アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

パンジー? ビオラ ? スミレ?

2021-01-21 18:00:00 | みんなの花図鑑
パンジーとか、ビオラとか、「よく咲くスミレ」なんて売ってますけど、これらはどう違うのでしょう。

まず、パンジーです





パンジーは英語で pansy。学名は Viola × wittrockiana。
「スミレもしくはサンシキスミレ(Viola tricolor)から分化したものと考えられ、サンシキスミレの亜種 Viola tricolor hortensis とされることがある。しかし、園芸上用いられる変種は交雑と交配が進んだものであり、学名を Viola × wittrockiana としてあらわしている。」(wiki「パンジー」)
学名の x は 交配種を表しています。





つぎは、ビオラ です





ビオラ(Viola)とはスミレ科スミレ属のラテン語名である。園芸上はパンジーの小輪多花性種をヴィオラ(ビオラ)と呼んでいる。(wiki 「ビオラ (植物)」)



パンジーもビオラも スミレ科スミレ属(Viola)の花なのですが・・・
園芸業界では、5~10㎝くらいの大きな花を咲かせる品種をパンジー、2~4㎝くらいの小さな花を咲かせる品種をビオラと呼ぶことが多いようです。が、厳密な違いはありません。
パンジーとビオラの中間的な大きさの花を咲かせる品種を「パノラ」と呼ぶこともあるそうです。




最後に、「よく咲くスミレ」です (^_-)-☆




サカタのタネHPによると、「よく咲くスミレ」は、「普通のパンジーよりも小さい 4㎝前後の中輪の花をたくさん咲かせるパンジー」という位置付けのようです。

園芸業界の呼び方をまとめると・・・
 5~10㎝くらい → パンジー
 4㎝前後  → よく咲くスミレ? また パノラ
 2~4㎝くらい → ビオラ
ということでしょうか。



もともとは スミレ(Viola mandshurica)といったら、パンジーやビオラの原種ともいえる、道ばたで春に花を咲かせる野草のことでした。 「葉は天ぷらにしたり、茹でておひたしや和え物になり、花の部分は酢の物や吸い物の椀ダネにする。ただし他のスミレ科植物、例えばパンジーやニオイスミレなど有毒なものがあるため注意が必要である。」(wiki 「スミレ」)



では、クイズです。これはなんでしょう?



大きさが分からないので、答えようがないですね


答えは パンジーでした。





最後にもうひとつ、これは何でしょう?

ヒント: 上と同じ大きさで、黄色です。




答えは やはり パンジーでした (^^♪

なお、学名の 最後の cv. は cultivar の略号で、園芸品種であることを表しています。

ユリオプスデージー - 菊の御紋?

2021-01-21 09:37:44 | みんなの花図鑑

この花を見て 菊の御紋を連想される方は 多いと思います。




(User:Philip Nilsson - Inspired by File:Japan coa kiku.png, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=499747による)
ユリオプスデージーは 最近のキク 以上に 菊の御紋に似ていると思います (^_-)-☆
なぜそう思えるのかと反省してみると、
(1) 周囲の舌状花(花弁のような部分)と筒状花(中心のシベに当たる部分)とが明瞭に分かれています。
(2) さらに舌状花の集団が 長く大きい。
ことにあるような気がします。ひるがえって、最近のキクの花は どこまでが舌状花で、どこからが筒状花か、ハッキリしないものが多いのです。




日本では菊の花をデザインした紋章は 民間機関が使いにくくなっていて、天皇家や政府の専売特許みたいな感じになってますが、それならなおさら、菊の花の特徴を生かした使い方をしてほしいものです。
キクの花の特徴というのは、先ほども触れましたが、頭花がたくさんの花の集合で出来ていることです。一つ一つの花はとても小さな花です。でもその小さな花が 虫を集める花弁の機能や おしべ・めしべの子孫を残す役割を分担して咲いているのです。
これは 行政組織でいえば 地方分権です (^_-)-☆




ユリオプスは、ギリシャ語のEuryps から来ています。 Eurypsの意味は「大きな目を持つ」です。 花がくっきりと咲き「目」に例えられたそうです。




キク以上に キク科の特徴を示す咲き方をしています。
手前のツブツブは筒状花のつぼみです。
その奥に 筒状花が咲いています(「咲く」という表現には違和感がありますが)。




筒状花の一つを見ると 星形をした花弁の中から 先端に花粉を載せた雌しべ棒が伸びています。
雌しべ棒を覆っているチューブが 雄しべ筒です(5つの雄しべが合着して一つのチューブになったもの)。




花粉は雄しべ筒の内壁に出され、それを未熟な雌しべの棒が押し上げることにより外に出ているのです。
キク科の花は 長い進化の過程を経て このような仕組みを獲得したものと思われます(神様が最初に作ったのではありません)。