閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

ヒトデの謎(つづき)

2010-03-07 08:33:49 | 

前回(2月24日)からちょっとあいてしまいましたが…
時鳥さんの「ヒトデ五方十方説」をいただいて、
続けます。

ヒトデには前後左右の概念はないが、
方位感覚はあるかもしれない、と。
あるとすれば、それは「東西南北」ではない。
たとえば北(または南)をひとつの頂点として、
360度を5等分したもの、になるのではないか。

ヒトの文明に、これと同じものがあるかどうか、
昔の中国で「五方」といったのは、東西南北に
「真ん中」を足して五という数になるらしいから、
ヒトデ族の五方向とは根本的に違う。

ヒトデは、どれが自分の「お箸を持つ手」かは知らないが、
どっちが「北」かはわかるのだろうか。だとすれば、
少なくともその点においては、わたしより優れた生物だ。
頭で考えることはヒトよりはるかに少ないだろうが、
身体で感じることでその不足を補っている。
あれはつまり五角形の生体コンパスなのではないか。
そう考えたら、きゅうにイメージがはっきりしてきた。


ここは浅い海の底。
ヒトデは、砂の上でぼんやりしている。
ぼんやりしているが、おなかがすいた。
そろそろ移動する必要があるようだ。

1本の足の先に、ちりちりとかすかな刺激を感じる。
そっちが「北」なのだ。
あまり寒い方面は好きでないので、
残りの4本の足を慎重に動かしてみる。
とりあえず間近に迫った危険はないようだ。
無数の触手が、水温と潮流をはかり、水質を分析する。

北から2本目の足が、反応した。
ヒトの方位でいえばおよそ南南東。
しかしヒトデにとっては「2本目の足の方向」。
感じるのは漠然とした予感のようなものにすぎないが、
ヒトデの動機としてはじゅうぶんだ。

あっちへ行こう、と「2本目の足」がいう。
よし、あんたがリーダーだ、と他の4本の足がいう。
ヒトデはゆっくりと動き始める。

(…というのが生物学的に正しいかどうかはわかりません。
ちょっとSF的に想像してみただけ)

コメント
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