アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

ロウバイ - 立ち上がる雄しべ(後編)

2021-01-27 15:00:00 | みんなの花図鑑

ロウバイの雄しべは 開花後 4、5日すると起き上がって雌しべを覆うというお話の後編です。
上の画像には 白いバナナの房のような雄しべと 糸くずのような雌しべが写っていますが、雄しべはいつもこのような位置にあるのではなく、おそらくこの2日前には 花被片に密着して横たわっていたのであり、この1日後には さらに雌しべのほうに集まり雌しべを覆うように密着するだろうという筋書きがあります(^^)/




映りが良くないので後回しにしましたが、一枚目の画像よりほんのわずか前の雄しべの状態です。
雄しべは雌しべから離れているし、雄しべの葯は 花被片の方向を向いて付いていますし、葯はまだ割れていないので花粉も出ていません。この花に虫が蜜を吸いに来たばあい、他の花で付けてきた花粉が めしべに付く形になります。




この花も 雄しべが立ち上がって めしべを取り囲もうとしています。
雄しべに取り囲まれる前に めしべは他の花からの花粉を受粉しているべきなのですが、どうやらこの雌しべにはまだ花粉が付いていません。




この画像も 前のとほぼ同じ時期です。「雌しべ活動期」から「雄しべ活動期」への移行期の花です。






この花は 雄しべがきれいに雌しべを囲んでいます。雄しべ活動期の始まりです。




雄しべの葯が割れて 花粉が出て来ています。




やや赤紫色をしている一番内側の花被片には 蜜が出ています。(上の画像では もう一回り外側の花被片に 光る蜜らしきもののが見えます)
この時期、蜜を吸いに訪れた虫たちは、めしべに触れることなく、雄しべの花粉を体につけて 別の花に運ぶ役目を果たすことになります。




雄しべの葯に襞(ひだ)が現われ、盛んに花粉が出ています。




同じ雄しべ活動期ですが、よくみると、雄しべの襞の中から めしべの先らしき器官が一本、顔をのぞかせていますよ(^^)/
受粉できなかったのでしょうか?




終期の雄しべです。
雄しべの付け根あたりから出ている 一番内側の花被片の花柄が 切れています。脱落が始まったようです。




花粉を出し終わった雄しべは これでもかというくらいしっかり雌しべを覆っています。





その雄しべの葯の襞(ひだ)をアップしてみました。
ケーキのモンブランみたい \(^o^)/




ロウバイ - 立ち上がる雄しべ(前編)

2021-01-27 10:22:48 | みんなの花図鑑

上の2つの画像は 同じ株に咲いていたロウバイの花です。ちがいはどこでしょう?
(花被片の色が 左は黄色で、右はそれが薄れてきていますが、光の加減です。あるいは 時間とともにだんだん黄色が薄れていくのかもしれませんが、今日の本題は ここにはありません)
ちがいは 6本の白い雄しべが、左は 広がって開いているのに対し、右は 中央に集まって握りこぶしのようになっていることです。





ロウバイの花の開花直後の状態(一枚目の画像で、左の状態)です。
白い6つのシベが 雄しべです。
このように 雄しべは花被片に密着して、正面から見ると開いています。




雄しべは花糸が太くその先に付いた葯も大きいです。でもよくみると 葯は花被片のほうを向いて付いていて、こちら側(正面)を向いていません。なぜでしょう?
さらに、めしべは、雄しべの付け根にある(中心にある)突起物のようですが、突起物すべてが 雌しべ ではないというのです。





小さな花を次々と覗いて調べていくと、同じ日でも、雄しべの状態の違う花に出会います。この花のおしべは 横たわっているのでもなければ、中心に集合しているのでもない、その途中の状態です。
そうです、花被片に張り付いていた雄しべは 開花後4日ぐらいすると、起き上がって雌しべのほうに集合しだすのです。




上と同じ時期の花ですが、雄しべが集まっていく方向に めしべの柱頭が光って見えます。
この糸くずのような部分だけが めしべで 一緒にある白い棒(2本見えます)は めしべではなく 仮雄しべなのだそうです。





だいたい開花してから 5日後には 雄しべはこのように めしべを覆うように取り囲みます。取り囲んだ直後は 葯(花粉の入った袋)はまだ開いていません。




それからしばらくして 葯が割れ、中から花粉が出てきます。葯は外側を向いているので、自分の雌しべに付くことなく、花を訪れた虫たちに付くようになっています。




上の花粉を出している雄しべの 拡大図です。


後編では、別のロウバイで、こんどは中心に集まった後の雄しべを観察してみたいと思います。