オーストラリアに出かけるMを駅まで送った帰り、
チューリップの球根の50個入り袋を買ってきました。
今までのはぜんぶ、いのさんが掘って食べてしまったらしい。
毒のある水仙と彼岸花だけ、食べないで残っていました。
チューリップは、もういいや、と思っていたけれど、
今年の春、ぽっかり咲いた真紅のチューリップの花を、
黒猫がじいっと不思議そうに見つめて、
ちょいちょいと手を出しては揺らして…
あの光景を、どうしてももう一度見たくなったから。
50個では多すぎるだろうと思ったのに、
あちこちに植えてまわったら残らなかった。
なんだか植え足りない、という気がしきりとするので、
シャベルを持ったままうろうろする。
壁ぎわの花壇には、ミニアイリスの球根を1ダース。
ほんとは、この花壇はあまり好きじゃない。
割れたガラスや瀬戸物がたくさん入っているので。
もうずっと前、土を捨てさせて欲しいというトラックがきて、
ごみの混ざっていない山土だと言うのを信じて
庭にいれてもらったら、それは嘘で、ガラスだらけだった。
何年たってもガラスはなくなりません。
うっかりさわれないし、さわりたくないから、ここだけ、
いつまでたってもいい土にならないのです。
苺畑の端っこには、オキザリス(花かたばみ)を。
ここには半ば野生化してしまった花手毬も住んでいて、
ときどき気まぐれに花をつけています。
黒い大きなアリの巣があるはずだけど1匹も見あたらない。
もう冬眠してしまったのかな。
アトリエの前の枯れたコスモスを片付けようとしたら、
小さい小さい花が少しだけ残っていて、
隣の月見草にも小さい小さい花が少しだけ残っていて、
その色の取り合わせがきれいだから、抜くのが惜しい。
チカラシバの大きな株が邪魔な場所にあるけれど、
露に濡れた穂が朝日に光るのはうっとりする眺め。
朴の木の大きな枯葉が、ばさっと音を立てて落ちてきます。
湿った古い木の枝には、貝殻に似た白いキノコの行列。
咲いても、枯れても、朽ちてさえも、植物は美しい。