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岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

ガーベラ2 ‐ キク亜科の花

2021-01-07 16:56:04 | みんなの花図鑑
〔ムティシア亜科〕
キク科は、最近では10の亜科に分類されるようになり、その系統では ガーベラは 「ムティシア亜科 Mutisioideae」に分類されています。
しかしこの10分類は 直感的に分かりにくいので、この記事では 以前の分類法で、キク亜科とタンポポ亜科に2分類し、ガーベラ属は キク亜科の花としています。形態的にはそのほうが分かりやすいので。



ガーベラの頭状花序シリーズ、こんどは 赤のガーベラです。
花の中心にあるチョコレート色の部分が、筒状花の蕾。
その周囲の 赤い双葉状の花弁から 黄色い筒が立っていますが、これが雄性期の筒状花。(黄色い筒は5本の雄しべが合着して円筒になったもの)
そのまた周囲の 白い棒は 雌しべの花柱。頭のスパナ上の器官が雌しべの柱頭(この部分は 柱頭活動期=雌性期になります)。



花の中心部の筒状花の集団が 丸くなくて 鼓のような形になっています。




再度、開花した筒状花の部分を観察しています。




ガーベラの筒状花の花弁は 星形の正五角形でなく、双葉状なのが特徴です。紅い花弁の中心側がクルっとカールしています。
一番手前の開花したての花では 黄色の雄しべ棒の先端はまだ閉じています。
すぐ後ろの花になると 黄色の雄しべ棒の先端に 花粉が出ています。これは 雄しべが出したものでなく、雄しべ筒の内壁に(雄しべの葯から)出た花粉を めしべ棒(未成熟なめしべの棒)が筒の中を伸長しながら上に押し上げたものです。




この花序の筒状花には 花粉の付いた花が見当たりません。
一部 花弁から黄色い雄しべ筒が伸びている雄性期の小花もありますが、ほとんどは 花粉を落とし めしべだけになった雌性期の小花たちです。
不思議なのは めしべは 雄しべ筒の中を貫通して伸びてきたはずなのですが、その雄しべ筒が(崩落したのでしょうか?)見当たらないことです。
まだまだ分からないことばかりです "(-""-)"




ガーベラ1 ‐ キク亜科の花

2021-01-07 09:19:22 | みんなの花図鑑

これからしばらく ガーベラばかり取り上げます。
まずは 黄色のガーベラ。



私の関心は 花の構造。キク科の花(頭状花序)は たくさんの花の集合です。
周囲の花びらのような部分が 舌状花 の集合。
中心の シベのような部分が 筒状花という これまた独立した花の集合。




筒状花の円形集団は 外周のほうから開花していきます。
ガーベラの筒状花の花弁は面白い形をしていますね。筒状花の花弁というと、先に見た ユリオプスデージーのような星形花弁が多いのですが、このガーベラは 双葉状をしています。




筒状花の花弁に近接しています(ピントが甘くてスミマセン)。花弁は 外周方向と頭花の中心方向に向かって扁平な花弁を一枚づつ出しているようです。
下の黒っぽい部分は まだ蕾の状態の筒状花ですが、ハチの巣状にびっしり埋め込まれているので、開花した花弁も もうこれ以上開く空間がないほどひしめき合って咲いています。




花弁の中には 先が少し褐色の棒が立っています。これが 雄しべ筒で、おしべが合着して筒になったものです(なので「筒状花」)。
画像の奥のほうを見ると、頭がハート形の白っぽい棒が立っています。これがめしべです。




その部分を 別の花で拡大して見ます。
花弁の中から 雄しべ棒が立っていて その先に花粉が付いています。この花粉は 雄しべが筒の内壁に出した花粉を 雌しべ棒(まだ未成熟なめしべ)が筒の中を貫いて上に成長するとき、花粉を押し上げるのです。





めしべ棒は花粉を押し上げた後もさらに伸長して やがてこのような(工具のスパナのような)柱頭を展開します。



上のほうに めしべの柱頭が開花しています。下のほうにうっすら 雄しべ筒の頭が見えます。

〔ムティシア亜科〕
キク科を花の構成から大きく2分類するときは キク亜科とタンポポ亜科にグループ分けしますが、最近では10の亜科に分類される等になり、その系統では ガーベラは 「ムティシア亜科 Mutisioideae」に分類されています。

つぎは、同じようなことを 別の色のガーベラで観察してみます。