澄み渡る青空を覆い隠すように、無数の花が勢いよく咲いていた。京都市上京区の本満寺のシダレザクラは樹齢約100年。撮影の3日前はほとんどがつぼみだったのに、春本番の日差しを受けて、一気に満開となった。
桜は円山公園(東山区)の「祇園しだれ桜」の姉妹樹と伝わる。住宅街の小さな境内で堂々と枝を広げる存在感に引かれ、2月下旬から何度も足を運んできた。枯れ木のようだった巨木は、徐々につぼみを膨らませていった。
新型コロナウイルスの影響で人出は少ないと思っていたが、平日にも関わらず境内は参拝者であふれていた。神戸市から訪れた女性(31)は「桜を見ると、めいった気持ちも吹き飛ぶ」とスマートフォンのシャッター音を響かせた。生命力をみなぎらせ、かれんに咲き誇る姿が、人々の心に癒やしをもたらしている。
京都新聞社