2冊つづけて。
10月号「いたずらっことまじょ」(作絵・ニコレッタ・コスタ)
11月号「だいすきだよ!」(作ルイジ・ダル・チン 絵フランチェスカ・グレコ)
どちらも新しいお仕事ではなく、11月号は2003年の、10月号は、なぁんと1988年の、再使用です。
この学研ワールドえほんというのは、海外で出版された絵本の日本語訳ではなく、むこうの若手作家さんの描きおろしを日本で出すという、なんだか珍しい月刊誌で、わたしは1985年から、1~2年に1冊くらいのペースでお手伝いさせていただきました。
上の2冊はともにイタリアで、他にフランス、ベルギー、ブルガリアなどもあったと思うのですが、直訳みたいなあらすじみたいなざっくりした日本語のテキストが来るだけで、それを元に文章をつくり、すでに完成している絵の中の空いているスペースに合わせて文字を入れる、というお仕事でした。
いまのように、どんな言語でも「グーグル翻訳に貼り付けて」読むことができる、という時代ではなかったので。
ニコレッタさんは、この「まじょ」シリーズが8冊、他に3冊くらいあったかな。いずれも装飾的な画面が特徴で、ネームスペースも、
このようにですねえ、隅に可愛いふちどりがしてあるのです。
ここに編集さんの「1行目12文字、2行目10文字…」といったこまかい指定がしてあり、その上、厳密なわかち書き、アタマは必ず1字下げ、会話内はぜんぶ1字下げ、単語の途中では改行できない、などなど、ルールに阻まれて使いたい言葉が思うように使えず…毎回クロスワードパズルをやってるみたいに頭を使いました。
(おかげでだいぶ鍛えられた気がする!・笑)
フランチェスカさんのほうは、たしかこれが2冊目。日本の絵本ではあまり見かけないような大人っぽい色彩や、大胆な構図が印象的です。
ちなみに、この『だいすきだよ!』という絵本、2003年当時は『おとうさんだいすき』というタイトルでした。
今回の再使用にあたって、編集部からタイトルを変えたいという話があり…シングルマザー家庭も少なくないので、「おとうさん」をおもてに出すのは避けたい、とのこと。
なるほど。いまはそういう配慮をする時代なんだ。
(この絵本のお父さんは、見たところシングルファーザーみたいですが)
母の日、父の日…保育の場では定番の季節行事も、あやうくなっているのかしら。
<追記>
直販(園で年間購読を申し込む方式)の月刊誌は、一般の方は入手しにくいものなので、これまであまり「お知らせ」に入れてきませんでしたが、もうこういうお仕事をすることもないかなと思うので、記念に。
<2023年8月5日 さらに追記>
現在、この2冊は電子書籍で購入できるようになっています。
スマホのような小さい端末では見づらいですし(片ページずつの表示になるのかも?)、そもそも絵本を子どもに電子書籍という形で見せることを、わたしは良いと思っていませんが、親御さんから電子配信の要望が多いそうで…。
端末画面で見た「絵本」が、子どもの心に残るかどうか、それはこの先10年20年たってみないとわかりません。