「オートマチック限定」という自動車運転免許の条件がある。
視力の衰えてきた人の免許には眼鏡着用という条件がつくが、着用は条件であって限定ではない。
こういう屁理屈を盾にして、眼鏡着用条件のついた免許証を持っている私は、運転するときに眼鏡をかけない。
逆らうのは好きではないが縛られるのが嫌だからで、眼鏡をかけずに運転していたことが原因になって、ひとさまに迷惑をかけたこともなければ、こすったこともない。
パソコンのソフトにもいろいろな限定がついている。
Excel と同じように使えるという触れ込みのKというソフトがある。
試用期間が限定されていて、その期間を過ぎると、急に変な動作をしたり動かなくなったりする。
機能にも、限定するつもりではなかったのにできてしまったような限界がある。
その一例として、セル内文字の均等割り付けがある。
文字数の違う項目の並んだ表で、文字がセルの片端あるいは中央に寄り集まってしまうと、何かいじけた感じがするので、セルの空間いっぱいに文字配置を広げたくなる。
そこでセルの書式・配置・水平方向を「均等割り付け」にすれば、書き込む文字の間にスペースを入れていくようなばかげたことをしなくても、表示される文字はセルいっぱいに広がって見える。
いっぱいに広がったのはよいが、左右にいくらかゆとりがないと、これがまた窮屈に見える。
Microsoft Excel 2010 では、「均等割り付け」にすると「前後にスペースを入れる」というメニューが現れるから、そこにチェックを入れればきれいな形に仕上がる。
前のバージョンにもそれがあったかどうかは知らない。
だがKソフトにはそれがない。文字の両側にスペースを入れても、末尾のスペースは認識しないようになっているから、右寄りの奇形均等割り付けになってしまう。
サポートにたずねてみたらこんな返事が来た。「セルの文字の前後に空白を入れての均等割付につきましては、機能として実装がございませんので、何卒ご了承いただくようお願い致します」
両側に幅の狭い空白の列を作って、文字を書くセルの左右の罫線を消す方法もあるが、そんなのはもう古い手に属する。
使い方にも古い手はダサいという限定意識が働いて、ちょっと手を加えれば済むことも、ずいぶんと面倒に思えてくるから不思議である。