絵本の新刊です。
『ここにいるよ』(鈴木まもる・絵 金の星社 2023年9月刊)
色がコマちゃんっぽいですが、コマがモデルではありません。
絵の人と相談したわけでもなく、出来上がったらそうなっていたという…(笑)
こねこのちーすけ、はじめてのたんけん。
おかあさんねこがねてるまに、おにわのなかを、そろーりそろり。
さあ、どんなものがみつかるかな?
書いたのは、2020年の夏。
2020年といえば、新型コロナウイルス感染症が発生し、世界各地でロックダウンが実施されて大変なことになった年。日本でも学校が休校になったり、仕事がリモートに切り替わったり、マスクが売り切れたりと、どこでもばたばたぴりぴりの真っ最中だったときです。
そんな中で「子どもの安心・安全」をテーマにした絵本はできないかというご依頼をいただき、すぐに書いたのが、これでした。わたしにしては異例の素早い行動でした。
ただ、そのあと(やっぱり)いろいろ紆余曲折がありまして…。
主役は子猫ですんなり決まっていたものの、その他の登場生物を、あーでもないこーでもないと何度も取り替えてみたり、行き詰ったあげく冷凍庫に入れてしまったり…(笑)
さらに、自分の体調とか、絵の人のスケジュールとかもあって、結局3年あまりかかってしまいました。
つまり「コロナ禍での安心」という当初の目的には間に合わなかったわけですが、依然として今も国内外のさまざまな不安の種は尽きることがありません。だからこそ、小さな動植物の変わらぬ営みが大切に思え、幼いものの存在がひときわまぶしく輝いてみえるのかもしれません。
帯の裏に、こんなメッセージを書きました。
<あなたの いちばん あんしんな ばしょは どこですか?>
子どもにとってのおとな(「親」とは限らず)とは、虫が隠れる草の葉や、小鳥がとまる木の枝のように、いつも「あんしんなばしょ」でありたいもの。
わたしたちの作る絵本も、ささやかながら、そんな木の葉の一枚として、「ほっ」としたり「にっこり」したりしてもらえたら、嬉しいなあと思うのです。
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