全トヨタ労働組合(ATU)

トヨタ自動車および関連企業で働く労働者の企業横断型労働組合です。一人でも加入できます。

豊田労働基準監督署の使命は

2008年01月06日 13時54分12秒 | Weblog
いま、豊田労基署の使命が問われている。

 昨年11月30日に名古屋地方裁判所にて、トヨタで働いていた内野さんが仕事中に亡くなったのは労働災害であると認める判決が下されました。12月14日国側の控訴断念で確定しました。
 ここで問題になったのは労働時間です。名古屋地裁は106時間45分を認めましたが、豊田労基署は52時間しか認めていませんでした。豊田労基署の調査に疑問が残るのです。労働基準監督署という強い調査権を持っているのに、その使命を果たしているのか疑う行為が明らかになっています。
 昨年7月に起きた新潟中越沖地震に関するいくつかの問題もきわめて曖昧にされようとしています。ここで問題にしたいのは、休日になった3日ないし4日のうちに「年次有給休暇」を届け出ていたのに一方的に取消されたことは、有休使用権が反故にされたことであり、労基法に違反する。と、当労働組合が訴えていたことに12月に回答がありました。
 結論から申しますと、取消は不当であり有休使用権が「優先される」と言うものでした。トヨタ自動車にも指導をしたとのことでした。ところが問題は、指導しておきながら有休手当を支払わせていないのです。これでは労働基準監督署の使命を果たしているとは言えません。
 労働者を守るべき立場になければならないのに、企業の都合の良いように振舞う豊田労働基準監督署に猛省を求めるものです。

JILPTの記事について

2008年01月06日 08時46分41秒 | Weblog
先に、労働政策研究研修機構のメルマガ記事で内野裁判に触れていない旨の記事をこのブログで紹介しました。
事実は正確ではありませんので以下のように訂正します。
実は11月30日付けの№391で紹介されています。当方がなぜ読み間違ったのかは、表題にこだわり見落としたことにあります。
┏━━━━━━━━┓○o・。○・o。o・○・o。○・o。・o。○・o。o・○・
  本号の主な内容   。o・○・o。○・o。。o・○・o。○・o。。o・
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【行政】日加社会保障協定、08年3月に発効
【統計】10月の完全失業率4.0%で前月と変わらず/総務省統計局 ほか
【労使】12月1日に「全国一斉労働トラブル110番」/日本労働弁護団
【企業】三菱重工、仕事・育児両立支援金を導入/再入社支援制度も
【動向】経営幹部の選抜人材教育、58.7%の企業が実施/生産性本部 
【判例】一審判決上回る慰謝料支払い命じる/中野区非常勤保育士事件で東京高裁

この判決の表題にこだわらずに吟味すべきだっといえます。
下には
 ●不支給処分、取り消し命じる/トヨタ社員過労死訴訟、名古屋地裁

   トヨタ自動車の堤工場(愛知県豊田市)に勤務していた内野健一さん=
  当時(30)=が2002年、不整脈で死亡したのは過労が原因として、妻博子
  さん(37)が国を相手に、遺族補償年金などの不支給処分を取り消すよう
  求めた訴訟の判決が30日、名古屋地裁であり、多見谷寿郎裁判長は原告側
  の請求を認め、国に処分の取り消しを命じた。(時事通信)
http://www.jil.go.jp/kokunai/mm/hanrei/20071130.htm

の記事があります。
ただし、12月14日の判決確定については沈黙です。

この判決は労働基準監督署や国が会社の言い分を鵜呑みにして労災を認めてこなかったことこそ重要で、いわば国の不祥事なのです。どうしてこうした不祥事が起きたのかという切開こそ労働行政側に必要なことです。
 この点について言及していただくのは無理なことでしょうか?

TMPCWAを支援する会から 080105

2008年01月05日 17時06分38秒 | Weblog
フィリピントヨタ労組を支援する会からのメッセージです。

東京高等裁判所2007・12・26判決批判 多国籍企業トヨタの組合つぶしを擁護!
http://www.green.dti.ne.jp/protest_toyota/other/071226hanketu_hihan.pdf

2008年1月5日  フィリピントヨタ労組を支援する会

① 12月26日(水)午後1時15分、東京高等裁判所第12民事部裁判長裁判官柳田幸三は、全日本造船機械労働組合関東地強協議会による中労委決定の取消を求める行政訴訟で、控訴棄却の判決を下した。判決は次のようにいっている。

 「ILO条約の各規定」や「国連規約22条1項及び3項」が「労働委員会に対し、本件のような国外の労使関係について労働組合法を適用し、同法27条の12に定める救済を行うべき義務を負わせているものと解することはできないから、本件について我が国の労働組合法の規定に基づく救済を否定することが、同規定及び憲法98条2項に違反するものということはできない。」

② この東京高裁の主張は単なる断定であり、私達が行った次の主張に対して反論どころかコメントすらしていない。

 第一に、ILO条約、国際人権規約に取り上げられている労働者の団結権、団体交渉権、団体行動権は、特定の国の労働者の権利ではなく世界の労働者の権利である。また、現在の多国籍企業の時代にあって、この権利は各国の労働者をその国内部の不当労働行為だけでなく多国籍企業の海外からの不当労働行為からも守るものである。逆に言えば、多国籍企業が海外に対して不当労働行為を行うことを禁止するものである。

 第二に、日本もフィリピンもこれらの条約の批准国である。そして、日本国憲法は第98条2項で「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」と述べている。したがって、日本国はILO条約や国連の人権規約の上記の内容を遵守しなければならないのであり、多国籍企業が海外に対して不当労働行為を行うことを禁止しなければならない。

③ ところが、東京高等裁判所はこれらの主張に何の反論を加えることなく、ILO条約や国際人権規約は労働委員会に対し『外国の労使関係』(正しくは「多国籍企業の国境を越えた労使関係」のこと)について労働組合法を適用する義務を負わせていない、すなわち日本の労組法は多国籍企業の国境を越えた労使関係には適用されないとただ断定している。またフィリピンの労働者が日本の労組法で救済されなくとも憲法98条2項国際条約の遵守違反にあたらないとこれもただ断定している。
いうまでもなく、憲法第98条2項に従えば、国はILO条約や国際人権規約を遵守し、国内の法体系がそれに不適合であれば法を改めなければならない。また、これまでの法解釈が不適合であれば法解釈を改めなければならない。ところが高等裁判所は法改定を要請するでもなく、法解釈を改めるわけでもなく、ただ上記のような断定を繰り返している。
そしてこの断定によって、東京高等裁判所は明らかに憲法98条2項の国際条約遵守規定に違反し、ILO条約や国際人権規約に違反している。

④ この東京高等裁判所の見解の根底には、先の引用文の中でも多国籍企業の発展途上国労働者との労使関係を『国外の労使関係』といっていることにも示されているように、労使関係を『国外の労使関係』と『国内の労使関係』に分けて考え、日本の労働組合法は日本の労使関係にだけ適用されるのであって海外の労使関係には適用されないのだという考えがある。この考えは多国籍企業がほとんど問題にならなかった時代には一定の妥当性があった。しかしその考えは20世紀末に多国籍企業の国境を超えた労使関係が世界中で成立する中で既に時代遅れになってしまい、多国籍企業の不当労働行為を免罪し、発展途上国の労働者の人権を抑圧する役割を果たすことになっている。

⑤ トヨタ自動車はフィリピントヨタの親会社であるだけでなく、フィリピントヨタのフィリピントヨタ労組に対する不当労働行為に深く関与してきた。すなわち、2001年3月フィリピントヨタが団体交渉を拒否し、2001年3月227名の組合員を解雇したのに対して、同3月28日からフィリピントヨタ労組がストライキで対抗し操業がストップした時、アロヨ政権労働雇用省と貿易産業省との会談で「労働問題がトヨタの有利に解決しないなら資本を引き上げる」とトヨタは脅した。

 いうまでもなく、単なるフィリピンの国内企業や多国籍企業子会社が資本を引き上げるという脅しを使うことはない。こうした脅しを使うのはフィリピンを投資対象とみなしている多国籍企業であり、今回の場合はトヨタ自動車である。つまりこの場合のフィリピン政府にたいする脅しはフィリピンの国内子会社ではなく、出資元であるトヨタ自動車の意思を受けてトヨタ自動車から出向した日本人「トップ役員」がトヨタ自動車を代弁して脅したのである。 

その結果アロヨ政権はストライキ中止・職場復帰命令を出してストライキをやめさせ、実際の職場復帰人選をフィリピントヨタに任せることで被解雇者を職場から放逐し、最終的には233名の解雇を承認した。このようにトヨタ自動車はストライキを止めさせ、労働組合をつぶすためのあからさまな圧力をフィリピン政府にかけ、大成功を収めたのである。

⑥ ストライキが起きるまではこの争議はフィリピンの一企業とその労働組合の争議のようにも見えた。ところがフィリピントヨタ労組がストライキに突入し、トヨタが「資本を引き上げる」と脅すことで、この争議が多国籍企業トヨタとその子会社の労働組合の争議であることが誰にもわかることになった。トヨタは単にストライキに反対したのではない。トヨタが反対したストライキとは団体交渉の開始と277名の解雇撤回を要求するストライキであった。そして、ストライキ前に団体交渉拒否と277名の解雇を現地で決済していたのは、このストライキに対する介入でトヨタ自動車を代弁した日本人「トップ役員」である。トヨタ自動車がフィリピントヨタの団体交渉拒否、227名の解雇を当初から指示もしくは承認を与えていたことは疑うべくもない。

⑦ このように多国籍企業はその経済力によって人口8000万人の発展途上国政府に圧力を加え組合つぶしを押し通すことができる力を持っている。だから、多国籍企業の不当労働行為は発展途上国では救済が極めて困難なのである。ところが、日本の東京高等裁判所は、多国籍企業の発展途上国労働者との労使関係を『海外の労使関係』であるとすり替えて、明白な多国籍企業トヨタの国境を超えた組合つぶしを日本の労働組合法では救済できないというのである。

 しかし日本の旧法令9条1項は「法律を異にする地に在る者に対して為したる意思表示に付いてはこの通知を発したる地を行為地と看なす。」と明確に述べ、同11条1項で「其原因たる事実の発生したる地の法律に依る」と述べており、多国籍企業の国境を越えた組合つぶしは日本の労働組合法で十分救済することができる。

⑦ 東京高等裁判所は、日本の多国籍企業のあからさまな国境を超えた不当労働行為を免罪し、発展途上国労働者の権利を剥奪するための単なる詭弁を弄している。東京高等裁判所は発展途上国の労働者の労働三権を奪うことで発展途上国の劣悪な社会的、経済的地位の強制に一役買っている。そして、先進諸国労働者をこの発展途上国労働者と競争させることでその社会的、経済的地位をも押し下げもことにも加担している。

しかし、世界の労働者は競争しあうのではなく、国境を超えた団結を作り出すことによって、多国籍企業の国境を超えた組合つぶしを必ず打ち破るだろう。フィリピントヨタ労組が全造船機械労働組合関東地協に加入して多国籍企業の不当労働行為救済を求めたこの流れをおし留めることはできない。

以上



財界の危機感

2008年01月04日 09時02分54秒 | Weblog
年頭、財界の首脳が相次いで興味深い所信表明をしています。

日本経済団体連合会は、元旦に「成長創造 ~躍動の10年へ~」
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2008/001.html
というテーマで以下のように訴えています。

「われわれは、本2008年を、日本経済の次なる「躍動の10年」に向けたスタートをきる年にしたい。いま、わが国の行く手には、少子高齢化と人口減少の同時進行、新興経済国の発展・追い上げ、地球温暖化問題の重要性の高まりなど、課題が山積している。
 足もとでは、サブプライムローン問題を端緒とする国際信用不安の発生と米国経済の減速懸念、原油をはじめとする原材料価格の高騰などにより世界経済の動向が懸念されている。また、いわゆるねじれ国会に象徴されるように国内の政治動向にも不透明感が生じている。
 こうしたことから、国民の間に先行きへの閉塞感が広がっている。
しかし、悲観からは何も生まれない。今まさに必要なことは、国民一人ひとりが豊かな生活を享受できる「希望の国」の実現に向けて、国全体で共有できる明確な目標を設定し現状の閉塞感を打ち破り、躍動する日本経済を築いていくことである。」

危機感に満ちあふれた言葉で、訴えています。今年も相も変わらず「希望の国」の実現のためにということのようです。グローバリゼーションの展開の中で、今までの企業行動の反省はなく、格差の拡大を前提として国民に頑張ることを強要していつかのようです。
 詳しくは全文をお読みなれば
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2008/001.html

一方自動車工業会の張会長の認識と決意にも並々ならぬものを感じます。

年頭に際して 日本自動車工業会会長 張 富士夫
http://release.jama.or.jp/sys/comment/detail.pl?item_id=486

「昨年、四輪車の国内需要は、538万台(対前年比93.8%)と3年連続して減少し、また、二輪車は72万台(対前年比98.0%)と2年連続の減少となるなど、自動車市場を取り巻く環境は、厳しい状況が続いております。」
このような中、四輪車の国内需要は532万台、二輪車の国内需要につきましては、70万台を見込んでおります。」
という前文にはじまり、以下の課題を提起しています。
第一に、「国内市場の活性化」を喫緊の課題
第二に「安全と環境への取り組み」について
第三に、「自動車産業のグローバル化への対応」について

自動車産業が現在も我が国の基幹産業であるにもかかわらず、国内需要についての期待ははるか後方に追いやられ、インド、中国、ブラジル、ロシアなどの「途上国」における需要と市場の拡大に活路を見いださざるをえない状況です。
 トヨタについて戻るならば、昨年はトヨタシステムのほころびがあらわになった1年でした。かつては書店の店頭に積まれたトヨタ本は礼賛本ばかりでした。今や何冊かの本が礼賛本と一緒に並びしかも売れているという事実は、新しい時代の訪れを告げているのかもしれません。

張会長のコメントの全文は以下に
http://release.jama.or.jp/sys/comment/detail.pl?item_id=486

トヨタウェイとトヨタシステム賛美から解放されるはじめの元年となるかもしれません。


正月3が日の豊田市

2008年01月03日 11時39分44秒 | Weblog
新年になって早3日です。
トヨタ自動車並びに関連企業が休日のためさすがに豊田市内は静かです。なんといっても空気がきれいなのがいいですね。今年の年末年始はめずらしく豊田市に居座りました。というよりも外に行く余裕がありませんでした。だから、この時期のトヨタのことがよく見えます。
 工場門前はがらりとしています。本社前、堤、元町、三好、下山、高岡各工場前を通過しましたが、いつもとまったく光景が違います。いわゆる独身寮も若干の居残り組をのぞけば、ここもがらんとしていますね。いつもとは別世界です。
 一方、年の初めからパチンコ屋さんは賑やかです。休みが6日までありますからうずうずしてお出かけになるのでしょうか?あまり熱くならないで、これからのトヨタにおける生き方も考えていただければと思います。
 お屠蘇気分からそろそろ解放されて、新しい年のスタート・ダッシュを!

全トヨタ労働組合(ATU) 広報担当

2008年は希望の見える労働運動を!

2008年01月02日 14時22分13秒 | Weblog
 1月1日、中日新聞社説「グローバル化のなかで貧困層の増加に歯止めがかかりません。貧困問題に向き合い、若年層への有効な手だてを講じないかぎり、日本の未来が語れません」こんな見出しで始まっています。
 中小企業は人材が集まらないから外国人や女性を雇用するしかない、一方若者は少しでも高賃金を求めて大企業に職を求める。日本の構図は大企業が3割、中小企業は7割を占めています。’06年の全産業の経常利益は54兆円で、10年前の倍を稼ぎ出しているのも関わらず、全労働者の賃金水準は6%も減っていると言うのです。しかし、全労働者というものの、明らかに中小企業労働者の賃金水準は低下するばかりです。中小企業経営状況とて同じことが言えるのではないでしょうか。
 アメリカ輸入の新自由主義的傾向が日本にも波及して、大企業は株主重視の短期経営業績に血眼になっています。そのために何が何でも、系列グループの親企業は株式評価(企業評価)を高めるため利益を追求します。
 愛知県豊田市では、トヨタ自動車が2兆円の利益を上げながら、一方9号法人の7割が赤字決算になっていると言うのです。富が一極集中となり、大多数が貧困化しているのです。
 国際競争力の強化、企業間の競争などと、競争を御旗に大企業栄えて後は野となれ山となれの路を突き進んでいるようです。一方気になるのが、労働者の見方労働組合は元気がない、とくに、元気な大企業のなかにある労働組合が存在を失っている。まるで、生き血を吸われたごとくである。
 全トヨタ労働組合が結成されて丸二年になる。この間だけでも労働界に大きな変化を生んでいると思う。正社員しか入れない既存の労組と決別して、あらゆる雇用形態でも加入できる一企業の枠を超えた横断的な労働組合として活動している。
 労働組合に入りたくとも入れなかった人たちに路が開けた。さぁ、つぎのステップは雇用形態の違いでの処遇のあり方を改めていくことである。安定した雇用と安定した生活の確立は緊急の課題です。
 賃金水準はトヨタを100として、取引企業の裾野に行くと30%に満たないと言うのです。また、年収200万円以下が1023万人に達して貧困率が米国についで世界第2位だと言うのですから、直視しなければならないと思います。超優良企業といわれるトヨタ自動車までもが貧困層を1万人も雇用して、目先の利潤追求をしているさまは、大よそ国の未来を考えているとはいえません。
 労働界における今年の春の取り組みは、大企業の富を中小企業の経営と労働者の安定に還元すべきであり、若者をはじめとした不安定雇用の有り方を変えていく展望を持った、たたかいにして行きましょう。

迎春 2008

2008年01月01日 10時36分27秒 | Weblog
新しい年、2008年を迎えました。
この1年が皆さんにとっても、実りある年であるように

2年前に結成された私たち全トヨタ労働組合(ATU)も、この1月20日には第3回の定期大会が開かれます。今年は私たちにとって正念場だといえます。トヨタ自動車ならびに関連企業で働くあらゆる雇用形態の労働者の受け皿としての労働組合であるという使命を負いながら、この1年頑張っていこうと思います。

どうか、今年もまたよろしくお願いします。

全トヨタ労組(ATU) 広報担当

2008年1月1日