私事で恐縮だが、この9月19日は初孫の1歳の誕生日。毎日一緒に生活しているわけではないので、久しぶりに会ったときにはその成長の早さに驚くばかり。何しろ産まれたときは3㎏ほどの、手の中に収まる体だったのに、1年たつと体重はおよそ3倍、もう立ち上がって、今にも歩きそうなのだから・・・。身体の成長もさることながら、頭の中の脳が生み出す“感情”とやらも、徐々に出現してきた。まずは嫌なこと、思い通りにならないこと、あるいはこうしてほしいという欲求を「泣く」という行為で伝えること。これは、赤ん坊が人に伝える最初の感情表現なのかも知れない。そして最初の誕生日が近づくにつれてよく見られるようになったのが「笑う」という行為。自分の心の中が快適なときに思わず出てくる笑顔は本当に可愛いものだ。ヨロコビという感情が確立するのは、ちょうどこの頃かも。
11歳の元気で明るい女の子・ライリーの頭の中にいる5つの感情(ヨロコビ、カナシミ、ムカムカ、ビビリ、イカリ)が、彼女を幸せにするために奮闘する姿を描き、世界中に大きな感動を与えた「インサイド・ヘッド」(’15)。その続編がこの夏公開され、前作をしのぐヒットを記録して、好評続映中だ。
現在ライリーは13歳の中学生。秋からは高校生になろうとしている。彼女の頭の中では、5人の感情たちが、司令部で相変わらず元気に活躍中。彼らの連携プレイによってライリーは喜怒哀楽がバランスよく働いていて、人にも動物にも優しい、自他共に認める「いい人」。しかし成長と共に新たな問題も発生。今やライリーの感情の中にある『家族の島』は『友情の島』に押され気味で、司令部内の出来事も友情に関することが増えてきた。そう、ライリーは思春期に入ったのだ。所属するホッケーチームのメンバーとの友情も大切だし、進学先の高校のことや、憧れの先輩のことも気になる。ライリーの人生が複雑になってきたからか、シンパイ、イイナー、ハズカシ、ダリィという新しい感情達も出現する。果たしてライリーは「ジブンラシサの花」をどのように咲かせていくか、感情たちの連携が今こそ大切なときなのだが・・・。
監督は「トイ・ストーリー3」や「モンスターズ・ユニバーシティ」などに携わったケルシー・マン。さすがに全世界に心温まる感動作を贈り続けてきたディズニー&ピクサー作品だけあって、今作も安心して観ていられる。特に主人公のライリーをはじめ、登場人物達がすべて自分たちの周りにいそうな、ごく普通の人たちだということに親近感を覚え、自然に頭の中に入り込んで自分自身を投影できるところがよい。そして数が増えた感情たちも、それぞれが自分の役割をしっかり担って、一人の人間をコントロールしているというのも納得できる。またそのキャラクター達が、愛嬌たっぷりの面々だから思わず愛おしくなってしまうのだ。
人生確かにヨロコビでいっぱいに越したことはない。しかし、それだけでは平坦で、かえってつまらなく感じてしまうかも。あの「思い出ボール」が表すように、今までに経験した膨大な数の出来事は、いろいろな感情が入っていて、いろんな色がついているからこそ、特別な思い出として残っていくのだ。たくさんの感情たちに見守られながらの人生、これからも安心して生きていけそうだ。
(HIRO)
原題:INSIDE OUT 2
監督:ケルシー・マン
脚本:メル・レフォーヴ、デイヴ・ホルスタイン
声の出演:エイミー・ポーラー、マヤ・ホ-ク、ケンジントン・トールマン、ライザ・ラピラ、トニー・ヘイル、ルイス・ブラック、ダイアン・レイン、カイル・マクラクラン
日本版声の出演:大竹しのぶ、多部未華子、横溝菜帆、マヂカルラブリー村上、小清水亜美、小松由佳、落合弘治、浦山迅,花澤香菜、坂本真綾
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