「アンデルセン童話・スズの兵隊」
は、
主人公が
あいする者と ほぼ・同時に死ぬ
という
結末をむかえますが、
うちのチット
は、このおわりかたを とても・うらやましがっています。
「おにいちゃんが死んだら、
わたし、一秒だって生きていけないよ」(チット)
「クリンだって、そうだよ
」
先日たおれた、チットのお父さん
は、
今後の回ふく(復)が
見込めないため、
しゅう(終)末期ケアを
せんもんとする、
「長期療養型病院」に、
うつることになりました。
本当は 自宅にもどしたいけど、お父さんは ただ・おとろえているわけでは
ないので、
シロウトには
お世話ができないのです。。
てん(転)院先を下見に行ったり、いろいろ迷いながら すごしている
お母さんとチットは
ちょっと、つかれ気味・・
ただ、お父さんがたおれる前からよんでいた、本の内よう(容)が、
ぐうぜんにも!
「老いと末期」について
おしえてくれる
ものだったので、
気もちの上で、だいぶ・助かっているみたいです。。
その本の名は、
「人間臨終図鑑」・・・
れきし(歴史)小説家、
山田風太郎先生
の
作品です
なかみは、古今東西の有名人の りんじゅう(臨終)のようすを、
その人生と交えて
紹介する、
「晩年中心の人物伝」で、
そこには、
900人の「死に至る過程」が
記されています。
一番さいしょが、火あぶりになった「八百屋お七」
そして
さいごが、
121さいまで生きた とされる、
「泉重千代」さん。
だれもが知ってる
いじん(偉人)から、
昭和の芸のう(能)人まで、
一人・数行~3ページくらいで かきすすめた「臨終図鑑」は、
全員分そろうと、
なかなか
そうかん(壮観)です
チット
ははじめ、風太郎先生が、どんな人を取り上げた
のか?
を
知りたくて
よみはじめましたが、
今、
お父さんがきとく(危篤)に おちいってみて
あらためて
ここにられつ(羅列)される人々が、
「いかな病で 倒れていったか」
身にしみて、さんこう(参考)に
なったらしい・・。
10代~30代で亡くなった人々は、当時の死病(結核やペスト)や
せん(戦)死や処刑、自殺
といった
ひげき(悲劇)的死因が
多いのですが、
40~60代になると、「ガン」や「心筋梗塞」「脳卒中」などの、
三大しっぺい(疾病)にたおれる
死者多数
それが、70~80代になると、男性はじんぞう(腎臓)を病みだし、
「尿毒症」から「腎不全」
にいたるケースが
げきぞう(激増)
90さいをこえると、「老衰」と「誤嚥性肺炎」が ほとんど・・
じんぞう(腎臓)をわるくした、
うちのお父さんは、
まさに、
「70代の落とし穴」
に
はまってしまったわけで、
この点がわかっただけでも、
「なぜ、お父さんが じんぞう(腎臓)を
」 という、
チットたち・家ぞくの
パニックを、
いくらか
おちつけてくれたのでした。
・・・・・・・
チットいわく、
「
権力者も軍人も、哲学者も人気者も、どんな人の死もけっこう悲惨だわ。
長生きした人は、大体最後は孤独になって、数種類の病気にかかって
体が不自由になって、
幻覚を見て、幻聴を聞いて、恍惚の人になる。。
同じような道をたどっているのよ。・・・すごく勉強になったわ。」
・・・・・・
10日ほど前、
チットは
病床のお父さんから、
「あなたの名前を思い出せない。」 と、言われてしまいました。
その後、
お父さんは
声を出すことが
できなくなってしまい、
何を言っているのか、ききとれなくなりました。。
「なんとか聞き取れた最後の言葉が
あれだと、かなしい。。」
って 言いつつも、チット
が それほど・つよいショックを受けて
いないのは、
風太郎先生の本で、
よびちしき(予備知識)を
えていた おかげです。
この本は、多くの人がねがう、「ピンピンコロリ
」 という
運のいい死に方
というのは
まれで、
さいごは
病みはてて ひどいことになる
という
きびしい・げんじつを 突きつけてきます
それでも・・、
まっき(末期)に
どんなひさん(悲惨)なじょうたい(状態)に
なろうとも
それは、
ていど(程度)の差こそあれ、
みな同じ。
晩年のすがたを見て
その人を はんだん(判断)するのは
まったく・まちがっているんだ
ってことを
チットに おしえてくれたようです。