだけのものとなっています。
業務の過重性の主張立証責任は原告にあるので、被告としては、被災者の業務内容は知らないといった立場を貫き、結局、原告が立証できるかどうかという点に訴訟の帰趨を持ち込み、秘密体質のトヨタ自動車からは、何の証拠も出てこないことから、原告の立証が出来ないということで、勝訴に持ち込もうとしています。
 今回、原告は、上記被告の主張に対する必要な反論の準備書面を提出するとともに、裁判所からトヨタ自動車に対して、被災者の仕事の内容が記載されている書面等を提出するようにお願いすることを求めます(文書送付嘱託申立)。
本件では、豊田労働基準監督署での調査の段階から、トヨタ自動車は、労基署から提出を求められた資料に関して、そのほとんどを黒塗りにして提出していました。豊田労働基準監督署は、黒塗りを止めるように言った形跡はありませんでした。労働基準監督署長は、法律上、トヨタ自動車に対して、資料の提出を命令することもできます。にもかかわらず、トヨタに対して強く黒塗りのない資料の提出を求めることをせず、その挙げ句、過重な業務であったとは認められないとして、労災を認めませんでした。そして、訴訟になるや、被告の国は、原告に主張・立証責任があることを良いことに、原告の主張をまともに取り合おうとの態度すらありません。上記のような労働基準監督署を含めた国側の態度も問題としていきたいと考えています。
以上
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